【神狩り】や【快楽殺人鬼】だの物騒な呼ばれ方をされるアタシちゃん、一言言うぜ片腹痛い! と言いたいな。
アタシちゃんは殺しが好きだけれど、それだけじゃないんだ。言うならばトレジャーハンターって所かな?
アタシちゃんの生まれは小さな村。黒龍の鱗のお陰でモンスターに襲われる事も無いし、それを狙った軍隊にでも襲われるんじゃね? な場所でアタシちゃんは愛されて育った。
やっぱ世の中は愛だよ愛。愛し愛され殺し合いってね。
豊かでは無かったけれどアタシちゃんは綺麗な物を見ていたから不満は無かったんだ。
誰も彼もが体の中に持っていて、成長したら燻んじゃうけれど綺麗な何か。
後にそれが魂だと知るんだけれど、自分にしか見えない物に夢中になっていたアタシちゃんは生まれたばかりの弟に目を奪われた。
凄く綺麗! 欲しい!
そう、他の魂よりも弟に魂が透明で綺麗だったから我慢出来なくなったアタシちゃんは夜中に包丁で弟の体を抉って綺麗な物を取り出そうとして……知っちゃった。死んじゃった弟のお陰で知っちゃった!
体の中の綺麗な物は触れなくて、死んだら体から抜けて、その瞬間が一番輝くんだって。
うんうん、だから仕方無いよね? 長く生きて輝きが悪くなった大好きな両親の魂が綺麗になる瞬間を見たいって思っても。
両手に刃物を持って狩りの獲物の血抜きをするみたいに両親の首を切り裂いて、温かい血を浴びながら両親の魂が抜けて輝く瞬間、今まで以上に二人が好きになっちゃった。
やべぇ、アタシちゃんの家族最高だ。
「流石にやべーよね? 二人が居ないと……うーん」
未だアタシちゃんは食べさせて貰ってる立場だし、村の中じゃ食い扶持に困る。だから村から出る事にした。
「ギキィ!?」
「ふむふむ、こうやって切れば楽だね、貫くレバー」
黒龍の気配が薄まる場所まで来た時、初めて目にしたモンスターはゴブリンだった。
なのに分かった殺し方! 向こうが私を殺す方法も分かったから攻撃は避けられて、どう切れば効率良く殺せるかって直感に従い切り刻む。
モンスターの魂だって出ていく瞬間は綺麗だったし、村を出て良かったよ。
これも弟の魂が透明で綺麗だったからだよ。あの子をアタシちゃんの弟にしてくれて有り難う神様! 凄く嬉しい!
野を超え山を越え、モンスター達を避けて進んで進んで、アタシちゃんは神様と出会った。
名前は……そう、ラシャプ! ラシャプちゃん様!
子供の姿をしていたから抱っこしやすいし、殺戮大好きだから気が合っちゃった。
数年後に面倒見切れないからって追放されたけれど恩恵だってくれたし、ステイタスを得た瞬間に発展系アビリティを三つも手に入れちゃった。
【禁忌】【殺戮】【凶刃】 それと今も使っている凄く便利な魔法。
あれかな? 神様を送還する際に魂の輝きが見えるかもって思ったら矢も盾も堪らず、交渉に来た他の邪神? を蹴り飛ばして両手の剣で滅多刺し! 滅多に出来ない神殺し! いや、アタシちゃんでも神様ぶっ殺は無理だけれどさ。
それで怒った眷属が健気で泣いちゃうよ。だってステイタスが封印されたのに向かって来るんだよ? だから皆揃って天界に送ってあげたんだ。
アタシちゃんの相棒だった肉削ぎと骨断ちも相手の団長を殺したら懐かれちゃって可愛いの!
「分かる分かる! 汚れた魂が転生で洗浄される姿は素晴らしいんだ。人間はもっと死ぬべきだよ」
「タナトスちゃん様とアタシちゃんは意気投合!」
「「いえーい!」」
綺麗な物が見たくって各地で神や人やついでにモンスターをずんばらりんしてた時、掛けて来たのさ、神が声をね!
タナトスちゃん様、実はアタシちゃんの初のお友達!
それから闇派閥に入って、派閥間で揉めたら相手側の主神ぶっ刺しまくりの相手側はお先真っ暗コース。ダンジョン内部や戦闘中に急に消えたから大勢ぶっ殺されちゃって愉快愉快。
【静寂】には殺されかけたけれどギリギリ生き残って、オラリオ側の神様も大勢送還して輝きを沢山見れたから死んでも満足だったよね。
まあ、生き返った訳だけれど。
あっ、でも不満があるんだ。アタシちゃんが案として出した転生先の管理権限を利用した自爆特攻作戦を爆笑で受け入れてくれたのタナトスちゃん様だけだったよ、チクショー! 薄情!
なのでランクアップで手に入れた【爆薬】を利用した高性能爆弾はアタシちゃんの独占なのさ!
人の心とか無いとか邪神一同の意見です、偏見デス!
「生き…返った……? 馬鹿な! そんな事がある筈が無い!」
そんな訳で現在何度目かの人生満喫中。偶々出会ったヘルメスちゃん様に生きてる理由を教えりゃ絶句してるよ、なんでだろ?
「おいおい、ヘルメスちゃん様ったら現実逃避は良くないぜ? 豆腐していいのは堅実さだけだよ。だって不真面目に生きるのは超楽しいし」
酷いよね! 団長やってた子を刻んで殺したけれど、ちゃんと首だけはホームへシュゥゥゥト! 超エキサイティング!! してあげたのにさ。
同じ方法で一部を返してあげた先は沢山あって、そんなアタシちゃんを疑うなんて人でなし! 当然! 普通! 疑わない方がおかしい!
「嘘だ何故だと言われたからには教えてあげるが世の道理! 娯楽の終わりを防ぐ為! 愉悦な日々を守る為! 血と殺戮を貫くキュートでバイオレンスな殺人鬼のアタシちゃんの魔法は【パラサイト・ラブ】。死んだ時に愛した相手の魂を自分の魂に作り替えるのです!」
アタシちゃんはこの世の全て遠愛してるから制限なんて無いのと同じ。魂が体に馴染むまで肉体がそのままとか使う度に魂が穢れるとか説明があったけれど、殺し殺され生き返って殺し続ける人生って素晴らしいと思わない?
「….成る程。どうやら貴女は存在してはいけないらしい」
「えー? リューちゃん、酷くない? 自分だって殺人鬼の癖にさ。百万人殺せば殺人で、百人殺せば英雄? 酷いや酷いや横暴だ! アストレイアちゃん様は偽善の神だー!」
私の魔法の説明を聞いて一歩踏み出すリューちゃん。もー! お仲間を死なない程度に痛め付けて、目の前で誘い出すのに使った子供を刻んだのを恨んでるのかな?
うーん、未だ馴染みきっていないから今は精々Lv.3だし、4のリューちゃんは格上だから勝てないよ。
「何…だ……」
モチのロンのモチ肌地獄。急に感じる猛烈な脱力感にリューちゃんの動きが鈍る中、突然声が響いた。
「【ファイアボルト】!」
おや? おんやぁああああああ? 綺麗な魂の持ち主みっけ!
頭のおかしいキャラって書くの楽しい