ダンジョンに儲けを求めて何が悪い!   作:ケツアゴ

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前回異端児の扱いに関して不満な方もいるでしょう ですが私にとって異端児編は一時期ダンまちから離れる理由だったんです 自分の手でダンジョンに行って、モンスターを殺して生活費家生で強くなって、冒険の必要経費を稼いで、モンスターの体の1部を加工して装備して、それで喋るから可哀想ってのが受け入れられなくって


三話

 ファミリアのホーム、主神であるソーマ様の作業場前の門に寄り掛かりながら私は頭の中で帳簿を付けていく

 

「あの量の荷物を持っての往復だと一階層辺りが約百万ヴァリス。其処から税金が差し引かれますが……」

 

 冒険者にとってスキルや魔法の情報は秘匿にするのが原則。だから兄さんはソーマ様に口止め料を支払って団長にさえ詳細を知らせていません。

 そして魔法やスキルにお金が必要な事も当然内密なので……経費として計上出来ないんですよっ!

 

 その上、ヴァリスは金属貨幣、容易に大量製造出来る訳も無く、流れを止めては余計な恨みを買って最終的に儲けが減る方法を取っているのですが、そのせいで残高の確保を考えれば儲けはそれ程でも。

 

 更に冒険者としての諸経費や生活費を考えれば……。

 

「よし! ギルドに行くついでに甘い物でも食べましょうか」

 

 お金は使ってこそ価値を持つので、使うべき時には使えって兄さんも言っていますし、頑張っている自分にご褒美をあげても良いはずです。

 

 自分へのご褒美を頑張っていない上に、更に弱い相手から資金を出させているのが居ますけれど、あえてスルー。

 酔っ払いの横を通り過ぎるのも嫌なので窓から飛び降りれば前からやって来る団長と鉢合わせ。おっと、危ない。

 

「これは失敬しました、ザニス団長」

 

「絶対に悪いと思って無いだろう、お前」

 

 はい、ぶつかった時に汚れたら嫌だなって思っただけです。

 

 この人と私達の関係は……利害の一致? 昔は搾取される関係でしたが、今は団長として利権を確保したい酒カスとランクアップに伴い発生する責務を放棄したい銭ゲバが互いの都合で手を組んで、何かあっても知らぬ存ぜぬを貫く為に相手が何かやってるのに気が付いても干渉しない、そんな所ですね。

 

「それではギルドに用事があるので失礼します」

 

「ギルド? ああ、強制任務(ミッション)を受けていたか」

 

「ちゃんと把握していないのはどうかと思いますよ?」

 

 え? その辺だけは私達の管轄だろうって? まあ、そうですが……団長に文句言われるのは釈然としないんですよね。

 

 散々弱者を踏みつけにする運営をしているんですし、ワンマン経営の弊害って事でその程度の事は飲み込んで欲しいというか……。

 

 本気で変えようと思えば力任せにどうにでもなるのに自己都合で放置している私達に彼を非難する権利はありませんが、弱い時に踏まれていた恨みはあるので自分の事は棚上げにして彼は嫌いです。

 

 まあ、主神が駄目な方ですし、酒の販売と探索系ファミリア両方の運営が出来ているから優秀な方ではあるのでしょうが……。

 

 

 

 

「確かに依頼物の納品を確認しました。これにて依頼完了となります」

 

 ギルドに入れば周囲からの視線が気になる程に注がれますが、それは酒カス団員がお金で揉めているのが多いから仕方ないですし、別に兄さんを馬鹿にするのでなければ流します。

 

 あんな機能不全なファミリアだからこそ動き易いので所属している訳ですし?

 

「それでリリルカさん、今後の活動で何か相談する事は有りますか?」

 

 だからこそ逆に心配やら善意で接する人を前にすると気が引けてくる。幼い頃から団員として金を稼がされていた私達に比べたらギルドに関わる年月が短いこの人、エイナさん。

 酒カス共は金を稼いで酒を飲む事しか頭に無いので探索の相談なんてする向上心の欠片もありませんが、私達はギルドと関わった方が都合が良いのでアドバイザーとは関係を持っています。

 

「いえいえ、リリは兄さんの方針に従うだけですので。探索の方も無理せずに進めていますし」

 

 前の人が辞めたとかで引き継いだ彼女は善人でお節介焼き、鬱陶しいと思うか頼れると思うかは人次第なのでしょうが、リリは真面目な働き者には好感が持てますよ?

 

 どうも王族に近しい家柄らしいのにハーフエルフってだけでエルフから軽く見られるのを知った時、エルフの種族至上主義っぷりが更に強く感じられる程度にはね。

 

 あー、でもギルド長は傲慢なエルフの見本の様で実際は潔癖さを忘れて俗物になってるから手を組みやすい優秀な方って印象ですね。

 賄賂を受け取って下さるのが何よりです。これでファミリア全体は兎も角、私達兄妹への苦情をシャットアウトされるので。

 

 しかし相談……あっ!

 

「この後、ヘファイストス・ファミリアとゴブニュ・ファミリアに行った後で甘い物を食べる予定なのですが、良い店を知っていませんか?」

 

 美人だからデートにも誘われるでしょうし、アドバイザーは情報通な気がします。これは期待出来そうですよね!

 

 

 結果、同僚から誘われたフワフワのパンケーキのお店を教えてもらえました。この事によってエイナさんへの評価が上がったのですが……。

 

 

「むっ、リリルカか」

 

「いや、何やってらっしゃるんですか、タケミカヅチ様」

 

 目的地に向かう途中、じゃが丸くんの屋台で働いている神様を発見したのですが、私はちょっと呆れてしまいましたよ。

 売れ行きが芳しく無い様子だからではありません。まあ、見慣れぬ極東系の姿をした神なので近付きにくい物があるのでしょうが、親しくなれば面倒見が良い方ですよ。

 

 この神様は武神という分類に入るタケミカヅチ様、一応は私と兄さんに武器の扱いを教えて下さっているのですが……。

 

「何か急な出費でも有りましたか? それなら兄さんに言って月謝を値上げしても大丈夫ですよ?」

 

 戦災孤児の世話をして、育った子供達と孤児院の運営費を稼ぐ為にオラリオに来たものの貧乏暮らし。

 弱者と貧乏人と善人は悪人と民衆に食い物にされるとは兄さんの意見ですが、この方の姿を見ていると納得しかありません。

 

「いや、週末だけ教えを授けて他はホームで留守番というのも居心地が悪くてな。それにバイト代を稼いで彼奴達に美味い物を食わせてやりたいのだ」

 

「確か極東では、爪の垢を煎じて飲ませたい、でしたっけ? 神様は垢なんて出さないそうですが、それをさせたい気分ですよ」

 

 いや、あの方の酒は高く売れるからファミリアへの金銭的貢献具合はソーマ様の勝ちなのでしょうか?

 

 このバイト、お客さんも少ないので時給も安そうですし……。

 

「神様って全知無能なのですよね?」

 

「ああ、地上に来る際に封じて来たからな」

 

 その知能を使った稼ぎ方なんて幾らでも有るでしょうに。まあ、何かしらの理由があるのでしょうね。

 詮索は厳禁って事で先に進みましょうか。

 

 軽く挨拶をしてその場から去ろうとしたのですが、不意に背中に声が掛けられます。それも凄く心配した風の声が。

 

 

 

「噂で聞いたが、オラリオの外で買った土地の山が崩れたとか。大丈夫であったか?」

 

「え、ええ、幸い二人共五体無事ですし」

 

 あー、あの山ですか。本当に大変な目に遭いましたよね。




感想でもあったのですが、残高は銀行ではありません その辺は説明します
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