NARUTO -紫電の人柱力   作:ぐちロイド

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第45話 紫電の化身——バアル・モード 一体の救済

 

 

戦場の中央、十尾の人柱力となったオビトの巨躯が、ナルトのチャクラと引き合うようにして静止していた。ナルトはオビトの精神の深淵へと潜り込み、彼が心の奥底に封印していた「火影になりたかった自分」という、剥き出しの真実に触れていた。

 

一方、その外側。連はスサノオの防壁に守られながら、現実世界と精神世界の境界線に立っていた。

連の意識は、外界の喧騒を離れ、自身の内側に広がる漆黒の闇へと沈んでいく。

 

そこは、一年前のあの日から連を縛り続けてきた「地獄」の心象風景だった。

足元には血の海が広がり、空には紅い万華鏡の瞳が月のように浮かんでいる。そしてその玉座に、禍々しい漆黒の炎と雷を纏った巨影——**破壊神雷十龍バアル**が鎮座していた。

 

バアル「(……くく。隣の小僧は、救いようのない夢想家だな。敵の心に土足で踏み入り、涙を誘おうとは)」

 

バアルの、千の雷が重なったような不気味な声が響く。連は無言でその巨影を見上げた。

 

連「……何が言いたい、バアル。今は余談を交わしている暇はない。外では、本物の神(オビト)が世界を無に帰そうとしている」

 

バアル「(分かっておる。……だがな、連よ。主は変わた。……かつての主は、憎悪という名の泥に浸かり、我(われ)という力をただの『復讐の刃』として振り回しておった。……だが、あの娘に叱られ、泥を落とした今の主は……少しばかり、面白き瞳をしておる)」

 

バアルがゆっくりと立ち上がる。その瞬間、連の精神世界が激しく震動した。

 

バアル「(……己のためではなく、他者のためにその眼を、そして我の力を使うと言うか。……ふん、下らぬ。下らぬが……それもまた一つの狂気。……今の主ならば、この『真の呪い』を渡しても、飲み込まれることはあるまい)」

 

---

 

 

 

バアルの巨大な手が、連の胸元にそっと触れた。

瞬間、連の全身に「冷たい火」が着いたような、凄まじい衝撃が走った。

 

バアル「(……受け取れ。これが、我の全チャクラ——『紫電壊滅の法』だ)」

 

現実世界の連の身体に、異変が起きる。

サスケが「何だ……!?」と驚愕の声を漏らす中、連を包んでいたスサノオが一度霧散した。だが、それは消えたのではなく、連の肉体そのものに凝縮され、融合していったのだ。

 

連の肌に、黒い術式が雷のように走り抜ける。

瞳は「永遠の万華鏡」の紋様を残したまま、白目部分が漆黒に染まり、全身から立ち昇るチャクラは、もはや青や紅ではなく、深淵のような**「漆黒の紫」**へと変わった。

 

連「これが……バアルの、真の力……」

 

連が拳を握ると、それだけで周囲の空間がビリビリと悲鳴を上げ、亀裂が入った。

ナルトが九喇嘛の黄金の衣を纏うように、連は漆黒と紫の稲妻を衣として纏っていた。背中には、スサノオの骨格を思わせる紫電の羽が六枚、神々しく展開される。

 

躯「……あはっ!! 連、それ最高! すっごく痛そうで、すっごく強そう! 最高の『神様』になっちゃったね!」

躯が狂喜して叫ぶ。だが、今の連には、その狂気さえも慈しむような静かな平穏があった。

 

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オビトの精神世界で、ナルトが彼の手を引こうとする。

 

ナルト「オビト! お前は、本当はこっちに来たいんだろ!!」

 

その叫びに呼応するように、現実世界でもナルトとサスケのチャクラが十尾から「尾獣のチャクラ」を引き抜き始めた。連合軍全員が、その綱引きに参加する。

 

連「……手伝うぞ、ナルト」

 

連が動いた。

バアル・モードの速度は、もはや「移動」という概念を通り越し、空間そのものを踏み越えていた。連はオビトの前に瞬時に現れると、漆黒の雷を纏った左手を、十尾のチャクラの奔流へと突き刺した。

 

連「『紫電・万象拒絶』!!」

 

連のチャクラが、十尾の強固な意志を内側から粉砕していく。バアルの「破壊」の力が、オビトと十尾の結びつきを強制的に断ち切るための楔(くさび)となったのだ。

 

オビト「ぐ、ぁぁぁっ……! お前は……連……!」

 

オビトの瞳に、絶望ではない「驚愕」が宿る。

 

連「……オビト。俺も、あんたと同じだった。……失ったものが大きすぎて、世界を恨むことでしか自分を保てなかった。……だが、俺の眼の中の死者は、それを許さなかった」

 

連の右眼、モモカの眼が優しく光る。

 

連「あんたの眼の中にいるリンも……きっと、こんな世界を望んではいない」

 

オビト「……っ!!」

 

ナルトの説得と、連の「破壊と救済」の雷が、ついにオビトの心を貫いた。

連合軍全員の力によって、十尾のチャクラがオビトから完全に引き抜かれる。

神の座から引きずり下ろされ、地面へと落下するオビト。

 

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戦場に、束の間の静寂が訪れた。

十尾の巨躯は消え、残されたのは、ただ一人の力尽きた男——オビトだった。

 

連のバアル・モードがゆっくりと解除され、元の姿に戻る。だが、その瞳にはかつての虚無はなく、確かな「忍」としての意志が宿っていた。

 

ナルト「……やったな、連!」

 

 

ナルトが親指を立てて笑う。サスケもまた、フンと鼻で笑いながらも、連の新たな力を認めたようだった。

 

連「……ああ。だが、まだ終わっていない」

 

連は、瓦礫の山の上に立つ、もう一人の男——**うちはマダラ**に視線を向けた。

マダラは、オビトの敗北を惜しむ様子もなく、むしろ「ようやく自分の番だ」と言わぬばかりに不敵な笑みを浮かべていた。

 

マダラ「……良い力を見せてもらった。暁連、と言ったか。……お前のその眼と漆黒の雷、私を楽しませてくれそうだ」

 

連は、傍らにいた出雲と視線を合わせた。

出雲は、誇らしげに、しかし少し心配そうに愛弟子を見つめている。

 

連「……出雲先生。約束だ。……この大戦が終わったら、あんたの不味い手料理でも何でも食べてやる。……だから、絶対に目を離さないでくれ」

 

出雲「……当たり前でしょ、バカ弟子。……あんたの背中、しっかり見届けてあげるわ」

 

連は、再び「永遠の万華鏡」を起動させた。

バアルとの契約、モモカとの約束、そして里を守るというサスケとの盟約。

それらすべてを背負い、少年は真の最終決戦へと向かう。

 

漆黒の雷鳴が、夜明け前の戦場に再び轟いた。

第四次忍界大戦、その真の終焉(クライマックス)が、今、始まろうとしていた。

 

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