忘れ去られたい青年の幻想入り   作:ohagi57

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今回、かなりふざけてます。


人里と半人半霊との出会い

そんなわけで翌日。

俺は『人里』を訪れた。何というか…初見の感想はここだけ時代をタイムスリップしたかのようだ。まるで江戸時代だけを刈り取ってここに設置したかのような。

けど、昔も今もこういう商店街のような場所はにぎわっている。

とても活気に満ち溢れている。

 

「…」

 

それと紫さんに少し感謝をしないとな。

実はこの人里に訪れる前に二点、助けられた。

まず一点『霊夢さんも付いて来ようとしたこと』。

いや付いてきてくれた方がいいが…今回の人里の訪れはあくまで俺の幻想郷との適合を意味している。きちんと一人で歩き、この目で見て、この肌で感じて幻想郷を知る。

故に付き添いは不要。俺一人で行った方がいいと紫さんは判断した。

…まぁひと悶着あったけど。

次に二点『俺の格好が人里では浮くという事』。

俺が持っている衣類は外の世界の物ばかり。そのままでは人里では浮き、少々メンドクサイことになるという事、というわけで外の世界から俺のサイズの袴を持ってきてくれた。

ついでに俺の財布のお金も幻想郷に会う形で換金してもらった。

『円』から『銭』へと。

本当に何から何まで助かる。

 

「…しかし、この空気は良いな」

 

外が悪いとは言わないが、こんなに活気に満ち溢れた場所は初めてみた。

皆が思い思いの店を出し、各々が楽しそうに暮らしている。

空気が美味い。

しかもだ。店にも様々な種類がある。

八百屋、甘味処にアレは…簪か?

見ていて飽きない。

ただまぁ、うん。

 

「いらしゃい!いらっしゃ…うぉっ!?」

 

衣服は浮いていないんだが…他の人と違って俺は体格がデカい分、そっちで浮いているんだよな。

道行く人や客引きにビビられる。

身長に関しては何にも言えねぇんだよ…。

別に威圧するために歩いているわけでも何でもないんだよ。

俺はただ、この空間があったかすぎて胸を張ってしまうだけであって。

なんて一人でツッコんでいると。

 

「…む?」

 

一際、人が集まっている甘味処を見つけた。

漂う甘い匂いが俺の鼻孔を刺激し、糖分を求めよと腹が鳴る。

…まぁ目的は人里に来るわけだったし、ちょっとくらい幻想郷のスイーツ、いや甘味を味わっても文句はないだろう。

そんなわけでこの甘味処で幻想郷の味を知ることにしよう。

暖簾をくぐり…くぐり…!

 

(ちょっと低いんだが!?)

 

暖簾を通している竹に顔面が当たる。

…膝を曲げるしかないか。膝を曲げて暖簾をくぐって中に入る。

 

「あら、いらっしゃいま…せ」

「…」

「随分と…大きい人さね?」

 

中にいたお婆さんが俺を見て一言。

何回言われれば良いんだ俺は…。

 

「何を食べるんだい?」

「うーん…おすすめってありますか?」

「うちのおすすめはみたらし団子だよ」

「みたらし…ならそれを三串とお茶を頂きたい」

「わかったよ、外の席で待っておき」

「わかりまし」

 

言われた通りに外の席で待とうとしたが

 

「かっ!?」

 

今度は扉の上の部分に頭をぶつけた。

忘れてた…普通に痛い。

もう一回、膝を曲げてくぐり外の席に腰を掛ける。

 

「ふぅ…」

 

今の景色を見て居ると、心が安らいでいく。

綺麗な青空、活気に満ちた人たち、外とは違い何というかあったかいな。

温度的にも、身体的にも。

何て思っていたら

 

「おまたせしました~」

「む?」

 

どうやら俺の甘味が来たようだ。

 

「みたらし三つとお茶です」

「ありがとうございます」

 

俺はそのお盆ごと貰う。

 

「…」

「…?」

 

すると、さっきのお婆さんではない俺の団子を持ってきた女性が俺をじっと見て居る。

なんだ?何か間違えたのかと思っていると

 

「大きいですね、座っているのに」

「何回言われれば良いんですか俺は…」

 

また言われたよもう。

そうして先程の女性は店の中に戻り、座っている俺の太ももの上には美味そうなみたらし団子と湯気が立つお茶が。

これは美味そうだ。

 

「頂きます」

 

さっそく一串掴んで団子を食べる。

 

「んむ…!」

 

モチッとした食感に、上からかけられているみたらし団子のたれが良い甘みを引き立てている。

咀嚼し食感と甘みを味わい、飲み込んだ後にすかさずお茶を飲む。

 

「…あぁ~…」

 

お茶の苦味と温かさが俺の身体を芯から温めてくれる。

初めて甘味を食べたがこんなに美味いとは思わなかった。

何本でも食えそうだが…流石に食べ過ぎるのもよくない。

今日はこの三串で我慢だ。また来るときがあったら4…いや5くらい頂いちゃうか。

 

(しかし、本当にこの店は人気だな)

 

二本目を頂きながらふと思う。

他の甘味処と違ってこの店は客の出入りが激しい。

というか男性が多いな。

俺の勝手なイメージだが…甘味って女性が好きそうなイメージがある。

なのに意外と男性が多い。

まぁ…だから何だよっていうのはあるが。

けどちょっと気になる。こう、他の甘味処と違う点みたいなの。

製造過程?製造速度?味?雰囲気?

色々な疑問が思い浮かぶが、残念ながら俺はここ以外の甘味処の甘味を食べたことが無いので比較できない。

すると

 

「あー…今日も雨ちゃんはべっぴんだな~…」

「そうだな~…まぁこの調子だと、今日もお団子は無理だべ」

「しかし雨ちゃんも大変だな。最近、変な男に付きまとわれてるとか」

「へ?そうなんか?」

「雨ちゃんの婆さんも苦言を漏らしてたしな。はぁ、何ともなきゃいいが」

 

…なるほど。

この店の前を通った男性二人の話を盗み聞きしたおかげで理解した。

『雨ちゃん』。多分、さっきお盆で持ってきてくれた女性の事だろう。

確かに顔つきは綺麗だった。というかね、幻想郷の人たちの平均的な顔面偏差値が結構高い気がする。

一目惚れ…とはいかないが実際に会ってきた人たちは全員綺麗だった。

そんな人たちに惹かれる気持ちもわかるが、付きまとわれるのは本当に可哀想だ。

幻想郷でもストーカーってあるもんなんだな。

 

「…あれ?」

 

気が付けばお皿の上にあったお団子は全部なくなっていてお茶もなくなっていた。

 

「む、夢中で食ってた…」

 

心の気持ちを口から出しつつ、お盆を店に返そうともう一度店内に入ると

 

「なぁ雨ちゃん、良いだろ別に?」

「こ、困ります…」

 

おっと…話をすればなんとやらってやつか。

件の雨ちゃんが男に片手を握られて逃げ場を失っている。

この店のお婆さんも声を掛けてはいるが、聞こえてないだろうしこの男の耳には届かない。

 

(仕方ない)

 

このお団子とお茶に免じて助け船を出すか。

俺は雨ちゃんという女性の腕をつかむ、男の手を掴む。

 

「あぁ?」

「やめときな、嫌がってるぞ?」

「お前、誰だ?」

「通りがかりだ。ついでにお団子とお茶も頂いた。結構美味しかったし常連になってもいいなって思ったくらい」

「…じゃあこの手を離」

「離すわけにはいかないな、さっきも言ったが明らかに嫌がってるし、あの婆さんも止めろって言っているのが聞こえないのか?」

「…」

「…一方的な愛ほど醜いものはないぞ。かといって俺はその愛を否定するような立場でもないんだがな」

 

男は俺をにらんでくる。

まぁどうってことはない。フランちゃんとの弾幕ごっこのお陰で精神的にビビりもしない。

 

「…表出ろ」

「ほぉ?喧嘩すると?」

 

睨みながら俺に喧嘩を売ってくる男。

 

「何のメリットがあるんだ?」

「お前をぶちのめせる。それをお前を倒したら雨ちゃんは俺は頂くからな」

「え、えぇ!?」

「勝手に決めるな…ってもう行ってるし」

 

何なんだアイツ。

自分勝手というか何というか。

外の世界でやったらどうなるかって思ったけど、ここは幻想郷だ。

そう言う事に縛られちゃいけないんだろうな。

 

「はぁ…しょうがないか」

 

俺はそうつぶやき、店を出たと同時に男の飛び蹴りが飛んできてそれを片手で受け止める。

不意打ち上等、外道そのもの。

 

「ここまで潔いと逆に笑えるな」

「なっ!?」

 

喧嘩売っといて不意打ち勝ったらそれでその雨ちゃんは振り向くと思っているのか?

…まぁここは一つ、古事記にも記されている礼儀で返すとしよう。

俺は男の足を離して、男の前に立ち一歩下がってから両手を合わせてお辞儀する。

 

「ドーモ はじめまして。アマツです」

「は、はぁ?」

 

戦に臨むニンジャ…じゃなくても大体の戦いは最初のアイサツが肝心。

戦の幕開けを合図する法螺貝の音色、名乗りなど、何事にもアイサツ。

そう、アイサツは神聖不可侵の行為。

俺が見た古事記にもそう書かれている…はずだ。

 

「殺されてぇのか!?あぁ!?」

「WASSHOI!」

 

男は挨拶もせずに攻撃を仕掛けてきた。

この神聖不可侵の行為を汚す行為。アイサツを返さずアンブッシュを仕掛けてくるとは…何たる外道か。

 

「貴様は殺す」

「へ?」

「イヤーッ!」

 

不意打ち攻撃を片手で受け止めつつ、膝を男の肘にねじ込み、逆方向に曲げる。

 

「アバーッ!?」

「外道殺すべし」

「アババーッ!?」

 

そのまま手を離しながら蹴りを男の腹に叩き込み、距離を取る。

男は懐からまきびしのようなものを取り出し、ショットガンのように投げてくるが素早くジャンプ。そのまま飛び蹴りで反撃。

タツジン。

 

「アンブッシュで殺し切れなかったことを後悔するといい」

「あ、アン…?」

「イヤーッ!!」

「ザッケンナコラー!」

 

俺を男は睨み、叫びながら拳を振りかざしてくるが拳を側転回避。

そして転倒させ、俺の全身全霊の正拳突きが男の肋骨を捉える。

 

「アバーッ!!」

「…身体能力を強化!」

 

ドクンと心臓が跳ね上がり身体から力が溢れ出てくる。

そのまま肋骨を貫く勢いでより深く、より奥へと拳をねじ込む。

 

「あ、あぁあぁっ!?」

 

ミシミシと骨の音を鳴らしながら、弱弱しく声を漏らす男。

…残念ながら俺にはジツもカラテもないが…元々の身体能力と能力で上乗せされた力を活かすことはできる。

 

「ゲドウは殺すべし。慈悲はない。」

「アイエエエ!?」

 

開いている片方の手で男の顔面を掴み、そのまま上に放り投げる。

宙を舞う男の着陸地点で俺は右の拳を上に伸ばす。このまま落ちて来れば俺の右手の拳に男が勝手に落ちてくる。

 

「…仕方ない」

 

俺は伸ばした右腕を下ろし、男を片手で受け止めて地面に寝かせた。

 

「ゲドウ 殺すべし」

 

ショッギョ・ムッジョ。

それはただ女を手に入れようとした男への罰だった。

両手を合わせて呟いたのち、店の中に戻って先程返せなかったお盆を雨ちゃんという人に渡す。

 

「あっ…」

「ご馳走様でした、また機会があれば来ます」

 

俺は感謝のアイサツを返し、静かに店を退店しようとした。

 

「あ、あの!」

 

すると雨ちゃんが声を掛けてくる。

 

「な、名前を」

「通りすがりだ、では…」

 

名前を明かさず、改めて静かに退店。

結構な騒ぎになってしまったので、さっさと出た。

 

「おちおち甘味も食えんな、この世界は」

 

なんて口に出しながら歩いたが

 

(騒ぎを大きくしたのは、俺なんだよな…)

 

と自分自身の行いに少し反省しつつ早歩きで甘味処から離れた。

 

ーーー

 

「はぁ…」

 

少しため息をつきつつ、先程の行為を反省する。

だが後悔はしていない、むしろすがすがしい気分だ。

流石、古事記に記されているだけはある。

 

「んんー!」

 

ついでにちょっと実験中だ。

今、俺は先程のイクサが終わった後から能力を解いていない。

まだ何でもかんでも破壊できそうなほど力が漲っている。

気になるのが俺の力には時間制限があるのか。持続的な力の譲渡をするとコストを消費するのか。

探索ついでに能力を学ぶのもいいだろう。

 

「さて、今度は何処へ歩きを進めようか」

 

なんて歩いていると

 

――ガラッ!

 

「む?」

 

丁度歩いている進行方向の右側に新しい家を立てているのか分からないが、家の枠が出来ている。

その場所から結構長めの柱が道の方に倒れてきている。

勿論、俺は足を止めたし、他の通行人も足を止めたが…

 

「!!」

 

ただ一人、大量の風呂敷を持っている少女とその子の上に飛んでいる魂…魂でいいのかアレ。

その二人だけが倒れてきている柱に気づいておらず、このまま歩いていくと下敷きになると判断した瞬間、俺は走り出した。

そして倒れてくる柱と少女たちの間に立ち

 

「…え?」

「あっぶねぇ…!!」

 

倒れてくる柱を身体で受け止めた。

俺の身体の何十倍以上もある体積が柱を身体ひとつで受け止められる。

改めて思うが俺の能力って結構凄いんじゃないか?

 

「え、あ…だ、大丈夫ですか!?」

「大丈夫だ、とりあえず危ないからここから離れて」

「は、はい!」

 

一旦、少女を離れさせることには成功した。

んで、この柱をどうするか…。

誰かが助けてくれるまで耐えるべきか?

 

「あっ!」

 

そうじゃん、別に身体が固くなっただけじゃなくて力持ちになったんだった。

…俺の能力さ、きちんと使いこなせなきゃ意味無いよな。

能力の実験もそうだがちゃんと使いこなせるようにならないと。

そうして倒れてきた柱を持ち上げると、いつの間にか来ていた大工の方たちが謝罪をし、柱を元の位置に突き刺しておいた。

 

『ここですか?』

『そこで支えててくれ、上から金槌で』

『えい』

『』

 

…パワーで地面に柱を突き刺した時の大工さんの表情は今でも忘れられない。

こう、スンって表情になってた。

 

「ふぅ…」

 

とりあえず分かったのは、能力の制限時間は無いのと使い続ける事で生じるコストも無いって事だ。

つまり、使い続ける事によるデメリットは無いから基本的に使い続けてもいい。

…だからと言って俺自身に与える力に候補が無いこともまた事実なんだけどな。

 

「あの…ありがとうございます」

「例には及ばないが、大丈夫か?その大量の風呂敷を二人…二人?で持って」

「だ、大丈夫です…!」

 

白髪の少女は頬をふくらませながら風呂敷を背負い、飛んでいた魂も持とうとするが…明らかに辛そうだ。

まぁ、今回は探索ついでだし…別にいいか。

俺はその2人から風呂敷を取って持つ。

 

「あ…」

「手伝うよ、辛そうですし」

「で、でも」

「このまま無視するのも嫌なので」

「…わかりました、ではお願いします」

 

何か葛藤があったかのような少女は俺の厚かましい恩に折れて、一緒に少女の目指した場所へ向かう。

大量の風呂敷を持って思うが、何が入ってるんだコレ。

 

「そういえば、あなたの名前は?」

「ん?あぁ…俺は天津。最近幻想郷入りした元は外の人間」

「天津…あ、紫様が話していた人はあなたの事ですね」

「紫さんが俺のことを?」

「はい、外の世界から幻想郷入りした人で、かなり良い子と仰っていました」

 

かなり良い子って…俺はそこまで良い子でもないし、子供のような年齢じゃないぞ。

成人してるしな。

 

「貴方は?」

「魂魄妖夢です、よろしくお願いします天津さん」

 

 

キャラクターとの幕間のような話を作成するのはアリ?ナシ?気軽にお願いします。

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