第四次忍界大戦、その絶望の極地。十尾という天災を前に、忍連合軍が壊滅の危機に瀕していたその時、戦場を二つの巨大なチャクラが貫いた。
連「遅くなったな、ナルト」
砂塵の向こうから現れたのは、復讐の旅を終えたうちはサスケ。そしてその隣で、漆黒の雷を纏いながら、かつての「暁」の外套を脱ぎ捨てた連。
サクラ「サスケ君……! それに、連くん……!?」
サクラの叫びが響く。周囲の忍たちが、かつてのSランク犯罪者たちの登場に色めき立ち、武器を構え直す。しかし、サスケはそれらを一瞥もせず、壇上に立つかのように宣言した。
サスケ「……いろいろあったが、俺が決めた。俺が火影になる」
キバ「はぁぁ!? お前、自分が何言ってるか分かってんのか!」
キバが吠え、シカマルが絶句する。だが、その言葉の裏にある
「過去を焼き払い、自らが悪名をも背負って変革を担う」というサスケなりの決意を、ナルトだけは感じ取っていた。
ナルト「……ヘッ、火影になるのは俺だ。……行くぜ、サスケ、サクラちゃん!」
サクラ「……ええ、行くわよ!」
かつての第七班が、数年の時を経て再び並び立つ。その一歩後ろで、連は冷徹な視線を戦場へと向けていた。
出雲「連くん……あんた、今までどこで何を……!」
負傷者の治療にあたっていた不知火出雲が、震える声で連を呼ぶ。連は一度だけ彼女を振り返り、万華鏡の瞳に宿る「反省」と「決意」を見せた。
連「……出雲先生。説教なら、この戦いが終わった後にいくらでも聞く。今は……俺に、この眼を使わせてくれ。あんたたちを守るために」
連の言葉に、出雲は目を見開いた後、力強く頷いた。
出雲「……ええ。死んだら承知しないわよ、バカ弟子!」
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十尾が産み落とした巨大な分裂体の群れが、津波のように連合軍へ押し寄せる。それに対し、次代を担う四人の忍が、同時に印を結んだ。
「**口寄せの術!!**」
ドォォォォォン!! という四つの爆煙が戦場を覆う。
煙が晴れた時、そこにはかつての「伝説の三忍」を凌駕する光景が広がっていた。
ナルトの足元には、巨大な朱色の蝦蟇・**ガマ吉**。
サスケの下には、漆黒の巨蛇・**アオダ**。
サクラの側には、巨大な癒しの蛞蝓・**カツユ**。
そして連の前には、白銀の巨虎・**ティアラ**と、三尾を揺らめかせる妖狐・**九重**が並び立ち、上空からは大鷲・**アロー**が金色の瞳で戦場を俯瞰していた。
ナルト「行くぞ、ガマ吉! ひとっ飛びだ!」
ガマ吉「応よ、ナルト!」
ガマ吉が超跳躍を見せ、十尾の本体へと肉薄する。空中からナルトの風遁螺旋手裏剣が放たれ、分裂体を一掃する。
サスケ「アオダ、道を切り開け」
アオダ「御意、サスケ様」
アオダは巨体に似合わぬ敏捷さで、うねるように敵陣を突破。サスケはその頭上から「加具土命」の黒炎を放ち、一切の障害を焼き尽くしていく。
サクラ「カツユ様、皆さんをお願い!」
カツユ「承知いたしました、サクラ様」
カツユが戦場全体へ無数に分裂し、連合軍の忍一人一人に付着。サクラの「百豪」のチャクラを媒介に、広範囲の遠隔治療が開始された。
そして、連。
連「アロー、上空から敵の配置を俺の視界へ送れ。ティアラ、九重、俺の左右は任せたぞ」
連はアローと視界を共有し、戦場全体の動静を「永遠の万華鏡」で完全に把握。ティアラが剛腕で分裂体を粉砕し、九重が連の「紅蓮雷鳴」を纏った炎の尾で敵を消滅させる。連自身も、最短距離で敵の急所を漆黒の雷で貫き、戦線を押し上げていく。
その四人の連携は、まさに「新時代の三竦み」プラス一。絶望に沈んでいた連合軍から、歓声が上がった。
一方、十尾の本体側では、穢土転生された歴代火影たちが「神」と呼ぶに相応しい戦いを見せていた。
柱間「**木遁・明神門!!**」
初代・柱間が巨大な鳥居を次々と落下させ、十尾の動きを力ずくで封じ込める。さらに「木人の術」を繰り出し、十尾の咆哮を受け流しながら格闘戦を演じる。そのスケールは、もはや忍の常識を超えていた。
扉間「四代目、やるぞ」
ミナト「はい、二代目様!」
ミナトと扉間、二人の神速使いによる「飛雷神」の連携。十尾が放つ「尾獣玉」に対し、二人は瞬時に座標を交換し、攻撃を海側へと転送して連合軍を守る。ナルトたちの攻撃が届かない死角へは、彼らが瞬時に移動してサポートに回る。
ヒルゼン「……私も、老体とは言っていられんな」
三代・ヒルゼンが如意金棒を振り回し、火・水・土・風・雷の五大性質変化を同時に発動。十尾の広範囲にわたる攻撃を、そのすべてを相殺する術で完璧に防いでみせた。
「火影たちが道を創ってくれた! 今だ、畳み掛けろ!!」
連合軍の士気は最高潮に達し、十尾を封印寸前まで追い詰めたかに見えた。
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しかし、その高揚感は、一人の男の「執念」によって無残に打ち砕かれた。
十尾の頭上に立つ、うちはオビト。
彼はカカシとの異空間での死闘を経て、致命傷を負いながらも、最後に残された禁術を発動した。
オビト「……ぐ、ぁ……。……これが、俺の求めた……真実の、世界だ」
オビトが十尾を自らの中へと取り込んでいく。その体躯が膨張し、皮膚が剥がれ落ち、代わりに神々しくも禍々しい「白き衣」を纏った姿へと変貌していく。
サクラ「……そんな、十尾を……自分の中に入れたっていうの……!?」
サクラの声が震える。
オビトが目を開けた瞬間、戦場の重力が変わった。
彼がただ手を振るだけで、柱間の明神門が紙細工のように砕け散り、二代目の飛雷神の術式さえも「無効化」される。
オビト「……無駄だ。今の俺は、忍の祖。十尾の人柱力となった」
オビトの背後に浮かぶ、黒い球体——**求道玉(ぐどうだま)**。
それが変幻自在に形を変え、ミナトの腕を掠めた瞬間、穢土転生の再生能力が停止した。
ミナト「再生しない……!? 攻撃そのものが術を消滅させているのか!」
戦場は、一瞬にして「神の領域」へと突入した。
今までの理(ことわり)が一切通用しない、絶対的な絶望。
ナルト、サスケ、そして連。三人の少年たちは、目の前の「神」に対し、再び武器を構え直す。
連「……サスケ。……ナルト。……ここからが本当の『地獄』だ」
連の右眼、モモカから受け継いだ眼が、かつてない激しさで脈動する。
サスケ「……ああ。だが、俺たちの瞳には、まだその先が視えているはずだ」
サスケがスサノオを具現化させ、ナルトが九喇嘛モードを全開にする。
十尾の人柱力、うちはオビト。
彼が創り出そうとする「月の眼計画」という虚構の平和を阻止するため、そして失われたすべてを肯定するために、かつての仲間、そしてかつての敵たちは、真の最終決戦へとその身を投じていった。
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オビトが放つ求道玉が、連合軍の陣地を消滅させようと飛来する。
サクラ「させないわ!!」
カツユの粘液で身を守りつつ、サクラが大地を砕き、岩壁を作って爆風を逸らす。
九重「(『主よ……。あの男、もはや人間ではありませぬ。……我らも全力で行きますぞ』)」
九重の意志が連に流れ込む。
連はスサノオを完成体へと昇華させ、その鎧を漆黒の雷でコーティングした。
連「……ナルト、サスケ! 俺が空間を固定する。……一瞬だけ、奴の防御に隙を作る!」
「比良坂」の能力で、連はオビトの背後の空間を無理やりこじ開けた。
その隙間から、ナルトの螺旋手裏剣とサスケの加具土命が、同時にオビトへと叩き込まれる。
大爆発。
しかし、煙の中から現れたオビトは、傷一つ負っていなかった。
オビト「……言ったはずだ。今の俺は、この世界の法そのものだと」
絶望が戦場を支配する。だが、連の瞳だけは、まだ光を失っていなかった。
モモカなら、こんな時でも笑って「前を向きなさい」と言ったはずだ。
出雲なら、死ぬ気で守れと言ったはずだ。
連「……終わらせる。……俺たちが、お前の偽物の世界を壊してやる」
連の「永遠の万華鏡」が、オビトの「心の隙間」を見据えた。
神にも勝る力を持つ男の、たった一つの、しかし致命的な「孤独」という名の弱点を。
戦場は、再び光と闇が交錯する嵐の中へと飲み込まれていく。
忍連合軍、歴代火影、そして新生第七班。
彼らの想いが、十尾の人柱力という「神」に届くのか。
運命の歯車は、今、最強の熱量を帯びて回転し始めた。
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