シカマル「……ったく、めんどくせーことになったな」
シカマルは頭を掻きながらも、ナルト、サクラ、イノを連れて、里の北端にある鬱蒼とした森の境界へと足を踏み入れていました。その先には、古びているが手入れの行き届いた、暁連の隠れ家があります。
ナルト「シカマル、本当にこっちなのか? アイツ、途中で消えちまったぞ」
シカマル「声がけけぇんだよナルト。連の歩法は無駄がねぇ。匂いとわずかなチャクラの残滓を追うしかねーんだ」
サクラとイノは、憧れの(?)ミステリアスな美少年、連の私生活を覗き見られる期待と不安で、心なしか頬を紅潮させていました。
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生い茂る木々の隙間から、四人はついに連の自宅を捉えました。
しかし、その家から漏れ聞こえてきたのは、彼らが想像していた「ストイックな修行の音」ではありませんでした。
出雲「あぁん、もう……そこ、そこがいいのよ。もっと激しくやりなさいよ……!」
艶めかしく、そして露骨に「事」の最中であることを思わせる女性の叫び声。
四人は氷ついたように立ち止まりました。
サクラ「え……? な、何これ……」
サクラが顔を真っ赤にして口を押さえ、イノも言葉を失います。
ナルト「おい、これって……そういうことか!? 連のヤツ、家で何やってんだってばよ!」
ナルトが鼻息を荒くして生垣の隙間から中を覗き込み、シカマルも「おい、よせ!」と言いつつ、好奇心に勝てず目を凝らしました。
縁側の障子が開け放たれた部屋の中。
そこには、乱れた黒髪を振り乱し、男の背中に爪を立てて悶える如月出雲の姿がありました。
自慢のLカップが男の胸板に押し潰され、汗ばんだ肌が夕日にぎらりと光ります。
出雲「っ……あはっ! いいわ、最高……。連ー! 今夜の酒、もっと度数高いの買ってきなさいよー!」
出雲が絶頂のさなかでそう叫んだ瞬間、その傍らで**無表情に酒瓶を片付けている連**の姿が四人の目に飛び込んできました。
ナルト、サクラ、イノ「「「…………!!」」」
連は、師匠が男に抱かれ、獣のような声を上げているすぐ横で、まるで背景の一部であるかのように淡々と散乱した下着を拾い、洗濯籠に入れ、さらに空いたグラスに新しい酒を注いでいました。
連「……了解しました。それと、その男のクナイ、毒が塗ってあります。終わったら消毒してください」
連の声は、氷のように冷たく、一切の揺らぎもありません。
ナルト「う、うわああああああ!!」
ナルトがついに耐えきれず、叫び声を上げて尻餅をつきました。
サクラ「信じられない……。連くん、あんな、あんなイカガワシイ生活の中で暮らしてるの……!?」
サクラはショックのあまり膝をつき、イノは「あの女の人、誰……? すごい迫力……」と、出雲の圧倒的な「雌」のオーラに戦慄しています。
シカマルだけは、冷や汗を流しながら呟きました。
シカマル「……なるほどな。あの女……元暗部班長、如月出雲だ。あの環境で眉一つ動かさねぇ連の『精神力』……。とんでもねぇ奴だぜ、マジで」
バアル(『ククク……小猿どもが腰を抜かしておるわ。連よ、あのアバズレ女の醜態が里の噂になるのも一興よのう』)
連「……バアル。死ね」
連は生垣の向こうに隠れた四人の気配に気づきながらも、ただ静かに出雲の脱ぎ捨てた羽織を畳み直しました。
木ノ葉の平和なアカデミー生にとって、暁連の日常は、あまりにも「大人の猛毒」に満ちすぎていました。
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バアルが脳内で「ククク……小猿どもが泡を吹いておるわ。一掃してやろうか?」と物騒な提案をするのを無視し、連は手にしていた出雲の紫の羽織をバサリと肩にかけました。
そのまま、気配を完全に消した歩法で、生垣の向こう側——パニック寸前の四人の背後へと音もなく回り込みます。
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連「……何用か?」
低く、温度の低い声が四人の鼓膜を叩きました。
シカマル、サクラ、イノ、ナルト「う、うわあああああ!!」
ナルトが飛び上がり、サクラとイノは抱き合って悲鳴を上げ、シカマルですら「うおっ!?」と肩を跳ねさせました。
振り返ると、そこには夕闇を背負い、家の中から漏れる「イカガワシイ声」を背景に立ち尽くす連の姿がありました。その瞳には、軽蔑も怒りもなく、ただ深い虚無だけが宿っています。
ナルト「れ、連……! お前、あの、その……! 中の、あの人は……っ!?」
ナルトが顔を真っ赤にして家の方を指差しますが、言葉がまとまりません。
サクラも震える声で尋ねます。
サクラ「あんな……あんなの、連くんが平然と見てていいものじゃないわ! 教育に悪いっていうか……不潔よ!」
連はサクラの言葉に、わずかに眉を動かしました。
連「……不潔? 意味がわからない。あれは師匠の『生理現象』であり、『情報収集』であり、そして俺にとっては日常の『光景』に過ぎない。ガキの君たちが、首を突っ込んでいい世界じゃない」
連の言葉は、彼らとの間に絶対的な「境界線」を引くものでした。
シカマル「おい、連……。あんた、毎日あんな環境で修行してんのか?」
シカマルが冷や汗を拭いながら、同情に近い眼差しを向けます。
連「修行は修行だ。……それより、中(出雲)の機嫌が悪くなる前に立ち去れ。今の彼女は『獣』に近い。見つかれば、君たちもただでは済まないぞ」
その時、家の中から「あはっ! 連ー、誰か来てるのー? 減るもんじゃないし、その子たちも混ぜてあげましょうかー!?」という、出雲の冗談とも本気ともつかない豪快な叫び声が響きました。
サクラ、イノ「「ひっ……!」」
四人の顔から一気に血の気が引きました。
連「……行け。これ以上、君たちの純粋な価値観を汚したくない」
連が静かに告げると、四人は言葉もなく、脱兎のごとく森の出口へと走り去っていきました。ナルトの「あいつ、絶対におかしいってばよ!」という絶叫が遠ざかっていくのを、連は見送ります。
バアル(『連よ、優しきことよ。主もあのアバズレの毒に染まりきってはいないようだな』)
連「……うるさい。ただ、騒がれると洗濯が終わらないだけだ」
連は一人、夕闇の中で小さく息を吐きました。
汚れた「大人」の世界と、潔癖な「子供」の世界。その狭間に立つ少年の肩には、バアルの紫電が微かに、寂しげに光っていました。
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