巡る探索者、青き青春の果てを見る   作:抹茶3939

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とがびと だーれだ

 

 

 

セミナー室の扉を開けた瞬間、空気がわずかに変わる。整然とした机、整理された資料、無駄のない照明。ミレニアムらしい“管理された空間”がそこにあった。

 

 

「本日はお時間くださりありがとうございます。先生」

 

ユウカが資料から目を上げる。その視線はどこか疲れているが、仕事としての緊張は崩していない。その隣ではノアがタブレットを操作しながら、こちらを一瞥した。

 

 

「呼び出しに応じてくれるとは助かります。状況説明は簡潔に済ませましょうか」

 

探索者は軽く手を振る。

 

「依頼内容は把握しています。黒崎コユキの件、ですよね」

 

黒崎コユキ、元セミナー所属のとても優秀なクラッカーであり、パスワードを見ただけで解析、解除できるというとても優れた人材

ただ、性格に難があり、度々セミナーの部費を横領してはカジノに突っ込むというマジの犯罪行為をしている人物だった

 

 

「私のカジノにも来たことがありますよ。身分を偽り、学生以上にチップを買おうとしていたこともありましたし、覚えてます」

 

「なっ…あの子また…」

 

「幸い、私が気づいて出禁を言い渡しましたけど…その様子だとまたやってるっぽいですね」

 

「……えぇ…何回反省部屋に入れても一向に治らないよの」

 

「反省部屋?」

 

探索者はその単語を一度だけ反芻した。

 

「行動制限用の隔離スペース、という認識でいいですか」

 

「そう。一定時間隔離して、自分の行動を見直させるの。よく脱走するから…反省部屋になってないのかもね」

 

探索者は一拍だけ置く。そして、淡々と問いかけた。

 

「…今本人はどちらに?」

 

「今はセミナー管理下の待機室よ。呼べばすぐ来るわ」

 

「……とりあえず本人に話を聞いてからですね」

 

"そうだね"

 

「ではお二人はここで待機を」

 

「えっ!? 私たち抜きで話すっていうの?」

 

「…私の予想ですけど、2人が居ると本音で話してくれない気がするんですよ」

 

「特に“問題の当事者”は」

 

「そもそも元上司の前で赤裸々に自分の心情を語れと言われても無理がありますよ」

 

"……確かにそうだね。ユウカ、ノア。少しの間だけ、信じて待っていてもらえるかな?"

 

先生が穏やかに、しかし断固とした信頼を込めて二人に語りかける。ノアは納得したように頷くが、ユウカはまだ納得しきれていない、割り切れない計算式を抱えたような複雑な顔をしていたが、最終的に小さく、重いため息をついた。

 

「……分かったわ」

 

"ありがとうね。ユウカ"

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

扉の向こう、殺風景な待機室。

そこには、反省の色など微塵も感じさせない様子で、落ち着きなく足を揺らしている少女がいた。

 

 

 

 

 

 

 

「どうも、お久しぶりですね。白兎さん?」

 

「ゲッ!?あの時の支配人!?ど…どどどどどうして…」

 

「別に取って食うわけじゃないですよ。それに今はシャーレの事務員です」

 

"最近入ってもらったんだ。信頼できる人だから、ここでの会話を変に言いふらしたりはしないよ"

 

「……ユウカ先輩にも?」

 

「まぁ脚色することはありませんし、悪口を言っても別に報告するわけでもないですよ」

 

「よかったぁ…」

 

「んで、こちらがシャーレの先生。生徒のことになるととんでもなく甘くなる人です」

 

"あはは…事実だから何も言えない"

 

「私は好きですよ!甘い人!」

 

"あはは……それはちょっと複雑だけどね"

 

 

 

 

「えっと……それで今日は何のご用件ですか?」

 

コユキは、椅子にちょこんと座りながら首を傾げた。

 

(特に緊張もしていない。むしろ少し退屈そうですらある…か)

 

探索者は彼女を一度だけ見てから、静かに言う。

 

「ちょっとした確認です。最近、反省部屋に行く頻度は?」

 

「えっと……よく分かんないけど、結構行ってます!」

 

誇らしげに言う。先生が少し慌てて補足する。

 

"ちゃんと反省はしてると思うよ!ただ、その……"

 

「大丈夫です。分かってます」

 

 

探索者はコユキを見たまま続ける

 

 

「反省部屋では、どう過ごしていましたか?」

 

「えーっと……静かで、何もできなくて……」

 

少し考えてから、明るく言う

 

「でも、座ってるだけでいいので楽でした!」

 

(……なるほど。停止状態に抵抗感がない…か)

 

探索者は軽く視線を外しながら、少しだけ言葉を続ける。

 

「……そういえば、お菓子、好きでしたよね」

 

一拍

 

「以前、ウチのカジノに来たときも結構注文してましたし」

 

そう言いながら、バッグからいくつかのパッケージを取り出して机に置くとコユキの目が輝く

 

「えっ!?くれるんですか!?やったー!」

 

迷いなく手を伸ばし、嬉しそうに受け取る。

 

「貰い物ですし、私は食べませんから」

 

コユキは嬉しそうにいくつかのお菓子を抱え込むと、しばらくパッケージを眺めていた。

 

「これもいいし……あっ、こっちも気になる……」

 

迷うというより、“選べる状況そのもの”を楽しんでいるような動きだった。コユキは顔を上げる。

 

「……あの、これ、もっともらってもいいんですか?」

 

探索者は一拍置いてから、視線を逸らしたまま答える。

 

「無論構いませんよ」

 

その言い方は優しいというより、“制限がないことだけを事実として提示している”だけだった。コユキはぱっと笑顔になる。

 

「やったー!」

 

もう一度、両手でお菓子を追加で抱える。

 

「これもいいし……これも気になってたやつだし……」

 

その様子を見ながら、先生が小さく息を吐く

 

"ほんとに嬉しそうだね……"

 

「ええ、ここまで喜ばれるとこちらも用意した甲斐がありますよ」

 

「えっと……これ、全部食べていいんですか?」

 

コユキがふと顔を上げ、探索者に向かって恐る恐る質問する

 

"もちろん。食べきれなかったら持って帰ってもいいよ"

 

「わぁ……!」

 

"いいよね?"

 

「まぁ…そのために用意したまでありますから」

 

コユキはお菓子をかじりながら、少し落ち着いた様子で椅子に座っているがコユキがぽつりと呟く。

 

「なんか……ここ、安心しますね」

 

探索者は軽く頷き、何気ない調子で口を開く

 

「そういえば…最近、早瀬さんと話す機会はありましたか?」

 

「えっと……ありましたよ。ちょっとだけですけど…ルールの話とか、ちゃんとしようねって……」

 

「なるほど」

 

探索者は軽い相槌をし、一拍置いて、自然に続ける。

 

「その時、どう思いました?」

 

「えっと……ちゃんと聞かなきゃなって思ったかもです。でも、怖いとかじゃなくて……うーん、説明難しいです」

 

コユキは少し言葉に詰まりながらも答える様子に、探索者はわずかに頷く

 

「……まぁ、難しいですよね」

 

それだけ言って、話を遮らない。

 

「そう……なんですか?」

 

コユキは少し安心したように息を吐くのを見て探索者は淡々と続ける。

 

「私だって、自分の気持ちに名前がつかないことは多々ありますよ」

 

コユキは少し驚いたように目を丸くする。

 

「えっ、そうなんですか?」

 

「ええ、正確に言語化できる感情の方が少ないですから今の状態は普通です」

 

「なんか……そういうものなんですね」

 

コユキはお菓子をかじりながら、小さく笑い、先生がその様子を確認して横でやわらかく頷く。

 

"うん、それでいいんだよ"

 

探索者は一拍だけ置き、少しだけ視線を上げて、淡々と続ける。

 

「……一つだけ」

 

コユキが顔を上げる。

 

「はい?」

 

「答えたくなければ答えなくて構いませんが」

 

ごく短い前置き。

 

「“ダメだと分かっていてやる時”と、“分かっていない時”どちらが多いですか?」

 

一瞬、空気が止まる。コユキは少しだけ視線を泳がせ、抱えたお菓子の袋をギュッと握りしめた。

 

「えっと……」

 

探索者と先生は何も言わない。ただ、急かさない。コユキはぽつりと答える。

 

「……分かってない時、かもです」

「後から言われて、“あ、ダメだったんだ”ってなることが多くて……」

 

「…なるほど、ありがとうございます」

 

コユキは少しほっとしたように息を吐く。

 

「…先生」

 

"うん、分かってる。コッチは任せて"

 

「助かります」

 

「……あれ?もう終わりですか?」

 

コユキがきょとんとした顔で二人を見比べ、探索者は視線だけを向ける。

「ええ」

「必要な確認は済みましたので」

 

「えっ、なんかもっとこう……怒られたりするのかと思ってました」

 

先生が苦笑しながら肩をすくめる。

 

"それはこれからかな。でも怒るっていうより、一緒に考える時間だよ"

 

「うーん……それもそれで大変そうですけど、お菓子があるなら頑張れるかもです!」

 

探索者は立ち上がり、一度だけ部屋の隅々を見渡す。

 

「それでは私はやる事が出来たのでこれで失礼します」

 

「えっ、もう帰るんですか?」

 

「ええ」

 

扉へ向かう探索者に、コユキがニハッと、悪戯っぽく笑いかける。

 

「じゃあまたお菓子持ってきてくださいねー!」

 

探索者は一瞬だけ、扉のノブを掴んだまま動きを止めた。

 

次の瞬間

 

「……ふっ」

 

小さく、吐息のような笑いが漏れた。

 

 

「…気が向けば良いですよ」

 

コユキはお菓子を抱えたまま、満足そうに手を振る。

 

「やったー、約束ですよー!」

 

コユキの満足げな声を背に、探索者は待機室を後にした。

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

廊下に出ると、先ほどまでの柔らかい空気が嘘のように引いていき、足音だけが静かに響く。

探索者は歩きながら、短く息を吐いた。

 

 

(意図的じゃない。未内面化……矯正は可能)

(だが——あの環境では進まない)

 

 

足を止める。セミナー室の扉の前。探索者はノックせず、そのままドアノブに手をかける。

 

「失礼します」

 

扉を開けると、そこには資料を整理しているユウカと、タブレットを操作するノアの姿。室内の空気が、わずかに張り詰める。

探索者は二人を一瞥して、静かに言う。

 

 

「アイスブレイクは無しにして結論から言います」

 

 

 

「これは本人の問題ではありません」

 

 

室内の空気が、凍りつくような緊張感に支配される。ユウカが不快感を隠そうともせず、険しく眉をひそめた。

 

「……どういう意味? 彼女がこれまでセミナーに与えた損失額を、まさか性格のせいじゃないとでも言うつもり?」

 

探索者はその視線を正面から受け止め、淡々と続ける。

 

 

「行動自体は問題です。ですが原因は本人の資質ではない」

 

「つまり……彼女のこれまでの更生プロセス、引いては『教育』に不備があった、と言いたいんですか?」

 

「正確には、更生プログラムにおける『環境要因のミスマッチ』です」

 

 

 

「反省部屋」

 

その単語を口にした瞬間、室内の温度が一段、急激に下がった。

ユウカが苦々しげに視線を逸らす。

 

「……あれは組織として必要な措置よ。あの子、何度言い聞かせても、論理的に説得しても、すぐに――」

 

探索者はその言葉を遮らない。

最後まで聞き届け、沈黙を十分に確保してから、静かに断じた。

 

「措置そのものを否定はしません……ただし、現在の状態は“罰”として成立していない」

 

「本人が自分の行為を理解していない以上、それは罰を受けたことにはならない」

 

ノアが静かに目を細め、探索者の意図を測る

 

「理非善悪を弁識する能力、あるいはその判断に従って行動を制御する能力が伴わなければ、罰は意味を持ちません」

 

「そんなわけない!」

 

次の瞬間、ユウカが声を上げた。机に手をつき、前のめりになる。

 

「コユキはちゃんと理解してるわよ!反省部屋から出てきた後はいつも、“もうやりません”って——」

 

探索者は否定しない、ただ、静かに問いを置く。

 

「……その時、どう思いました?」

 

「“理解した”と?あるいは、“そう言えば終わると学習した”と?」

 

ユウカが言葉に詰まり、空気が重く沈むが探索者は続ける。

 

「……それについては確認しています」

 

「確認?」

 

「えぇ、ここに来る前に、反省室を見せてもらいました」

 

「記録も一通り“反省ノート”も」

 

ユウカとノアが同時に顔を上げる。

 

「……反省ノート?」

 

「そういう記録は、こちらでは用意していないはずですが……私の記憶にもありませんし」

 

「自作ですよ」

 

「……“ダメだったことリスト”の形で、過去の行動を反復記録しています」

 

「……そんなの、聞いてないわよ」

 

ユウカの表情が固まるが、探索者は続ける

 

「内容は増え続けています」

 

 

「ただし——一貫して“理由”が存在しない」

 

ノアの目が細くなる。

 

「行動と結果のみが記録されている。判断基準がない」

 

「加えて——“反省ノートを見せてはいけない”という項目が存在します」

 

「……え?」

 

「過去に見せた際の反応を“失敗”として学習したのでしょう」

「つまり——修正ではなく、“検出回避”に移行しています」

 

重い沈黙、その中でユウカがはっとする。

 

「ちょっと待って……今、“見た”って言ったわよね!あそこに行けたの!?あのセキュリティ体勢万全の所に!?」

 

「……まあ、裏道を使いました」

 

「そんなもの無いはずなんだけど……」

 

ユウカが額を押さえるが、探索者は何も言わず、そして、静かに結論を置く。

 

「現状は“反省”ではありません“怒られないための最適化”です」

 

「……あくまで彼女の視点に限れば」

 

一拍

 

「“何が正解か分からない相手の顔色を伺う構造”に近い」

 

探索者は最後に、静かに付け加える。

 

「……おそらくですが…これを書き始めた理由は、特別なものではないでしょう」

 

ユウカがわずかに息を呑む。

 

「誰かに言われたんでしょう」

 

「“それくらい、自分で考えれば分かるでしょ”と」

 

「だから“分かろうとした”」

 

「その結果——分からないまま、記録だけが残った」

 

 

沈黙が、重く落ち、誰もすぐには言葉を発さない。

探索者は一度だけ目を閉じ、ゆっくりと開く。

 

「……ですが、まだ、壊れてはいない」

 

空気がわずかに揺れユウカが顔を上げる。

 

「……本当に?」

 

探索者は静かに頷く。

 

「ええ“分かろうとしている”時点で、完全には止まっていない」

 

「間違った方向でも、思考は続いている。なら——いくらでも修正は効きます」

 

ユウカの表情が、わずかに揺らぎ、探索者は視線を二人に向ける。

 

「早瀬さんが悪いわけではありません。むしろ、その怒りは妥当です」

 

「罪と罰がなければ、人は簡単に崩れますから」

 

ノアが静かに頷く。

 

「ただし——“理解なき罰”は、機能しない」

 

探索者は一歩引く

 

「ですが、私が出来るのはここまでです」

 

「ここから先は——本人と、先生、そして貴方達の領域になります」

 

「……無責任ね」

 

ユウカがわずかに歯を食いしばりそういうと、探索者は否定しない。

 

「私は心理学を少しかじっているだけの外道ですから。教育者のような高尚なライセンスは持ち合わせていないんですよ」

 

「……ふふ、十分ですよ。ありがとう」

 

ノアが微笑み、ユウカの肩にそっと手を置く。

 

「ユウカちゃん。現状と構造は理解できた。ここからは――変数の再定義と因数分解。ユウカちゃんの、一番得意な計算でしょう?」

 

「……そうね。計算し直してやるわよ、とびきり複雑なやつをね」

 

ユウカが顔を上げる。その瞳からは、迷いが消えていた。

 

「……一応。やれなくもないですよ」

 

ぽつりと、自分自身に言い聞かせるような独り言がこぼれる。

 

「ですが――私のやり方では、私自身が納得できない」

 

ユウカが怪訝そうに眉をひそめる。

 

「……何よ、それ。貴方のやり方って?」

 

探索者はわずかに目を伏せ、かつて自身が観測した、あるいは学んだ「ある概念」を追憶するように言葉を紡いだ。

 

「……私の知っている教師は」

 

「自分の弱さを理解した上で、それでも他人を導ける人です。生徒一人ひとりに向き合いながら…それでいて自分の未熟さすら、教材にできるような」

 

「……そういう、『化け物みたいな教師』がこの世には存在するんですよ。比喩ではなく、物理的に腕が八本くらいないと、到底不可能な領域のマルチタスクをこなすような御仁がね」

 

一瞬の間

張り詰めていた空気が、その荒唐無稽な例え話によって、ほんの少しだけ和らぎ、ユウカが呆れたように言う。

 

「……何それ、比喩にしては具体的すぎない?」

 

「だから私には無理です。基準が高すぎるので」

 

静かに踵を返し、扉へと歩き出す。

 

「それでは。後は『甘い教師』と、貴方たちの演算に委ねます」

 

扉へ向かう背中に、ユウカの複雑な視線が突き刺さるがノアが最後に、零れるような声で呟く

 

「……本当に、ありがとう」

 

探索者は振り返らない。ただ、扉を開ける直前、わずかに片手を上げて応えるだけだった。

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

数日後。

シャーレのオフィスに、ミレニアムの紋章が刻印された一通の封筒が届く。差出人は——ミレニアム・セミナー。

 

事務机に深く腰掛けた先生が、丁寧に糊付けされた封を開ける。

 

 

手紙には、簡潔な感謝の言葉が並んでいた。

コユキの様子が以前より落ち着いてきたこと。

対話を重ねる中で、少しずつ“考える時間”が増えてきたこと。

 

そして——

「ご助言、誠にありがとうございました」

と、締めくくられている。

 

 

先生は小さく息を吐き、写真に目を落とす。そこには、セミナー室で並んで写る三人の姿。

 

ユウカとノア、そして——

 

少しだけぎこちないが、それでも確かに笑っているコユキ。

 

"……よかった"

 

先生が口元を綻ばせた、その時、封筒の底に、もう一枚、厚手の感熱紙が残っていることに気づく。

先生は何気なくそれを取り出し——数秒間、石像のように硬直した。

 

「……あー」

 

背後から淹れたてのコーヒーを手にした探索者が、音もなくその紙面を覗き込む。

 

「どうしました、先生。ミレニアムから『お礼のチップ』でも届きましたか?」

 

先生は無言で、その紙を震える手で差し出す。そこに無機質なフォントで印字されていたのは

 

 

施設修繕費請求書

内訳:

・セミナー管理区画 壁面損壊修復

・構造補強

・その他付随工事一式

合計金額:それなりに笑えない額

 

 

沈黙が、静かにオフィスを支配する。

先生が、ゆっくりと首をギギギ……と動かし、隣の「事務員」へ視線を向けた。

 

探索者は一瞬だけその請求書を眺め、コーヒーを一口啜ると、ふっと窓の外へ視線を逸らす。

 

「……まあ」

 

一拍

 

 

「裏道を使ったので」

 

"……詳しく説明してほしいな?怒られるの私だからね?"

 

 

探索者は答えない。ただ、もう一度コーヒーを口に運んだ。




はい、この話はあにまんのスレであった

ここだけ反省部屋でちゃんと反省してるコユキ

を参考にして作っています。あまりにも報われない感じでしたし、何よりクトゥルフとの相性が良かったので
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