「先程はめいr…門番が失礼いたしました。」
凄かったなぁ、瞬間移動してナイフを首元に突きつけてたんだから。
自分がされる側でなくて本当良かった、まだ死にたくないもん。
「失礼ですが、お名前を教えていただければ。」
星月「稲魂 星月。これでも研究者をやらせてもらってる。」
このメイドの格好した人は『十六夜 咲夜』というらしく、さっきの瞬間移動は『時を止める程度の能力』によるものだとか。
程度って何?
咲夜「稲魂…」
星月「どう呼んでくれようとも構わないさ、私の研究の妨げになるような要素は入っていないからね。」
まあ一個だけ入るけど大したモノでもない。
咲夜「そうですか、では『稲魂さん』と呼ばせて頂きます。」
知れば知るほど奥が深い。
能力とやらのこと。
さっきの門番のこと。
館のこと。
館の主のこと。
そして、目の前の咲夜氏のこと。
一体まとめるだけで何ページのレポートが完成するだろうか。
能力については幻想郷でなくとも私が元いた場所では2割くらいの人が持っていた。
ただ幻想郷ではかなり特殊で、妖怪と呼ばれる種族や神、妖精はほぼ全員が能力を持っているのに対し人間は能力を持つ者はほとんどいない。
そうなれば自ずと力のある妖怪サイドは力のない人間を襲ってしまう。
そこで幻想郷の主人『八雲 紫』が考えだしたのが『スペルカードルール』というもの。
スペルカードルールとはカードに名前が書いてあり、それを叫ぶことで弾幕という…なんというか『気弾』を大量発射し、美しさを競うモノなのだとか。
美しさを競うため、物理的な力の差は無くなり、人間は喰われることもない、ハッピーエンドである。
ちなみにさっき咲夜氏のスペルカードを一つ見せて頂いた。
怖すぎんだろあれ。何あのナイフの本数、当たったらミンチ確定コースじゃないですか。
というわけでもなく、スペルカードには『人を殺せる威力のある弾幕を作ってはならない』という法があるらしく、当たっても「ちょっと痛い」程度にしかならないのだそう。
星月「スペルカード…確かにこれなら平等で公平な舞台で勝負ができる。」
咲夜「しかしそれを良しとしない妖怪もいらっしゃいます。そういう輩は『こう』です。」
咲夜氏はナイフを手にし力いっぱい振り下ろした。
なるほど、仮に暴れられ危害を加えられても困るから殺してしまおうと。
咲夜「大体幻想郷の仕組みは分かっていただけたでしょうか?この次の扉がお嬢様のいらっしゃるお部屋です。くれぐれも無礼のないよう。」
時間停止のできるメイド。
これがメイドなら主はどんな能力を持っているのか。
ああ、この非日常的な感覚が楽しみでしかない。