終末世界で華や散るらん   作:ランハナカマキリ

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にぶんの壱

◆第一刀『ビデオ屋①』

誠音「よぉ、やってるか?」

リン「あ、誠音さん!」

トワ「ンナンナ〜!!」

誠音「例のブツ、入荷してるか?」

リン「ふっふ〜ん…独自の裏ルートで手に入れたよ?旧時代のビデオは珍しいからね〜?」

誠音「『最後の剣豪3 鬼面の刺客』よく見つけられたな…」

リン「そんなに面白い映画なの?」

誠音「……旧時代の映画は、今よりも殺陣の魅せ方が上手かった。この映画は旧時代、ホロウ誕生前の世界が舞台。脱藩した名もなき浪人が幕末の世を渡り歩きながら、名のある剣豪たちと剣を交え、道中の人々を助けながら剣の腕を上げていく物語だ。これは3作品目で、同じ船に乗った武家の娘を狙って鬼面の刺客が現れる。この刺客は主人公の生き別れの兄であった。娘との甘酸っぱい恋と兄との悲しい肉親同士の戦い。剣道のような型にとらわれず、相手を倒すための最短の軌道や、組み打ちを取り入れた激しい格闘戦が随所に組み込まれて、実戦でもこうあるべきという無駄のない殺陣は見ていて勉強にーーー」

リン「お会計はカードにする?それとも現金?」

誠音「…現金で」

 

誠音:チャンバラ映画・時代劇

 

セレッソ「失礼するわ」

トワ「ンナンナ〜!!」

本日のバイト:ビリー「お、セレーn「その名前を言ったら殺すわよ」わ、わりぃ…」

セレッソ「……ところで、『ラスト・フライト』ある?」

ビリー「あぁ、それならアッチの棚に…あっ、オレ的にはスターライトナイト特別版がおすすめだぜっ!」

セレッソ「………それじゃぁーーーそれ借りちゃおうかしら」

ビリー「まぁダメだよな……え!?マジで借りるのか!!?」

セレッソ「えぇ、久々に童心に帰りたいしーー妹とよく観てたから」

ビリー「そうか………えっと、何番目の妹だっけ?」

セレッソ「10女よ。いい加減覚えて」

ビリー「12人分のビデオの好みなんて覚えられねぇって!!?」

 

セレッソ:12人の妹の趣味の映画、本人はラブロマンスが好き

 

ハヤテ「邪魔するぜ」

トワ「ンナンナ〜!!」

リン「いらっしゃ〜い!どんなビデオをお求めで?」

ハヤテ「そうだな……お、これいいな!!」

リン「それ?旧時代の映画のオマージュ作品だよ?未来からテレポートしてきたボンプが元防衛軍大佐の主人公を襲って、娘を取り返すために戦うっていう…」

ハヤテ「こいつの筋肉…限界を突破した真の漢の筋肉だ!!こうしちゃいれねぇ…俺の努力はまだまだ足りねぇ!!!」

トワ「ンナ…(お会計早くして…)」

 

ハヤテ:筋肉隆々の俳優が出てる映画(ジャンルは問わない)

 

リード『…レジからディニーをちょろまかそうとするとはさすがニコの親分でゲス』

ニコ「どわわわっっ!!!?リード!!?ち、違うわよ〜!ただ売り上げと同額になってるかディニーを数えてただけで〜!ちょ〜っとだけ眺めてただけよ〜!!」

リード『……このビデオ借りるでゲス』

ニコ「あ、どどうも〜……へ〜、アンタってコメディーもの見るのね〜!い、

意外ね〜!」

リード『自分には笑いってのが理解できないんでゲスよ。だから見たいんでゲス』

ニコ「ふ、ふ〜ん…返却期限は一週間後だから、破ったら延滞料金請求するわよ!」

リード『へい…後は、店長さんに任せるでゲス』

ニコ「へ?」アキラ・リン「「ニコ〜?表で話そうか/そっか」」

 

リード:コメディー系映画

 

◆第二刀『あだ名』

 

幕末最強の剣客集団、新撰組。

 

その幹部たちにはそれぞれに異名(あだ名)がある。

 

『神速の鬼子』沖田総司

『新撰組の狂犬』土方歳三

『孤高の嗜虐者』斎藤一

『沈黙の死神』原田左之助

 

そして……

 

佩太郎「……何だったかなぁ、ガムシンのあだ名」

『血雨』八神佩太郎

彼の趣味である自伝作りに没頭していた。

 

旧時代の歴史はほとんどが忘れ去られた今現在、仲間たちと過ごした9年近い日々…その日々を自伝として残そうとしていた。ちなみにこの自伝は匿名で出版社に送られ、『新エリー都で最も熱い小説』として話題となっている。漢たちが熱く滾り、剣と思想をぶつけ合い、時代の荒波に揉まれながらも己が"誠"を貫いた…老若男女夢中になって読んでいるのだ。

 

そんな小説ーーもとい自伝執筆にあたり、登場人物のあだ名を忘れるという大ボケをかましてしまったのだ。

 

佩太郎「何だったかな……」

 

佩太郎にとって、永倉新八は憧れの人物だ。

 

他の試衛館の面々と比べると突出した才能が無いことを自覚しており、その差を埋めて勝つために並々ならぬ努力をしていた。

「負け」の定義は「自ら負けを認めるか首と胴が離れ散ること」とするほど、自ら折れることは決してない強固な意思の持ち主。

 

『努力はいつか、天才を超える』

 

その信念に従い、数多くの壁を打ち破ってきた新八。その漢気溢れる気骨と人間性に、佩太郎は尊敬の念を抱いていたのだ。

 

…だが、言っちゃ悪いが当人の個性が他のものと比べても皆無に近いので印象は薄い。

 

佩太郎「う〜ん……」

 

黒い瘴気を纏う人面の漬物を漬けながら、佩太郎は考える。

 

佩太郎「いや、何だったか…」

 

ギャングの根城にカチコミながら、佩太郎は考える。

 

佩太郎(……確か、一度聞けば忘れられないようなあだ名だったような?)

 

そして布団の中で考えに耽るうちに、昔の出来事を思い出し始めた。

 

 

 

 

新八『佩太郎…ちょっといいか?』

佩太郎『ん?どうしたんですか?』

新八『オレだけ、異名がないだろ?歳さん*1もハジメ*2も山南さん*3も、悪口にしか思えねぇ異名しか考えねぇ…確かにオレには特徴も剣才も全くねぇ…!』

佩太郎『永倉さん…』

新八『だがっ!真の漢として、努力と鍛錬で壁を超えてきたんだ…だから、お前一人だけでいいからオレが考えたカッコいい異名で呼んでくれ!!!頼む!!!!』

佩太郎『ーーー』

新八『お願いだから何か反応して!!死にたくなるから!!』

 

 

 

 

そして、自伝にはこう書かれた。

 

『境界の突破者』永倉新八

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新八「いや嬉しいけども!?出版するのはやめろ!!!オレの黒歴史が世間に!!!!」

ハジメ「ぶっ!!!新八wwお前wwwあんな恥ずい異名ってwww」

歳三「だはははははっっ!!!今どんな気持ちだよ『✝︎境界の突破者✝︎』wwww」

新八「やめろ!!!てか『✝︎』をつけんな!!!!」

*1
『喧嘩変態、努力変態、変態王』

*2
『鈍才の雄豚』

*3
『鈍才を努力で突破せし雄豚変態王』

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