NARUTO -紫電の人柱力   作:ぐちロイド

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第48話 黒き裏切りと「母」の胎動

 

 

空を覆う雲が晴れ、地上には六道の力を得た三人の忍が並び立つ。

ナルトは九喇嘛と六道の陽の力を融合させ、サスケは左眼の輪廻眼を鋭く光らせる。そして、連の背後には輪廻の光輪が浮かび、その瞳には「高天原」の冷徹な権能が宿っていた。

 

ナルト「……行くぞ、サスケ、連!」

 

ナルトが地を蹴り、黄金の閃光となってマダラへ肉薄する。マダラは空中に浮遊し、冷笑を浮かべながら印を結んだ。

 

マダラ「**地爆天星!!**」

 

大地が爆ぜ、数百もの巨大な岩塊が空へと吸い上げられ、隕石の雨となって降り注ぐ。連合軍が悲鳴を上げる中、連の右眼が微かに脈動した。

 

連「**右眼:【焔の呼吸】。……静止しろ**」

 

連が虚空を掌でなぞった瞬間、落下する全ての隕石の熱エネルギーが分子レベルで奪い去られた。絶対零度の極寒に晒された岩塊は、物理的な結合力を失い、衝突する前にボロボロと砂のように砕け散っていく。

 

マダラ「熱量を奪ったか……! ならば、これはどうだ!」

 

マダラが輪墓の影を四体に増やし、三人を全方位から囲む。だが、連の左眼がそれを許さない。

 

連「**左眼:【震天雷】!!**」

 

連の全身から、超高周波で振動するプラズマの衣が爆発的に膨れ上がった。不可視の「影」が連に触れた瞬間、その部位が凄まじい摩擦熱で蒸発し、強制的に実体化させられる。

 

連「今だ、サスケ!」

 

サスケ「フン……! **『千鳥』!!**」

 

サスケが天手力でマダラの背後へと位置を入れ替え、連がプラズマで炙り出した「影」とマダラ本人を同時に串刺しにする。そこへナルトの「磁遁・螺旋丸」が叩き込まれ、マダラの動きを封じる磁力の封印が広がる。

 

マダラ「……連携は認めてやろう。だが、この瞳が揃った今、すべては無に帰す」

 

マダラはサスケから奪い返した左眼を眼窩に収め、ついに両目の輪廻眼を揃えた。そして、その額には、第三の眼――**「輪廻写輪眼」**が不気味に開眼する。

 

---

 

 

 

マダラが月へと飛び上がり、その額の瞳を月面に投影した。

 

マダラ「……照らせ。**『無限月読』!!**」

 

夜空が真っ白な光に包まれる。その光は、影を無視し、遮蔽物を通り抜け、地上に生きるすべての生物の瞳へと浸透した。

 

「あ……あぁ……」

 

出雲も、連合軍の忍たちも。その瞳には輪廻の波紋が浮かび、意識は甘美な夢の世界へと連れ去られていく。神樹の蔦が地中から噴き出し、人々を白い繭の中に絡め取っていく。

 

ナルト「……みんなが……!!」

 

ナルトやサクラ、カカシが絶叫するが、サスケがスサノオの翼で彼らを包み込み、光を遮断した。連もまた、自らのスサノオに輪廻眼の斥力を展開し、侵食してくる神樹の蔦を絶対零度で凍らせ、粉砕し続ける。

 

光が収まった時、地上には動く者の姿はなかった。

サスケのスサノオの陰に隠れた、ナルト、サスケ、サクラ、カカシ、そして連。彼らだけが、この地獄に残された最後の生存者となった。

 

マダラが静かに地上へと降り立つ。

 

マダラ「……戦いは終わった。私は人々の争いを止め、永遠の平和を創り出した。……私は、この世界の救世主だ」

 

誇らしげに、独裁者としての勝利を宣言するマダラ。その背後には、彼が己の意志だと信じて疑わなかった影――**黒ゼツ**が、音もなく立っていた。

 

---

 

 

ゼツ「……違うよ、マダラ。お前は救世主なんかじゃない」

 

ドシュッ、と不快な肉肉しい音が響いた。

マダラの胸を、背後から黒ゼツの手が貫いた。十尾の人柱力であり、神の如き力を得たはずのマダラが、信じられないものを見るような表情で硬直する。

 

マダラ「な……何を……!? 黒ゼツ、貴様……私の意志から生まれたはずの、お前が……」

 

ゼツ「クク……。誰がお前の意志だって? 僕の正体は、始祖・大筒木カグヤの意志。お前はただ、母さんを復活させるために必要な『器』を用意するための、便利な駒に過ぎなかったんだよ」

 

連の輪廻眼が、マダラの体内で起きている異変を捉えた。

神樹に繋がれた全人類のチャクラが、黒ゼツという回路を通じ、一点に集中してマダラの体へと逆流し始めている。

 

連「……膨大なチャクラが……マダラの中に流れ込んでる。……このままだと、器が破裂するぞ!」

 

ゼツ「いいや、破裂なんてさせない。……母さんが、帰ってくるんだから」

 

黒ゼツがマダラの全身を黒い泥のように覆い尽くしていく。マダラの体は異様に膨れ上がり、苦悶の叫びを上げることさえ許されず、その存在を内側から塗り替えられていく。

 

マダラ「……ぐ、ぁ……、あああああ……!!」

 

マダラの傲慢な瞳が消え、代わりに白濁した「白眼」が、そして額には三つの瞳を持つ異形の姿が形成されていく。

 

---

 

 

 

地面から噴き出すチャクラの奔流が、一人の女性の形へと収束していく。

長く、重力に抗うように広がる白銀の髪。額に宿る輪廻写輪眼。そして、この星そのものの質量を感じさせるような、あまりにも重く、冷たいチャクラ。

 

マダラという存在は、完全にその女性の中に飲み込まれ、消滅した。

そこに降り立ったのは、全てのチャクラの祖であり、この忍界という物語の本当の始点。

**「大筒木カグヤ」**。

 

カグヤはその氷のような双眸で、ナルト、サスケ、そして「外の理」を宿す連を見渡した。

 

カグヤ「……羽衣(ハゴロモ)と、羽村(ハムラ)の気配……。そして、聞き覚えのない不快な異物の力……」

 

彼女がただそこに立つだけで、大気が震え、空間が悲鳴を上げる。

マダラを倒すためにすべてを賭けてきた連たちの前に現れたのは、もはや「忍」という枠組みでは到底語れない、絶望的なまでの「神」そのものだった。

 

ナルト「……連。……あいつ、さっきのマダラよりヤベえぞ」

 

 

ナルトの声が、かつてないほど緊張に震える。

 

連「……分かっている。……だが、俺たちにはこれしか道はない」

 

連は、右手の『六道・紅蓮大雷槍』を強く握り直した。

 

黒ゼツという名の裏切り者が仕組んだ、数千年に及ぶ悪夢の終着点。

忍の歴史のすべてを無に帰そうとする始祖カグヤに対し、今、三人の救世主による最後にして最大の決戦が始まろうとしていた。

 

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