私を天使と呼ばないで!?   作:BD

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わたなれハマったけど二次創作あんまりないから自給自足の精神。


話しかけて欲しいだけなんだけど……

 学校について、昇降口に行く時は、いつも足取りが重くなる。

 学校が嫌とかそんなのじゃない。ただ、私の生活サイクル上当然なのか、私が登校する時間はどうしたって人が多い。

 時間をずらしてみてもそれは変わらないからもう諦めてるけど、それが苦手だ。

 

 うぅ……今日も多いよぅ……

 

 靴を履き替えて、廊下に出る。

 背後から、ひそひそとした声が流れてくる。

 

「天音さん……やっぱ天使だよね」

「分かる。高嶺の花感がすごいよね……正直話しかけづらい……て言うか私ら如きが話しかけていい存在じゃないんだよ」

 

 話しかけてきて!? ウェルカムだよ! あ、待って。やっぱ無理。心の準備ができたら話しかけて! よし……! 心の準備できた!

 

 さあ! 話しかけてこい! そんな意志を持って、さっき話してた人たちの方に優しく笑いかける。

 すると、彼女たちは一斉に目を逸らしやがった。

 

 これが一番きつい……! もしかしたら口ではああ言ってるけど嫌われてるのかな……

 

「ほんと綺麗だよね」

「すごい綺麗な声って噂だよ! 聞いたことないけど……」

「癒されるんだってね」

 

 遠巻きに噂されるだけで、近くにはいけない。話しかけてもくれない。

 

 私ただ友達が欲しいだけなんだけど。

 

 毎日毎日、背中に視線を受けながら教室に向かうのは本当にきつい。朝のこの段階で、すでにHPはレッドラインだよ!

 

 まだ時間あるし、少し寝よう。

 

 教室に着くとすぐに、私は机に突っ伏して睡眠の姿勢をとる。

 だんだん微睡んできて、もう少しで睡眠に入れそうだと言う時に、私に声がかけられた。

 

「おはよう、はすみちゃん」

 

「せ、瀬名さん、お、おはよう! ……ございます……」

 

「敬語なんていらないよ〜」

 

 私に話しかけてきてくれたのは、瀬名紫陽花さん。

 

 王塚真唯グループに所属しているトップカーストの陽キャ。にも関わらず、私にも話しかけてくれる天使(本物)! 

 

 私みたいに一言でも話せば瓦解するハリボテじゃない。

 たまに1ーAには天使が二人いるとか言われて、紫陽花さんと私の名前があげられるけど、正直やめて欲しい。

 

 烏滸がましすぎて死にたくなるから!?

 

 その後も、私は持ちうる手駒を使って必死に話す。内容? お察しだよ。

 

「きょ、今日はいい天気だね……」

 

「……今日雨だよ?」

 

 こんな感じ。

 

 基本融通の効かないテンプレしかないからね。打率は一割? ああ、そもそも母数が少ないから三割くらいはあるのかな。

 

 もっと融通聞かせればいいだろって? ここで応用的に喋れる人間なら私はこんな事してないんだよ。

 

「ふふ、はすみちゃん面白いね」

 

 そのあとは、紫陽花さんの方から話を振ってくれて、私もなんとか話を繋ぐ。

 

「あ! もうすぐホームルームだね、それじゃあ」

 

 そしてしばらく話したあと、紫陽花さんはそそくさと自分の席に戻った。

 戻った……って言っても斜め前の席なんだけどね。

 

「天使が話してた……尊い」

「やっぱりお似合いだよね、あの二人」

 

 ごめん、やめて!? 紫陽花さんに申し訳が立たないから……!

 

 うーん……寝るには微妙な時間だし……自販機行ってトイレ行って、自販機行って、別棟トイレ、っていうか黄金ルートも時間的にあまりにも厳しいし……

 

 ああ、そういえば琴さんから借りてた小説があったんだ。

 時間を潰すには丁度いいかな……

 

「おはよう、紫陽花さん、天音さん!」

 

「あ、甘織さん。お、おはよう」

 

「おはよう! れなちゃん」

 

 私の前の席に座ってる甘織さんも来たらしい。彼女も王塚真唯グループに所属してるカーストトップの陽キャ。

 

「おっはよー! れなちん、あーちゃん! はーちゃんも!」

 

「香穂ちゃん! お、おはようございます」

 

 彼女も同じく王塚真唯グループに所属してる。芦高の妹とか言われるほどにとっつきやすい女の子。私ですら普通に話せちゃうくらいなんだから、そりゃもう凄いよね……!

 

「おはよう」

 

 後ろから、凛と通った声が力強く聞こえてくる。

 王塚真唯。世界的モデルにしてこの学校のカーストトップグループ、通称セクステットのリーダー的な人。

 

 みんな挨拶を返すので、一応私も挨拶を返しておく。

 

 ――大丈夫かな……烏滸がましいとか思われてないよね!?

 

 もちろん王塚さんがそんなことを思う浅ましい人間なんて思ってない。

 そんな発想が出る私こそが浅ましいんだ……!

 

「おはよう。天音、その小説どうだったかしら?」

 

 そのすぐ後に来たのは琴紗月さん。クール系文学美少女。

 手持ち無沙汰な私が読もうとした本を貸してくれた張本人。

 

 暇だった時に本を読んでたら話しかけてくれて、そこから本を貸し借りするだけの奇妙な関係になった。

 もちろん彼女も王塚真唯グループの一人。

 

「あ、こ、これから読むところです……」

 

「そう。これ、面白かったわ。他にも何かおすすめはある?」

 

「そ、それじゃあ……明日また持ってきますね」

 

「楽しみにしてるわ」

 

 そう言って少し微笑んだ顔がもう綺麗! 

 

 まあ……と言うわけで、私は周りをカーストトップ陽キャで固められてしまった訳だ。

 

 先生、席替えはまだですかれ?

 

 ――それはそれとして……なんでセクステットなんだろう。五人ならクインテットじゃないの?

 

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