ダンジョンに儲けを求めて何が悪い!   作:ケツアゴ

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第五十一話

小人族(パルゥム)のヤバい方の兄妹】の噂を聞いた時、正直言って良い気持ちじゃなかった。最弱とか呼ばれている種族で、フィンとは違って俺と其処迄年齢が変わらないのにどんどん活躍をする癖に名声には興味が無いって風に振る舞ってるんだ。

 

 大体、あのヤバい方って事は同じ種族で第三級冒険者の俺達が平凡みてぇじゃないか。古代モンスター【アンタレス】の討伐やシャルザードの件とかフィンに続いて種族の誇りになれるだけの事だってしている癖に高利貸しやら弱みにつけ込んだボッタクリ商売とかしちゃってさ。

 

 あの若さで第一級冒険者になって活躍とそれ以上の悪評を広めているアーデ兄妹に対する同胞の反応は様々だ。

 

 フィンやガリバー兄弟みたいに種族の誇りと言う奴も居れば、あの才能で好き勝手に振る舞う事で種族を貶めてるって嫌う奴だっている。

 

 メリルの奴は普通に憧れてるし、サポーターの募集に勇気出して応募しっちゃうとか困ったもんだよ。

 

 しかも【銭ゲバ】の奴、俺達は一切モンスターの相手をしなくて大丈夫だからサポーターに専念しろって言って来るし。

 

 ……だから何かヘマを見付けて粗探しをしてやろうとか力を見せて見返してやろうとか思ってたよ。その気持ちの大元が嫉妬だってのは分かってたけれど悔しいだろ。

 

 俺達だって上級冒険者なのに一切期待されて無いとかさ。

 

 そんな気持ちは直ぐに霧散したんだけれどな。凄かった、嫉妬なんかする気が起きない程に。俺達がモンスターを認識して動こうとした時には黄金の矢で仕留めていて、結構な頻度でモンスターに遭遇したし、レアモンスターの位置が分かってるみてぇに動き回ったのに一体も倒してないんだぜ?

 

 見てるだけで心がざわついた。同じ最弱種族だってのに同年代で此処迄やれるんだって。戦っては無いけれど妙に調子が良いし、何時か絶対に俺もあんな風に……。

 

 

 

「アンタが【勇者(ブレイバー)】か。どうだい? この後で私と楽しもうじゃないか」

 

 あのアマゾネス、マジで自由だな……。

 

「あはは……。遠慮させてもらうよ。これでも立場がある身なんでね」

 

「おい糞メス! 団長に色目使ってんじゃねえぞ、コラァ!! そっちの連中も同じ事しようってんじゃねぇだろうな」

 

おおいっ!? 巻き込まれたんだけれど!?

 

 助けてくれと【銭ゲバ】に視線を向ければ露骨に逸らされた。駄目だ、此奴! 俺は俺なりの強さを目指さないと! こんなのを目指したら駄目になる!

 

「悪いがサポーターを守りながらってのも課題の一つなんで手を出すなら俺が相手をするぞ? アイシャ、テメェもこの二人の関係性程度知ってんだろ。オッタルがランクアップして神イシュタルが不機嫌だろうから揉め事増やすなっての」

 

 呆れつつ嗜める様なその言葉が聞こえた瞬間、【勇者】達の空気が切り替わった。

 

 

 

 

 

「……そうか。ダンジョンに籠ってたから情報が入らなかったけれど、これは急いで帰った方が良さそうだね」

 

「えー!? 負けてられないしもう一回潜ろーよ」

 

 そうだな、帰れ帰れ。

 

 二大派閥のパワーバランスが崩れかねない情報を前にフィンが決めたのは本拠地での方針決定と浮き足立ってるだろう団員の統制って所だろう。

 物資不足で撤退、アイズだけはもう少し残りたがってリヴェリアがお供に残ったのはサポーターが持っている荷物の様子から簡単に推察出来た。

 

「だから物資が無いって言ったでしょ! それに今の状況で幹部がゴソッと抜けてたら駄目に決まってるじゃない、馬鹿ティオナ!」

 

「だ〜け〜ど〜さ〜! あの子の戦う様子見ちゃって燃えてるし……あっ! キリア、物資の配達とかって……」

 

「無理だな。生憎弓の訓練で忙しいから商売は一時休業だ」

 

 叱られても不満顔で駄々を捏ねていたティオナの依頼を普段なら請け負っていただろう。このまま地上に戻って物資を整えて上層から潜り直すより普段よりも値を上乗せした価格で手に入れた方がどっちにも得だ。

 

 そもそも二人だけ残して帰還ってのも納得していない様子。だが、無理だ。俺の都合が付かない。

 

「えぇ!? キリアが商売休みにしちゃうって、まさかリリルカに何かあったの!?」

 

「ちょっとオリンピアの方で必要になってな」

 

「オリンピア!? まさかエピメテウスとかで有名なあのオリンピア!? キリア、オリンピアに行くの!?」

 

 少しばかり口が滑ったが、これはこれで良かったか?

 

 あのまま駄々を捏ねられるよりは話題を逸らせた方が得だ。英雄譚が好きなティオナは大きく食い付いたし、他の面々もオリンピアの名前に興味を示したみたいだが話さなくて良いな、うん。

 

 

「良いな良いなー! ねぇねぇ、何でキリアがオリンピアに行くの?」

 

「ゼウスとプロメテウスの尻を拭く手伝いに行くだけだ。これ以上は話す気は無い」

 

「話してくれても良いじゃん、ケチー。まっ、良いや。行って帰って来たらどんな所か聞かせてね」

 

 アイズの奴もこの位の切り替えが出来りゃ良いんだがな。

 

 オリンピアに行く経緯について聞きたいままの様子だが聞けない不満ではなくワクワクした感じで今から土産話が楽しみだって感じだ。

 

 

「オリンピア……」

 

 こっちのポンコツエルフの方は詳しく話が聞きたそうだがエルフ特有の堅物さで聞き出す事に躊躇いがある模様。

 団長の責務や一族の英雄になる為に行動制限掛けまくりのフィンもそうだが、自縛ってのは面倒だ。

 

 俺なんか兄である事以外には特に無くって自由だぜ。イエーイ!

 

「まっ、聖火に関しては主神が教えてくれるだろうさ。ほら、休憩は終わりだ。働け働け。時は金なりってな」

 

 しかしアイズの奴、どんな無茶してるのやら。うん? 確かウダイオスの出現時期ってそろそろ……。

 

 

 

「あの馬鹿、まさか階層主にタイマン張ってるとかはねえよな?」

 

「そ、そんな馬鹿な真似、幾らアイズさん…でもしません……と思います…多分」

 

 変な方向で信頼有るな、あの馬鹿。

 

 

「仮に彼奴だけランクを倍にまで上げたとしても、それだけじゃダンジョンの完全攻略も厄災の討伐も無理だろうによ。なーんで自分が自分がってなってんだか、あの馬鹿」

 

「そう…ですよね。私がもっと強かったらアイズさんだって頼って下さるのに」

 

  あーあー、落ち込んでるよ、このポンコツ。

 

 

「グダグダ言ってる暇有ったら魔法詠唱の一つでもして魔力のステイタス上げつつモンスターに殴りかかって他も上げてろ。何時か、とか、だったら、なーんて無意味なんだからよ」

 

 どうもロキ・ファミリアの所の連中は迷うよな。オッタル達なんてアレン以外は全然迷わねえってのによ。

 

 

 

 口から出るものは無料とはいえ、柄にもなく説教じみた事してるよ、俺。元手が無料だろうが金には変えられるだろうにな。

 

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