コードギアス 教導のルルーシュ‐Archive Stories‐   作:ライト鯖

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Archive-042 "冷酷な"算術使い

 

 

「さて、もう廃部の危機は免れたし、先生も今日は来ないし、安心してゲーム三昧出来るね!」

 

部室へ戻ったモモイはだらりと力を抜き、ゲーム機の前に座った。

 

「じゃあアリス、今日はレイドに行こう!準備出来てる?」

「攻略法は把握しました。レイド専用装備も獲得済。【初心者歓迎/"燃える森遠征"/4人/ヒーラー、遠距離アタッカー募集】で告知。

…あっ、"Perorochan32"さんが合流しました」

 

既に万事解決とばかりに気を緩めているモモイに、ミドリが不安げにツッコミを入れる。

 

「まだ気を緩めるには早くない?!」

「そう?」

「ユウカにはもう言ったの?部員が4人になったから部の資格要件を備えたって」

「もっちろん。それで明日の朝にアリスの資格審査に来るって…あっ、アリス!それブレス攻撃の予備動作、危ない!」

 

ゲームの方に注意の大半を向けながらモモイは楽天的にミドリの懸念に応える。

 

「危機を察知!バリアの魔法を展開します!」

「今は現実の方が危険だよ!資格審査って何?!そんなの初めて聞いたんだけど?!」

 

ミドリは不穏なワードに反応し、不安に顔を染めた。

 

「その資格審査に私たちの部の存続がかかってるのに…のんきにレイドバトルしてる場合じゃないでしょ?!」

「心配しすぎだって。アリスの準備はもう完璧なんだし」

 

コントローラをカチャカチャと素早く操作しながらモモイが楽観的に笑うので、ミドリは姉が備えていたことが意外だったのだろう、面食らった様子で「え、そうなの?」と訝しげに尋ねた。

 

「アリス、自己紹介を!」

 

モモイに促されたアリスは、自信たっぷりに頷き、口を開く。

 

「私の名前はアリス・ザ・ブルーアイ、ドワーフ族の戦士。使用武器はガンランス"火竜の牙"出身地は─」

「いや、ゲーム内アバターのプロフィールじゃなくて、アリス自身の!」

 

───。

 

「はあ」

 

シャーレにて溜まった業務を片付けていたルルーシュは、思わずため息を漏らしていた。

 

「何か悩まれているんですか?先生」

 

今日は、再びユウカがシャーレの業務を手伝いに来てくれており、彼女が悪いわけではなく、むしろその能力は大いにルルーシュにとっても助かっているが、しかし、どうしても現況では彼女からゲーム開発部の面子を想起せずにはいられない。

 

そして、ゲーム開発部の事を思い出すと、どうしても漏れ出てしまうのだった。

 

「………いや。大したことじゃない、が」

 

全く。俺がいかないと分かったらゲームか…。

廃部の危機がなくなったとなった途端にこれか。

 

先日、シャーレへと帰る直前、モモイがコソコソとアリスとプレイするのだろうゲームの準備をしていた様子と、アリスに仮の連絡用として貸した端末から業務報告のように送られてくるゲームのプレイ記録が大体マルチプレイが必要だったり可能なものばかりであることから、殆ど確信していた。

 

これではミレニアムプライスなど…。

いや、そもそも彼女らは廃部にさえならなければ良いのか。

 

まあそれならばもう好きにさせるべきかもな、と今度はユウカに気を遣わせないように噛み殺しつつも内心では深くため息をついたルルーシュは、ふと、気付いた。

 

ユウカは視線に気付き、手を止め、顔を上げる。

 

「先生?」

「ん?」

「私の顔に何か付いてますか…?」

「ああ。いや、そういうわけじゃないんだが…」

 

数秒、考え込むように黙りこくるルルーシュ。

そして彼は、ふう、と何処か得心が行ったように頷かながら言葉と共に息を吐いた。

 

「ユウカ。君は優しいな」

「はっ?!…え?と…突然どうされたんですか?!」

 

余りに突然の事で、ユウカは驚き、というよりも混乱と困惑を顔に浮かべていた。

 

「ああ、すまない。ゲーム開発部のことでちょっとな…」

 

ゲーム開発部の名が出た途端、ユウカは「ああ」とまだ呑み込みきれていないものの、ルルーシュの先程までのため息の理由等を察したのか、頷きつつ、小さく咳払いをしながら椅子に座り直した。

 

「苦労されているみたいですね」

 

ユウカの苦笑に、ルルーシュも苦笑で返す。

 

「部員が集まった途端、ゲーム三昧。ミレニアムプライスのことも大して考えていない。

幾ら人数が充足していても、結局何の成果も無しで居続けたら何れまた同じ事が起きることなど分かりきっている事だ」

 

そうだろう?とルルーシュはセミナーのユウカに言外に目線での確認をする。

 

ユウカもそれに目で頷き、そうですね、と小さく口を動かした。

 

「だが、彼女らは目先のことしか見ていない。

今、大丈夫だから、と。

来年以降の事は考えていないのだろう」

 

まあ、そうでなくとも、とルルーシュはデスクの書類棚に仕舞っていた書類を取り出し、一瞥してからユウカに手渡した。

 

「少し調べさせてもらったが、ゲーム開発部の過去の問題行動の一覧だ。

恐らく君は知っていることだろうが」

「改めて見ると頭痛がしますけどね。古代史研究会襲撃とか」

「問題行動ばかり、人数も足りていない。大した功績もない」

 

それでも、とルルーシュはこちらは印刷していないが、調べた記録を思い起こす。

 

ミレニアムサイエンススクールは確かに実力主義の学校で、予算の過多は功績の有無によるところが大きい。

しかし、廃部となると話は別だ。

 

近年で唯一廃部状態となっているのは、マルチ商法が問題となり、セミナーの会長自ら判を下した似非科学部位のもの。

 

ゲーム開発部のように大した結果の残せていない野球部なんかは廃部の対象にはなっていない。

ユウカのモモイらに対する言い様からすると、野球部とて人数こそ達しているが、実績の観点から言えば廃部が検討されてもおかしくはないが、事実として、そんな事にはなっていない。

 

本来の基準で言えば、廃部になりかねない部活は多くある。

だが、それらは目溢しをされ続けている。

 

つまるところ、予算の権限を握るものが、上手くやりくりしているからこそ、そうした余裕が生まれてくるのだろう。

 

「それでも、彼女らをこれまで廃部にせず、存続の道を残し続けてきた」

 

だから、とルルーシュは微笑を浮かべた。

 

「優しいな。ユウカは。そう思っただけだ」

 

言葉とは裏腹に、案外と彼女は学友の事を思っているのだろう。

 

「それで突然…いえ、その…」

 

ユウカは漸く納得したが、その納得感と同時に、冷静になったことで直球な賛辞に気恥ずかしさを覚え始めていた。

 

「すまない。突然だったもんな。…しかし、私はここまで根気強く注意程度で済ませられる自信がない」

 

もしアッシュフォードにこんな問題だらけの部活があったら、自分は廃部になるよう画策しただろう、とある種の確信をルルーシュは抱いていた。

 

まあ、会長がその部の熱意次第ではなんだかんだ言って廃部にならないようにしそうでもあるが。

しかし、俺は廃部を主張する側だったに違いない。

 

今も、アリスを放置するわけには行かないからもう暫く付き合うつもりではあるが、それがなければ、手を離していたかもしれない。

 

ユウカはしかし、今日まで離さなかった。

それが離されようとしていることの重大さへな自覚は、モモイには無さそうだ。

 

「…?大丈夫か。顔が赤いぞ」

 

ユウカは縮こまるようにして肩をすぼめ、顔を伏せ気味に黙りこくっていた。

 

冷酷な算術使い。

誰が言い始めたのか、いつの間にか付けられていた二つ名。

それを気にしたことは無かったし、その威圧的なイメージを利用することもある。

 

それでも──。

それでも、どうにかミレニアムサイエンススクールの生徒がより良い学校生活を送れる事を願ってきた。

それを理解してくれている人は、セミナーのノアを始めごく僅か。

先生も、ゲーム開発部の皆への態度から、威圧的な印象を持ったかも。

 

そう思っていた。

 

でも、先生は、私のしていることを、見てくれている。

イメージじゃなくて、事績から証明してくれた。

 

ユウカには、それがとても嬉しく感じられていたのだ。

自分の事を、事績と向き合い、正しく評価してくれたことが。

 

そして、言われ慣れていない賛辞に上手く反応する事も出来ず、慣れていない故に彼女は照れと気恥ずかしさから、赤く染まった顔を隠すように俯くしかなかったのだ。

 

「…あ、ありがとう…ございます」

「礼を言われるようなことは何もしていない。私は事実を言っただけだ」

「………先生って、ちょっとズレてるって言われませんか?」

「どういうことだ?」

「何でもありません!それより、はい!予算組み終わりましたよ!」

 

投げつけられるようにして寄越された文句のつけようもない完璧な資料と共に、その日の業務は幕を閉じるのだった。

 

 

翌日 早朝

ミレニアムサイエンススクールゲーム開発部部室

 

「私の名前はアリス。ミレニアムサイエンススクールの1年生。最近転校してきたばかりで受講申請のタイミングを逃してしまったため、まだ授業の登録が出来ていない状態ですが、来月から正式に授業に参加する予定です」

「授業にはまだ参加出来ていなくても部活動への参加は可能とのことでしたので、ゲーム開発部に入部しました」

 

淀みなく、スラスラとそれらしい自己紹介を述べるアリスをルルーシュは信じられないものを見るような目になっているユウカの背後から眺めていた。

 

全く。こういう才能はあるな。モモイの奴は。

しかし、これならまあ直ぐには疑われないだろう。

 

「ゲーム開発部に新入部員が入ったなんて信じられない…」

「残念だけど、事実だよ!」

 

自信満々にフンスと胸を張るモモイ。

ユウカはしかし、訝しげにモモイとアリスを交互に見る。

 

「ミレニアムの生徒はほぼ全員把握していると思ってたけど──」

「私がこんな可愛い娘のこと知らなかったなんてちょっと信じられないわね」

 

モモイがマズイ、と一瞬ビクリと肩を震わせたが、幸いにもユウカはアリスに目を向けており、気付かれることはなかった。

 

「…よ、妖怪が出現しました…!」

「い、今この子、私のことを妖怪って言ったわよね?!」

「か、勘違いだよ!"妖精"って言ったのを聞き間違えたんでしょ。も、もう。アリスは嘘が付けないんだから〜」

 

ユウカの圧を感じ取ったのか放たれたアリスの言葉をモモイは冷や汗を流しながら取り繕った。

 

「くっ…。悪役に慣れているとは言え、まさか初対面の子に妖怪扱いされるなんて。

良い度胸してるじゃない」

 

しかしユウカは誤魔化されてはくれなかった。

 

「お、落ち着いて!生徒会が個人的な感情を挟んじゃダメでしょ!?」

 

と、とにかく、と傷口が広がらない内に終わらせようとモモイは話題を戻す。

 

「部の規定人数は満たしたよ!これでゲーム開発部は存続ってことでOKだよね?!」

「存続…。まあ、そうね。正式な部活という認定が出来るわ。

この子が本当に自分の意志で来た部員だったら、の話だけど」

 

ジトリ、と疑いの目をモモイに向けるユウカ。

モモイはまたも、ギクリと肩を揺らした。

 

「本来は部員の加入を申告すれば、それで良かったんだけど。

最近は部活の運営規則も変わって、もう少し厳しく確認する必要が出てきたの」

 

だから、とユウカはアリスに再び目を向ける。

 

「アリスちゃんに簡単な取り調べ…あら、思ってもない言葉が。

じゃあ、幾つか簡単な質問をするわね」

 

ユウカ、意外と楽しんでないか?

 

ニッコリと笑うユウカに、ルルーシュは内心でそうツッコミを入れていた。

 

「思いっきり本音が出てた気がする」

「あら。単なる言い間違いよ。

そんなに時間はかからないし、安心しなさい」

 

さて、とアリスにユウカは笑いかける。

そして、小声で囁く。

 

「アリスちゃん。もし脅されて仕方なくここにいるなら、左目で瞬きして」

「…?」

 

何の事だが分からない、とアリスは首を傾けるが、その声はモモイにも届いていた。

 

「ちょっと!最初から何その質問?!小声で言っても聞こえてるから!っていうかそんな事しないって!」

 

モモイはさすがに少し憤然とした様子でアリスの学生証を取り出し、ユウカに見せつけた。

 

「ほら見て!ミレニアムの生徒だってまごうことなき証明!」

「ふーん…。確かに、生徒名簿にアリスちゃんが登録されているのも確認したけど…。

私は、そんな簡単に騙される女じゃないわ」

 

モモイとミドリは、まさかバレたのか?と目を合わせ、ルルーシュの方に助けを求めるような目を向けてきた。

 

「………」

 

僅かに肩をすくめ、目を逸らされたモモイは口パクで「薄情者!」と抗議をしたが、ルルーシュとしてもこの状況下で下手な介入は藪蛇となるだけであり、見守るしかないのだ。

 

まあそれに、アリス自身を保護出来る場所があれば良いんだ。

ゲーム開発部でなくとも…。

 

打算的な面からも、積極的に介入する理由を見出だせていない、という側面もある。

 

「じゃ、取り調べを再開しましょうか」

「もう隠すつもりもないじゃん」

 

モモイのツッコミを無視しつつ、ユウカはアリスに問いかける。

 

「貴方がゲーム開発部に来たきっかけは何?」

「気が付いた時にはここに…ではなく」

「モモイ。何でそんなアリスちゃんを睨んでるわけ?辞めて上げなさい」

 

アリスがマズイ発言をしかけたが既のところでとどまったのは、モモイの圧によるところであった。

ユウカの注意もモモイに向き、幸いにも最初の言葉は聞かれていなかったようである。

 

「ええっと…。"魔王城ドラキュラ"がやりたくて…それで、ゲーム開発部の存在を知って…」

「ふーん。そうなの」

 

でも、とユウカは更に追求をする。

 

「ここはレトロゲーム部じゃなくてあくまでもゲーム開発部。

つまり、貴方もゲーム開発に参加するということよね?何を担当するの?」

「タンク兼光属性アタッカー…」

「え?」

「ではなく!えっと…ぷ、ぷ、プログラマスです!」

 

モモイとミドリは嫌な汗を感じながら、どうにか"プログラマー"と軌道修正させんと口パクをしたりしていたが、アリスの方も緊張しているのか伝わらない。

 

「…はい?プログラマーじゃなくて?」

「あ、はい。そうです。その通りです!間違いなく、私は完璧なプログラマーです」

「プログラマーね。すごく難しい役割だと聞くけれど」

「はい。そ、そうです。プログラマーは大変です。たまに過労で意識を失ったりもします」

「な、何ですって?!」

 

モモイ達はユウカにバっと目を向けられ、違う違う!と首を横に振って冤罪をアピールせざるを得なかった。

 

「それでも大丈夫です!」

「いや大丈夫じゃないでしょ。ちゃんと休みなさいよ…」

「宿屋で寝るか、聖堂にお金を払えば仲間たちと一緒に復活出来ます!」

「そっ、そんなわけないでしょ?!」

「そんなわけないのですか…?常識のはずですが…もしかして"英雄神話"や"聖槍伝説"をご存知ないのですか?」

 

「終わった…何もかも…」

ガクリと膝をつくモモイ。

ルルーシュもその後ろで額に手を当てていた。

 

ここに来てゲームで言葉やらを覚えさせた弊害が牙を向いてきたか…。

時間がないからと妥協せずちゃんとした教材を使ってやるべきだったか…?

 

「本当に神ゲーですよ!」

 

モモイらの絶望を他所に、アリスは満面の笑みでそう言い切っていた。

 

「……ありがとう分かったわ」

 

しかし、それは功を奏することになる。

 

ユウカは小さく頷いてから、優しげな目をアリスへと向けていた。

 

「短い時間だったけれど、アリスちゃん。貴方のことについては概ね理解出来た。

ちょっと怪しい所はあるけれど」

 

アリスを次に何処に置いておくべきか、シャーレにて直接保護をするしかないか。

しかしその場合、連邦生徒会にどう説明をするべきか。自分がシャーレにいれない間、どうするべきか、などと考え始めていたルルーシュだったが、ユウカの様子にはた、と思考を止める。

 

「ゲームが好きだってこと。それに、新しい世界を冒険したり、仲間と一緒に何かをやり遂げるストーリーが好きなんだってことは十分に伝わってきた」

 

諦めの境地に入りつつあったモモイとミドリも、意外な展開に、もうこの数分で何度目か分からないが、視線を交わし合っていた。

 

「そんなあなたがゲーム開発部の部員だというのは、何も不思議じゃないわ」

「っていうことは…?!」

「規定人数を満たしているので、ゲーム開発部を改めて正式な部活として認定。部としての存続を承認します」

 

端末を操作し、ユウカは瞬時に手続きを済ませ、承認を正式に行った。

 

「やっったあ!」

「…良かったあ!!」

 

喜び勇むモモイとミドリ。

アリスも、どうやら上手くいったらしいと察したのだろう、ふう、と安堵の息を吐いていた。

 

「そ、そしたら部費も貰えるし、このまま部屋を使っても良いんだよね?!」

「ええ。もちろんよ」

 

頷くユウカ。しかし、彼女の言葉はそこで終わりはしなかった。

 

「今学期までは、ね」

「わーぃ………え?今なんて?」

「な、何で?!」

「規定人数は満たしてるのに!」

 

ミドリとモモイの抗議に、ユウカは事もなげに、「あら、知らなかったのかしら」、と答える。

 

「今は部活の規定人数を満たすだけじゃなく、同時に部としての成果を証明しないといけないの。

勿論、最近変わった要件だから、猶予期間はあるけれど」

 

なるほど。まあ、人数だけていて何もしない部活に予算を割くわけにもいかんだろうしな。

しかし、やはりミレニアムは噂通りの成果主義も強い、ということか。

 

まあ人数さえ満たせば、となれば、それこそユウカが疑ったように脅して、だけじゃなく、礼をするからと一時的に在籍してもらう、なんかもやれてしまうし、そうした小細工を許さない、ということでもあるのかな。

 

しかし、急に変わったというのが引っかかるな。財政的な余裕がなくなってしまっている、ということだろうか。

急な変更ともなれば、予算の削減なんかが最も考えやすい理由だが、他に理由があるのだろうか。

まあ何れにせよ、尤もな話ではあるのだが…。

 

「その期間は今月末まで。今月中に結果を出せなければ、あなたたちの部は例え4人いようが400人いようが、廃部になるのよ!」

 

「嘘だ!ありえない!」

「あり得るの!この間、全体の部長会議でちゃんと説明した内容なんだから。

ただ、あなたたちの部長、ユズはそこに参加していなかったけど」

「?!」

「つまり、あなたたちの責任よ」

 

冷たく言い放たれ、モモイは苦し紛れに「くっ…卑怯者め…!」と放言するがユウカは気にする素振りも見せず、冷静にツッコミを入れる。

 

「"鬼"とかなら分かるけど規則通りに事を運ぶ事の何が卑怯なのよ…」

 

はあ、とユウカはため息を付いた。

 

「正直、アリスちゃんの正体も怪しいし、本当なら今日、直ぐにでも退去を要請しようかと思っていたのだけれど…」

「えっ?!」

「…正体はさておき、ゲームが好きって純粋な気持ちは本物だと思った。

猶予を与えたのは、その気持ちに相応しい結果がちゃんと出せることを期待してるからよ」

 

モモイ、とユウカは"冷酷な算術使い"に相応しいシニカルな笑みを向けて見せる。

 

「あなた言ったわよね。ミレニアムプライスで、びっくりするくらいの結果を出してみせる、って」

「そ、それはそうだけど…」

「新しいメンバーも増えたんだし、前よりもちゃんと面白いゲームを作れるんでしょうね?」

 

それじゃ、と踵を返し、ユウカは後ろ手を振る。

 

「楽しみにしてるわよ。じゃあね〜」

 

そして、出口近くにいたルルーシュの側まで来ると、ボソリと囁いた。

 

「先生」

「……」

「アリスちゃんのことは深くは追求しませんけど、ちゃんと見ていて上げてくださいね。

現実とゲームがごっちゃになってるのなら、危険ですよ。ゲーム好きなのはおかげで十分過ぎるくらい分かりましたけど」

「フッ。…やっぱり君は、優しいな」

「っ…!からかわないで下さい!

…とにかく、先生もお忙しいのかもしれませんが、首を突っ込んだんですから、ミレニアムプライスが終わるまで、お願いしますね!」

「はいはい。分かったよ」

「もう…!」

 

ユウカの奴、意外とゲームにも詳しいのか?

だとすれば、全く気に入られているな、モモイ達は。

それとも、ユウカがお人好しなのか。

いや、あの分だと両方か。

 

全く。しかし、ユウカにはキヴォトスに来た時の借りがある。

仕方がない。ミレニアムプライスまではアリスの事以外も面倒を見てやるとしよう。

 

愕然とした様子のゲーム開発部の一同を見渡しながら、ルルーシュは少しばかり、気を引き締めるのだった。

 

 






今回も読んで頂きありがとうございます。
更新日は変わらず未定でありますが、
また次回もよろしくお願い致します。
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