コードギアス 教導のルルーシュ‐Archive Stories‐   作:ライト鯖

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Archive-007 "大人"の力

 

「学校に武装集団が接近しています!カタカタヘルメット団のようです!」

 

アヤネが慌てて報告する。

銃声の主はカタカタヘルメット団によるもののようだ。

 

「攻撃!攻撃だ!奴らは既に弾薬の補給が絶たれている!襲撃せよ!学校を占領するのだ!」

「ぎゃはははは!」

 

威勢が良く、なおかつ、ガラの悪い声が窓の向こうから漏れてくる。

 

「あいつら…性懲りもなく…!」

 

シロコは既に銃を取り、臨戦態勢となっていた。

丁度そこに、赤目ツインテールの生徒がピンクの長い髪、その頭頂部にぴょこんと立つアホ毛のある少女を引きずるようにして戻ってきた。

 

「ホシノ先輩を連れてきたよ!先輩!寝ぼけてないで起きて!」

「むにゃ…まだ起きる時間じゃないよ〜」

「ホシノ先輩!ヘルメット団が再び襲撃を!こちらの方はシャーレの先生です」

「ありゃ〜。そりゃ大変だ。…あ、先生?よろしく〜…むにゃ」

 

むにゃむにゃと眠そうなホシノはルルーシュの方にチラリと視線を向ける。

 

 

 

ん?。今一瞬…。

 

ルルーシュはホシノの目に一瞬の違和を感じたが、未だ気の抜けた寝ぼけ顔のままである彼女を見、気のせいかと片付けることにした。

 

「先輩!しっかりして!出動だよ!装備持って!学校を守らないと!」

「おちおち昼寝も出来ないじゃないか〜。ヘルメット団め〜」

「すぐに出るよ」

 

やる気満々のシロコにルルーシュは気まずそうに口を開く。

 

「すまないな。もう少し補給品を持ってこれれば良かったんだが…」

 

彼はシャーレを出る前に幾らか使えそうな弾薬やらを、コンビニで買えてしまうことに面食らいつつ手土産代わりに持ってきていた。

しかし、当然彼の運べる量には限界があり、然程の量でもない。

 

「いえ!これでも大助かりです!」

「それはそれで…」

 

ルルーシュはアヤネのその一言でアビドスがどれだけの窮状だったのかを垣間見た。

 

「じゃあ、皆で出撃ですね!★」

 

ベージュ色の生徒ものほほんとした表情で言い、まだこの世界に慣れきっていないルルーシュは戦闘前でも緩いままの空気感に馴染めないままに、「ここの指揮官は誰だ?」と周囲に尋ねた。

 

「あ、私が一応オペレーターを…」

 

アヤネが挙手したのを見、ルルーシュは頷く。

 

「なるほど、君か。了解した。私にサポートをさせてくれ」

「あ、はい!是非お願いします」

 

話している間に、他の生徒達は既に教室を後にしていた。

 

「…見た所校庭にはバリケードだったりが多いな。見取り図はあるか?」

「はい。此方です」

 

アヤネは手際よく、紙媒体のマップを引っ張り出し机に広げる。

 

「助かる。3…いや2分以内に全て頭に叩き込むよ」

「2分で?!わ、分かりました。

…シロコ先輩。カタカタヘルメット団の現在位置は分かりますか?」

『ん。…もう校庭に入ってきてる』

「ええ?!…あ、そっか。前に防衛用装備全部尽きちゃったんでしたね…」

『こっちも結構な数だね〜』

「とにかく、校舎に入られないようにしないと…!」

「…校舎の損壊はどの程度まで許容出来る」

 

ルルーシュはマップを睨みながら尋ねる。

 

「え?…お金に余裕がないので、修繕とかは難しくて…」

「なら、基本的には避けるべき、ということだな。了解した。では…」

 

敵の正確な位置をリアルタイムで把握出来ないというのは面倒だな。

ルルーシュは仕方がない、と息を吐き、アヤネに向き直る。

 

「私が指揮を執っても?」

「え。先生がですか?!…ええと…」

『敵が校庭内に侵入した』

 

シロコからの報告。

それにルルーシュは即座に反応した。

 

「シロコ、3メートル左後方に掃除用具入れがあるだろう。そこに相手に姿を見せてから後退。

…もう1人、カーディガンを着ていた者」

『ノノミです★』

「ノノミはシロコに釣られてきた連中を側方から斉射」

『!…分かった』

『了解しました!』

 

シロコは言われた通り、敵に目立つよう、身を隠していたバリケードから飛び出し、その背後に設置していた机を飛び越えて存在をアピールする。

そうしてから、後方にあった掃除用具用のロッカーの背後へと身を隠す。

 

「あっちだ!」

「へへっ!バカめ!姿を見せやがった」

 

黒いヘルメットを被った名前の通りというべき不良達の小集団がシロコの隠れたロッカーを目指す。

 

だが、そこを狙ったノノミの銃撃によって行く手を阻まれるのだった。

 

「うわあ?!」

「横から…!」

 

よし。とルルーシュは呟き、指示を出す。

 

「シロコ!そのまま奴らに突撃!」

 

ロッカーの影から飛び出したシロコは、ノノミからの銃撃に応戦するヘルメット団に発砲しつつ突貫。

驚いた彼女らは何人かが逃亡し、何人かはその場で強力な銃弾を受け、気絶する事となった。

 

「よし!…悪いな。アヤネ、指揮を移譲されてもいないのに」

「あ、いえ…。これなら…ええと、むしろお願いしても良いですか?」

「ああ。了解した」

「私はドローン操作の方に集中します!」

「ドローン?…分かった」

 

ドローンという言葉に聞き馴染みはなかったが、まあ見てみれば凡そ理解は出来るだろう、と彼女の動きを止める余計な質問はしない。

 

「ちっ。しかし、直接は見えないのが厄介だな。窓から見たのでは、危険過ぎるし…」

 

ルルーシュ自身は銃弾を受ければ危険な身だ。

下手に窓に近寄って流れ弾にでも合うわけには行かない。

 

アロナが守ってくれるだろうが、全く不意の攻撃に対処可能か等、不透明な部分が多すぎる。

避けるに越したことはない。

だが、一度位は見ておいた方が良いか…?

 

ルルーシュの悩みは直ぐに解消されることとなる。 

 

「カメラ付きドローン、行きます!」

 

アヤネは一度窓を開け、ドローンを外へ出す。

 

アレがドローン?。なるほど。超小型ヘリコプターのようなものか。プロペラが4カ所に…。

あれでバランスを取っているのだな。

 

「予備の弾倉です!」

 

ほう。ある程度の荷物を運ばせることも可能、か。

面白い機械じゃないか。

 

飛び立ったドローンを観察するルルーシュ。

今後、戦略に組み込んでいくべき機械だな。と今後を見据えつつ、視線をアヤネのタブレット端末へと戻す。

そこには、ドローンからの空撮映像が映し出されていた。

 

「これは良い。…ん?ホシノ、そちらに八時の方向から二人程向かっている。後10秒ほどで接敵するだろう」

『八時ね。了解〜』

 

何とも気の抜けた返事を。

やはり、さっきのは気のせいに過ぎなかったか。

 

数秒後、連続する銃声と爆発音が窓の向こうと通信機を通して響いてきた。

 

『時間ぴったりだ。凄いんだね。先生』

「もう倒したのか。そっちこそ凄いじゃないか。

…それともう一人、まだ名前を聞いていなかったな」

『黒見セリカ!』

「セリカか。了解だ。ノノミを挟み撃ちにしようとしている奴等がいる。セリカは右方向へ机のバリケードを潜り、大回りで校舎方向からノノミへ向かう敵の背後を。

シロコはその場から直進し、速攻をかけ、反対方向の敵を排除

ノノミはその場で待機。気付いていないふりをしろ」

『了解』

『了解です★』

『分かったわ』

 

ノノミのいる場所へ徐々に距離を縮める二つのヘルメット団グループであったが、ルルーシュの指示により飛んできたシロコにまず一方が。

反対側も、シロコ方面の異常に気が付いた時には遅く、既に背後へセリカはたどり着いていた。

 

「アヤネ。ドローンには武装も搭載可能か?」

「え?あ、はい。高威力のものはウチのドローンには無いですけど、ちょっとした威嚇位になら…」

「ならば、条件は全てクリアだ」

 

ルルーシュはニヤリと笑う。

 

「どうやらあの赤いヘルメットがリーダー格のようだな。見た目からして異なっていたが、やはりと言うべきか」

 

画面をトントンと指で叩き、リーダー格の赤いヘルメットを指し示す。

 

「シロコ!敵の攻勢は止まった!右、前方5メートル先のバリケードへ隠れてから5秒後に左のロッカー、続いて1時の方角にある棚、10時の方角にある大型のロッカーの順でつたい、敵首魁へ攻撃をかけろ。

ホシノはそのカバーだ。その場から7秒後にシロコの方向へ走れ。そっちは手薄になっている。

敵の攻撃はないだろう」

 

ルルーシュはアヤネに視線を向ける。

 

「武装ドローンをシロコのカバーに」

「はい!」

 

ルルーシュは少し前から空撮映像に映らなくなっていた二つの影を察知していた。

見られている事に気が付いたのか、別の狙いがあったのかは分からないが、何処か死角に隠れているヘルメット団員がいる。

 

「だが、問題ない」

 

シロコは指示通りにバリケードを伝っていき、銃弾の中を駆けていく。

後少しという所まで来たが、そこでリーダー格に気付かれてしまう。

 

「うおっ!?もうこんなとこまで?!…おい!」

 

リーダー格が呼ぶと、物陰からバッと黒い影が飛び出した。

 

「伏兵?!」

 

シロコは飛び出してきた伏兵とリーダー格何方を先に対処するべきか迷い、一瞬動きに迷いを見せてしまう。

 

『問題ない!想定内だ!そのまま突っ込め!』

 

ルルーシュの声に合わせて、ドローンが伏兵達に照準を合わせた。

だが、ドローンが攻撃を開始するよりも速く、伏兵の一人が倒れる。

 

「ホシノ先輩…」

「もう一人も任せて」

「ん…。なら私は…!」

 

銃声が、響く──。

 

 

カタカタヘルメット団は殆どが這々の体で逃げ出ていき、アビドス高校はその防衛を成功させるのであった。

 

「カタカタヘルメット団、校外エリアに撤退中」

 

安堵の域をつくアヤネ。

 

『わあ★私達勝ちました!』

『あははっ!どうよ思い知ったか、ヘルメット団め!』

「皆さんお疲れ様でした。学校へ帰還を」

 

他の者達も勝利を喜び、校舎への凱旋を果たした。

 

「いやあ〜まさか勝っちゃうなんてね。ヘルメット団もかなりの覚悟で仕掛けてきたみたいだったけど」

「勝っちゃうなんて、じゃありませんよホシノ先輩…。勝たないと学校が不良のアジトになっちゃうじゃないですか」

 

ホシノの、変わらず気の抜けたような言葉にアヤネがツッコミを入れる。

 

「……」

 

それをルルーシュはニコリともせずに静かに見つめる。

 

ホシノ。どうも掴みきれないな。

 

「先生の指揮が良かったね。私達だけの時とは全然違った。これが大人の力。

弾薬もかなり残ったし…大人ってすごい」

「褒めてももう何も出ないぞ」

 

ルルーシュの指揮に感心するシロコに、ホシノが少しいたずらっぽい笑顔で割って入る。

 

「今まで寂しかったんだねシロコちゃん。

パパが帰ってきてくれたおかげでママはぐっすり眠れまちゅ」

「おいおい。パパってお前な」

「変な冗談はやめて!先生困ってるじゃん!それに委員長はいつもその辺で寝てるでしょ!」

「あはは…少し遅れちゃいましたけど、改めてご挨拶します。先生」

 

アヤネが苦笑しつつ場を引き取り、ルルーシュに向き直った。

 

「私達はアビドス対策委員会です。

私は委員会で書記とオペレーターを担当しています1年の奥空アヤネです」

 

こっちは、とアヤネは隣に掌を向ける。

 

「同じく1年の黒見セリカ」

「どうも」

「此方が2年の砂狼シロコ先輩と、十六夜ノノミ先輩」

「よろしくお願いします。先生〜」

「さっき道端で最初に出会ったのが私」

「そうだな。助かったよ。今度必ずお礼をさせてくれ」

 

ルルーシュの返答に、「あ、そういうつもりで言ったんじゃないけど…」と若干気恥ずかしそうに言う。

 

「そして此方が委員長の…3年の小鳥遊ホシノ先輩です」

「いやあ〜よろしく。先生」

 

ルルーシュは頷いてから、では、と笑顔を浮かべる。

 

「私も改めて。シャーレの先生、ルルーシュ・ランペルージだ。シャーレへの支援要請を受理し、ここに来た」

 

ルルーシュはどうにも読みきれないホシノの存在を人の良い笑みを絶やさずにチラリと見る。

だが、やはり眠たそうな、ぼんやりとした印象しか受けなかった。

 

「ご覧頂いた通り、我が校は現在危機にさらされています。

そのため"シャーレ"に支援を要請し、先生がいらしてくれたおかげで危機を乗り越える事が出来ました」

 

アヤネの方は、裏のない安堵をルルーシュに向けている。

 

「先生がいなかったら、さっきのヘルメット団に学校を乗っ取られていたかもしれませんし、感謝してもしきれません」

「物資の面では余り役に立てなかったがな。

次来る時はトラックでも手配してくるよ」

「ト、トラック?!そんなに沢山の…?」

 

当たり前のように言われ、アヤネは面食らい、飛び上がらんばかりの声を上げた。

 

「やっぱり大人って凄い…」

「本来、連邦生徒会がするべきことなのだろうしな」

 

ところで、とルルーシュは戦闘中から感じていた違和感。

そしてそれはほぼ確信に近づいていた事を確かめようと質問する。

 

「この学校の生徒は、まさかこれだけなのか?

それに、対策委員会ってのは一体何だ。生徒会ではなさそうだが」

「…そうですよね。ご説明します。対策委員会とは…このアビドスを蘇らせる為に有志が集った部活です」

「うんうん!全校生徒で構成される、校内唯一の部活なのです!全校生徒といっても私達5人だけなんですけどね」

 

ノノミの注釈に、ルルーシュはやはりか、と口の中で呟いた。

 

「他の生徒達は転校したり退学したりして街を離れていった。

学校がこの有様だから、住民も殆どいなくなって、カタカタヘルメット団みたいな三流チンピラに学校を襲われてる始末なの」

 

まあ、統治勢力が弱体化している以上、自分達を守ってくれる力が無くなるということ。

そりゃあ住民も離れるか。

弱体化した政府はギャングに襲われたりだとかもされやすい。

 

「現状、私達だけじゃ学校を守り切るのが難しい。在校生として恥ずかしい限りだけど…」

「補給品も底をつきかけていたしさすがに覚悟したね。中々良いタイミングに現れてくれたよ。先生」

 

ホシノの言に、ルルーシュはどうりで、と納得していた。 

 

然程大量の物資を持ってはこれなかったが、それでも有難がられたのはやはり、凄まじいまでの窮状故にだったか。

帰ったら銃弾の手配が必須だな。いや、発注は話が一段落したら直ぐにやっておくか。

 

「もうヘルメット団なんてへっちゃらですね!大人の力って凄いです★」

「かといって攻撃を止めるような奴等じゃないけど」

「しつこいもんね。あいつら」

 

セリカが心底うんざりしてように言う。

 

「こんな消耗戦をいつまで続けなければいけないのでしょうか…

ヘルメット団以外にも沢山問題を抱えているのに」

 

ふむ、とルルーシュは考え込む。

 

奴等、これまでも何度も襲撃をかけているようだな。

その度にこの欠乏状況で対処してきたのは素直に感心さえする。

それ程までに地力があるということだろう。

しかし、そうであるならば──。

 

「そういうわけで、ちょっと計画を練ってみたんだ〜」

 

ホシノがそう言うと、アヤネとセリカが信じられないものを見たとばかりに目を見開いた。

 

「えっ!ホシノ先輩が?!」

「うそっ…!?」

「いやあ〜その反応は幾ら私でもちょーっと傷付いちゃうかな…。

おじさんだってたまにはちゃんとやるのさ」

「…で、どんな計画?」 

 

漸く少し真面目さを感じる表情へと変わったホシノ。

ルルーシュは説明をする彼女を、じっと観察していた。

 

「ヘルメット団は数日もすればまた攻撃を仕掛けてくるはず。

ここんとこそういうサイクルがずっと続いているからね」

 

なるほどな。とルルーシュはホシノの狙いを悟った。

 

「だから、このタイミングでこっちから仕掛けて連中の前哨基地を襲撃しちゃおっかなって」

「今なら、敵も消耗しているだろうしな」

 

ルルーシュの言に、ホシノは頷く。

 

「い、今ですか?」

「そう。今なら先生もいるから補給とか面倒なことも解決出来るし」

「なるほど。ヘルメット団の前哨基地はここから30kmくらいだし、今から行こっか」

「良いと思います。あちらも、まさか今から反撃されるなんて思ってもないでしょうし」

「そ、それはそうですが…」

 

アヤネがどうしましょう、とルルーシュに目を向ける。

 

「先生はいかがですか?」

「良いじゃないか。弾薬は道中で必要なだけ購入しよう。

コンビニの一軒くらいはあるだろう?」

 

やはり、ホシノ。

単に能天気な昼寝好きというわけでは無さそうだな。

能ある鷹は、とは言うが、この苦境でそれをする理由が見当たらない。

他の生徒の反応を見るに、俺が来たことで、というわけでもなさそうだ。

読めないが、気にかけておいた方が良いことは確定したな。

 

ルルーシュは、心中ではホシノに対する考察をしつつも、表では不敵な笑みを浮かべてホシノの計画に同意するのだった。

 

 

 

 




 
次回以降、徐々にオリジナル展開等増えていくことになると思います。
どうぞよしなに。

次回更新日は変わらず未定です。
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