ダンまちinがらんの画眉丸   作:創作初心者

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ちなみに後々明かしますが画眉丸のレベルはあんまり高くないです。
素が強いので作品のパワーバランス的にそうなるのと、ダンまちのランクアップの上位経験値とか偉業のシステム上、多分画眉丸Lv1が強化ミノタウロスとか倒したところで偉業と見なされるわけなさそう、という。
これらの都合と画眉丸が転生してきた時期も関係して、ランクアップはあんまりできてません。


第弐話

画眉丸とベルの一年半の鍛錬の日々はあっという間に過ぎていき、とうとう2人は旅立った。

向かうのは当然、英雄の街オラリオ。

かつて画眉丸も滞在し、実力を存分に振るった世界の中心。

摩訶不思議な巨大建造物――迷宮(ダンジョン)が存在する唯一の大都市である。

 

「天を衝く巨大な塔、巨大な市壁――ここが、オラリオ……」

「ワシも久しぶりだ…………………!」

 

「ベル、あれを見てみろ。」

 

何かを探すような仕草をしていた画眉丸の瞳が捉えたもの。

それはオラリオの街門に連なる長蛇の列の中、来訪者に声をかけている鎧を身につけた手練れの戦士たち。

 

即ち、それは――――

 

「あれが――()()()()()()()()()()()!」

 

都市の防衛の大部分を担う問答無用の最強ファミリアの一角、象神の派閥(ガネーシャ・ファミリア)

第一級冒険者を1()2()人保有する質実剛健の実力者集団。

 

道化の派閥(ロキ・ファミリア)美神の派閥(フレイヤ・ファミリア)のように華美・勇猛な評判こそ少ないが、画眉丸から脳に練り込むように厳しい授業を受けたベルは彼らが都市になくてはならない重要性を秘めていることを承知していた。

 

「第一級冒険者の人たち、見れますかね!?」

「流石に門兵に最精鋭は回さんだろう、よっぽど暇でもしてない限り。」

 

「…………やっぱり、そうですよねー。」

 

「まぁ、落ち着け。何故か今は混んでおるし……ワシらの番もあと半刻はさきだろう。」

「あと、1時間も…………もう目と鼻の先なのに…!」

 

妙に興奮するベルの様子に調子を狂わされる画眉丸であったが、こればっかりはどうしようもない。

急くことないだろうに……どうせ、ここで暮らしていくことになるのだから、とそんなことを思いながら目を閉じる。

 

ベルが何やらぶつぶつと喋っていたが、気にせず画眉丸は眠りについた。

 

 

 

 

『死んでも帰る、彼女の元に――っ!!』

 

 

『だから、命以外は全て懸ける。』

 

 

『おヌシも同じ…なのかと、だから……やめた。』

 

 

 

 

覚醒。

 

画眉丸が微睡の中で目にしたものは、前世の記憶。

とくに死の間際、望みを果たさんとするため魂を燃やし尽くす勢いで繰り広げた戦いの最中の追憶。

 

彼が()()()から帰ってきて以降、たまに見る夢だ。

医者のようなことを始めた巌鉄斎や中庸の極意に至った佐切などにも相談したが、解決しなかった再燃現象(フラッシュバック)

 

「見慣れた夢だ…………それに、もうそろそろか。」

 

荷車の橋に座り、足をバタバタとさせながら未だ興奮が止まらないベルの方を見る。

もう街門のすぐそこだ、市壁から5m(メドル)もない――もうすぐ順番が来る。

 

 

心底――面倒だ、と画眉丸は思う。

 

 

ベルはいい。

経歴がなく、若い14歳、冒険者志望の子供、特に問題なく都市に入れるだろう。

 

だが、自分は違う。

なにせ、かつて都市から追放された最強派閥の一員であり、(タオ)を広めた武術者だ。

姿形、経歴が割れているなど忍にはあるまじきことだが、すでに忍ではない画眉丸は過去、周囲と同じように振る舞った故に。

 

実力者の帰還となれば、都市側は警戒を解くことはできない。

過去追放された経験を持ち、恨みを抱いているかも知れない存在にとっては尚更だ。

 

ガネーシャ・ファミリアにも引退していなければ悪くない知人が何人かいるが、男神の派閥(ゼウス)の帰還となれば、ロイマンにまず報がいくだろう。保身と名声を重視する彼は、最悪の場合画眉丸を牢に入れかねない。

 

 

それで最強の忍が止まるかどうかは……さておき。

 

 

別に隠れて都市に入ってもいいのだが、それはそれでベルの隣人として在るには不都合。

 

一応、それを取り計らってくれるであろう……()()()()と連絡を取ろうとしていたのだが、上手く噛み合わずに断念。結果として、今のように正面から都市に入るしかなくなってしまったわけだ。

 

 

 

「画眉丸さーん、僕たちの番来ましたよ!」

「………………今、出る。」

 

 

 

画眉丸が、鬱屈として、どうしようかと考えを巡らせながら外に顔を見せたその時。

門兵として顔を見せたのは――――

 

 

「おヌシ……ハシャーナか!」

 

「って、あんた……まさか、ゼウスんとこの、画眉丸…………?」

 

 

15年前、度々問題を起こしていたゼウスとヘラの最強派閥。

彼らの所業は都市のど真ん中であろうと躊躇いなく行われるので、とばっちりで被害が拡大することが何度かあった。

 

暴れるような行いはしないベルの父親や画眉丸はよくその件でガネーシャとも交流があったのだ。

そのいつかどこかで、何の件で会ったのかは覚えていないが、少しだけ(タオ)指南(アドバイス)をしたようなことがあった為に2人は互いの記憶に互いのことが残っていた。

 

 

ハシャーナの顔が驚愕に染まり、ベルがきょとんと疑問を浮かべる中、

 

よし、当たりだ――と、画眉丸は心の中で喜んだ

 

 

 

 

 

 

 

かくしてベルはそのまま通常通りの通過を許され、

 

かくして画眉丸はハシャーナに連行され、彼の計らいで一刻と待たず主神ガネーシャと知己でもあるシャクティとの面会を取り付けることができ―― ――

 

 

 

 

 

 

 

「どこ行きおった、あやつ。」

 

象神の派閥(ガネーシャ・ファミリア)から釈放?解放?された画眉丸は、オラリオ内でベルを探し回っていた。

確かに自分が「先に行って、ファミリア探しでもしておけ」と言ったのだが、それはそうとして不安である。

 

しかし、画眉丸は今日一日ベルについておくことができない。

その原因は、象神の派閥(ガネーシャ・ファミリア)から早々の釈放に対する条件。

都市外から来たかつての最強派閥の一員故に課せられたそれを果たさなければいけないのだ。

 

 

象神の派閥(ガネーシャ・ファミリア)の要件、住居に食事、所属ファミリア云々とやるべきことは余るほどある。

今、こうしてベルを探す時間さえ惜しい。

 

 

「仕方ない――()()か。」

 

 

入り乱れる人の生気、感情の揺れ動きに伴い動く(タオ)の波動、夥しく広がる線画のようなそれを見分けていく。

神の恩恵(ファルナ)を受けぬ人の身で天仙と渡り合った彼だからこそ可能な離れ業。

かつての世界でもこの技を可能とするのはそう多くない、ましてこの世界ならば画眉丸を除いて可能なのはたった1()()である。

 

 

「――――――見つけた。」

 

 

建物の入り口で誰かと会話している、そうかと思えば会話は途絶えベルの気配がトボトボと街を歩き始めた。

いちいち考えずとも画眉丸にはわかる、ファミリア入りを断られたのだ。

 

体が小さく、顔は童顔、歳は14の若き少年。

声も振る舞いも純粋と未熟の言葉に尽きる彼を、まず戦闘者として求める者は少ないだろう。

 

殺気、異質さ、決意――人を魅了するそう言ったものを彼はまだ身につけれていない。

……………………そこら辺のLv1で燻っている冒険者よりかは断然強いはずだが。

 

「まぁ、出だしはこんなものだろう。甘やかしすぎるのも良くない。」

 

冒険者は荒くれ者が多い、でも恩恵も得ていない一般人を殴るほど統率が取れていないわけじゃない。

もし、そうならオラリオはとっくに崩壊しているし、秩序なんて保たれていないだろう。

 

確かに行く先々のファミリアで門前払いを受けているようだが、ファミリアとは家族――ひいては冒険者人生においてかけがえのない繋がりそのものなのだ。自分が促せば、都市最上位レベルのファミリアだろうと問答無用で加入できるだろうが、それはすべきではないと彼は感じた。

 

流れるままでは、いつか取り返しのつかないことになってしまうことを知っているから。

気づいた時にはもう遅いなんてことはざらにあるのだから。

 

 

少なくとも今は手を貸すべきではない――と。

 

 

そうと決めたなら自分がなすべきことをしなければならない。

 

 

「あやつらに会うのも久しぶりだな。」

 

 

10年以上ぶりの都市の空気に思わず物思いに耽ってしまう。

 

空は晴天、風も気持ち良い程度に吹いている。

新たな冒険と生活が時を経て始まるのだ、全く人生とは奇怪なものである――そう思って画眉丸は、()()()()()へ足を運び始めた。

 

 

 

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