陰の実力者のお友達   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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なんで更新してないときにランキングに乗っているんだ()
ありがてえけどビビるわ
最初のほうに言ってるけど好きに書いてるだけですからね
マジで()


18 力を示す

「次はハゲが相手してくれるのかな。 ん?」

 

カツカツ、とキバエンペラーがネルソンに向けて歩いていく。

ネルソンは狼狽えながら

 

「わ、わかった、オリヴィエがやられるとは思わなかった。ここは冷静に話し合おうじゃないか、な!」

 

などと申されても。

 

「などと言うと思ったか。まぐれでオリヴィエを倒したことは賞賛しよう、おめでとう」

「ありがとぉーん。それでおちゅぎはおハゲのおじしゃまがお相手してくれるのかしらぁーん?」

 

なんか変なこと言ってきたので全力でふざけ返した。

あからさまな煽りにネルソンは唇を噛み締めるが、すぐに冷静さを取り戻し

 

「んぐ…!! 質の悪いコピーを一体倒したところでいい気になるな、聖域には我々にも計り知れない魔力が眠っている、故にこういうことも可能なのだっ!」

 

ネルソンが腕を振るう。

するとあたり一面に光が溢れて、その光が収まったと思ったとき、遺跡を埋め尽くすように多くのオリヴィエがいた。

 

「はははは! これが聖域の力だ! 貴様の持つそのキバの鎧がどれだけのものかは知らないが、圧倒的な力の数には無力っ! 泣け、喚け! そして死ねぇぇぇぇぇっ!」

 

ネルソンが叫びながらまた腕を振るう。

その合図に従うかのように無数のオリヴィエがキバエンペラーに殺到した。

 

「<ガルルセイバーッ!>」

 

キバットがフエッスルを吹き鳴らすと、どこからともなく蒼い狼の胸像が表れ、刃の形を作る。

まぁ本来エンペラーフォームの姿ならフエッスル吹かなくても瞬時に手元に呼び出せるのだが、ここまで一回も使っていないことも相まって試運転的に吹かすことにしたのである。

そのひと振りを握ると、無数のオリヴィエをキバエンペラーは一思いに薙ぎ払った。

瞬く間に吹き飛ぶその様を、ネルソンは口をあんぐりと開けたまま眺めていた。

 

「ば、バカな…! オリヴィエなんだぞ…? 英雄オリヴィエが、こうも…!?」

「これが全員本人だったらまぁ大変だったかもだよ。でもここにあるのは全員劣化以下のコピー品なんでしょ? だからこうなる」

 

続けて取り出したのは緑のフエッスル。

それをキバットに咥えさせ、吹き鳴らさせる。

 

「<バッシャーマグナムッ!!>」

 

先のガルルセイバーと同様緑色の胸像が現れ、キバエンペラーはそれを手に取る。

胸像は変形し銃のような形となり、キバエンペラーは引き金を引いた。

水の弾丸が迸り、群がるオリヴィエを射抜いていく。

一通り射抜いた後、キバエンペラーはネルソンを見ながら

 

「あと、それ僕のだから。返して」

 

そして流れるように紫色のフエッスルをキバットに嚙ませて

 

「<ドッガハンマー!!>」

 

キバットがそう叫ぶと、ネルソンの手に持っていたハンマーがキバエンペラーの方へと引き寄せられていく。

懸命に力と魔力を込めて離すまいとするが、無駄な抵抗はすぐに終わり、ハンマーはキバエンペラーの手に収まった。

 

そしてそのままキバエンペラーはドッガハンマーを振るい、まだ向かってくるオリヴィエたちを文字通り粉砕していく。

ネルソンは自分が使いこなすのに数年時間を要したそのハンマーの、自分以上の使いこなしっぷりに、ただただ身体を震わせるしかなかった。

 

「ようし、試運転と準備運動おわり! セイバーもマグナムもよし、ハンマーも帰ってきた。それじゃあフィナーレと行こうか」

 

ハンマーをフエッスルと魔力で紐付けする。

これで後はフエッスルを吹かせばどこでも召喚できるというわけだ。

キバエンペラーはアウロラの方へと視線を向ける。

その間片手間にコピーオリヴィエの相手をしながら

 

「剣抜いて、鎖を切って、扉開けて、核を壊す、だっけ? めんどいから全部一辺にやっていい?」

「い、いっぺん…? 待って、貴方まさか…!」

「そのまさか」

 

キバエンペラーはまず赤いフエッスルを取り出すと、それをキバットに噛ませる前にキバットとタツロットに声をかける。

 

「よし、あれやるよキバット、タツロット。覚悟はいいか?」

「おうよ! かましてやるぜ!」

「私も準備は万端です!」

 

二人の言葉を聞いて、キバエンペラーはペルソナの下で、笑みを浮かべるとまずは最初に取り出したフエッスルをキバットに噛ませた。

 

「ウェイク! アーップ!」

 

魔力や、魔皇力の奔流がキバエンペラーを包む。

続けて今度は、タツロットの鼻角、ホーントリガーを操作する。

インペリアルスロットの絵柄が回転し、キバの紋様が揃った。

 

「ウェイクアップ、フィーバー!」

 

さらにキバエンペラーの魔力が増幅する。

どんどんとその魔力は増幅されていき、聖域全体を震わせた。

 

「あ、ありえない…! こんな、こんなっ!! ここは制限されてるはずだぞ…!! なぜ魔力が練れるっ!?」

「今使ってるのは僕だけが使える似て非なる魔皇力だからかな…。そうでなくても、吸い取れないくらい強固に練れば問題なし」

「そんなことができるものかっ! できるとしたら、それは人間ではないっ!! お、おおオリヴィエ! 早くこいつをとめろぉ!!」

 

再びオリヴィエが向かってくる。

だがもうオリヴィエの刃がキバエンペラーに届くことはない、そもそも当たってもノーダメージだからだ。

魔力の奔流を右手に集め、より強く、より強靭に練っていく。

そこに魔皇力もひとつまみ、その色は輝きを増し、エンペラーの色のように黄金に光る。

 

闘技場でシドがアウロラと戦ってるとき、やっぱり普通にシドはすごいと感じた。

それを全部己の夢のために費やしてるのだから、大したものだと。

あいつはまだ満足していない。

なら、こっちも満足するわけにはいかない。

思い出すのは少し前の、アルファの戦い。

ちょっとした現実逃避*1でその現場に赴いて、アルファと敵のボスの戦いを見ていたのだ。

 

彼女は、入り口に立った。

 

なればこそ、こっちも負けていられないから。

仮面の下で、ワタルは呟いていく。

 

「───エンペラー」

「な、なにをする気だ、オリヴィエ、止めろっ!」

「ワールドブレイク…!」

「やめろぉぉぉ!!」

 

 

 

「───アトミック!!」

 

 

 

右手の拳を地面に叩きつける。

金色の光が、世界を包んだ。

オリヴィエの群れは消え、ネルソンもこの世から蒸発し、ついでに聖剣を融解。

エンペラーワールドブレイクアトミック。

ネーミングダサいかな、と思いながらもこれまた生前してたゲームを参考に練り上げた、シドのアトミックのような超範囲攻撃。

反動をキバット、当てる当てないの選定をタツロットに任せ、シドのように繰り出すことを可能にした、キバなりのアトミック。

 

 

気がついたら暗闇の中にいた。

本当に真っ暗であり、目を凝らしても見えるのは暗闇だけ。

まるで感覚が曖昧になってしまうような空間の中、何かが浮かび上がってきた。

それは鎖に拘束された左腕。

アルファたちと記憶を巡っていた時に見たような、そんな左腕だった。

遠近が分かりづらく、近くにあるように見えるし、遠くにあるようにも見える。

しばらく見ていると、急に鎖が砕かれ、腕が自由になった。

その左腕はこっちの方へと手を伸ばす。

そんな左腕に向かって、キバエンペラーは拳を構えて───やがて世界は、光に包まれた。

 

 

いつの間にか早朝だった。

場所は森である。なんで森にいるのかは分からなかった。

近くにはシドもいた。彼は朝日が眩しくて目を細めていた。

 

「シド」

「ワタル。君もこっちにいたんだ」

 

変身が解けていたワタルはそのままシドからバッグを受け取る。

エンペラーアトミックによる弱点…それは一回放つとキバットとタツロットが疲弊してしまいしばらく変身できなくなる、ということだ。

再度変身するにはキバットやタツロットがぐっすり休んで体力を回復させないとキバにはなれない…そのためのイクサ、というわけだ。

グロッキーなキバットとタツロットはバッグの中に入り休みだす。

 

「…規格外な人たちね」

 

背後から二人に声をかける一人の女性。

そちらを向くとどこか朧げなアウロラの姿が。

 

「僕なんてまだまださ。その気になればシドのが強いよ。心臓の位置ずらせるしね」

「それやると疲れるんだよね」

「器用な心臓ね…」

 

そういって彼女はシドとワタルに触れようとした…が、その手が二人の身体に触れることなく通り過ぎる。

どうやらもう少しで消えてしまうみたいだ。

 

「消えるんだね」

「そうみたい」

 

そのまま三人は眩しい朝日を見つめる。

いつ、どんな時も、朝日というのは美しいものだ。

 

「…貴方を呼んだのは私。噓をついてごめんなさい」

 

アウロラはシドに向けてそう言ってくる。

 

「僕はなんであの場に行けたのかな」

「ワタル君は本当に分からないわ。聖域の防衛システムで本当に迷い込んじゃったのかもしれないわね。私にとっては幸運だったわ」

 

そう言って、またアウロラは微笑んだ。

彼女はまた儚げな顔をして

 

「…ずっと早く消えてしまいたいと思ってた。全部忘れたかった。けど、忘れたくない記憶ができたの。私が消えたとしても…忘れずにいたい。…大事な記憶をありがとう、二人とも」

 

そう言って、また彼女は笑みを浮かべる。

無理やり作ったかのような笑顔が、少しだけ哀しかった。

 

「僕たちも楽しかったよ」

「…僕は触れ合った時間は短いけどね」

 

アウロラはシドの方へと手を伸ばす。

彼女の手は頬に触れ、そのまま続ける。

言葉はワタルにも言っている風にも聞こえた。

 

「もし───あなたたちが本当の私を見つけたら───」

 

───私を殺して

 

そんな言葉を残して、アウロラは姿を消した。

今この場には、シドとワタルの二人だけが取り残された。

 

「私を殺して、か」

 

意味深にシドが呟く。

ワタルもまた、シドの隣で何となく青空を見るのだった。

 

 

「聖域は消滅しました」

「そうね。見れば分かるわ」

 

山頂からリンドブルムを見下ろす二人の影。

イプシロンとアルファだ。

アルファは問う。

 

「聖剣の回収は」

「蒸発しました」

「魔力の核のサンプルは」

「蒸発しました」

 

アルファは頭を振った。

 

「シンプルかつ、確実な解決策。スカーらしいわね」

「それを容易く成してしまうのが、スカー様なのです」

「なんで貴女が得意気なの」

 

得意気な顔をしてるイプシロンを尻目にアルファは

 

「彼らの歩く道は、我らの歩く道でもある。…ベータは?」

「王女たちを誘導してます。上手くいけば潜り込めるかと」

「聖域の調査は」

「現段階で可能な調査は終えました」

「聞かせて」

 

イプシロンから報告されていく情報を、アルファは瞳を閉じて聞いていた。

情報をある程度整理すると、アルファは瞳を開けて

 

「もういいわ、ありがとう。それと、例の件は?」

「仮説は正しかったようです。───災厄の魔女アウロラ…またの名を、〝魔人ディアボロス〟」

「───。そう。だから彼らは…。───次の舞台は、ミドガル王都よ。準備を怠らないように」

「シャドウ様やスカー様にご報告は」

「いつも通りスカーだけでいいわ。そんなことしなくてもシャドウは分かっているだろうけどね」

 

そんなことはないんだよなぁ、ともしワタルがここにいれば思ったであろう。

 

 

聖域から王女二人と小説家一名が脱出すると、そこは森の中だった。

見回して全員いるのを確認しつつ

 

「森…?」

「リンドブルムの森の中だと思います。遠くに街が見えますし」

 

ナツメが言った。

言われて見ると、確かに遠くに街があるのが見える。

木々の隙間から僅かに見えるだけなのに、よく気付いたものである。

 

「とりあえず、戻りましょうか?」

「そうですね」

 

ローズがそう言うとナツメが頷いた。

そうして歩く二人の姿を、アレクシアは呼び止まる。

 

「まって」

「? アレクシアさん?」

「どうかしましたか?」

 

立ち止まって振り向いた二人に対して、アレクシアは言った。

 

「…悔しくない?」

「それは、どういう…」

「意味がわからないです」

 

アレクシアはローズ、それからナツメの眼を交互に見ながら言葉を続ける。

 

「私たちは何もできなかった。力がないのは分かってるけど、それだけじゃない…。何が正しくて、何が間違っているのか、善悪の判断すらできなかった、ただの傍観者だった」

「アレクシアさん…」

 

ローズの声を聞き、さらに続ける。

 

「このまま何も知らないままでいたら、いつか大事な何かも失うかもしれない。そう思うのは私だけかしら」

「…実は、私も考えていることがあるんです、アレクシアさん」

 

アレクシアの言葉に同意するようにローズが言葉を発した。

彼女は真っ直ぐアレクシアを見つめて

 

「先日の学園襲撃事件から、私たちの知らない、大きな組織が裏で動いている。〝シャドウガーデン〟のことも、そしてそれと敵対している組織のことも、私たちは何も知らない…」

「お気持ちはわかります。それで、どうするのですか?」

 

ベータが眼鏡を上げ直し、問うた。

 

「私たちは弱く、そして何も知らない。でも、三人いればできることもあるはず。私がミドガルの王女だし、ローズ先輩だってオリアナの王女、あなたも作家としての人脈がある。だから、三人で情報を集めて、共有しない?」

「そう言うからには、その先も見据えている、と?」

「情報次第だけれど。三人で協力すれば戦えないこともないはずよ。仲間も増やしたりして」

「具体性の欠片もないですね」

 

ナツメに指摘され、アレクシアが睨む。

 

「だ、だから情報を集めて、それを精査して決めるのよ」

「それだけの知能があるといいのですが」

「何か言ったかしら?」

「いいえ何も」

 

ぼそりと呟いたナツメをまたアレクシアは睨んだ。

そんな睨みをナツメは微笑んで無事スルー。

 

「で。どうするの。組むの? 組まないの?」

「協力します。私はまずオリアナ王国の方で情報を探ってみます」

 

最初に手を差し出したのはローズだ。

 

「私も、作家としての人脈を使って調べてみます」

 

次に手を出したのはナツメだ。

彼女は先に出されたローズの手に自分の手を重ねた。

 

「決まりね。これで私たちは仲間よ、国や立場も違うし、腹の中で何考えてるのか分かんないのもいるけれど、私は仲間って信じてる」

 

───それはお互い様じゃありませんことぉー?

 

ナツメは口にしそうになったが気合と根性、そんでもってシャドウへの忠誠とスカーへの愛で堪えた。

 

「なんだかこういうのも良いですね。世界の真実を暴く三人の仲間…物語の始まり…そんな感じです」

 

ローズが微笑む。

 

「そうですね。例えるなら…勇者と賢者…そして脳筋担当が揃った感じですね」

「誰が脳筋よ」

 

アレクシアの睨みをナツメはこれまた華麗にスルー。

とはいえこれも立派な同盟関係の一つだ、世界の真実に近づけるかは分からないが、間違ってはないとアレクシアは思っていた。

とりあえずそのまま三人並んで歩きだす。

そんな三人を木々から漏れる朝日がゆったりと照らしていた。

 

 

ガンマの主な戦場はミツゴシ商会関係の表の仕事がほとんどである。

本音を言えばシャドウやスカーの隣でスタイリッシュに戦いたい、というのが本音ではあるが、彼女の戦闘能力が著しく()低い故に、仕方のないことではあるし、ガンマもそれを理解していた。

ガンマの現在位置はベガルタ帝国の辺境マドリー。

ここにミツゴシの新規店舗を開店する件で絶賛領主と交渉中である。

 

「この物件なんかいかがでしょう、ルーナさん」

 

ガンマを案内しているのは領主の長男、ルード。

そしてルーナというのはガンマの表の名前であり、ミツゴシ商会会長としての名前でもある。

そんなルードの話を、ガンマは「そうねぇ」と言いながらのらりくらりと答えを出さないでいた。

っていうか色々言っているルードの話をあまりガンマは聞いていない。

この土地で調べたいことは調べたし、見るべき物件も既に見た。

ただ彼女は待っているのだ、その時を。

 

「失礼します」

 

その時、部屋の中にミツゴシの服を着たニューが入ってきた。

彼女はガンマの近寄ると、彼女に耳打ちする。

 

「調査が終わりました」

「結果は?」

「可能です」

「例のものは」

「間違いありません、石油です」

「───そう」

 

ガンマはルードへその日初めての笑みを見せた。

 

「買いましょう」

「───え、あ、か、買っていただけるのですね───」

「この通りの物件、全て買いましょう」

「───は、は? い、今何と…」

「あなた方が条件を飲んでいただけるのならば、我々がこの土地を再開発し、ベガルタ帝国一の都市にすると言っているのです。ナール川の支流を拡張し、運河を建設する気はありますか───」

 

ぱたり、と部屋の扉を閉じ、ニューは外に出る。

そして扉の外で控えていた商会の子たちに指示を飛ばす。

 

「ナール川下流の目ぼしい物件を買い漁りなさい。───始まるわよ、不動産バブルが…」

 

 

「ではやはり…」

「はい、聖教そのものが怪しい、と言わざるを得ません」

 

場所はとある温泉施設。

出入口には本日貸し切りの張り紙がある。

会話をしているのは、アイリスとアレクシア。

彼女たちはタオル一枚を身に着けて、サウナで言葉を交わしていた。

 

「殺された大司教も、殺した男も、みんなディアボロス教団の手の物だった…」

 

言葉を言いながら、アレクシアは胸の部分を少々手直し。

余談だがその後ワタルも無事戻ってこれてたみたいで、ほっと胸を撫で下ろしたのが記憶に新しい。

 

「それ以上は分かりません。証拠は隠蔽され、奴らが聖域と呼んでいた場所へ、もう一度入る手立ても見つからない。あれだけの規模の施設…表の影響力もなければ、隠し通せるものではありません」

「そして、実際にそれだけの力と影響力を持つ組織は…」

「強引でもいい、調査すべきです、聖教を。王都での事件も併せて、原因究明を掲げれば、連中だって───!」

「同じことを私もお父様…陛下に相談しました。けれど、返答は動くな、の一点張り」

「そんな…!」

「事なかれ主義の陛下らしい。同盟国のオリアナ王国の王の来賓を控えて、聖教相手に余計な騒ぎを起こしたくはないのでしょう」

「余計だなんて…」

「陛下を動かすには、明確な証拠をそろえるか、あらゆる障害を突破せしめる力があると、示すしかありません。そういう意味では、〝ブシン祭〟の開催が今年であったのは幸いでしたね」

「〝ブシン祭〟…」

「〝ブシン祭連覇〟という肩書は、騎士団からさらに支援を引き出すのに完璧です。国際大会での優勝、という栄誉を国にもたらしたとなれば…国民からの支持も盤石となるはず」

 

そうなったら、王や王宮も、アイリスの意見に耳を貸さないといけなくなるはずだ。

 

「でも姉さま…もしまた〝シャドウガーデン〟やディアボロス教団が、何かを仕掛けてきたら…」

 

こういった大きな催しの裏では、常に奴らが動いていた。

今回のブシン祭でも、もしかしたらと邪推せざるを得ない。

 

「───心配は無用です、アレクシア。奴らがどれだけ強力なアーティファクトを手にしていようと、私は負けない」

「アイリス姉さま、シャドウやスカー…そして奴らの力は、アーティファクトだけのものでは…!」

「王都を染め上げた黄金の光を、あなたも見たでしょう? あれは人間が放てるものではない。学園の時と同様に、絶大な魔力が秘められたアーティファクトが原因としか考えられないわ。それに、私は見たのよ…連中がアーティファクトを暴走させている姿を…えぇ、見たのよ…」

 

無意識にアイリスは拳に力を入れていた。

血が滲むと言わんばかりに強く握られた拳を見て、アレクシアはただ彼女の名前を言うくらいしかできなかった。

 

「アイリス姉さま…」

「どのみち逃げるわけにもいきません。もし現れたのなら、倒すのみです。教団も、シャドウガーデンも」

 

結成して早々に主力を失った紅の騎士団も、再建の目途が立ってない。

それどころか、今まで支持してくれていた騎士団すら懐疑の目を向けられている。

強引に引き抜いた優秀な人材を無為に失ってしまったのだから、当然ではあるが。

だから、アイリスは勝つしかない。

そう、今までそうしてきたように───

 

 

雨が降りしきる中、ローズ・オリアナは一人剣を振っていた。

はたから見れば、無駄のない剣筋…美しい、というだろう。

だがローズは満足していなかった、こんなものではなかったはずだ。

あの時振るっていたシャドウやスカーの剣は、そして何より、幼い頃に見た、あの剣にまだ届いていない。

 

「───っ」

 

一息ついた時、胸に痛みが走った。

思わず胸を抑えつつ、服の中を見る───

 

「───あっ…!」

 

胸の谷間から見えたのは、〝悪魔憑き〟の痣だった───

 

*1
賭けにうっかり負けて告白する羽目になったので。当日作戦してたのを思い出し現地に向かって観戦していた。




ごめんね獅子髭のグレンさん
あなたこの作品だと「お任せください」ぐらいしかセリフなくて()

エンペラーワールドブレイクアトミック

お察しの通りバージルさんのヘルオンアースをベースに名前はダキバのキングスワールドエンドとアトミックを組み合わせたもの。
本当はアトミックつけるつもりはなかったんですが列伝のほうでアルファがアトミックをかましたものだから、じゃあこっちもやんないと()って感じで付けました
雑で申し訳ない()
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