ダンジョンに儲けを求めて何が悪い!   作:ケツアゴ

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第二十八話

「そろそろ返済日だし回収に行かないとな」

 

 ダンジョン中層の食糧庫で軽くウォーミングアップを済ませた後に思い出したが、今週は月一の楽しみである返済日に胸を膨らませる。

 

「何人か亡くなっていますので損失は有りますが、家賃と合わさればそれ程でもないですしね。キッチリガッチリと取り立てましょう。ギリギリ合法な方法で」

 

「注意はされても取り締まりは無いラインを見定めないとな。一度ドアを蹴破った時は流石に介入されたし」

 

 今回もレアスキル抽選は外れ。取捨選択に上がったのは凡庸な内容ばかりでギャンブルは良くないぞって話だ。

 コツコツと高金利でやっていくのが一番だな。

 

「此奴等の一番の被害者って何処だと思う?」

 

「アポロン・ファミリアだろ。交代が間に合わない様に根回しして戦争遊戯(ウォー・ゲーム)を団長同士の決闘にしたら書類作業の不備で滞っていただけだからって交代して公開処刑にした奴」

 

「全財産没収の上で連中のホームを自派閥から買い取った上で運営資金と一緒に貸し出したからな」

 

「アレはヤバかったよな。……ヤバいと言えば【神狩り】って相当やばい奴だったらしいけれどどんな奴だったんだ? 一番多く神を襲った同族としか知らないんだが」

 

 被害者って言い方は酷くねえ? 団長交代の件だってなーぜか偶々? 前にお金と一緒にロイマンに申請書を渡したら、彼奴がうっかり自宅の金庫に仕舞い込んで忘れていたのを絶好のタイミングで思い出しただけ。だからギルドが協力して手続きの期間を短縮したとかは無い。

 

 あくまでも認証印を押してから担当に渡すのが遅れただけで日付はかなり前だったし。

 

 向こうだって格下を叩きのめそうとしていたんだし、両手両足にそれぞれ百キロある黄金の拘束具を嵌めて締め付けながら気絶するまで殴り続けただけだし?

 

 ……なのに連続殺人犯にして連続殺神犯(正確には死んでないけれど)と一緒にするとか。マジでやばい

 

「全力で馬鹿やってる時の神と同じノリで喋って動いてるイカれた女だったぞ。確実にぶっ殺したし、使用者を殺さないと所有権が移らないタイプの呪武具だから間違い無い」

 

 喉元食いちぎって、心臓ぶっ刺して、最後に頭を砕いて、それで生きてるとしたらどんな化け物だよ。

 

「「「「うへぇ……」」」」

 

 おっ、理解したか。あれ以来どうも変態の類いが苦手になっちまったんだよな。あー、あの女みたいなのとは二度とやりたくねえ。ランクが二個も上とか油断からの遊びが無かったら死んでたわ。

 

 そうこう話していている内に到着したのが十八階、ゴライオス辺りだと準備運動の仕上げになるんだが残念ながら今はインターバルか。

 

「ちょっと深層行く前にボールスから情報貰って行こうぜ。面白い話があるかも知れないしな」

 

 あの街にはボールスより上の奴もやっては来るが、それでも顔役は彼奴だ。当然色々と話は入って来る。

 アルフリッグ達も異論は無いのか同行してくれる事になったんだが……。

 

 

 

「おーおー。話には聞いちゃいたがウジャウジャ蠢いてやがる。まるででかい石を除けたら虫が大量に居るみたいな感じだ」

 

 ボールスから得たのは三十階層の異変。本来なら広い範囲にバラけているモンスターが狭い範囲に密集して、Lv4でも油断したら圧し潰されて終わりだな。

 

 少し離れた所から観察して見ていると少しばかり見えて来る物がある。同じ方向に向かっているんだよな、コイツら。

 

 つまり向かっている方向か反対側に何かがあるとなるが、それはそうと連想した光景を前にして呟けばガリバー兄弟はしかめっ面だ。

 

「黙れ、馬鹿」

 

「想像しただろ、アホ」

 

「第一級冒険者だろうと気持ち悪い物は気持ち悪いんだよ、ボケ」

 

「童貞」

 

 何だよー。貧乏だった頃は貴重なたんぱく質だったんだからな? 枝に刺して炙るんだが、時々塩を振り掛けたり油で揚げるのがご馳走だったんだ。

 

 それと童貞童貞連呼するんじゃねえよ、コラ!

 

「それでどうしますか? 怪物の宴(モンスターパーティ)が連鎖的に起きた可能性も有りますが、最近はダンジョンの様子がおかしいですからね」

 

 喋るモンスターに人の姿をしたモンスター、どれもザルドすら知らなかった話。すっかり既知に溢れだしたと思いきや、甘いとばかりにダンジョンも進化してるって事か?

 

 此処は無視して深層に行っても良いんだが、深層で同じ事が起きた時に原因を知っていれば対処も可能だ。

 

「喋るモンスターだの人の姿をしたモンスターだの最近はダンジョンも大忙しだ。これで過労死でもしたら俺達は飯の食い上げだな」

 

「喋るモンスター?」

 

「え?」

 

「え?」

 

 何だよ、その初耳ですって反応。オッタルの奴、謹慎開けてホームに帰ったんだから情報共有とかしてないのか? してない? そもそもフレイヤ様に関する事以外で召集に応じる気もないと。

 

そっか……うん。彼奴、マジで人望無いんだな。

 

「皆様、どうせなので魔法の練習台にして良いですか? 【私は願いを叶えた魔女 勇猛なる獅子、知恵有る案山子、心持つ木こりの人形 さあ、与えた物に報いなさい】、オーズ・ア・ウィッチ」

 

 問い掛けはするが返答を待たずに詠唱を始めたリリルカが取り出したのは魔石と神血の入った小瓶が三本。

 それを地面に叩き付けると地面に広がった神血が膨れ上がった。

 

 やがて姿を見せたのは三体のモンスターらしき存在。それの先頭に立ったリリルカは指を前方へと突き出して叫ぶ。

 

 

「さあ、蹂躙しま…って、コラー!!」

 

 そして指示を最後まで聞かずに三体はモンスターの群れの中へと正面から飛び込んでいった。

 

 

 

「もう少し指揮能力があれば良いんだけれど、盤面と動きを頭の中でちゃんと組み立てないと駄目なんだそうだ。一回毎に魔石と神血が必要だし、半日のインターバルも有る上に出している間は精神力を消耗し続ける。強くはあるんだがな……」

 

「成る程な。使い辛いって口にする訳だ。あーあ、本人もモーニングスター振り回しながら突貫しているし……」

 

 【シンダー・エラー】でモーニングスターを枝分かれした棘の鞭に変えてモンスターを引き裂き、お供の三体は時折統率の取れた動きをするが直ぐに暴れるだけへと戻っている。

 

「困った。指揮官としての勉強とか俺もしてねえ。二人して突っ込んでばっかりだし。……それにしても暇だな」

 

 ありゃ俺達が手出ししなくても周囲のモンスターは一網打尽だろうし、下手すれば巻き込まれる。

 精神力の枯渇が起きないかだけ注意して観察するか。

 

「そうだ。ベル・クラネルとかいう新米の好みをシル様が気にしていてな。聞き出して欲しいと命じられた」

 

 えー、好きになった奴も聞いてるが流石にプライベートな事だしペラペラ話すのはマナー違反な気がするし、そっちだって秘密を平気で話す奴を信用出来ないだろ?

 

 じゃあ、知ってる奴で似ているのを教えろ? それなら……。

 

 

 

「ヘディンだな。彼奴が女だったら好みど真ん中だ」

 

「金髪に長髪で年上……【剣姫】か」

 

「いや、年上でエルフで長髪の【九魔姫】じゃないか?」

 

「年上で眼鏡でエルフなら確かギルドのアドバイザーにハーフエルフが……」

 

「【疾風】が眼鏡以外は同じだな。酒場のは髪以外は当てはまるぞ……」

 

 何か勘違いっつーか惜しい所で推理が外れちまっているが黙ってよっと。俺はちゃんと教えたし? 後は四人がどう伝えるかってだけだし……。

 

 

 

 

 

 




【オーズ・ア・ウィッチ】
・召喚魔法

 詠唱式・ 【私は願いを叶えた魔女 勇猛なる獅子、知恵有る案山子、心持つ木こりの人形 さあ、与えた物に報いなさい】

・【?・?・?】を召喚する。詠唱を省略する事で召喚数を変化させられる

・発動には魔石と神血が必要

・複雑な指令は常に脳内で行わないといけない

・召喚した三体は神血の持ち主から恩恵を受けた扱いとなり、召喚毎にステイタスが更新される

・召喚した三体は魔石を取り込む事で強化される

・強さに応じて操作難易度と消費精神力が上昇


因みに白雪姫の場合は小人サイズの冷気を放つ七体の騎士 ジャックと豆の木は植物の巨人の予定でした
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