ジェンティルドンナのにぃに概念 作:おっき!!!
章はドンちゃん幼少期時代と、学園生活ドンちゃんの2章で分けております。
今回の話は学園生活編でございます。
※三人称のトレーナーの名前である〇〇を修正しました。
誤字報告大変ありがとうございます。お気に入り、感想、有り難き幸せ。これからも宜しく御願いします。
1
重苦しい空気が部屋の中を支配していた。
昼間の一件から時間が開き、現在トレーナー寮にてトレーナーとジェンティルドンナはトレーナーの支給された部屋にいた。
休み時間終了が近付いた為、涙目でトレーナーを罵倒したジェンティルドンナはトレーナー室を飛び出してそのまま教室に戻っていった。
放課後、2人きりで話したいとトレーナーがジェンティルドンナに連絡を入れ、現在に至る。
ヴィルシーナにはしっかり説明すると言ったトレーナーだが、明らかな不機嫌であるジェンティルドンナに、なんと声をかければいいのか本人を前にして萎縮してしまう。
耳は後ろに反り返り、しっぽはボスボスと座るソファの上に叩きつけられており、いつそれが爆発するか分かったものではない。
トレーナーがこうして怖気付いているのも、多分ジェンティルドンナの不機嫌さに拍車をかけているとは思うのだが、きっとトレーナーが気付くことは無いのだろう。
沈黙だけが支配する部屋の中で、動いたのはやはりトレーナーの方だった。
「……ドンナ。まずは謝罪させてくれ。貴方に黙って、俺は別に生徒を担当契約をしてしまった。本当にごめんなさい」
「……」
誠心誠意頭を下げるトレーナー。土下座も考えたが、近年土下座は相手への謝罪の受け入れの強制を強いるような行為とされているので、誠心誠意を込めて、頭を下げるだけに留める。
ジェンティルドンナは、そんなトレーナーを相変わらず冷たい目で見つめている。
「……違うでしょう?」
「……え?な、何がかな……?」
「……今、2人っきりよ」
「……いや、これはお巫山戯とかそう言うの抜きにしたちゃんとした謝罪なんだけど……」
「は?何か文句でもあるの?」
「いいやなんでもないよドンちゃんっ」
ジェンティルドンナのひと睨みでトレーナーは更に萎縮する。デフォルト作画のように小さくなってしまった。
心底つまらなさそうに、自身のもみあげをくるくると指で弄り始めるジェンティルドンナ。ため息を吐く彼女は、そっと立ち上がると、頭を下げるトレーナーの隣に音も無く座った。
「……
しかし、と彼女は言葉を区切る。
「貴方の人生にとやかく言う気はありませんが、少々勝手が過ぎるのではなくて?これでは私が独りよがりでお兄様に一方的な感情を向けている道化と同じでは━━━「━━━━━そんなことは無い!!」っ」
「勝手をした事は謝るっ。確かに俺が悪かった。でも、俺はジェンティルドンナと言うウマ娘の事を軽んじろうとしたことは無い!!確かに、今回の件はそう思われても仕方ないと思う。ドンちゃんには何を言われようと、俺はそれを重んじて受け止める責任がある。言い訳はしない。本当にごめんなさいっ!!」
「……はぁ、仕方ないですわね。……お兄様が理由も無く約束破るはず無いんですもの。お父様にも、ちゃんと話を聞いて上げろと釘を刺されている訳ですし」
仕方ないですわ、と彼女はトレーナーの肩を抱いて顔をあげさせた。
トレーナーの顔は心底後悔に顔を歪めている。それがおかしくって、ジェンティルドンナは思わずクスリと笑いを零す。
「……人の泣き顔見て笑うとか酷くない?」
「こちとら泣き喚きたくて仕方なくってよ?」
「本当にごめんなさいっ」
話が進まないと、ジェンティルドンナはトレーナーの顔を両手で抑えて無理やり視線を合わせる。ウマ娘、特にジェンティルドンナのパワーに成人男性が敵うはずもなく、トレーナーはジェンティルドンナに身を委ねるのであった。
「言い訳はしないとは言いましたが、私も鬼ではありません。お父様には理由をお伝えしているのでしょう?私には話せないのかしら?」
「……いや、話せない事も無いけど」
「でしたら話してくださいな。私、このままじゃお兄様の事を信用出来なくなってしまいますわ」
よよよと泣き崩れる真似をするジェンティルドンナ。
観念したトレーナーは、少しずつだが今までの学園生活を踏まえて、言葉を放っていく。
「俺がサブトレ時代に先生から言われたんだけど━━━━━」
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「━━━━━はぁ?専属だぁ?」
よく晴れた青空の元、ターフを走るウマ娘達を見守りながら、高齢の男性は心底信じられないという顔でサブトレを睨んでいる。
「そりゃ何時だおめェ」
「後数年です」
「おめェはアホか。専属にこだわる必要なんてねぇだろう」
「約束したんです。あの子の力になりたいって」
「なら尚更専属なんて辞めろ。おめェには似合わねぇよ」
話は終わりだと言わんばかりに、高齢の男性、サブトレのサブトレーナー研修としてお世話になっている安国トレーナーである。
トレーナー歴40年を超える大ベテランである彼は、数多くの後輩トレーナー達を指導し、数多くのウマ娘を担当してトゥインクル・シリーズで名の知れた名トレーナーの一人と数えられる凄腕トレーナーそんなトレーナーにサブトレも見初められ、指導を受ける事となった。
しかし、急にサブトレが専属トレーナーになりたいと申し出た瞬間から、安国トレーナーはサブトレを指導したことを早まった行動であったと認識し始めることになる。
「……理由を聞かせてください」
「そもそもの話だ。専属と俺らのようなチームトレーナー、何が違う?」
「……違いですか?」
「そうだ。おめェもサブトレやらせてるからトレーナー業の過酷さは身に染みてるだろう。専属もチームもそこは変わらねぇ。何が違う」
「……ウマ娘を担当する人数、でしょうか?」
「……続けろ」
専属トレーナーとは、文字通り1人のウマ娘に対して1人で担当するトレーナーと言う解釈である。1on1でその担当専用のトレーナーであり、他のウマ娘の事は指導しないのが特徴。1人に専念出来ると言うのは、トレーナー業としては複数人を相手取るよりも何もかもを注ぎ込める為、トレーナーとしては合理的な担当形式である。
しかし、現実は厳しい。トレーナーと言う職業は毎年人員不足に陥っている。
ウマ娘に対して、トレーナーの数が圧倒的に足りていない。大ベテランであろうと、ウマ娘は常に複数人担当する。
そんな複数人担当の形式がチーム。トレセン学園での担当形式は、圧倒的にチーム形式が多い。僅か少数が専属形式。
複数人のウマ娘を指導する為に、能力も気力も必要とされる重労働である。
重ねそう説明するサブトレに、足りねぇなと安国トレーナーは言葉を区切る。
「……おめェよ、専属トレーナーがどう言う存在か知ってるか?」
「どうって、説明した通りで……」
「違ぇよ。専属の
「……トレーナー?」
「……まあ、知らなくて当然だわな。彼奴らは、
「え、パトロンって。
依頼形式。それは、ウマ娘の親元がトレーナーに対して対価を支払うことで、優先的に担当すること。依頼とは言うが、大半は名家の子飼いされたトレーナー達が専属として回されることが多い。名家メジロやシンボリと言った御家も、専属を立ててトレセン学園で指導をしている事がある。
サブトレも彼女の父親に専属とは言われたが、そういった子飼い扱いのような話は聞いていない。
「専属になるには、後ろ盾がいる。別に学園からはなんも言われんだろうが、ウマ娘ってのは、どのトレーナーが誰を担当しているかってのは事務所で調べてる奴も多い。後ろ盾がなきゃ、学園側も専属だと承認出来ないからな、ウマ娘達は人数が少ないトレーナーの元に行くから、どの道専属になる事なんぞ難しい話だぜ」
「……成程。確かにそうです」
「それによ、専属ってのは新人がなっちゃいけねぇもんだぜ」
「どういう事ですか?新人なら、ノウハウをつけるために1人に集中すべきだとは思うんですが」
「おめェの理屈は正しいよ。新人なら、余計な負荷をかけず一人に専念すべきだとは思う」
だがな、と安国トレーナーはサブトレに向かい合う。鋭い目つきがサブトレをしっかり見据えている。
「ウマ娘ってのは、常に独りだ。レースになりゃ、1人で走ってライバル達と鎬を削る。身体もひとつ、自分の事は自分でしか出来ない。だが、トレーナーも同じだ。1人のウマ娘を一人で見る。それは普通、何ら不思議では無い。だが、それはお互いに視界を狭める結果に他ならない。レースは常に周りを見渡す。トレーナーも常にウマ娘の挙動に集中しなければならない。それは、やがて慢心と共に視野の狭まりにつながる」
「ここいらで教えておこう、チームとしての強さを。それは、一人でいるからこそ分からない部分を見つめることが出来るからだ」
「分からない部分を見つめる、ですか?」
「そうだ。ウマ娘ってのは、人と同じように個体差がある。それは、覆すことの出来ない初期ステータスだ。それが大きな差となるか、それを覆す為の指標となるか、それは本人達次第だが、誰かが常に隣で走ればウマ娘達は常に対抗心を燃やし、気付けなかった自分の中の何かを引き出す事が出来るようになる」
「ウマ娘ってのは欲望に対して忠実だ。そして、レースに関してはこと更に。対抗心を燃やさせ、1番は譲らないと言う独占欲を刺激し、負けたくないという思いは、何者にも邪魔させない本人自身の芯のある強さとなる」
「ライバルならいる?違うね、常に隣で切磋琢磨する相手が必要なんだよ。青春染みてるだろうが、その結果が俺だ。俺が馬鹿みてぇに長ぇキャリアで導き出した答えだよ。俺はそうやって、ここまで来れた。これ以上の説得力、他にねぇだろ?」
「俺が指導したヤツらは全員チームを組んでる。その結果がしっかり出てる。だからおめェには専属なんて馬鹿のやることを辞めさせる義務があるんだよ。俺が指導したんだ、ちゃんと責任を取らなきゃならねぇんだからな」
「それに、トレーナーも複数人担当するって事は、しっかりとウマ娘の違いってのを理解できるようになる。自然とそういう目になるんだ。何が足りないとか、何が強いとか。比較対象があればある程、トレーナーとしての実力はあがる。専属トレーナーってのは、ある程度キャリアを持ったやつがやるビジネスの一つだ。最初からあれを目指すってのは、いつかウマ娘のことをビジネス相手としか見れなくなる」
「忙しい?知ったこっちゃねぇよ。トレーナーってのはウマ娘の為に己が生涯を捧げる為になったんだろ。だったら、生涯削って、ウマ娘の為に身を削れ。それが俺たちの役目だ。仕事じゃねぇ、役目なんだ」
「どう思うかはおめェの勝手だ。だが、俺の元にいる以上、これ以上の専属としての夢は諦めろ。俺はそういう方針だ。気の迷いだと思ったなら、そのままこの場を去れ」
サブトレにとって、それはとても衝撃であった。それと同時に、己はなんという世間知らずだったのだろうと強く後悔した。サブトレが人生を捧げようとした彼女の為、師匠である安国トレーナーの言葉を強く受止め、自分の考えが浅はかであったとサブトレはそう思った。
「いえ、俺の考え方は浅はかでした。確かに、あの子の為になるのであれば、一番彼女が輝ける土台作りをしなければならない。先生、深く感動しました」
「……はっ、そうかい。おめェがバカみてぇな考えを辞めてくれりゃそれで十分だ」
「ありがとうございます、先生。俺の見えなかった何かが、見えたような気がします」
「……じゃあ、今日の雑用はおめェに任せるとしよう。せいぜい自分の考えが浅はかだったと反省して雑用してな」
「はい!!任せてください!!」
やれやれと言った感じでその場を後にする安国トレーナーに頭を下げ、サブトレはまた一つトレーナーとしての成長を実感していた。
彼女に伝えなくてはと思いながら、彼女のライバルとなり得る存在をスカウト出来るようにと、サブトレは頭の中で思考を巡らせるのであった。
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「━━━━━と、いう経緯でね。専属と言うのは諦めたんだ」
「そう。それで、私のライバル足り得ると思ったのが、ヴィルシーナさんですの?」
「……あー、ちょっと違うというか。……いや、彼女に対してこういう事を思うのはトレーナーをやってる身としては恥ずべきことなんだけど。あ、もちろんヴィルシーナの実力は知ってるよ。彼女の走りは王道。きっとドンちゃんの強さの糧に出来ると思ってる」
「では何故言い淀んだのかしら?私には言えない事?」
「……んー、別にヴィルシーナと契約するつもりはサラサラ無かったんだ。ドンちゃんを迎え入れてから、それから君と話をしながら、ライバル足り得るウマ娘をスカウトしていこうと思っていたんだけど……」
なんとなく話が見えてきた、ジェンティルドンナはそう思った。
「二日前ぐらいかな。急に先生が、ヴィルシーナを担当しろって。元々面倒見てたんだから、そのまま継続しろって言ってきてね……」
「つまり、唐突過ぎて私に伝えられなかったと言う事ね」
「昨日会った時に言うべきだったんだけど……ほら、ドンちゃん……昨日、ね?」
「っ、私のせいだって言いたいと?」
「いやいやそんなこと言ってないけど!!本当は今日ドンちゃんに伝えるつもりだったんだけど、結局この有様で……」
昨日、入学祝いと称してジェンティルドンナの実家にお呼ばれしたトレーナー。その場でヴィルシーナが担当になったと伝えるつもりではあったが、一向に話を切り出すことが出来ず、あろう事か激甘ドンちゃんに早変わりした事で完全に伝える手段を見失ってしまう事に。
トレーナーはジェンティルドンナの父親に担当が先についたことを全ての経緯を話した上で報告し、翌日にジェンティルドンナに伝えると話した。結果がこれとはトレーナーも運がないというかなんというか。
「……事情は分かりましたわ。まあどの道、何時言われても私は貴方に怒っていたでしょうが」
「面目ないよ。でも決して、ドンちゃんが悪いわけじゃないから。切り出せなかった俺が悪い。……君には辛い思いをさせてしまった」
「構いませんわ。これから私達は本当の意味で一蓮托生。貴方の失敗も私の失敗。私の敗北は貴方の敗北。お互いに、支え合って参りましょう、お兄様?」
「……ははっ、本当に君には敵わないな。ありがとう、ドンちゃん。君の寛大な心に深く感謝するよ」
ジェンティルドンナの美しい手を取り、胸の中で包み込むトレーナー。
そんな姿を見ながら、ジェンティルドンナはふと思った。
(私の力を高めるために、考えを改めて私の輝きを引き立たせるための土台を見つける………)
「……本当に、お可愛いこと♡」
(大好きだよ、にぃに♡♡)
「?何か言った?ドンちゃん」
「いいえ、なんでもありませんわ。……それよりも、これだけ私の心を弄んだのです。それ相応の対価があっても宜しくて?」
「所望するものによるけどね……。お嬢様、私めになんでもお申し付け下さい」
「……では、今日はここに泊まります。明日は休日、トレーニングはまだでしたわね?明日の夜まで、私の事を甘やかして頂きますわ」
「うぇ!?ど、ドンちゃん流石にそれはまずいよ!!トレーナー寮に泊まるなんて……、というか外泊届けは?出さないと寮長から電話が来るよ?」
「抜かりなく。既に提出済ですわ。……あぁ、どうしましょう。同室の方には帰らないから鍵は閉めておいて構わないなんて言ってしまいましたわ。部屋の鍵も部屋の中に置きっぱなしですし……一体、私はどうすればいいんでしょうね?お・に・い・さ・ま♡」
「っ!?」
トレーナーの耳元で囁かれる。グッと我慢したトレーナーは、今回ばかりは仕方が無いと折れることになる。
持ち込んだバックには着替えやらタオルやら色々と必要な物が押し込まれているため、ハナからこのつもりで部屋に来たなとトレーナーは思った。
頗る機嫌が良くなったジェンティルドンナの姿に肩を落とすが、ジェンティルドンナの大人びても変わらないこの愛くるしさには敵わないなと苦笑いで見つめるのだった。
最近書きたいと思うのは、GIFドンナに関してとドンちゃんとのイチャイチャ新婚生活……。
皆さんGIFドンナは予約されたかな?私もヴヴヴ三姉妹と揃えたいが……金が、無いっ!!
※質問にて二人称、三人称の〇〇は読みずらいとご指摘を受けました。
そこでアンケートを取って今後二人称、三人称を使う際のにぃにの名称の固定をしたいと思います。御協力お願い致します。