ダンジョンに儲けを求めて何が悪い!   作:ケツアゴ

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第四十五話

「……まあ、及第点って所ね。今後も励みなさい」

 

 あの言葉は嘘だと分かった。神酒で少し酔った女神から課された指令に従って行った即興の漫才。女神自身が事前に約束していなければソーマ・ファミリアに責任を取らせに行く程の恥辱で、二度とオラリオメリーは飲ますまいと決めて直ぐに酔い覚ましをグラスに注ぐ。

 

「酷く酔っているご様子です。お飲み下さい」

 

「えー? 今、凄く良い気分なのに。……どうせ女神らしい振る舞いをって言いたいんでしょ?」

 

「その通りです」

 

 それは普段と変わらない会話だった。フレイヤ様が自由に振る舞い、俺が諌めれば拗ねた子供の様な態度か少しウンザリした様子を見せる。

 今回は前者で唇を少し尖らせて不満を示す、それだけだ。

 

 

 

 

 

「……女神なんて辞めて何処にでも居る町娘になってしまいたいわ」

 

 だから酔い覚ましを飲む一瞬前の小さな呟き、ヘイズには聞こえない程度のその言葉を聞いたのは俺だけ。

 どうせ酔っ払って出た戯言で取り留める程でもないだろう。女神も酔っ払ってる間は何を言ったか覚えていないと仰った。

 

 ああ、だがヘルンが余計な事をしない様にヘディンには伝えておくか。あの御方の神意なら良いが、眷族が勝手に約束を反故にするなんざあっちゃならねえからな。

 

 

「にしてもくだらねえ集まりだ。気紛れにも困ったものだぜ」

 

 遠くから様子を窺えば馬鹿な雌共が集まって来る。今も……あっ?

 

 あの御方のお気に入りが来るのは別に良い。目的は大体予想が付くが、三人の中の一人は問題だ。

 余所者で大柄で筋肉質のアマゾネス。オラリオの住人じゃないと分かる理由は離れた場所からでも分かる強さ。

 第一級、しかも5じゃなくて6。

 

「ちっ!」

 

 離れた場所に潜む俺に気が付いて視線を送って来やがった。何者か知らねえが……敵対するなら容赦しねぇ。

 

 

 

 

「リオン、残念ですがその服装では潜入は難しいかと」

 

「何故ですか? 此処はその……モテたい女性の集まる場所なのですよね? 服装に何か決まりがあるのですか?」

 

「此処の教団に入るには露出の高い痴女の様な服装が必要だ。これは民族伝統の衣装だが、他の者は下着と変わらぬ露出度を耐えねばならぬ」

 

 正直、この女版オッタルを連れて行くのは不安しかなかった。親友が集会に参加しているのが不安だから来たそうだが、正直言って馬鹿に合わせるには根が真面目過ぎてポンコツを発動するのは目に見えている。

 

 なので脅して帰る様に警告したが帰る気は無いらしい。

 

「ぐっ! シルの為ならばその程度の恥辱など……。どんな生き恥でも耐えてみせる!」

 

「ねぇ、リオン? 私、その恥辱な生き恥の真っ最中で貴女の目の前にいますが?」

 

 駄目だ、先が思いやられる。

 

 

 

「所で貴女のお名前は? 【盗賊狩り】やアマゾネスでは少々呼び辛いですが」

 

「……この身に親より与えられた名は持ち合わせていない。それに私は別で動く。事態の要因と解決法は持ち合わせているからな」

 

 嘘は言っていない。親から息子としての名前は貰ったがアマゾネスとしての名前は贈られていないからな。

 逆に贈られていたら怖い。何せ妹の名付けすら俺に丸投げした程だ。

 

 

「……これは余計な事を聞いてしまったらしい。謝罪させて欲しい」

 

「その必要は無い。どうでも良い事だ」

 

 だから親に捨てられ名前さえ与えられなかった、等の勘違いをするのは向こうの勝手。そもそも有名な上級冒険者とエルフとマッチョなアマゾネスの組み合わせで入団希望しに行ったら怪しまれるわ!

 

 

 

「え、えっと入団希望の者か……でしょうか?」

 

「ああ、此処に来ればモテる秘訣を知れると聞いた」

 

 そんな訳で別行動。俺が少し威圧感を出して肩に手を置けば一般人らしい団員は一瞬ですくみ上がる。

 

「良い雄見付け放題食い放題は良し。それで入団は許可されるのか却下なのか……どっちだ?」

 

「ひぃいいいいいっ!? 許可です! 許可許可ぁ!!」

 

「感謝する。其方にも良き出会いがあらん事を……」

 

 あの二人は大丈夫なのか心配だ。主に色々ヘマをするんじゃないかって理由で。シリアスな状況には強くても馬鹿の悪ノリには弱いからな。

 

 

 

 

「貴様はあの有名な……あっ。成る程、良いだろう」

 

「その『あっ、察し』みたいな表情は何故ですか?」

 

「いや、あれだろう? 頭良い上に力も強いから男が尻込みして寄って来ず、美人なのに相手が居ないから恋愛に関心が無いと思われ多忙も重なりズルズルと婚期を……」

 

「妙に具体的!」

 

「それでそっちのエルフも……まあ、高潔なエルフとしてのイメージを守っていたら、そんな所か。エルフは実年齢が分かり辛いから教祖様の力に縋る年齢でも分からぬな」

 

「そ、そうです。私はモテたいエルフです。あー、凄くモテたいなー」

 

 

 何か面白い物を見逃した気がする。

 

 

 

 

「彼処のエルフはロキ・ファミリアの…… 成る程。大手派閥だと出会いが無いからな」

 

 潜入中、商売の際に顔を何度か見たエルフ(痴女みたいな服装)を発見し、リリルカの将来が少し心配になって来た。

 

 他派閥相手は問題があって、同派閥は命を預け合う関係に気まずさが加わる危険性。出会いを求めて来たベル、現実なんてこんな物だとさっさと知れ。

 

 ヘイズやアミッドも仕事が恋人な所があるし、俺も人の心配は出来ねえ立場だ。

 

「……にしても呪詛の気配が凄い。依頼でなければコレクションに加えるんだが……あっ」

 

 リューの目当てだろうシル発見。向こうも俺を見て一瞬驚いた後で楽しそうに微笑んでいる。おいおい、町娘の筈だろ、アンタ。正体見抜いてどうするんだよ。

 

 あー、近付いて来たし、護衛から殺気がビンビン送られてるじゃねえか。

 

「こんばんは。アナタは初参加の方ですね?」

 

「ああ、その通りだ。今晩初めて来た。それで此処には何を?」

 

「うーん、面白そうだから?」

 

「人生謳歌しているな。……友人が心配のあまり錯乱して下着の様な服装で来ているぞ」

 

「リューまで来ているんですね。そして着ているんだ」

 

 周りに怪しまれない程度に小声で会話を続けるも有力な情報はくれない。暇潰しで深入りしていないか、遊ばれているのか。

 

 

これ以上は無理だと思いつつ周囲の会話に耳を傾けるも聞こえて来るのはモテたい願望の発露ばかり。

 あれだな。俺が娼館に行って妹に知られた場合、俺がこの連中を見る目と同じ視線を向けられると。

 

 あー、ヤダヤダ。兄ちゃんは妹に尊敬されていたいんだよ。

 

 

 

 

「教本ねぇ。どう考えても例のモテない女神の残した本関連だろうが……」

 

 ブレスレットに変身させた肉削ぎが古城に入った途端に大いにはしゃいでいるのが伝わって来る。

 じゃあ、教祖の所にカチコミかまして本を奪えば良いだけだが……うん。

 

 

「もう少し様子見するか」

 

 この空間、凄く目の保養になるんだよな、右も左も露出度高い服装な上に女ばかりだと気が緩んでいる。

 正直言って眼福だ。

 

 

「じー」

 

「……何か?」

 

「いえいえ、何でもありませんよ?」

 

 あっ、やば。不味い相手に弱み握られた気分だわ。リューとかがどんな様子か見に行こうっと。

 

  

 

 

「人生謳歌してるかぁ。そう見えるんだ……」

 

 

 

 

 少し情報を仕入れ、一旦共有すべきかとリュー達の所に向かえばさっきのエルフが追加されていた。

 どうやら仲間が信者になったので連れ戻しに来たらしいが……。

 

 

「ロキ・ファミリアの団員で浮いた話は聞かないからな。年齢イコール彼氏居ない歴が殆どなのだし、引っ掛かっても仕方無いだろう」

 

「がはっ!」

 

 あっ、ダメージくらった。

 

 

 

「ええい、さっきから口が過ぎるぞ。大体、そういう貴方こそどうなのですか? 意中の男性の心を手に入れているとでも?」

 

「男には興味が無い。……女にはある」

 

「……はい?」

 

「リオン、つまり彼女は神々が言う所の百合の世界の住人で……」

 

 三人揃って俺から距離を取って行く。どうやら遊びが過ぎたか。

 

「此方の趣味嗜好は今は無関係だ。それで其方側の情報は? どうも教祖とやらが持つ教本とやらが怪しい。……惚れ薬なる物騒な話も耳にした」

 

 仮にも女神が残した本に関わるのなら非常に厄介だ。

 

 

 

 

「もう知り合い以外は気絶させて家探しした方が手っ取り早いと思うのだが」

 

 ぶっちゃけ関わりたくねぇ。

 




勢いで書いたが心境の変化の展開考え中なんだ 惚れ薬でネタやれないかな?
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