コードギアス 教導のルルーシュ‐Archive Stories‐ 作:ライト鯖
Archive-037 廃部の事実と廃墟の噂
『先生!』
アロナからの呼びかけに、ルルーシュは報告書の山、─物理的に堆積しているわけではないが、シャーレ以外の業務用端末が弾き出すGB数から分かる。─から顔を上げ、シッテムの箱に目を向けた。
『ミレニアムサイエンススクールから要請が届きました』
「ミレニアム?セミナーか?それとも部活?」
『えーと…ゲーム開発部?みたいです。読んでみますね』
「ああ。頼む」
コホン、とアロナは届いた要請文を開き、読み上げる。
『ゲーム開発部は今、存続の危機に陥っています。生徒会からの廃部命令により、破滅が目前に迫っている今、助けを求められる相手は貴方だけです。
勇者よ、どうか私達を助けてください!』
『…なるほど。凄く面白いと言いますか…かなり切羽詰まっているということはひしひしと伝わってきますね』
「そ、そうだな」
ルルーシュは、また変わった奴等っぽいな。と半ば、次に起こるだろう珍事を受容する心の準備を整えていた。
「まあ、ミレニアムには別件で近々向かう予定があった。少し早めて行くとしようか」
──数日後。
ミレニアムサイエンススクール
ミレニアムに訪れる数日前に、ルルーシュはその旨をユウカへと伝えていた。
その為、ユウカに挨拶を、とセミナーの部室へ顔を出す。
「失礼。早瀬ユウカはいるか?」
「はい。……あ。もしかして、シャーレの先生でしょうか?」
応対したのは、真っ白な髪に真っ白な服。白に包まれ、ヘッドフォンのようなガジェットを装着している少女であった。
「ああ。君は始めましてだな。シャーレのルルーシュだ。よろしく頼む」
「はい。よろしくお願い致します。セミナーの書記、生塩ノアです。ユウカちゃんですよね。聞いています。直ぐに呼んできますね」
ノアはそう言い残し、部屋の奥へと消えていく。
それから直ぐに小走りでユウカがやって来た。
「忙しい所すまないな」
「いえ!大丈夫です。…ですが、そう言えば用件を伺ってなかったですよね。今日ミレニアムへ来られたのはどいったご要件なんですか?」
そう言えば生徒会によって廃部にされそう、と書いていたな、と思い出したルルーシュは、若干の誤魔化しを入れることにする。
「ちょっとした用事と、見学だよ。幾つか気になっている部活があってね」
「そうなんですね。良ければ案内しましょうか?」
「いや、大丈夫だ。少々時間がかかりそうだからな」
「そうですか…。何かお困りのことがあればいつでもいらしてくださいね」
「ありがとう。…ノアもありがとう。助かったよ」
ユウカの後ろでニコニコと様子を眺めていたノアにも礼を伝える。
「いえ、お気になさらず。私はユウカちゃんを呼んできただけですから」
「…ところで」とルルーシュは反応を確かめるついでにと尋ねる。
「ゲーム開発部というのはどこにあるんだ?」
ゲーム開発部、という単語を聞いた途端、ユウカの眉が僅かに上がる。
「ゲーム開発部、ですか」
「ああ。ゲームが好きなものでね」
「へえ。意外ですね。…でも、それなら期待外れになると思いますよ」
「期待外れ?」
はい、とユウカは頷き、何かを言おうとしたところでピタリと止まる。
そうしてから、はあ、と息を吐く。
「まあ…実際に見てもらった方が理解は早いかもしれません。
案内図をお渡ししますね」
ユウカは何とも言えない表情でルルーシュに案内図を手渡した。
「ありがとう。まあ、一先ず行ってみるとするよ」
案内図の通りにゲーム開発部の部室へとやって来たルルーシュが扉を叩くも、暫く返答がない。
もう一度ノックをするが、中々反応はなく、仕方がない、と人の気配はしている事に気付いてはいたので、ドアノブを押し、扉を開けるのだった。
「失礼する」
カチャカチャと一心不乱に二人の少女がテレビに向かい、コントローラーを操作している後ろからルルーシュが声をかけると、少しの間があってから二人が振り返った。
「?…わっ!誰?!」
「あ、ごめんなさい。気付かなくて…」
金髪の少女達。
一人はピンク、一人は緑の目立つ服で判別は出来るが、二人はよく似ていた。
「ゲーム開発部はここであっているのかな?」
「そうだよ!貴方は…ってもしかしなくても、シャーレの先生?」
「ああ。そうだ。君らの…」
「本当に?!じゃあ私達が送った手紙読んでくれたんだ!もし読んでくれてたとしても本当に来てくれるなんて思ってなかった!」
ピンク服の少女は元気に騒がしくまくし立てる。
「ああ、読んだよ。だから来たんだ」
「おお!噂通りなんだね!生徒の悩みを何でも解決してくれるって」
まあ、とルルーシュは小さく苦笑する。
「何でも、というのは語弊があるが…。
まあ、出来る限り力にはなろう」
「やった!…じゃあ改めて…」
二人は顔を見合わせ、頷き合ってから、歓迎の笑顔で言う。
「ゲーム開発部へようこそ、先生!」
「先生に来ていただいて、嬉しいです」
ピンク服の少女が一歩前へ出る。
「私はシナリオライターのモモイ!」
続いて緑服の少女も名乗る。
「私はミドリ。イラストレーターで、ゲームのビジュアル全般を担当してます」
あと、とモモイが付け加える。
「今はここにいないけど企画周りを担当してる私たちの部長ユズを含めて、私たちがミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部だよ!」
「そうか。私も改めて、シャーレのルルーシュ・ランペルージだ。よろしく」
「よろしくお願いします」
ミドリが会釈し、モモイもよろしくー!と元気よく言う。
そうしてからモモイはよしっ!と続けた。
「じゃあ先生も来たことだし、"廃墟"に行くとしよっか!」
「廃墟…?何のことだ。…いやまず詳しい状況の説明をしてくれないか?手紙だけではどうにも掴みきれなくてな」
「あ、じゃあ最初から順に説明するね」
モモイはそれもそうかと頷き、えっとね…と説明を始めた。
「まず私たちゲーム開発部はずっと16ビットのゲームとかを作ってたんだけど。
ある日、急に生徒会から襲撃されたの!
一昨日には生徒会四天王の一人、ユウカから最後通牒を突きつけられて…」
ふむ、とルルーシュはモモイの説明を鵜呑みにはせず、考える。
ユウカがそういった横暴な人間には見えないし、何か行き違いか、或いは彼女の反応からして…。
「最後通牒ってのは?」
「それに関しては私から直接ご説明しましょうか?」
口に出したルルーシュの疑問に対する反応は、モモイよりも早く、ルルーシュの背後から聞こえてきた。
「こ、この声は…!」
モモイとミドリがビクリとすくみ上がっているのを見、ルルーシュは背後からの声色とも合わせて、薄々察しつつあった。
「ユウカか。付いてきたのか?」
「別に尾行したわけじゃありませんよ!
でも、このやっぱりちゃんと説明しておいたほうが良いかな、と思ったので別件ついでに来たんです」
「出たな!生徒会四天王の一人!"冷酷な算術使い"の異名を持つ、生徒会の会計、ユウカ!」
モモイの言い様に、ユウカは眉を釣り上げる。
「勝手に変な異名を付けて、人をモンスターか何かみたいに呼ばないでくれる?失礼ね」
まあそれよりも、とユウカはルルーシュに目を合わせた。
「先生。今ので分かったと思いますけど、この子達の話、鵜呑みにしすぎないでくださいね」
「ちょっ!酷くない!?」
「人をモンスター呼ばわりするあなた達に言われたくはないわ。それよりも、モモイ」
はあ、とユウカはため息をつく。
「本当に諦めが悪いわね。廃部を食い止めるためにわざわざシャーレまで巻き込むなんて。
けど、そんなことをしても無意味よ」
ユウカはモモイを見据え、断言する。
「例え、連邦生徒会のシャーレだとしても…いえ、あの連邦生徒会長が戻ってきたとしても!
部活の運営については概ね各学校の生徒会に委ねられているんだから。
ゲーム開発部の廃部はもう決まったことなの。
もう覆せないこと」
「そ、そんなことない!」
モモイは即座に反駁する。
「言ってたでしょ!部員が規定人数に達するか、ミレニアムの部活として見合う成果を出せれば…」
「それが出来れば良し。もし出来なかったら廃部、部費は勿論、部室も没収する。
私、そこまでちゃんと言ったわよね?
あなた達は部員数も足りない上に、部活としての成果を証明出来るようなものもないまま、もう何ヶ月も経っているんだから」
「廃部になっても、何も異議はないはずだけど?」
ユウカの冷たい声色に圧っされることなく、モモイは「異議あり!」となおも食って掛かった。
「私たちだって全力で部活動をしてる!」
「………」
「だからあの……なんだっけ。上場閣僚?とかそういうのがあっても良いはず!」
「それを言うなら情状酌量でしょう。それより、今なんて言ったかしら?全力で部活動してる?」
笑わせないで!とユウカの激昂に、モモイは縮み上がる。
「校内に変な建物を建てたと思ったらまるでカジノみたいに装飾してギャンブル大会を始めるし、レトロゲームを探すと言いながら古代史研究会を襲撃するし…」
ルルーシュはすっかり蚊帳の外であったが、既に想像していた通り。
いや想像の斜め上ではあるが、の問題児っぷりを聞き、彼女らの依頼を受けるべきかどうか揺らいでいた。
「おかしいでしょう?!"全力"かもしれないけど、部活動としては間違ってるわよ!
それに、これだけ各所に迷惑かけておいて、よく毎度のように部費なんか請求出来るわね?!
真っ当な言い訳くらいしてみたらどうなの!」
「と、時には結果よりも心意気を評価してあげるべきで…」
「負け犬の言い訳なんて聞きたくない」
「聞きたいのか聞きたくないのかどっちなのさ!」
何度目か分からないため息を吐きながら、ユウカは腕を組み、気勢だけは削がれきってはいないモモイを見下ろす。
「無意味な言い訳なんて聞きたくないってことよ。
ミレニアムでは"結果"が全て」
「け、結果だってあるもん!私たちもゲーム開発してるんだから!」
「そ、そうですよ!"テイルズ・サガ・クロニクル"はちゃんと"あのコンテスト"で受賞、も…」
ミドリも加勢するが、何処か自信なさげであった。
「そうね。確かに受賞してたわ」
「なんだ。ちゃんと開発もしているんだな」
ゲーム開発部とは?と思わずにはいられなかった情報ばかりであったので、思わずそう口に出すルルーシュ。
しかし、ユウカの反応も微妙なものだった。
「その反応を見るに、先生はご存知ないんですね。
テイルズ・サガ・クロニクル。このゲーム開発部における唯一の成果と言えるもの」
最早、怒りというより、諦念に近しい雰囲気でユウカは説明する。
「ゲームそのものもさることながら、レビューも大変印象的でした」
"私がやって来たゲーム史上、ダントツで絶望的なRPG。いや、シナリオの内容がとかじゃなくて、ゲームとしての完成度が"
"このゲームに何が足りないか数えだしたらキリがないけど…まあ、一番足りてないのは正気だろうね"
"このゲームをプレイした後だと今までクソゲーと思ってきたのは大概名作の部類なんじゃ、ってなってくるわ"
ユウカが諳んじるレビューの数々。
恐らくこれに近しいやり取りは一度や二度に収まっていないのだろう。
ルルーシュは唯一の成果物というゲームの散々な言われように、嫌な予感を増幅させていた。
「わ、私たちはインターネットの悪意なんかに屈しない…!」
「例えユーザー数が無限にいたとしても、沢山の評価が収束すれば、それは真実に一番近い結果よ」
それに、とユウカは事実を突き付ける。
「あなた達の持っている"結果"はその"今年のクソゲーランキング1位"だけでしょう?」
「そ、それはそうだけどっ…!」
「1位…。逆に気になってくるな。それはもう」
「うう…」
「やめておいたほうが良いと想いますよ」
そんなにか…。とはさすがに追い打ちはせず、呑み込むルルーシュ。
「…とにかく、あなた達のような部活がこのまま活動していてもかえって学校の名誉に傷を付けるだけよ」
「それに、その分の部費を他に回せば、きちんと意義のある活動をしている生徒たちの為にもなる。
だから、もし自分達の活動に意義があると主張したいなら、証明してみせなさい」
「証明、って…?」
「何度も言ったでしょ。きちんとした功績や成果を証明すれば、廃部は撤回するって」
「何かの大会で受賞するとか?」
「そうね。スポーツならインターハイに出るとか、エンジニア部なら発明品を公表するとかそういう類のものよ」
ゲーム開発部ならそういう大会とかも色々ありそうだけど、と言いつつも、ユウカはまたもやため息を吐く。
「とはいえ、出せば何とかなるとも思えないわね。あなた達の能力はあのクソゲーランキングが証明済み」
「うっ…!」
「どうせなら、お互い楽な形で済ませましょう?今すぐ部室を空けて、この辺のガラクタも捨てて」
「ガラクタとか言わないで…!」
「じゃあ何なの?」
突き放された声色に、モモイは「ううっ」と怯む。
しかし、突如、決心したように、目を上げた。
「分かった。全部、結果で示す」
「へえ…?」
「その為の準備だってもう出来てるんだから!」
「え?」
「そうなの?!」
ユウカのみならず、ミドリも驚いた表情でモモイを見た。
これは、虚勢だな。多分。
ルルーシュはミドリの反応からそう推測する。
「何でミドリが驚くのさ?!
と、とにかく私たちには切り札がある!
その切り札を使って今回の"ミレニアムプライス"に私たちのゲーム…"TSC2"!テイルズ・サガ・クロニクル2を出すんだから!」
ミレニアムプライス。ミレニアムサイエンススクールの部活動が成果物を出し合い競い合うコンテスト。
確かに、結果としては申し分ないだろうが…。
「確かに結果としては充分ね。もし、受賞出来れば、の話だけど」
けどね、とユウカは諭すような調子になっていた。
「今あなたが言ってるのは、運動部がインターハイに出るとかそういうレベルじゃなくて、高校球児がいきなりメジャーリーグに出る、みたいな雲を掴むような話よ」
「まあ、良いわ。そこまでは待ちましょう。
そこまで言われると、少し楽しみになってきたし」
ユウカはそう言って矛を完全に収めた。
「今日からミレニアムプライスまで2週間。
…この短い期間でどんな結果が出来るか楽しみにしているわ」
言い終わり、踵を返そうとしたところでユウカはルルーシュがずっといた事をようやくしっかりと認識し直し、若干気まずそうに息をついた。
「先生の前で可愛くない所を見せちゃいましたね。
ただ、これも生徒会の仕事なので」
「そうだろうな。苦労していると見える」
「まあ、そうですね…」
チラリとモモイ達を見てから、彼女はルルーシュへ目を向け直す。
「次はもっと落ち着いた状況でお会いしましょう。また、色々お話したいですし」
「ああ。そうだな。楽しみにするとしよう」
それでは、とユウカは部室を後にするのだった。
閉ざされた部室の扉を見据えるモモイに、ミドリが「お姉ちゃん」と呼びかける。
「どっちも確率は低いだろうけど…今から私たちがゲームを作るより、部員を募集する方がまだ良いんじゃない?」
「それならこの一ヶ月、散々やってみたでしょ…。結局、誰も入ってくれなかったし。
"ぷーっ。VRですら古いのに、何がレトロ風ゲーだよ"ってバカにされるのはもううんざり」
むう、と不満げにモモイは口を歪める。
「ユウカの卑怯者め!私たちみたいなオタクは友達が少ないってことを利用するなんて!許せない!」
「いやそれはユウカじゃなくて100%私たちの自業自得だと思うけど…」
「とにかく!これ以上部員の募集をしても明るい未来は見えない!」
それに、とモモイは続ける。
「まだ希望はある!」
「さっき言ってた切り札というやつか」
一先ずもう少し話を聞いてから判断しようとしていたルーシュのコメントに、モモイは明るく「先生のことだよ!」と臆面もなく応える。
ルルーシュは、ふう、とそれに対して小さく息を吐くと、くるりと踵を返した。
「あれ?!何処行くの?!」
「……応援しているよ。二人とも」
「帰る気?!」
「…まあ、何というか。ツケは払うべきだろう」
「冷たい!!待ってよお…!」
ドアノブに手を伸ばすルルーシュに縋り付くモモイ。
「そうは言っても、シャーレの出る幕ではないだろう。君達自身の自業自得じゃないか…?」
「そうかもだけど、先生まで頼れなくなったらどうしょうもないんだよお!」
「先生。とりあえずもう少しだけ聞いてもらえませんか…?」
他力本願。他者に頼るばかりで自らを省みない人間はルルーシュの好く所ではないが、ミドリにも請われ、さすがに見放すことに罪悪感が出てきたルルーシュは仕方がない、ともう一度モモイへと目を向けた。
「それで?何故私が切り札なんだ」
「私たちの目的は"廃墟"にあるの。
廃墟っていうのは…」
「連邦生徒会が立ち入りを制限していた謎の区域、か」
「知ってるの?!」
「キヴォトスの地図に不自然な空白が幾つかあったから調べたんだよ。その内の一つがミレニアム近郊の廃墟。
"危険な領域だから"ということで立ち入り禁止だったらしいな」
「そう。でも実際のところ、具体的に何がどう危険なのか誰も知らない」
「まあ証言もほぼないからな。何でまたその廃墟に行こうと?」
「良いゲームが作りたいから!」
ほう?とルルーシュは少しだけ興味を惹かれる。
「私は、証明したいの。
例え、今の私たちのレベルはクソゲーランキング1位に過ぎないのだとしても…。
私が大好きな、私を幸せにしてくれたこのゲーム達が、決してガラクタなんかじゃない、大事な宝物だってことを!」
「…お姉ちゃん」
「その為にはどうにか廃墟に入って、あれを見つけないと」
完全な他力本願というわけではなさそうだ。
「あれ?」
「あ、順番が良くなかったかも。この話をしないとね。
先生はG.Bibleって知ってる?」
「G.Bible?」
「あ、さすがに知らなかった」
ルルーシュはモモイの反応に苦笑する。
「そりゃ何でもは知らないよ。それで、そのG.Bibleってのは?」
「それには最高のゲームを作る方法が入ってるんだって!昔のキヴォトスの伝説的なゲームクリエイターが作ったらしいんだけどね」
「…そんな噂に縋るよりはおとなしくゲーム開発した方が有意義じゃないか?」
いやいや!とモモイは首を横に振る。
「クソゲーの王者が2週間で神ゲー作れると思う?」
「…なるほど。一理ある」
「一瞬で納得されるのも何かあれだけど、分かってくれたみたいで良かったよ」
「……分かった。協力しよう。今回の急場を凌ぐ為だけ、ということならばな」
「どういうことですか?」
簡単だ、とルルーシュは微笑する。
「次からはちゃんとG.Bibleがあろうとなかろうと、自力で開発すると約束出来るなら、だ。
この先も他人の力や成果物に依存し続けるようであれば、それまでだ。
残念だが、そんな部活ならユウカの言う通り、廃部にしてしまったほうが良い」
「うっ…。分かった!ちゃんと自力で開発する!」
「約束します…」
「ならば、行くとしようか。"廃墟"に。」
G.Bibleというのが、本当に実在しているなら、面白い。
"最高のゲーム"の作り方、か。
それはつまり、万人受けするゲームということ。
もし、そんな幻想を成立させる何かがあるのならば──調べてみる価値はある。
実在するならば、神秘が関わっている可能性が高い。
まさか生徒を捕縛して調べるわけには行かないが、遺物ならば、好きなだけ調べられる。
それに、廃墟という未知の領域。
これの探索だけでも、お釣りは来そうだ。
G.Bibleがハズレでも、収穫は大きいだろう。
ルルーシュはまだ完全にはゲーム開発部に付き合うことに気乗りはしていなかった。
しかし、心中で損得勘定を行い、廃墟へ行くメリットの大きい事を悟ると、それをおくびにも出さず、パッと顔を明るくさせたモモイ達へ笑いかけるのだった。
──かくてし一行は、ミレニアム近郊の廃墟へと足を踏み入れることとなる。
今回も読んで頂きありがとうございます。
更新予定は相変わらず未定ですが次回もよろしくお願い致します。