ダンジョンに儲けを求めて何が悪い!   作:ケツアゴ

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キリアですがエピメテウスに関しては無関心でも憧れも蔑みも無いです 英雄の末路の典型例 そう思ってるとだけ今は


第四十四話

「それでオリヴァスから得た情報はどうだったんだい? ウラノス」

 

「奴は大した情報を持っていなかった。先程話した堕ちた精霊を複数体集めて何かをする事は知っていたが、宝珠の胎児とやらの守護者気取りで外部の協力者とは殆ど関わらなかったらしい。用は済んだので胸の魔石は砕いておいた。何時迄も捕えてはおけん」

 

「うーん。それはちょっと残念だが、人造迷宮の入り口が十八階層のどの辺か分かったのは幸いかな? フレイヤ・ファミリアも連中を主神の敵だと認識したらしいし、後は資金提供をしている奴が誰なのか、か。その辺は俺が調べるよ。……殉教者達を操ってるタナトスの行方もな」

 

 ギルド深部・祭壇の間にて向かい合い情報を共有する二柱の神。話し合いが終わったからと出て行こうとするヘルメスだったが、不意に思い出した様子で口を開いた。

 

「そうそう、喋るモンスターについて何か知らないかい? 俺の知り合いが外で発見したらしくてね。言葉を使い複雑な情報伝達を行う怪物なんて危険だと直ぐに殺したそうなんだけれど……」

 

「……お前が欲する答えは持ち合わせていない」

 

「何かは知ってるって事か。良いや、今日はこの辺で。……久々に共犯者に会いに行ってみるかな」

 

 ヘルメスは意味深に呟くと姿を消し、ウラノスはその方向を無言で見詰めていた。

 

 

 

 

 

「ただいまー。そして寝る」

 

 アフロディーテ一行をメイルストラまで送り届ければ後は自由。わざわざ空飛ぶ船を使わずとも秒で家まで到着だ。

 出入りに必要な検問は……まあ、後で謝りゃ良いさ。

 

 船の装飾として左右に付けた翼の羽毛の一本一本まで動かす(無意味な)動きを一晩続けただけあって俺は疲れている。

 さっきダンジョンに向かう所だったベルはサポーターとしてモルド達に同行するらしいが俺は休み……でもない。

 

 今晩、仕事あるんだよ徹夜明けなのに。

 

「ちょっと兄さん。グランド・デイの打ち合わせが昼前からあるのを忘れないで下さいね。折角入ったマトモな団員を逃したらザニス団長が大変です」

 

「散々好き勝手して下の悲鳴を無視してたんだから別に良いと思うけれどな」

 

 ベヒモス討伐を祝う祭り。商業系ファミリアにとっては稼ぎ時なだけあってソーマ・ファミリアだって今回は参加予定だ。

 

 稼げないから下から奪うだけの連中を追い出して、最近漸く酒造りを団員に教える事になったタイミングで直前までの実状を知らずに酒造りが学べると勘違いしてオラリオに来ていた同業者が入団。

 

 その宣伝も兼ねて団員の造った酒を格安で売りに出すらしいんだが……。

 

「どう考えても酔っ払いが問題起こすからな。飲ませる間隔を開けたから神酒に溺れて暴れる奴が減ったが、酒でトラブルは不味い」

 

 団長なら良いがロイマンの胃に穴が開くのはちょっとな……。

 

 祭りの日は稼ぎ時、ダンジョンで稼ぐのが基本の俺達はダンジョンに行く奴が減るから祭りを楽しむ方向が良いが、ギルドによる過度な干渉が起これば団長が裏でやっていた悪事も露見しかねないとなれば……。

 

「俺達の見た目じゃ舐めて掛かるのも居るだろうし、見せしめで吹っ飛ばされる桜でも雇わねえとな」

 

 期待を裏切られたからと無関心を貫いていたアホ主神は、人間に期待しても無駄なので眷族には金を集める道具と見る事で多少関心を向ける様になった。

 側から見れば変わったんだろう、このファミリアは。

 

 まあ、過去は消えないので俺達が苦労したって事実は残り続けるんだが、どうでも良いか。

 

 

 

「それと今晩【シンダー・エラー】を貸してくれ。祭りの前にモテない女の集会ぶっ潰して来るから」

 

「詳細は聞いていますが、それだけ聞いても何があるか全然分かりませんよね」

 

 自分で言っていて何だが俺にも無理だ。意味分かんねえよ、【恋の夜宴(ラブ・サバト)】とか。

 

 

 

 

 そして夜、オラリオから少し進んだ先の湖畔に隠れる様にして建つ古城。此処でモテモテ女子になる為の儀式が行われているが、怪しいので調査し場合によっては壊滅させろってのがギルドからの依頼だ。

 

 秘密の外出時にはお馴染みの筋肉ゴリ盛りアマゾネス、通称【盗賊狩り】に変身して入団の審査を受けるべく進んだんだが……。

 

「……成る程。流石にそろそろ婚期意識し始めるも今更貞潔で誇り高い態度は崩せず、それでも行き遅れる事への焦りが募って錯乱したか」

 

「初対面で随分と失礼な物の言い方だな、アマゾネス」

 

 ……いや、まさかリューと遭遇するとはな。しかも入団審査を受ける気とか、ポンコツが進んだか? いや、無いか。

 

「同族にすら話を聞くなりドン引きされる程だ。身内が入団したのを心配した者から依頼を受けたか?」

 

 そっと見せたのはギルドからの正式な依頼書。俺以外に潜入している奴と会った時の為に持って来ていたが。まさかポンコツエルフ一号と遭遇するとは計算外だった。

 

「恋愛とは無関係過ぎて好きな相手が出来ても暴走して醜態晒すタイプの堅物だからな」

 

「おい、貴様。私に対して知った風な口振りだな。何者だ?」

 

「【銭ゲバ】をよく知る者だ、とだけ言っておこう。詮索はこの辺で止めておけ。騒げば警戒される」

 

 嘘じゃない。俺は俺を知っている。俺だからな。

 

「……成る程。彼の知り合いか」

 

「しかし若い内に結婚しておかないと余計に近付き辛くなるのを危惧しているのかと一瞬だが思ったぞ」

 

「おい、貴様。私をどの様に聞いている? 答えろ、今直ぐ……誰だっ!」

 

 少し口が滑った俺にリューがドスの効いた声で迫るものの、背後から茂みを掻き分けながら迫る気配の方向へと短剣を向ける。

 

 

 思うんだが、エルフって他種族を蛮族扱いする連中が居るけれど直ぐに暴力に走るポンコツエルフ一号こそ蛮族だよな、そもそも近付いているのがあからさまだし。

 

 つーか俺達の会話を盗み聞きしてたしな。

 

「ま、待ちなさい、リオン。私です!」

 

「【万能者(ペルセウス)】! え、えっと、その少々露出が多い服装は一体……」

 

「聞かないで下さい! お願いですから!!」

 

 そう、現れたのはアスフィ・アンドロメダ。ヘイズと並ぶ苦労人でウチの団長を含めてオラリオ三大社畜と神から呼ばれている。

 

 それが何故かアマゾネスか娼婦みたいな服装でこんな場所に……。

 

 

 

「ああ、神ヘルメスに振り回されているせいで婚期を逃しそうで焦ったか」

 

「違いますよ!?」

 

「だろうな。あの神の指示で探りに来たのだろう?」

 

 大変大変。その点、ウチのアホは特に命令しないから楽で良いわ、マジで。

 

 

 

 

 

 

「このアマゾネス、殴って良いですか?」

 

「恐らくは第一級の強さです。止めておきなさい。……余計な事を言ったキリアは殴るべきですが」




過去は悩まないが恨みは消えない
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