ダンジョンに儲けを求めて何が悪い!   作:ケツアゴ

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第十四話

 【マネーイズパワー】は少しばかり特殊な仕様がある。入金と金額消費の時点で特殊過ぎる? 黙れ。

 

 移動や修復のは消費金額は対象に依存して基本不動になっているんだが、成長を促進する場合は自分の好みで変えられる。

 効果時間は半日で、最大消費額はランクアップで増えて行く。魔力の数字が上がっただけじゃ変わらないから多分正解だ。

 

 因みに入金の最大額もランクアップで変わるし、手に入れてから半日が過ぎたら入金不可というクソ仕様。

 常に稼ぎ続けないと駄目な超絶クソ仕様だ。

 

「ランクアップ可能だな。前回が何時迄だったか……」

 

「半年位か? 無茶やったしな」

 

 そんな訳で強くなれば金も稼ぎ易いし使える金も増えるので成長促進効果も上がって行く。はい、その結果カドモス撃破でランクアップだ。

 尚、復活している階層主の相手をしながら最後に挑んだってのも影響していると思う。

 

 それにしても半年か。……取り敢えず今回も暫くは隠しとかないとな。

 

 3から4になった期間が最速記録とかで目立ったし、注目されても損しか無い。なので税金対策も兼ねて秘密だ。

 訓練相手とかしてるオッタル達には見抜かれるだろうけれどチクるタイプじゃねーしセーフ。

 

「無茶? どんな無茶をした?」

 

「無茶……は少し言い過ぎか? 今日はグイグイ来るな、ソーマ様」

 

 聞いた話じゃ闇派閥のLv3が下半身だけ残して行方不明だが、這って移動した痕跡があったとか。

 つまり直ぐには死なないで動ける程度な訳で、治せるのなら腕を失おうが内臓が潰れようが腹に風穴開こうが死んでなきゃ許容範囲内。

 

 寧ろ其処迄しないと駄目な訳だが、そんな些事より気になるのはウチのアホ主神の反応だ。最近妙に機嫌が良いと治療院に来ていたザニスから聞いていたんだが、一体どうした?

 

 此奴が眷属を気にするってよっぽどだぞ? あっ、猛烈に嫌な予感がする。ザニスの奴が何か黙っていた気が……。

 

「……前から思ったが、悪酔いするから足を引っ張るのが出て来る。問題起こしたらギルドに酒造り邪魔されるかもとお前から言われたし。だから酔い覚ましとセットの新種の神酒を完成させた」

 

「ふーん。まあ、ファミリア内で上納金の為の金奪い取るとか他所とトラブル起こすとか減るなら良いんじゃねえか?」

 

 ファミリアに入る金は増える訳じゃない。奪われた奴が支払えないからで、それだと下が育たないし奪う側も楽に逃げて成長が滞る。

 

 俺達兄妹が九割以上賄ってるからその辺はどうでも良いんだがな。

 

 あー、それにしても猛烈に嫌な予感だよ。リリルカの更新が後じゃないなら即座に逃げるんだが……。

 

「酒の名前は【オラリオメリー】。専用酔い覚ましの【メリーウコン】を飲まなきゃ上級冒険者でも酔いが覚めない」

 

「なあ、そのウザったい髪を剃っても良いか? 大丈夫、肉削ぎなら綺麗に剃れる」

 

 あの馬鹿団長、さては胃痛だな。どう考えても厄介じゃねえか、畜生!

 

 機嫌が良い理由を黙っていたのは逃さず巻き込む為だと理解して頭が痛くなって来た。別に耐異常のランクが高くても酒には酔うが、神酒の酔いが覚めないってのはマジで面倒だ。

 

 理性を無くした上級冒険者とかモンスターよりモンスターだぞ? 暴力家業の冒険者なんて元奴隷だろうが王族だろうが等しく蛮族だとは思うんだが。

 

 裏で流通させて懐を温めるにしても問題の種が多過ぎてザニスでも胃を壊すレベルの問題に俺は頭を抱えたくなるが、未だ希望は残っている。

 

「それ、未だ外には漏れてないよな? 新酒の情報とか厄介な酒好きが群がって来るぞ。ウチは団の運営面ではザニスしか使い物にならねえんだ」

 

 オッタルは団長としては強さ以外は悲惨でも下がしっかりしているし主神の狂信者だらけで保っているが、朝から晩まで酔っ払ってる連中が何の役に立つ?

 

 使い物にならない酒カスだから此奴だって失望して、今は開き直って利用するだけってスタンスになったんだ。

 だから情報の方は……。

 

「……めんご」

 

 主神でさえなければ! 主神でさえなければ!!

 

「それとお前宛に手紙が届いているぞ」

 

「手紙ぃ? どの件か分からねえが恨み言でも送って来たか?」

 

 何か凄く面倒な事になりそうだが、同時に重要な件……啓示で知らされた大きな戦いに影響しそうと直感を覚えた俺は机に乱雑に置かれた手紙を手に取る。

 

 さてと、何処の誰が俺に何用で手紙なんて送ったのやら……。

 

 

 

 

 

「……ゼウス・ヘラファミリアの遺児か。また難儀な物を背負っている」

 

 食後、茶を啜りながら手紙の内容について語ればオッタルは同情と幾らかの期待を声に滲ませる。

 要件は一人。甥が冒険者になりにオラリオに来るから様子を見てやって欲しいという物。

 

 手紙の送り主は暗黒期に俺に無償で助けられた事を改めて礼状に認めた自称料理人。命の恩人であるヘイズと世話になったミアさん以外の他人を俺が無償で助けるのは有り得ない。

 

 嘘を見抜ける神が真実だと理解して尚、それは嘘だと思う事に該当するのはただ一人。実際は後々請求する気で利子が膨らんでいるザルドだろう。

 

 混乱している時に契約書にサインさせたが覚えちゃいないのか? 年利百%だが治療費は三百万に抑えてやったし、命の値段からして安いもんだろ。

 

「それにしても生贄(英雄)に憧れてるねえ。己の幸せや大切な相手の想いよりも大衆の願いに天秤が傾く異常者になりたいとか変わってる」

 

「兄さん、ロキ・ファミリアの前ではそれは言わないで下さいね? 種族の英雄になろうとしている方が団長なのですから。相手はお得意様、大切な金づるなんですから」

 

「偶に金づる呼びが漏れてるお前が言うなって。それとオッタルにも伝言があるぞ。諸々が済んだら再戦をしよう。お互い万全の状態で、だとよ」

 

 戦いが生き甲斐の蛮族は大変だなって揶揄うもオッタルは目に闘志を激らせ湯呑みを握り割った。

 

「弁償」

 

「……すまない」

 

 さてと、直感に従うならファミリア探しを手伝ってやるべきか?

 

 二大ファミリアは面倒だからお勧め出来ないし、ガネーシャ・ファミリアは第一級冒険者が都市で一番豊富で育成ノウハウが整っているが警備とかの仕事も多くて探索重視とまでは言えない。

 

 

「所でオラリオに来るという少年の名前は何だ?」

 

「それが兎みたいな見た目だって書いてあるんだが、名前の所が滲んで読めねえんだわ。ウチのアホ神が酒溢しやがってよ」

 

 それで到着予定日は……明日じゃねえか。

 

 

「アポロンにでも目を付けられたら大変だし迎えに行くか?」

 

「……そうだな」

 

 強引な勧誘で悪評が立っている神の事を考えれば手間でしかないが必要な事だ。フレイヤ様に気に入られた場合? 生きてりゃ強くなれるだろ。

 

 

 

「いや、兄さんにオッタル様が迎えに行くとか悪目立ちしますよ? 神イシュタルにでも嫌がらせで手出しされる可能性があるじゃないですか」

 

 ……うん。じゃあ最後の手段とするか。ランクアップでスキルの応用が出来るようになった気がするし。

 

 

 

「オッタルって魔法使えたよな?」

 

「ああ、使えるが……」

 

 

 

 

 

「じゃあ女装してくれ」

 

「!?」

 

 




次回ようやくベル君登場  オッタルは可哀想な事になります
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