巡る探索者、青き青春の果てを見る   作:抹茶3939

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心を込めて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白と橙、2つの恒星が真正面から衝突した瞬間、荒野は悲鳴を上げた

 

 

網膜が焼けるような光

 

空気が焼却され、大地はめくれ上がり、全てが吹き飛ばされていく

 

 

誰も声は出せない。

 

 

ネルやトキでさえもあまりの風圧に耐えるので精一杯。先生なんかはゲーム開発部の面々に支えてもらわなければ吹き飛んでいたかもしれない。

 

 

そして

 

二つの光は、互いを削り切るように喰らい合い。

やがて。

 

世界を塗り潰していた閃光が、ゆっくりと晴れていく。

 

 

「……っ」

 

最初に声を漏らしたのは、モモイだった。

 

 

爆煙の向こう。

 

 

 

そこに立っていたのは――

 

半壊したギガンテス。

 

中破し、外殻を半ば以上吹き飛ばされながらも。 脈動する橙色の光を未だ宿したまま、ギガンテスは沈まない。

 

 

「まだ…倒せて……ない……」

 

ユズが震える声を漏らす。

アリスもまた、荒い呼吸のまま光の剣を支え、静かに目を見開いていた。

 

限界まで出し切った。 それでも、届かなかった。

荒野へ、重い絶望が流れかける。

 

先生も、唇を噛み締めた。

大人のカードの代償で視界は滲み、呼吸すらまともに出来ない。

それでも、倒れそうな身体を支えながら前を見る。

 

だが、その瞬間だった。

 

 

 

――ギギッ

 

 

 

巨大な鋼の巨体から、鈍い駆動音が響く。

 

 

「構えてください!!」

 

誰もが身構える。

ネルが即座に銃口を向け、トキがアリスの前へ滑り込む。

 

 

そこから現れた人影を見て、空気が変わった。

黒煙の中から、探索者が静かに歩み出てくる。

 

 

常にまとっていた緑色の背広は脱ぎ捨てられ、額から血を流している。 それでも、その歩みだけは妙に洗練されていた。

 

 

数歩

 

 

そして彼は、生徒たちの前で立ち止まる。

 

 

沈黙。

 

 

熱風だけが吹き抜ける。やがて探索者は、小さく息を吐き――

 

 

 

静かに、片膝をついた

 

 

 

まるで、古い時代の執事が主へ忠誠を示すような。 あるいは、一人の騎士が勝者へ最大限の礼を尽くすような

 

 

 

 

完璧な所作だった。そのまま胸へ手を当て、深く頭を垂れる。

 

 

「……まずは」

 

 

 

 

「心からの謝罪を」

 

 

「試すような真似をした。恐怖を押し付けた。役割を、傷を、現実を――無理矢理突き付けた」

 

 

橙色の火花が、なおも彼の背後で散っている。だが探索者は、一度も顔を上げない。

 

 

「許されざる行為をしてしまった。その事実に言い訳の余地はない。本当にすまない」

 

 

 

重い沈黙が戦場を支配していた。

 

 

 

その空気を破ったのは、アリスの震える声だった。

 

 

 

 

「……怖かった、です」

 

 

 

白く変質していた髪が、ゆっくりと元の色を取り戻していく。だが、少女の瞳にはまだ、先ほどまで世界を焼き尽くしていた戦火の恐怖が焼き付いていた。

 

 

 

 

「本当に……皆が消えてしまうかもしれないって……ずっと、ずっと……」

 

 

 

その告白に、探索者は微かに目を伏せる。

 

 

 

「……加減はしていた」

 

 

 

淡々とした、しかし嘘の混じらない声。

 

 

 

「絶対に、殺さないように」

 

 

 

ネルが険しい表情で眉を寄せ、トキも無言のままその男を鋭く見据える。だが、探索者は構わず続ける。

 

 

「だが――最後は違った」

 

 

その瞬間、アリスの瞳が小さく揺れた。

探索者はようやく顔を上げ、真正面から彼女を見据える。そこにはもう、かつての“魔王”を測るような冷徹な観測者の眼差しはなかった。

 

 

 

 

「お前が己の意志で覚悟を示した以上、手加減という嘘で向き合う方が――お前に対する最大級の侮辱だった」

 

 

 

その言葉は、静かに、しかし確実に少女の胸へと届いた。

脳裏に蘇るのは、あの閃光の只中で響いた声。

 

『出し切ろうか、アリス』

 

あの瞬間、自分を“世界を滅ぼすシステム”としてではなく、一人の意志ある存在として認めていたのだ。

 

 

 

「……ずるいです」

 

「そんな言い方をされたら……怒れなくなるじゃないですか……」

 

その声は泣き出しそうに震えていた。

探索者は小さく鼻で笑う。それはかつての獰猛な笑みではなく、どこか哀愁を帯びた、大人としての笑みだった。

 

「なら、今のうちに怒っておけ」

 

「私は、お前たちに嫌われて当然の選択をしたからな」

 

「だが」

 

探索者は、生徒たちを見る。

傷だらけになりながら。それでも、誰一人折れずに立っている少女たちを。

 

「お前たちが、“理不尽”って壁を、自分の足で踏み越えたことだけは――誇りに思う」

 

熱風が荒野を吹き抜ける。

 

崩れ落ちるギガンテスの残骸が、遠くで鈍い轟音を上げていた。

 

 

 

その時だった。

 

 

 

「……いや」

 

モモイが、じとっとした目で探索者を見る。

 

「“ごめんなさいしました、はい終わりです”って訳にはいかないでしょ?あのビーム超怖かったし!?ユズなんて途中で半泣きだったし!」

 

「モ、モモイっ……!」

 

ユズが真っ赤になって抗議する。

その横で、ミドリも困ったように眉を下げた。

 

「……その、怒ってない訳じゃ……ないです」

 

「怖かった、ですし……」

 

ネルは、腕を組んだまま鼻を鳴らした。

 

「……ま、当然だな。普通なら、ここでそのまま撃ち殺されても文句言えねぇレベルだぞ」

 

「……えぇ。なんなりと処遇を」

 

淡々とした声音。だが、その言葉に微塵の偽りもない。

彼は本気で、この少女たちが下す裁きを受け入れるつもりだった。

 

「私は、全て受け入れます」

 

その場の空気が、一瞬だけ音を失う。

軽口でも、芝居でもない。この女は、死さえも妥当な帰結として甘受する構えだ。

その「無防備なまでの誠実さ」に、当のゲーム開発部側が拍子抜けして困惑する。

 

「…………えぇー……」

 

モモイが露骨に引きつった顔をした。

 

「そこまでガチで来られると、逆にどうしていいか分かんないんだけど……」

 

「お姉ちゃん、それは失礼では……?」

 

「いやミドリ、あんたも内心困ってるでしょ!」

 

騒がしいやり取りをよそに、アリスだけは一点を見つめていた。

彼女は静かに探索者を見据え、やがて小さく息を吸い込む。

 

「……なら」

 

探索者が顔を上げる。その視線の先で、アリスはほんの少しだけ困ったように、けれど温かく笑った。

 

「まずは、皆さんと一緒にゲームをしましょう!」

 

「……は?」

 

今度は探索者が固まる番だった。

数秒の沈黙の後、男は堪えきれなくなったように肩を震わせる。

 

「――ははっ」

 

乾いた、けれどどこか救われたような、心からの笑い声だった。

 

「敵だった相手と最初に行うのがゲームか。それでこそ、ゲーム開発部だな!!」

 

ギガンテスを背に、探索者は心底可笑しそうに笑う。

その姿を見て、モモイは「でしょー!?」と胸を張り、ミドリは困ったように苦笑し、ユズは小さく吹き出した。

 

探索者はふっと口元を緩め、戦場に残した戦友(AI)へ意識を向ける。

 

「……賭けは、俺の勝ちだな」

 

半壊した残骸から、微かな電子音が返ってくる。

 

『癪ですが、そのようですね。まさか本当に、“ゲームで許される”とは思いませんでした』

 

「俺も半分くらいは撃たれる覚悟はしてた」

 

『半分で済むと思っていたのですか?』

 

「……まぁ…9割ぐらい?」

 

『……自覚はあったのですね』

 

「……誰!?」

 

唐突な声に部員たちが跳ね上がる。探索者は面倒そうに肩を竦めた。

 

「あー……説明が長くなるから、あとは本人にやらせるわ。スマホ置いとく」

 

端末を地面にそっと置くと、即座にリホの怒鳴り声が響いた。

 

『はぁ!? 責任を持ってやってくださいよ!!』

 

「頑張れ」

 

『雑ッ!!』

 

数秒の沈黙

 

『…………』

 

端末の向こう側でも、一瞬だけ気まずそうな間が空くが…やがて、咳払いじみた電子ノイズが走った。

 

『……初めまして』

 

それは、今まで戦場を支配していた無機質な機械音声とは違う、どこか人間味を帯びた響きだった。

 

『現在、そこのバカのナビゲーション及び、ギガンテス制御補佐を担当していました』

『自律固定砲台──改め、リホと言います。以後、お見知りおきを』

 

「いや待って情報量!」

 

モモイのツッコミが即座に飛ぶ。

 

「固定砲台!? AI!? 改めって何!?」

 

「元々、自律固定砲台って名前だったんだよ。そこから二文字取って、リホだ」

 

「あー……なるほど?」

 

「っと、そういや大事なことを聞くのを忘れてた」

 

探索者がふと思い出したように振り返る。その表情は、先ほどまでの「戦士」の顔から、再び少しだけ胡散臭い大人のそれに戻っていた。

 

 

「アリス。あの光の粒子が発現した時に……何か『暖かな声』を聞いたか?」

 

「暖かな声、ですか?」

 

「ああ……なんだ。例えば、"そのままの自分でいいのよ"とか……"ありのままを肯定する"ような……そんな声だ」

 

探索者は珍しく言葉を選ぶように、視線をアリスから逸らした。

 

「……?」

 

アリスは少し考え込んだが、やがて小さく首を横に振った。

 

「うーん……そんな声は聞こえませんでした」

 

探索者の肩から、ふっと力が抜ける。だが、その安心も束の間だった。

 

「でも、誰かが――」

 

アリスは、どこか嬉しそうに微笑んだ。

 

「暖かく、探索者さんのあの言葉を思い出させてくれました!」

 

「……あ?」

 

「『――お前は何者だ?』って!」

 

その瞬間、探索者の表情が氷りつく。

沈黙の先で、端末からリホの皮肉気な声が響いた。

 

『……一勝一敗ってところですかね』

 

「……笑えねぇな、それ」

 

探索者は片手で顔を覆い、深く息を吐いた。

 

「アウト寄りじゃねぇか……」

 

「えっ!?!? なに!? 何かヤバいことあったの!?」

 

モモイが即座に食いつく。ミドリも不安げに眉を寄せ、ユズはさっきまでの激戦を思い出したのか、青ざめていた。

 

「ま、待ってください……! アリスちゃん、なんか危険な状態だったんですか……!?」

 

「えっ!? アリス、何かまずかったんですか!?」

 

当の本人までパニックになりかける。探索者は面倒そうに頭を掻きながら、心底困ったような溜息を吐いた。

 

「……いや、まぁ。結果的にはセーフだ。多分な」

 

「多分って言った!?」

「その『多分』は心臓に悪いのでやめてください!!」

 

モモイのツッコミを適当に受け流しながら、探索者は観念したように口を開く。

 

「簡単に言えばだ。自分の精神性で、あわや『得体の知れない力』に適合しかけたんだよ」

 

「……へ?」

 

「本来なら、特定の人間にしか起きない現象なんだが…光の種も無いはずなのに………なんで発現した?」

 

『どっかのバカが撒き散らしたコギトが、触媒として機能したからではないでしょうか』

 

「うるさいなぁぶっころすよ?」

 

リホの身も蓋もない正論を、探索者は身内特有の物騒な言葉で雑にねじ伏せた。

ひとしきりゲーム開発部の面々が「ひぇっ……」とか「ぶっころ……?」とか背筋を凍らせているのをよそに、彼ははぁ、と本日何度目か分からない溜息を吐き出す。

 

そして、少しだけ真面目な、大人の顔に戻ってアリスを見つめた。

 

「……まぁ、何はともあれだ」

 

探索者は顎を小さくしゃくり、アリスの胸のあたり――その奥にある存在へと視線を向ける。

 

「……Keyとは、話がついてるんだよな」

 

その名前に、モモイたちが「え?」と小さく声を漏らす。

だが、アリスは驚くことなく、ただ真っ直ぐな目で、力強く頷いた。

 

「……はい」

 

少女の瞳の奥、一瞬だけ別の理知的な輝きが瞬いた気がした。

 

「ケイは、アリスの中にいます。アリスの決意を、一緒に応援してくれました。これからも、ずっと一緒です」

 

「そして…アリスはアリスとして勇者を目指します!」

 

「……ならまぁ、大丈夫だろ」

 

探索者はぶっきらぼうにそう言うと、今度こそ完全に肩の力を抜いた。

 

「いや、説明! ちゃんとした説明を求める!!」

 

地団駄を踏みながら両手をぶんぶんと振って抗議するモモイ

その横で、ユズが恐る恐るアリスの顔を覗き込む。

 

「大丈夫……なの? アリスちゃん……」

 

「えーっと……まず」

 

完全に観念した探索者は、頭を掻きむしりながら、さらに語り口を崩して説明を始めた。

 

「私が使った『コギト』っていう薬品はだな。ぶっちゃけると感情をウルトラ増幅させる劇薬だ。それをアリスの体にちょいと振りかけて、なんかこう、因果のパスをいい感じに繋ぐと、その子の精神世界へお邪魔できるようになる」

 

「なんかこうって何ですか、なんかこうって!」

 

「専門知識を並べてもすぐには理解できんからいいだろ?……で、その精神世界で今回の騒動の元凶――『アトラ・ハシースの鍵』、まぁ便宜上ケイって呼称するんだが……そいつと話し合ったら直ぐに堕ちてくれた。チョロすぎて心配になるぐらいにな」

 

「んで、このコギトって薬はなかなかの曲者でな。本人の情動とか『なりたい姿』に応じて、その存在を根本から変容させちまう特徴がある。そんなもんがまともに発現したら大惨事だから、濾過を繰り返して、原液を限界まで希釈して、安全性をこれでもかってくらい高めたはずだったんだけど……」

 

横で静かに話を聞いていた先生が、探索者の言葉を引き継ぐように、ぽつりと呟いた。

 

"……そこに、想定外の事態が起きた、と"

 

「先生、百点!」

 

「百点じゃないよ!!」

 

「そこ、“想定外”で流していい話じゃなくない!?」

 

「その通り。だけどもう終わったことだから」

 

『いつも通りの切り替え方ですね』

 

「で、まぁ。想定外ってのが、アリスの精神性だ」

 

「精神性?」

 

「本来なら……自己否定とか、破壊衝動とか、そういう極端な感情へ引っ張られて、人型かも怪しいような化け物になるんだ。ま、そんな事は滅多には起こらないんだけど…まぁ…なる時はなる」

 

「しかし、たまーに強い精神性を持った人物はその声を押しのけて覚醒する。それがアリスの身に起こったって訳だ」

 

『厳密には、“極めて限定的な自我完成現象”ですね』

 

「いや急に難しい」

 

「つまり?」

 

探索者は数秒考え。

 

「……超簡単に言うと…アリスが“自分で自分の在り方を決めすぎた”結果、変な覚醒した」

 

「“魔王の力”として完成するはずだったものが…アリス自身の意思に引っ張られて、別の形へ溶けた」

 

「………つまり」

 

「めちゃくちゃ危ないことしてません?」

 

「してるな」

 

「即答!?」

 

「これでも、本来のやつよりだいぶ大人しくなったんだけどなぁ.....」

 

探索者は、疲れ切った顔でぼやく。

 

「初期の実験データだと、適合に失敗した被験者が派手に弾け飛んだり、ドロドロに融けたりしてたし」

 

「さらっととんでもないホラーの裏話しないで よ!?」

 

モモイの悲鳴じみたツッコミが、荒野に木霊した。

 

「弾け飛ぶ!? 融ける!?」

 

「アリスちゃん、本当に大丈夫なの!? 身体崩壊し てきたりしてない!?」

 

「はい!」

 

当のアリスだけは、両手をグーパーさせながら元気よく答える。

 

「アリスのHPは満タンです!」

 

「むしろ、ちょっとバフが掛かってる気がします!」

 

「んな訳あるかぁ、精神側が高揚状態に入ってるだけだ。今はアドレナリンで無理矢理立ってるようなもんだぞ」

 

「えっ」

 

アリスの動きがぴたりと止まる。

 

「……えっ?」

 

「肉体側は普通に限界近い。あとで反動は来る」

 

「バフじゃなかったんですか!?」

 

「ゲームじゃねぇんだぞ」

 

「……ま、とりあえず説明終わり。こっから先は――大人の話だ」

 

探索者はそう言って、ゲーム開発部の面々から、一歩下がって戦況を見守っていた先生へと視線を移した。

 

その場の空気が、ふっと切り替わる

さっきまでの子供たちの騒がしい日常の裏側で、命を削り合っていた「大人同士」の、静かで重い領域。

 

「……」

 

先生の息は荒く、視界はまだ滲んでいる。それでも、生徒たちの前に立つその背中だけは、決して崩さない。

 

「先生。大人のカードってのは、もう少し控えめに使いな全部を救うために『全取り』しようとする心意気は上等だが…何事にも限度ってのがある。最初から自分を塵にしちまったら世話ないぜ」

 

だが、先生の瞳にある光は消えない。

その眼差しを見た瞬間、探索者は「あーあ」と肩をすくめた。

 

「……強情なこった。"それでも"って言いたそうな顔をしてやがるな」

 

先生の無言の執念を先回りするように、探索者は皮肉げに、けれど少しだけ優しい口調で笑う。

 

「分かってるよ。お前がそういう生き物だからこそ、この最高にイカれたバグまみれの結末を手繰り寄せられたんだろ」

 

「だからさ、これはただの忠告だよ。他人を守るのだったら自分も大切にしな」

 

"……そうだね。今度からはそうすることにするよ"

 

"…私も間違えてしまったし"

 

"ただし、君も一緒だよ"

 

「わーってますよ。それでなきゃこれからもこの先もすぐ死んでしまいますし」

 

 

「……さて、私の処遇に不満がある人は?」

 

探索者はそう言って、両手を大袈裟に広げて周囲を見回した。

アリスが下した『一緒にゲームをする』という、あまりにもゲーム開発部らしすぎる「判決」

それに異議を唱える者がいるかを確かめるように、探索者は一人一人の顔を見回した。

 

真っ先に動いたのは、ネルだった。

 

「チッ……。当事者のアリスがそう言うんだ。アタシが今さら外野から口挟むこっちゃねぇよ」

 

ネルは荒々しく、けれどどこか形を失った緊張を払うように銃口を下げ、愛銃を背後に収めた。

 

「私も異論はありません。元々私はリオ様の命令で動いていただけなので」

 

緊迫していた戦場から、完全に『敵意』が消え去った。

その様子を見て、モモイが「よーし!」とこれまた心底嬉しそうに拳を突き上げる。

 

「決まり決まりー! 処遇はゲーム対決ね! あ、ちなみに負けたらゲーム開発部の部室の掃除一週間、あとおやつ買い出しの刑だから!」

 

「お姉ちゃん、それは処遇じゃなくてただのパシリだよ……でも、うん。私も、不満はありません」

 

「う、うん……私も、一緒にゲーム……楽しみ、です」

 

ミドリが苦笑し、ユズが少しだけ怯えを交えながらも、最後ははにかむように微笑んだ。

 

最後に、探索者は先生へと視線を向ける。

先生は、額の汗を拭いながら、どこか誇らしげに生徒たちの笑顔を見つめ、それから探索者に向かって小さく頷いた。

 

"……異議なし、かな。それが彼女たちの選択だからね"

 

皆の回答に探索者は

 

「……一応、どこでもエンコセット持ってきたんだが…要らなくなったな」

 

『そんな教育に悪いもの早くしまってください!!』

 

リホの怒声が、荒野いっぱいに響き渡った。

 

 

 

 




人物紹介:ギガンテス


かつて探索者がある世界で出会った半生命体であり、超巨大破壊兵器と称されることもある伝説の存在

外見的には殆ど戦車と超巨大要塞が合体した異形マシンであり、神聖さと同時に不気味な表情を見せる。

常時対空砲を放っており、ミサイルの連射や全くクイックでないスピン、軌跡に炎を残す艦橋からの巨大レーザーなどと言った兵器で襲いかかる。

さらに、探索者が用意したファンネル群で、接近すること自体も困難であり、遠距離からの攻撃では大したダメージが入らない。

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