禪院直哉成り変わりー禪院家が壊滅しないよう色々頑張ってみるー   作:AKHT‐47

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直哉が夏油の闇堕ちフラグ潰した話は星漿体護衛任務から1年後の話やん?宿儺が受肉して共振が起こったのは羂索死んですぐの話やん?羂索が死んだのは星漿体護衛任務のすぐ後やん?
後は言わんでも分かるやろ、詰みや。時系列がグッチャグチャやで………ごめんちゃい♡


仙台へ

 「虎杖悠仁」とその内に眠る「呪いの王両面宿儺」そして彼らの保護者でもあり宿儺とは呪術的な双子の弟でもある「虎杖倭助」の三人家族…今日の三人は、休日を利用し、宿儺の受肉を契機に共振で活発化した指の行方を宿儺の呪力感知を頼りに追っていた。観光という実益も兼ねて………

新幹線の改札を抜けると、仙台駅のコンコースは岩手のそれよりも一段と華やかな熱気に包まれていた。

 

「すげぇ、人いっぱいだ……! 宿儺、あっちにでっかい看板があるぞ!」

(……騒ぐな小僧、田舎者丸出しだぞ。……それより倭助、俺の言った通り『はやぶさ』の指定席を買い直したのは正解だったな。あの快適さなら許してやろう)

「贅沢を言うな。オマエのわがままで俺の財布はもうすっからかんだわ」

 

 倭助は溜息をつきながらも、悠仁のリュックの紐を直してやり、駅の喧騒を見渡した。かつて自分が仕事の都合で岩手へ移る前、若かりし頃に過ごした街。そして、息子夫婦が悠仁という新しい命を授かった場所。

 

「……悠仁、覚えてるか。オマエはここで生まれたんだぞ。ここに宿儺の魂の欠片があるとは何かの縁かねぇ、こうしてまた家族一緒になって戻ってくるとはな」

「へぇー、俺ここ出身だったのか! 爺ちゃん、後で生まれた病院とか連れてってよ!」

「ああ、場所さえ変わってなきゃいいがな」

 

 懐かしむ倭助の隣で、悠仁の頬に現れた宿儺の口が、興味なさげに鼻を鳴らした。

(フン、生まれた場所だと? 魂の寄る辺が同じ場所にあるのなら、産まれ堕ちた場所など、どこでもいいだろうに………それよりもだ、小僧。列車に揺られる退屈な時間が長かったものでな、何か腹を満たしたい)

「分かってるって。爺ちゃん、宿儺が何か食べたいって!俺も腹減ったなァ………あの饅頭みたいなの買いたい!!」

 

 悠仁が指差した先には、仙台名物『喜久福』の文字。宿儺が指の呪力を追う道中で、あらかじめ「甘いものも用意しておけ」と命じていたのだ。駅のベンチに腰を下ろし、三人はさっそく包みを開けた。悠仁が真っ先に選んだのは、一番人気の抹茶生クリーム大福だ。

 

「……んんん! 柔らかい! 爺ちゃん、これすっげーうまいよ!」

「小僧、さっさと代われ!俺にも食わせろ」

「二人共、喉に詰まらせるなよ……どれ」

 

 倭助が一口食む横で、宿儺も悠仁が半分を食べ終えた事で意識を入れ替え、喜久福の甘さを享受していた。

(ほう……。餅の粘りと、この緑の餡の渋み……。なるほど、現代の菓子とはこうもレベルが高いものなのか。平安の世では、甘味といえばさとうきびを利用したものくらいしかなく、高級品だった為に滅多に食えるものではなかったが………この『生クリーム』とかいう代物が、平安の世にはなかった滑らかさを生んでいるな。全く、良い時代になったものだ!!)

 

 毒舌な呪いの王が、珍しく「悪くない」と評した。冷たい大福の甘さが、旅の疲れを心地よく溶かしていく。そんな穏やかな午後。だが、宿儺の意識は、喜久福の甘味を楽しみつつも、その背後から漂う「腐った土」のような、しかし強烈な引力を放つ己の魂の一部を、既に正確に捉えていた。

 

 「小僧、そして倭助よ。此度の旅の目的、忘れてはいまいな。」

「よし、爺ちゃん、行こう! 俺、お腹いっぱいになったから、どこでも歩けるよ!」

「ああ、無理はするなよ。……宿儺、こっちだ。オマエの言う通り、平安の世で双子だった影響なのだろうか?ワシにもオマエの魂の欠片がなんとなく感じられる………」

 

 倭助が立ち上がり、かつての故郷の街並みへと歩き出す。その背中を追う悠仁の中で、宿儺は静かに瞳を細めた。  

(……さて。この『縁』とやらが、どのような再会を用意しているか。羂索が残した指、とっとと回収してこの旅行の続きを愉しむとしようか)

 

◇◇◇

 

 初めに3人が訪れたのは仙台市の中にある「杉沢第三高校」、原作では高校生の悠仁が「呪術高専」へと入学する前に通い、「オカルト研究部」で青春を送っていた箱庭だが………宿儺と倭助は今、この学び舎に、史上最強の術師、その20に分かたれた魂の気配を感じ取っていた。

 

 「ここに指があんの?あれマジーから食べるの嫌なんだけど………」

「安心しろ小僧、指を取り込むのは俺が代わりにやってやる。その代わり、夕飯は多めに貰うぞ」

「えー………」

「さっさと終わらせるぞ。休日とは言え、部活動で生徒や教師もそこそこいる。部外者が勝手に入ってるとこを見られたら、追い出されるやも………」

倭助の進言で、三人は野暮用をさっさと終わらせることにした。

 

 「それにしても………」

キョロキョロと辺りを見回す倭助。特段語る事もない普通の学校である筈だが………異様に呪霊が多い。校舎やポールの上に立つもの、空中を飛び回るもの、強さ自体は大したことはない部類だが、昼間からここまで湧いているのは珍しい。呪霊は本来、夜がホームグラウンドなものだが………

 

 「共振で目覚めた俺の指の呪力に当てられたのだろうな………幸い封印術がしっかりしているからか、まだ指には辿り着いてないようだが」

「ねぇ爺ちゃん、宿儺………アイツ等放置したら不味いんじゃない?」

標的が指である為か生徒たちには見向きもしてないが、ここまで集まるとなると、行く行くは学校に通う人々に危害を加える呪霊も出てくるだろう。

 

 「フッ、小僧はこう言ってるぞ倭助」

「フン、仕方ない………オマエに教えられた術でも使ってみるか………」

宿儺は主導権を悠仁から委託されない限り、子供の肉体では呪術をまともに扱えない。人の多い場所で変身をしては、別の意味で大騒ぎになってしまうだろう。なので代わりに倭助が、つい最近目覚め、魂の片割れに教えられた術で有象無象を薙ぎ祓う事にする。空にいる呪霊に向かって指を指し、「指向性」を定める。

 

 解!!

術師に目覚める前から倭助の脳に刻まれていた「宿儺」と同じ術式である「御厨子」、本来なら触れた相手に「見えない斬撃」を放つものだが………

『『『グギャア………』』』

消失反応と小さい悲鳴と共に、学校中に集まっていた呪霊は消失した。学校中の「非術師」は何が起きたかなど気付いてもいないが………

「ククク、流石は俺の片割れ。もう術式対象の拡張をものにしている」

呪術の暴発を防ぐ為、倭助は覚醒したばかりの呪術の運用を、宿儺の教えの下鍛えていた。

 

 倭助が使ったのは呪いの王が生前開発した「拡張術式」、触れて斬り刻むだけでは不便ということで、「触れた空気を斬撃の対象とする」事で疑似的に飛ばす斬撃を可能とした「解」。魂は宿儺と同一人物である為に呪術の潜在能力(ポテンシャル)は宿儺と同等にあった倭助は、そう時間も経たずに呑み込んだ。

 

 「おおっ爺ちゃんすっげぇ!!」

「コラ、あまり大きな声を出すな悠仁。学校関係者に見つかったら色々メンドクサイ………」

呪霊を片付けた倭助は呪力を追い、孫の手を繋ぎながら歩き出す。彼らが向かったのは「百葉箱」…気象観測を目的とし、何の皮肉か「北を向いている箱」だ。

 

 「この中に指があるの?」「「ああ」」

悠仁の疑問へ同時に回答する双子。4歳の子供には高い所にある為、倭助が扉を開け、中身を確認する。

 「あったぞ………札でグルグル巻きにされているが」

「指の呪物としての効能を封印するものだろうな。お陰で呪霊に取り込まれずに助かった」

子供の肉体で指を受け取った宿儺は、器用な手つきで封印札を剥がしていき、そのまま手に口を出して呑み込んだ。

 

 「よし、ここでの野暮用は終わりだ。ここ仙台に感じる指の気配はあと一つ…さっさと終わらせるぞ」

「いつも思ってたけど、その口を体の色んな部位に出すのは便利だよな」

「クハッ、誉め言葉として受け取っておくぞ小僧」

 

 三人は指を求めて再び歩き出す。しかし、その様子を一人眺める男が…

「あれは………幼い虎杖悠仁と虎杖の爺ちゃん?何故こんな所に………」

丸く収まった黒髪、学生服を身に纏った、虎杖家を知るこの男は………

 

◇◇◇

 

 「ほう、八木山橋か。俺が若い頃、やんちゃな奴らが度胸試しや心霊スポットをしていたな………まあ俺もその一人だったんだが」

倭助は昔を思い出し、懐かしさに浸っている。

 

 「ねぇ二人共、ここに本当に指なんてあるの?見た所普通の川なんだけど………」

先程の学校では呪霊が大量に湧いているという目印があったが、一見するとこの川には何もない。得体の知れない気配は何となく感じられるが………

 

 「フム、恐らく、呪霊の生得領域………結界に身を隠しているのだろうな」

「どうすれば侵入できる?」

「呪術的に意味のある儀を踏めばあるいは………例えば川の岸から岸へ渡るとかな………「彼岸」を渡る行為は、呪術的に大きな意味を持つ」

「なるほどな」

「あうう………」幼子である悠仁は祖父と宿儺の会話についていけない。

 

 「倭助、呪霊の領域に侵入する前に、『帳』を貼っておけ。目立つと悪いだろう?」

「フン、はなからそのつもりだ」

『闇より出でて闇より黒く………その穢れを禊祓え』

非術師から呪術を隠す為の結界、生前の宿儺は知識としては持っていても、周囲の目など気にしない為に終ぞ使わなかったが、倭助や悠仁との共同生活で「社会性」というものを身に付け、真っ先に倭助に伝授した。

 

 「おお、辺りが夜になっていく………」

「他の人間の侵入はちゃんと防いでいるだろうな?」

「当然だ」「フッ、抜かりないな」

人目を避ける采配を終えた三人は、川を跨ぎ呪霊の生得領域に侵入する。そこは海にあるようなフジツボのようなボツボツがおどろおどろしい赤茶色をしている気色の悪い空間だった。

 

 「いつも思うけど………呪いって気色悪いよな………」

「呪いは人間の負の感情が由来だからな………致し方あるまい」

弟の孫の感想に、大叔父は淡々と答える。三人はそのまま生得領域を指を求めて練り歩く………が、領域に入ったはいいものの、呪霊が一向に出てこない。

 

 「どうしたことか」

「フッ、俺とオマエに恐れてるのだろう。呪いの王と、その弟がいるのだからな………あちらから出てこないのなら、こちらから仕掛けるのもいいかもしれん」

「分かった。ここなら遠慮なく術が使える………」

 

 倭助は呪霊の領域を壊す意気込みで、辺り一面に斬撃を飛ばす。

『グギャアアアア!!』

「ククク、いささかやり過ぎではないか?」

「クッ、術の加減はまだまだ難しいな………」

呪霊の構築した生得領域はどんどん壊れていき、隠れていた呪霊達も瞬く間に祓われていく。

 

 『グギギ………』

「おっ、多少は出来そうな奴がいるではないか」

比較的人間に近い異形、2m近い筋骨隆々とした肉体、白い体表、頭に黒い突起した模様があり、その上に複数の眼球がある。先ほどの斬撃が原因か片腕を欠損している。今までは姿を隠していたが、いよいよ生命の危機が迫り、呪いの王たちに抗う決意をしたのだろう。宿儺の指を取り込み規格としては「特級」となった名もなき呪霊だ。

 

 『ギィ!!』

呪霊は腕を呪力で治した後、指に呪力を込め、矢の形にして老人と子供のいる方へ向かって発射した。土煙が上がり、二人を覆い隠す。

『ヒヒッ!!』

勝ちを確信したのか、呪霊は気色の悪い笑い声を浮かべるが………

 

 「たいしたことないな………」

『エ゛エ゛エ゛!!』

煙から相対した老人が飛び出し、己の体を掴む。倭助は呪霊と同じように自身の身に宿る莫大な呪力を放出し、いとも容易く特級の攻撃を防いだ。そして………

 

 捌!!

触れた相手の強度に応じて威力を変える触れて放つ斬撃「捌」で、特級の肉体をバラバラにする。そして、

 

 (カミノ) 

呪詞の詠唱と共に、老骨の手から炎があふれ出し、ダメ押しのトドメとして、呪霊の肉体を骨の髄から焼き尽くした。あとには指だけが残り、呪霊の構築した領域も消失した。

 

 「クク、此度はオマエにだけ任せたが………何も問題はなかったな」

「フン、あの程度の(あやかし)なら問題はない」

「爺ちゃん、カッコよかったよ!!日曜日の朝のヒーローにも負けてない………」

呪術に目覚めたばかりなのに腐っても特級を相手に問題ない扱い出来るのは流石「呪いの王の片割れ」と言うべきか………指を兄に渡し、全て終わったと帳を解除するが………

 

 「………倭助」「………」

仙台での用を終わらせた三人の前に、一人の男が立ちはだかる。警戒心を高める二人、

「アンタら何者や?ご丁寧に帳まで貼って、説明してくれると助かるねんけど」

「東京都立呪術専門学校一年」「禪院家次期当主」、その金使いの荒さから「パトロン」だの「スポンサー」だの揶揄されてる「禪院直哉」だ。

 

 




軽い気持ちで公開した前話の独自解釈があらぬ方向へ広がっている…
お姫様は女の子だけの専売特許じゃねぇんだぜ!?
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