つまらない世界の楽しい学園生活   作:inaclc

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モブの名前は大抵カタカナで済ませられると思ってる。

話に割り込みする女の子→ワリコ みたいな・・・


つまらない日常からの楽しい導入

「ねぇねぇ聞いた?今日すごい綺麗な人が制服着てたんだけど、誰もその人のこと知らないんだってー!」

 

「転校生なのかな? 転校生だったらこのクラス来ないかなー。顔がいい子って何人いてもいいよね」

 

「この面食い野郎が」

 

 

 今日の学校はいつもより騒がしい。クラスで名前の知らない生徒が何かをしゃべっている。

 

 

 

 ~キーンコーンカーンコーン~

 

 

 

 学校の鐘がなってもクラス内は騒がしかった。

 

 

「転校生ってどんな子が好みなのかな?まさか、俺のために来てくれたり・・・」

 

「おい中二病、さすがにそのノリで転校生に話しかけないよな?な?」

 

 

 ガラガラ・・・

 

 

 

 先生がクラス内に入ってくる。教壇に立つと、強く手を叩きながら声を張り上げる。

 

「はい皆さん、静かに! これから朝の朝の会をはじめます。姿勢、礼!」

 

 

「「「「「おねがいします」」」」」

 

「はい皆さん座ってください・・・はい、今日は転校生がいます!」

 

 

 ざわざわ・・・

 

 

「せんせー、この学園二次試験ないのにどうして6月に転校生が来るんですか~」

 

「シテキくん、転校生くんは推薦入学だから、特別にこの学園に遅れて入ることが出来たんです、はい」

 

「えー?推薦ってなんの推薦ですかー?」

 

「せんせー、転校生どこにいるんですか?」

 

 

 

 

 先生はもう一度手を叩き、クラス内の雰囲気をもう一度鎮める。

 

 

「はい、はい、このまま質問を受け付けるわけにもいかないので・・・はい、じゃあ、転校生くん、こっちへどうぞ」

 

 

 

 

 ガラガラ・・・

 

 

 

「美人さんだ・・・」

 

 

 戸を開けて入ってきたのは美麗な女性だった。同じ高校生とは思えないほど整った顔で背が高い。青い目は全てを見通しているかのように透き通っている。その女性は教壇の前の方に立ち、クラスメイトの方を向く。

 

 

「はじめまして、見胡桃中学校から来ました。形代(かたしろ)由未(ゆみ)といいます。趣味は散歩です。よろしくお願いします」

 

 

 パチパチパチ!!

 

 

 無駄口を叩くような人はいなかった。ただただ、ほとんどのクラスメイトは形代の浮世離れした美しさに惚れ惚れとしていたのだった。

 

 

 ・・・

 

 

 朝の会が終わり、先生が教室から出ると、クラスメイトは転校生の机に集まりだす。

 

 

「ねぇねぇ形代(かたしろ)さん、どうしてこっちの学園来ようと思ったの?いい学校だったら近くの白百合学園行ったらよかったのに」

 

「純粋にここの校風の方が好きだったからさ。『友と共に、道を究めろ』でしょ?私と同じような選択をした人もいるだろうし、もともと興味があったからだよ」

 

「へぇ~そうなんだ!形代さんすごいね!」

 

 

 

「ねぇねぇ、肌とかどうやってケアしてるの?なんか、すごい肌してるけど」

 

「私、実は母が美容師でね。お母さんに教えてもらったままやってるんだ」

 

「え~いいなぁ、私も美容師のお母さんだったらよかったのに~」

 

「私でよかったら教えようか?ちょっとしたことでガラリと肌質が変わるんだ」

 

「え~いいのぉ?ありがとぉ~形代(かたしろ)さん」

 

 

「ちょっと、ワリコちゃんだけずるい、私にも教えてよ」

 

「もちろんいいよ」

 

 

「私にもおしえて~!」

 

「私も教えてほしいな~」

 

「いいよ」

 

 

「やった~!」

 

 

「「「きゃっきゃ、うふふ」」」

 

 

 そんな転校生を囲っている女子高生たちより後ろ、教室の窓際でとある男子高校生は窓の外の景色を見ていた。

 

 

「なぁなぁ満海(みつみ)形代(かたしろ)さんってさ、何が好きなんだと思う?」

 

「知らん。散歩って言ってなかったか?」

 

「おぅおぅ、他人に興味ない満海(みつみ)が珍しいな・・まさか、形代(かたしろ)さんに気があるのか!?」

 

「やかましいわ。そんなわけないだろーが・・・。」

 

「窓の外なんか物憂げに見つめちゃって・・・やっぱり形代(かたしろ)さんのこと好きなのか?」

 

「さすがにくどいぞユウジーン。今は喋る気分じゃねえの。」

 

「ああ、悪い悪い、わかったわかった、それじゃまたな満海(みつみ)!」

 

「ああ・・・。」

 

 

 授業か・・・授・・業・・・ZZZ

 

 

 ・・・

 

 

 学校の授業がすべて終わり、自由な時間がやってくる。

 

 

「姿勢、礼。」

 

「「「さようなら」」」

 

「はい、さようなら」

 

 

 満海(みつみ)はさっさと帰る準備を終わらせ、下校しはじめる。

 

 

「・・・あ~、今日も疲れた。帰るか」

 

 

 満海(みつみ)は道中に行き交う車の影を目で追いながら、ぼんやりと考え事をしていた。

 

 何の変哲もない高校生活、ここら辺の高校はどこも偏差値が高く、安定した将来が約束されている。満海(みつみ)自身もそのために入学したはずだが、どこか物足りなさを感じていた。

 

 ふと、今日、日常をほんの少し壊した転校生を思い出す。『趣味は散歩です』だったか・・・。

 

 

「・・・ちょっと道草してから帰ろうかな」

 

 

 満海(みつみ)は帰路からほんの少し別の道を進み始める。一番近くの山の麓まで来ると一気に建物が減る。山と言っても標高150mもないような丘のような場所であるが、()()()()()で昔から開拓が進んでいないのだ。

 

 そんな山の麓にあるような公園は手入れもまともにされていない。山道を少し広げたような、草が生い茂る公園だが、石造りのベンチが置いてあった。

 

 丁度良いと言わんばかりに満海(みつみ)は近づき、そこに座る。そうして顔を上げると、目の前に生えている木には()()()()()()()()()()()()()()がぶらんぶらんと吊り下げられていた。

 

 

「・・・何だこれ?」

 

 

 満海(みつみ)がそれを訝し気に見ていると、背の高い草むらに隠されているような小さな道から誰かが出で来る。

 

 

「あら、同じクラスの・・」

 

 

 そこにいたのは転校生だった。お嬢様のような性格をしている割には結構ひどい道を選んで歩いていたようだ。

 

 

満海(みつみ)です。形代(かたしろ)さん、こんにちは。」

 

「こんにちは、満海(みつみ)さん。・・・こんなところでどうしたんですか?」

 

「道草ですよ。たまには行ったことのない道から帰ろうかと思いまして。形代(かたしろ)さんは?」

 

「私の家はこの山のむこうにあるんです。いつもより遅くなっちゃったから、近道しようと思いまして」

 

「ああ、そうなんですか」

 

「ええ。」

 

「まぁ、気を付けてくださいね。たしかここのトンネル、曰くつきの場所なんで」

 

 

 形代(かたしろ)は眼を瞬いて満海(みつみ)を見た。

 

 

「・・・曰くつき、ですか?」

 

「ああ、はい。実際に行ったことはないんですが、暗いトンネルで、立入禁止と書かれたピクトグラムの標識があるとか。それで『トンネルに入ると奈落の世界に引きずり込まれる』という噂を聞いたことがあります」

 

「へぇ、そうなんですか。教えてくれてありがとうございます」

 

「噂話といえば、ついさっきも変なものを目にしましたね。木につり下がった赤いてるてる坊主」

 

 

 今までのお嬢様のような雰囲気がピキピキと音を立てたように固まる。

 

 

「・・・はい?」

 

「あそこの木にぶら下がってたんですよ。確かあれも近所だと『異世界に引きずり込む悪霊』って噂があったと・・・」

 

「なんでそれを先に言わないんですか満海(みつみ)さん!」

 

「え?いや・・・」

 

 

 てるてる坊主から赤い光が放たれ、周囲が赤く染まっていく。地面がゆらゆら揺れ、ブラウン管のような低い音が鳴り続けている。

 

 

「ああ、また、まただ・・・いや、いやだ。あの人にも伝えたのに、なんで・・・?」

 

 

 お嬢様のようだった雰囲気は完全に壊れ、形代(かたしろ)は頭を抱えてうずくまる。

 

 

「ちょっと形代(かたしろ)さん落ち着いて。なんなんですかここは? 形代(かたしろ)さんは何か知ってるんですか?」

 

「いや、いや、いや! あれで終わったはずなのに、なんでまた来るんだ・・・!」

 

 

 その姿は普通であるように見えない。さながら、SAN値ピンチで発狂したかのような取り乱し方である。

 

 

形代(かたしろ)さん?形代(かたしろ)さんってば」

 

 満海(みつみ)が様子のおかしい形代(かたしろ)を正気に戻そうと肩を揺さぶろうとしたとき、形代(かたしろ)はその手を弾く。

 

 

「あのくそ怪異どもめ、()にまた叩きのめされに来たのか…クククッ!」

 

 

 形代(かたしろ)は顔を上げるが、その顔は恐怖でひきつっているような顔ではなかった。

 

 

「え?形代(かたしろ)さん?」

 

 

 形代(かたしろ)さんが指を鳴らすと、黒い槍が空中に何本も現れる。

 

 

「黙って俺にぶち殺されろ! くそ怪異!」

 

 

 そういうと、黒い槍は意思を持っているかのように赤いてるてる坊主に突き刺さっていく。

 

 その顔はまるで、新しい玩具を手に入れた悪役のような、獰猛な顔つきだった。

 

 

形代(かたしろ)さん!?」

 

「安心しな、満海(みつみ)。俺にかかれば大抵の怪異は秒殺される。」

 

 

 最後の黒い槍が刺さり、勢いのまま赤いてるてる坊主はひっくり返る。

 

 

「見ての通りだ。お前が死ぬようなことはたぶんないと思うぜ。」

 

「断定してほしかったなぁ・・・ここでそれ言うのは不穏すぎんだろ・・・」

 

 

 逆さになったてるてる坊主がもう一度赤い光を放つ。

 

 

「なんだぁ?殴りがいのある野郎だなぁ・・ま、もっかい魔弾ぶち込めばいいだけだが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

形代(かたしろ)さん!」

 

 満海(みつみ)はいきなり形代(かたしろ)さんを引き倒し、その上に覆いかぶさる。

 

「あ?気でも狂った・・か・・・!?」

 

 

 空から赤い待針(まちばり)が降り注いできた。何本もの待針が満海(みつみ)の体を貫き、満海(みつみ)は横に倒れる。

 

 

「おい!?・・・くそっ!」

 

 

 形代(かたしろ)さんが手を握って片腕を振る。すると先ほどの黒い槍より一段と大きい黒い球が現れ、それがてるてる坊主と激突した。てるてる坊主が粉々に砕け、赤い世界は元の色を取り戻していく。

 

 

「大丈夫か満海(みつみ)!?・・・傷、は?」

 

「・・・やっぱ死にかけた。なんてことをしてくれたんだ・・」

 

 

 満海(みつみ)は立ち上がる。服に血の跡はあれど、既に血は出ていない。

 

 形代(かたしろ)は目を大きく見開いた。

 

 

「大丈夫。生きてるし、死んでない。」

 

「・・・。」

 

 形代(かたしろ)は俯く。

 

「えーと、そういう力なんですよ。自己修復に特化しているというかなんというか・・・」

 

「お前の・・・」

 

「え?」

 

「お前のせいかこんにゃろー!」

 

 

 バコン!

 

 

「頭割れっ、(いった)ぁ!」

 

「くそが!もう戦わないつもりだったのに!お前が怪異呼んだってことじゃねーか!」

 

「ノリノリで赤いやつを串刺しにしてた人のセリフとは思えない・・・」

 

「だまれ!」

 

 

 形代(かたしろ)さんは憤慨しながら公園を出ようとするそぶりを見せたが、一歩、立ち止まった。

 

 

「俺をまた怪異に遇わせやがったことは許さないが・・・ありがとな。助けてくれて」

 

 

 満海(みつみ)はクスリと笑った。

 

 

「どーいたしまして」

 

 

 形代(かたしろ)は去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・俺、なんで殴られたの?」

 




没案:

 学校の授業がすべて終わり、自由な時間がやってくる。


「姿勢、礼。」

「「「さようなら」」」

「はい、さようなら」


 満海(みつみ)は既に準備を済ませていたバッグを担ぎ、走って教室から出ていく。その真後ろをユウジーンがおさえて走っていた。

 満海(みつみ)が階段の踊り場に足を付けた時、ユウジーンは既に後ろからいなくなっていた。

 階段の手すりから飛び降り、一階分まるまる下の方まで降りて着地する。


「おっと満海(みつみ)、先行かせてもらうぜ」

「先生に見られなくてよかったなユウジーン。大幅タイムロスが無くて」

「まったくだ」


 ユウジーンが次の階段で同じことをした時、その真下には学園最恐の生徒、グレルがいた。


「あ」

「あ」

「あ?」


 グレルのリーゼントがひしゃげ、ユウジーンは顔に着地する。


「に、逃げるが勝ち!」

「てめぇふざけやがって死ねぇ!!!!!!!!!」




満海(みつみ)とユウジーンが帰宅部(帰宅タイムアタック勢)

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