冬と再会(no side)
緑髪の男の子-緑谷出久と別れたあと、二人は亡霊番長と話を付けた。
さすがに病院送りはやりすぎだと指摘した上で、この"個性至上主義"が蔓延する世界でいじめの抑止力になるように今後も続けるようにいじめっこの成敗をお願いした。
それから数日だった。またうすらぬらに書き込みがあり、ナツメとケースケは書き込み主のところに向かった…………
が、それは罠だった。
書き込み主の顔を見て、ナツメとケースケは驚きで声が出なかった。
そりゃあそうだ。
書き込み主基依頼人は、前世で"妖怪探偵団の一員"として活動しており、後にナツメの夫となった-
だったのだから。
驚きで固まっている二人を他所に、トウマはなにもないかのように二人に笑って声をかけた。
数秒後、天野姉弟の悲鳴が響き渡ったのは当然だった。
·凍てつく冬に灯を(トウマside)
きっかけはホントに偶然だった。
お父さんもお母さんも仕事でいなくて部屋に一人。今時珍しい"無個性"だから、友達もいなかった。学校もサボり気味で、孤独を感じていた。
だから、その孤独を紛らわすように部屋に込もってネットゲームや掲示板に興じてた。
"無個性だから"。
それだけで未来が見えない世界に絶望していた。
あの日もいつもと変わらず、掲示板を読み漁ったいたけれど、少し気になるページを見つけた。
今時オカルト系の噂を流したところで、大抵誰かの個性だと思われるのに。サイトの運営者は書き込まれた出来事一つ一つに真面目に取り組み、解決していた。
初めはよくやるなぁと他人事で見ていた。けれど見ているうちに既視感っていうのを感じ始めた。
初めての筈なのに、見覚えがある。
なにかを忘れている気がする。
その鍵を見つけるためには、見なきゃいけない。
そう思って必死に見ていて、ふと何かが視界を横切った気がした。そしてその影に懐かしさを感じた。会ったことないはずなのに。
その懐かしさがなんなのかずっと考えていると、急に頭痛がして意識を失った。
目が覚めると、小さな鬼のようなものが三匹宙に浮いていた。けれど僕は驚かなかった。寧ろ懐かしさで笑みが零れた。
「ただいま、オグ・トグ・モグ。」
宙に浮く小鬼三匹は嬉しそうに僕の側にやってきて、僕と同じように笑った。
·秋と合流(アキノリside)
「あっ!」
小さな神社を営む俺の家に、同い年の男女と少し年下の男の子が来ているのを目にしたとき、俺は全てを思い出した。
幸い両親がいるかいないかの差だけで、そこまで変わらなかったからありがたかった。
ナツメ達が集まっていると言うことは、三人とも記憶があるに違いない。
そう確信して、俺は声をかけた。
「よ!久しぶりだな!!ナツメ、トウマ、ケースケ!」
その途端驚いた表情をした三人を見て、俺の予想は間違いじゃなかったと笑ってしまった。
【今回の妖怪大辞典】
オグ・トグ・モグ
トウマに取り憑いている『鬼まろ』*1のトリオ。普段は体の中に住んでいる。一つ目はオグ、二つ目はトグ、三つ目はモグという名前らしい。
原作ではトウマを敵側のリーダーに据え『鬼まろ』の世界蔓延を図ろうとしたが、トウマのやさしさに触れて改心。訳あってトウマが絶命しそうになった際に、トウマの中に入って救命した。本作では鬼まろ集団からはぐれてしまい、トウマの近くで様子をずっと見守っていた。
【今回の登場人物記録】
うすらぬらを見て前世を思い出した中学1年生。両親が医学研究者で幼少期から家におらず、また”無個性”ということで距離を置かれていたことが影響して、不登校気味だった。前世を思い出してからは前向きになり、積極的に外に出るようになった。冷静で落ち着いた性格。
ナツメ・ケースケ・トウマが集まっているところを見て、前世を思い出した中学1年生。地元有数の神社・霧立神社を運営する有星家の末席であり、貴重な跡継ぎ。また妖術師一家でもある有星家の見習い妖術師。妖術師として一人前になれるよう、祖母・光江*2から厳しい修行を付けられている。
文章中にあるように、前世*3とは異なり両親が存命している。