ダンジョンに儲けを求めて何が悪い!   作:ケツアゴ

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第六十一話

「新たに入団したエピメテウスだ。よろしく頼む、団長」

 

「え? エピメ……あっ! オリンピア出身なら子孫だったり……」

 

「本人だ」

 

「ええ!?」

 

「ちょっと待って!? それ秘密だろ!?」

 

「そうだったか。今の無し。エピメテウスの子孫のエトンだ」

 

「今の無し!?」

 

 

 

 

 

 ヘファイストス・ファミリアが用意している団員用の鍛冶場、今は空いているその場所にてヘファイストス様とゴブニュ様が炉の中で燃え盛る炎、それと炎に包まれた黄金を前に顔を見合わせていた。

 

「聖火ね」

 

「聖火だな」

 

 何か黄金が聖火を宿していた。総量は大幅に減ったものの、破壊力が桁違いに上昇した他、任意で破壊じゃなく強化にも使えるらしい。本来の威力に比べれば大きく劣るとはエピメテウスが言っていたが、消耗も二桁違う上に厄ネタでしかねえ。

 

 デミアルカナム、要するに擬似的な神の力だ。面白がられるのも警戒されて狙われるのも容易に頭に浮かぶ。

 

 

「取り敢えず聖火で何か打ってみたいわね」

 

「料金は要らん。何が欲しい?」

 

「……妹とお揃いの防具」

 

 早速訪れた面倒事。職人の目を輝かして俺を見る二柱からは有無を言わせない物がある。ならば貰える物は貰ってしまえば良いんだが、目立つんだろうな……。

 

 この事を知っているのは目の前の二柱以外にはエピメテウスとヘディン達。必然的にフレイヤ様にも伝わるが、口止めを進言するとは言ってくれた。

 

 あの女神が面白がって動く可能性は大きいが……エピメテウスが本物のエピメテウスだって方が注目浴びそうだから生け贄には丁度良いだろう。

 

 あーあ、神の前では使わねえ方が良さそうだな。

 

「そう言えばそろそろ神会(ディナトゥス)よね。二つ名が最初から変わらないけれど、ソーマだってそろそろ出席して反論するんじゃない?」

 

「多分行かないだろうし、二つ名とかどうでも良いので……」

 

 身内はそれで呼ばないし、敵に侮られている方が都合が良いからな。逆に仰々しい方が困り事が多そうだ……。

 

 

 

 

「第ウン千回は神会(ディナトゥス)ー! 司会はこのウチ、ロキがすんでー! そんな訳で情報交換や。何かあるか?」

 

「ラキアが怪しい動きをしているらしい」

 

「どうせ今回も謎の二人組(笑)に身ぐるみ剥がされて終わりだろ」

 

「はい、この話題終了」

 

「ソーマの所で酒造の職人を育成してるってよ。スパイは団長が弾いているらしい」

 

「あの過労団長ね。第三級だから侮られがちだけれど運営能力は高いよな」

 

「そもそも主神の仕事じゃね? まあ、ソーマだから無理だろうけれど」

 

 出される会話は半分悪ふざけ混じりの物が多く、真面目な話は直ぐに終わる。そうして少々グダグダしつつも会は進み、メインである二つ名の決定が行われる流れとなった。

 

 力あるファミリアは余裕の表情、新参や弱小は阿鼻叫喚。神からすれば痛々しい名を眷属が誇らしげに名乗る未来が待っている。

 

「あー、次はソーマん所やけれど……今回も欠席かいな。キリアがLv.6、リリたんの方はLv.3やろ?」

 

「ソーマだしな。それで二つ名どうする? 兄の方はそのままで良い気がするっつーか、それ以外が似合わないだろ」

 

「アンタレス討伐とかオリンピアの件とか功績は凄いんだけれどな」

 

「ソーマの眷属じゃなけりゃ今頃英雄だったかもと思うし、ソーマの所だからこそ今の執念があるとも言えるし」

 

「アポロンが悪い癖以外の理由で引き抜きに掛かった程だからな。裏工作で上回れてボロ負けしたけれど」

 

「じゃあ、妹の方は……うん、怖いから悪ふざけは止めておこう。あのシスコン、妹が関わると本当に怖いから」

 

「そもそもフレイヤ様の所の幹部と仲良いからな」

 

「じゃあ次はフレイヤ様の所だけれど……」

 

「変更しなくて良いわよ」

 

「ですよねー」

 

 こうして次々に二つ名が決まって行き、遂にヘスティアの番がやって来た。

 

 

「聖火の件はご苦労さん。でも命名式は別やからな。えっと、先ずはオリンピアからスカウトして来たエトン……やったか? Lvの方は3かいな」

 

 無論虚偽だ。神が降臨する前から生き、恩恵を受けても戦い続けたエピメテウスがその程度の訳が無いが、事情を知る神の間で口裏合わせが既にされている。

 

 地上を守り続けた英雄への礼節、ヘファイストスやフレイヤが今後のオリンピアとの関係も考えろと進言した結果、付けられたのは【聖火】。

 

「んで最後はベル・クラネル。所要期間は最速記録更新かいな。……いや、まあキリアの奴に色々連れ回されたみたいやしな」

 

「例の食人花にゴライアス、中層も経験して最後は第三級三人とブラッドザウルス撃破」

 

「まあ、上がっていても不思議じゃないっつうか、生きてる方が不思議な位で……」

 

 ぶっちゃけ納得しかなく、嫌疑よりも同情の方が場の空気を支配する。それはそうとふざけた案も幾つか出るが、最終的に【リトルルーキー】が与えられた。

 

 

 

「誰かに気に入られるって良いことばかりじゃないんだよなぁ」

 

 とある神の感想にその場の殆どが賛同した。

 

 

 

 

 

 

 そうして新たな団員を迎えて順風満帆、聖火の浄化に対して非公式に多額の報酬が支払われた。

 

 ホームの新調に関してはザルドから廃教会と母達の関わりを聞いているベルの心情を尊重して改築ではなく物件の購入か新築の方針にして、装備も防具を追加で購入する……予定だった。

 

 

 

『どうもー。借金の取り立てに参りましたー!』

 

『大金入ったんだろ? じゃあ取り立てるわ』

 

 悲しいかな、所詮は多額の債務を抱えた身。良い笑顔(フル装備)でやって来た債権者に敵う筈も無く、教会の壊れた所を修繕する資材費すら残らない。

 

 

 

「私のベッドやら身の回りの品を買ってしまえば殆ど残らなかったか。我儘に付き合わせてしまって申し訳無い」

 

「気にしなくて良いよ、エピメテウス君。一から始めて今度こそ誰にも否定させない偉業を成し遂げるんだろう?」

 

「そうですよ。神様だってその条件で改宗を受け入れたんですから」

 

 神器も英雄時代に愛用した装備もオリンピアに置いて来た。愚物と呼ばれた過去との決別のつもりだったが、予想以上の貧乏っぷりに困惑気味だ。

 

 これが世界を救った女神のファミリアなのか。そしてアレが自分が倒せなかったアンタレスを討伐し、ヘスティアも救った男の姿なのかと。

 

 

「ああ、そういえばキリアからオラリオで短期に大金を得る方法を教わった。戦争遊戯(ウォーゲーム)とやらでホームを含む全財産を没収し、家賃と借金の返済として絞り続ければ良いと」

 

「あの子の意見を参考にし過ぎたら駄目だからね!? 君、実は天然ボケだろ!?」

 

「確かに不老だったから加齢でボケてはいないな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




リリルカが入団が絶望的だから 敵がパーアップしている中、このくらいしないと絶望的

指揮の才能がある賢い少女から経験 軍も率いた英雄に
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