そんなわけで紫さんと霊夢さんと一緒に雑談をしている間に日も沈みかけ、紫さんは…なんか空間に目玉一杯の隙間?みたいなのをくぐって何処かへといった。
霊夢さん曰く、アレが能力とのこと。
あと霊夢さんの能力についても聞いてみた。
『空を飛ぶ程度の能力』…いや程度で説明していい事じゃないと思うんだが?
もはや人類の夢だろ、空を飛ぶって。
「俺も…能力あるのかな…」
「どうなんでしょうね。でも外来人でも人間でも能力をもってる人も中にはいるわよ」
「…一応聞きますが、霊夢さんって人間ですよね?」
「その通りよ」
うん、幻想郷って凄いな。
常識にとらわれるなって言われたけど、今後は気にしないようにしよう。
「それと…夕飯はないけど」
「無い…?」
「さっきも言った通り貧乏だから何もないわよ?野菜ならある程度あるけど」
俺は霊夢さんに言われた通りに博麗神社のキッチンに行ってみる。
まぁ流石にIHは無いか。けど、冷蔵庫はあるんだよな…。
何なんだ幻想郷って…常識に囚われてはいけないって言われたけど(2回目)、無理があると思う。
んで冷蔵庫の中には確かにほぼ野菜しかない。
他でも豆腐とか油揚げとか…いや、油揚げと豆腐だよなこれ。違ったらどうしよう。
てか、調味料とか意外とあるんだな。
醤油とか塩とか味噌とか。
…一瞬、ご飯に醤油かける奴が浮かんだ。あれ好きなんだよな。
よく飯抜きにされているときに、隠れながらよく食べてた。
ただ…それを霊夢さんが食べるのか分からない。
改めて思うけど、アレ塩分過多だしね。
なら軽い野菜炒めにするか。
フライパン…使った形跡がないんだが。今までどうやって食べてきたんだと内心ビビる。
一旦、その心配を頭から出して冷蔵庫の中にあった野菜を軽く炒める。
…火、あるんだな。
(この世界ってガスがあるのか?それとも何らかのオーバーテクノロジー…?)
ジューッと音が鳴り、ちゃんと焼けている事がわかる。
それに醤油と塩をかけ、絡めるように混ぜつつ炒める。
「うん、良いにおいだ」
「そうね」
「!!?」
気が付けば俺の真後ろに霊夢さんが立っていた。
この人、巫女なのは分かるんだけど…さっきのお賽銭の時にも俺の後ろに立ってたし、もしかしてこの世界の巫女って忍者なのか?
気配を全く感じなかったんだが。
「それにしても、野菜だけでこんなにいいにおいがするのね」
「今までどうやって食べてきたんですか」
「そのまま」
「倒れますよ…?」
もう怖いよ。
野菜を生って…いや悪いとは言わないけど、ずっとそればかり食ってたらいつ倒れるかわからない。
もしかして、俺は博麗神社に住むことになったから…霊夢さんの栄養管理をしないといけないのか?
…責任重大かもな。
一旦、野菜炒めが完成したので皿に移す。
「頂きます」
「早い早い…」
皿によそった瞬間、霊夢さんが食べようとしたので一旦静止し、野菜炒めが乗った皿を机の上に移す。
「改めて、頂きます」
「頂きます」
俺が作った野菜炒め。
そこは良いんだが…ある意味、初めて幻想郷の野菜を食べる。
食感、味、風味…元の世界の奴と全く違いが分からない。
分からないが…ちょっぴりこっちの方が美味い気がする。
何故だ?
「うまい…」
「また泣くんですね…」
霊夢さんはまた泣いている。
なんかもうこっちが泣きたくなってきた。
「野菜ってこう食べるのね」
「…今度、教えます」
「ありがとう、助かるわ」
そんなわけでいつの間にか、俺が作った野菜炒めは全部食べ切り…一応、俺の皿に乗った分も霊夢さんに分けたけど。
「ふぅ…満足したわ。ありがとう天津」
「!!」
「…天津?」
「…久々です、人に感謝されたの」
「え?」
「あっちでも定期的に料理とか家事やってましたけど、お礼とか言われたことないですし」
「…話は聞いたけど、アンタも大変だったのね」
お礼を言われてちょっと嬉しくなった。
それからご飯を食べた後、霊夢さんが淹れてくれたお茶を飲みつつ色々と雑談した。
会話内容は…まぁ幻想郷の事を知りたかったから幻想郷はどんなところがあるのか、どんな人が居るのかを聞いた。
妖怪、神、吸血鬼、悪魔、魔女…等々。
なんというか、忘れ去られた者が来る場所って言われた理由もわかる。
あの世界じゃ存在しないって言われているような種族が多い。
凄く、不思議だ。
…いやまぁ信じないといけないんだろうけど。
巫女は空飛ぶし、めっちゃ美人の妖怪も居るし…うん。
何て若干混乱しつつ会話を交わしているうちに、気が付けば月が上に上がっていた。
改めて思うけど、月って幻想郷にもあるんだな。
「それで…どうやって寝るの?」
「あー…」
霊夢さんと俺がいる畳の部屋には霊夢さんの布団が一つあるだけ。
そしてもう一個問題なのは来客用の布団は俺には小さすぎるってことだ。
俺と霊夢さんの身長差は25㎝くらい。
…まぁ足が寒くなる。
「一応、寝具があるので大丈夫です」
「へぇ?どんなの?」
俺はキャリーバッグから寝袋を取り出した。
「これは?」
「寝袋です。オールシーズン行けますよ」
「オールシーズン?」
「春夏秋冬構わず使えるってことです」
「そ、外の世界は凄いわね」
そんなわけで霊夢さんは自分の布団。
俺は寝袋で寝ることになり、本日はそのまま就寝となった…。
―――
「!!」
カッと目を開ける。
一応は翌日を迎えた。
「夢、じゃない…!」
寝袋から出て身体をぐーっと伸ばし、幻想郷の日を全身で浴びる。
初めてだ。こんなに気持ちの良い朝は。
「すぅ…すぅ…」
「霊夢さんは、寝てるな」
今のうちに朝飯を作っておこう。
静かに博麗神社のキッチンに向かい、冷蔵庫から味噌、油揚げ、豆腐を出す。
霊夢さんが朝食を食べる方なのかどうなのかわからないけど、一旦作っておこう。
ミソスープ…じゃなくてお味噌汁。
俺は朝食えないけどな、胃が荒れる。
「んむ…?」
「あ、霊夢さん。おはようございます」
「おはよ…」
味噌汁の匂いにつられてきたのか分からないが、目をこすりながら霊夢さんが来た。
「もう少しで朝食出来ますから待っててください」
「はーい…」
霊夢さんはキッチンから出て行った。
まぁ多分、昨日野菜炒めを食べた机にいる…と思っておこう。
「てか、味噌汁だけは味気ないか」
ちょっと他にもいろいろないか見てみよう。
うーん…やっぱり基本は野菜か。
…俺のリュックから色々持ってくるか。
えーっと?食パンあるな。なら食パンにレタスとトマトでサンドイッチにしよう。
あとはリュックに入れておいた万能調味料。ケチャップとマヨネーズでオーロラソースを作ってパンに塗って野菜を挟む。
はい、完成。
「…味噌汁にサンドイッチって、どうなんだ」
我ながらどんなメニューしてるんだってツッコミつつ、常識に囚われなかった結果ですと自分に言い聞かせて霊夢さんの元に持っていく。
「霊夢さん?」
「はーい」
「朝食、出来ました」
「お、おぉ…!」
「味噌汁とサンドイッチです。ちょっと献立が」
「おいしい…!」
「もう食ってるし…」
和食と洋食の合わせ技になったことを謝罪しようとしたらもう食ってた。
…本当に美味そうに食べるな。俺が得た家事スキルがこんな形で役立つなら、ちょっと嬉しいな。
「…あら?天津は食べないの?」
「俺は朝食べると胃が荒れるんですよ。だから食べないです」
「ふーん?なら全部食べちゃうわよ」
「構いませんよ」
「ふふっ、なら遠慮なく頂くわ」
霊夢さんが朝食を食べているうちに、俺はちょっと考える。
…俺はもう元の世界に帰らない。幻想郷の住民として生活する。
つまり、俺が元の世界で学んだ事や持ってきた物が活かせない物が多い。
まず俺の手元にあるPC、スマホはもう使えない。電波がないから薄い板と変わらないしな。
んで、次にお金。
これに関しては取っておく。もしかしたら使えるかもしれないし。
あと他にある洋服、寝袋、非常食。
これは使えるな。
…それで、これからどうすればいいんだろうか。
「霊夢さん」
「んん…なに?」
「霊夢さんってこれから何するんですか?」
「神社の掃除」
「…他は」
「以上よ」
「以上!?あの、アレは…ほら参拝客とか」
「来ないわよ」
「来ないわよって…何でですか?」
霊夢さんはコトッと味噌汁が入っていたお椀を置くと話し始めた。
「博麗神社はね、幻想郷と外の世界を隔てているのよ。それと博麗大結界の境目に位置しているの」
「博麗大結界?」
「前に話した結界の事よ。それで人里から遠いし、道のりも危険といえば危険。まぁそれ以上に博麗神社には良い意味でも悪い意味でも妖怪や色んな人が来るからかしら。前の紫もそうよ」
「あー…」
そうか、忘れてたけど紫さんって妖怪だった。
そういう妖怪が来る神社なら確かに参拝しに来ないかも。
「なんか…すみません」
「謝らないでよ…」
「…」
俺は空を見ながらふと思った。
「暇、なんですね」
「そうとも言うわ。というより暇じゃない人間が幻想郷にいると思ってるの?」
「探せば居そうじゃないですか?」
「そうねぇ…あ、紅魔館の連中はそうかも」
「前に話した所の場所ですよね」
「そう。吸血鬼に悪魔にメイドに」
「ちょ、ちょっと待ってください!?」
ぞ、属性過多じゃないか!?
あの時は、吸血鬼に驚いていたがそれ以上の属性が吐露されて一瞬、頭の中が宇宙になったんだが…。
「…なら俺が先に神社の掃除しておきましょうか?」
「助かるけど、まだいいわ」
「まだ?」
「もうそろそろ散らかるから」
「どういう…?」
と俺が答えを聞こうと思った時。
「…?」
遠くからジェットエンジンみたいな音が聞こえてきた。
幻想郷に飛行機はあるのか?いや、だとしてもなんでジェット機?しかも博麗神社に突っ込んでくるのか?
なんて思っていたら
――ゴォォォォォッ!!
「霊夢ー!!遊びに来たぜー!」
と霊夢さんの名前を叫びながら箒に乗った金髪美少女の白と黒の魔女が現れた。
(…いや、どんな速度してるんだ?あの箒。)
俺は心の中でそう呟きながらオールバックになった前髪を元に戻した。
キャラクターとの幕間のような話を作成するのはアリ?ナシ?気軽にお願いします。
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アリ
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ナシ