NARUTO -紫電の人柱力   作:ぐちロイド

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今回書いている最中作者はウルっときた


第42話 邂逅そして絶望の再会洞、窟の決戦と外の「地獄」

 

第四次忍界大戦の砲火が各地で上がる中、ついに「永遠の眼」を手にしたサスケは、その狂おしいほどの視力を確かめるように連と並び、戦場へと足を進めていた。

 

サスケ「視える……連。お前が言っていた通りだ。以前の眼とは、格が違う」

 

連「……当然だ。それは、絆を断ち切った者だけが許される特権だ」

 

連の隣では躯(ムクロ)が、これから始まる虐殺の予感に喉を鳴らしている。しかし、その時、連の「永遠の万華鏡写輪眼」が信じがたいチャクラの反応を捉えた。

 

森の奥から歩み寄ってくる二つの影。

一つは、サスケが殺したはずの兄、**うちはイタチ**。

そしてもう一つは——。

 

モモカ「……連くん」

 

その声を聞いた瞬間、連の全身から血の気が引いた。漆黒の雷さえも凍りつく。

そこにいたのは、一年前に自らの手で介錯し、その両眼を移植したはずの少女、**モモカ**だった。

肌はひび割れ、瞳は「穢土転生」特有の漆黒に染まっている。だが、その凛とした立ち姿と、連を真っ直ぐに見つめる視線は、記憶の中の彼女そのものだった。

 

サスケ「兄さん……!」

 

連「モモカ……!」

 

サスケと連、二人の復讐者が同時に動揺を見せる。連は無意識に、彼女の眼を奪って埋め込んだ自分の右眼を押さえた。

 

イタチ「サスケ、連。……話したいことは山ほどあるが、今は優先すべきことがある」

 

 

イタチが冷徹に、しかしどこか慈しむように告げた。

 

イタチ「術者であるカブトを止めねば、この戦いは終わらない。モモカ、行くぞ」

 

モモカ「……。……そうね。イタチさん、あそこの洞窟に術者がいるわ」

 

モモカの視線が、一瞬だけ連を射抜いた。その温度の低い眼差しに、連は背筋が凍るような感覚を覚えた。

 

---

 

 

 

一行は、カブトの潜む湿った洞窟へと到着した。

洞窟の入り口で、モモカが立ち止まり、イタチに声をかけた。

 

モモカ「ねぇ、イタチさん。……中の戦闘、任せてもいい? 私は、この『不衛生で恩知らずなバカ兄弟子』に……少し、お説教をしなきゃいけないから」

 

イタチはモモカの醸し出す凄まじい「圧」を感じ取り、微かに頷いた。

 

イタチ「……察した。サスケ、行くぞ。……連、後でな」

 

連「えっ、ちょ、待てサスケ! 俺も……!」

 

連が逃げ出そうとしたが、モモカの手が素早く連の首根っこを掴んだ。その力は、死者特有の無機質さと、かつてない怒りに満ちていた。

 

モモカ「逃がさないわよ、連くん。……そこに。正座。しなさい」

 

連「……は、はい」

 

あの大国を震撼させ、五影を蹂躙した「紫電の連」が、震えながら地面に正座した。

隣で見ていた躯が、目を丸くして驚いている。

 

躯「あはっ! 連、何してるの? そのお姉さん、バラバラにしちゃえば……」

 

連「……躯、悪いが今は黙っていてくれ。命が惜しいなら」

連の必死の形相に、躯も流石に異変を感じて沈黙した。

 

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洞窟内から、サスケとカブトが激突する轟音が響いてくる。だが、連にとっては外の静寂の方が遥かに恐ろしかった。

 

モモカ「……さて。連くん」

 

モモカは腕を組み、正座する連の前に立った。

「まず、その格好は何? その『暁』のコート。赤雲なんて趣味の悪い服を着て。里を捨てたっていうのは聞いてたけど、まさか本当に犯罪者軍団に入るとは思わなかったわ」

 

連「それは……モモカ、君を殺した里への復讐のために……」

 

モモカ「**誰が私のために復讐してなんて言ったの!?**」

 

モモカの怒号が森を震わせた。

 

 

モモカ「私が最後に言ったこと、覚えてる? 『生きて』って言ったはずよ。それは、犯罪者になって世界を焼き尽くせって意味じゃないわ! 自分の体も洗わず、髪もボサボサにして、そんな腐った魚みたいな目をして……! 私が命を預けたのは、こんな暗いだけの男じゃない!」

 

連は俯くことしかできない。永遠の万華鏡は、モモカの怒りの一挙手一投足を、高解像度で克明に映し出し、逃げ場を奪っている。

 

モモカ「それに、その右眼! 私の眼を勝手に移植して、挙げ句の果てに『永遠』なんて名付けて……! 私が見たかったのは、あんたが平和な里で、出雲先生やみんなと笑ってる景色なの! こんな、血生臭い戦場じゃないわ!」

 

連「……でも、俺は……君がいない世界なんて、守る価値がないと思ったんだ」

 

モモカ「甘ったれないで!!」

 

パァン! と、穢土転生の冷たい掌が、連の頬を叩いた。

 

モモカ「自分の弱さを『私の死』のせいにするのはやめなさい。あんたはただ、傷つくのが怖くて、闇に逃げ込んだだけじゃない。……今のあんたの戦い方、見たわよ。九重やティアラを、ただの兵器として使って……彼女たちがどれだけ悲しんでるか、考えたことがあるの!?」

 

連の脳裏に、先日呼び出した時のティアラたちの悲しげな鳴き声が蘇る。

 

モモカ「九重はね、あんたが心配でついていったの。でも今のあんたは、彼女たちの愛さえも復讐の道具にしてる。……最低よ。本当に、最低」

 

連の目から、一年以上忘れていた涙がこぼれ落ちた。五影を絶望させた「紫電」も、スサノオの盾も、この少女の正論の前では何の役にも立たなかった。

 

---

 

 

 

説教は、洞窟内の激戦が終わるまで、一時間以上に及んだ。

モモカは、連が里を出てから犯した過ち、不衛生な生活、仲間への不義理、そしてその歪んだ精神論について、みっちりと、一言の反論も許さずに叱り飛ばした。

 

モモカ「……わかった? 術が解けて私が消えるまでに、その汚い顔、ちゃんとしなさい。復讐だなんだって格好つける前に、自分の心と向き合いなさい。……いいわね?」

 

連「……はい、モモカさん。……すみませんでした」

 

連は、もはや犯罪者でも復讐者でもなく、ただの「叱られた兄弟子」として、地面に頭を擦りつけていた。

 

そこへ、イザナミによってカブトを無力化したイタチと、何とも言えない表情をしたサスケが戻ってきた。サスケは、かつてないほど「小さく」なっている連を見て、少しだけ同情の視線を送った。

 

イタチ「……終わったようだな、モモカ。……連、立て。術を解除する」

 

イタチが印を結ぶ。

モモカの身体が光の粒子となって崩れ始めた。

 

モモカ「連くん」

 

消え際、モモカの声が少しだけ優しくなった。

 

モモカ「……次に会う時は、ちゃんと綺麗な顔で、誰かを守るためにその眼を使いなさい。……じゃないと、あの世でまた、もっと長く説教するからね」

 

連「……モモカ。……約束するよ。……俺、もう一度……やり直してみるよ」

 

光が消え、森に静寂が戻った。

連は立ち上がり、汚れた外套を脱ぎ捨てた。その瞳は、まだ「永遠の万華鏡」ではあったが、そこには以前のような暗い虚無ではなく、清々しいほどの「反省」の色が宿っていた。

 

躯「……あは。連、お姉さんに叱られて、すっごくマヌケな顔になってるね」

 

躯が茶化すが、連は怒らなかった。

 

連「……躯。俺は、もう壊すだけの戦いはやめる。……サスケ。行くぞ。……次は、この大戦を、本当の意味で終わらせるために」

 

連の首筋の呪印が、モモカの叱咤によって浄化されたかのように静まった。

修羅の道から、人間としての道へ。

最強の万華鏡使いは、一人の少女のお説教によって、真の「強さ」を思い出したのだった。

 

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