個性社会のシャドウサイド   作:あとか

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pixivでは第四話・「囚われの妖姫(ようひ)」として投稿した物です。長いので、ハーメルンでは分割しています。


囚われの妖姫
事件の裏に蜘蛛の影


[No side]

 アキノリも集合し、前世の妖怪探偵団宜しくあちこちの怪奇案件を解決していったナツメたち。

 

ナツメの父・ケータの秘密を打ち明けられ混乱したり、今世の妖魔界に赴きエンマとカイラ直々に、人間界にいる妖怪たちを取りまとめる”地蔵菩薩の任”を託されたり、世に埋もれる怪奇案件を解決するために東奔西走したり。

 

とても”普通”とは言えないながらも、有意義な時間を過ごしていた。

そして気づけば夏になっていた。

 

【次のニュースです。先月から続いてる俳優連続失踪事件についてですが、未だ犯人は捕まっておらず警察は捜査対象を広げています。また認知されていなかっ(ヴィラン)による犯行の可能性も考えられることから、プロヒーローたちも捜索に当たっています。】

 

 アキノリの部屋*1でテレビを見ていた妖怪探偵団の面々は、そのニュースに既視感を覚えた。

 

……よく似ているのだ。

現在メンバーにいない姫野アヤメ。

彼女の先祖が封印したはずの因縁の相手―女郎蜘蛛が酒呑童子を騙してイケメンの魂を喰らい、復活の機会を狙っていた事件と。

女郎蜘蛛がアヤメに取り憑き魂を喰ったせいで、アヤメが命の危機に瀕した事件と。

 

何より事件発生から一か月が経つというのに、足取りどころか手がかりさえつかめないのは、流石に()()()()()()

 

それに、個性犯罪に対応するための職・ヒーローを動員しても犯人が捕まらないところが、友達達と同じ人ならざるモノの犯行だと示しているようなものである。

 

 

「これ、大丈夫かな……。なんか嫌な感じがする。」

 ナツメはぼそりと呟いた。

 

アキノリ・トウマ・ケースケも沈黙する。

そう、コレが本当に女郎蜘蛛の仕業なら、嘗ての悪夢の再来になりかねない。

 

前世の、人を操り人形にして力を蓄え桜元町のシンボルタワーを乗っ取った女郎蜘蛛の姿を思い浮かべ、妖怪達共々険しい表情を浮かべるしかできない。

 

 

「俺たちで捜索しに行くか?」

 

「怖いけれど……あの悪夢を起こすくらいなら……!」

 

数分の沈黙の後、アキノリがゆっくりとそう告げた。

そしてその後に続いたのは、まだビビり癖の抜けないケースケだった。

 

恐怖が抜け切れているわけではない。

けれどそれを前世の悲惨な光景を前に押し殺し、必死に声を上げたのだ。その後にナツメも、トウマも、その他”友達妖怪達”も、アキノリとケースケに続いて声を上げる。

皆覚悟を決めた表情で、窓の外を見上げた。

 


 

 夜。この街で一番高いビルの上に、一人の少女が立っていた。

 

容姿はそれこそ誰もが振り返りどこぞの令嬢かと疑うような美貌。

普段の朗らかな雰囲気とは一転してその手足から繰り出される強烈な空手の技。

本物のアイドルを押しのけ、時には女性ヒーローの人気さえも奪ってしまう美しさに、誰もが見惚れる少女。

 

しかし、今この場に立つ彼女にいつもの雰囲気はなかった。

目は赤黒く光り、”まるで別人が喋っているような”妖艶で危険な香りの漂う声がその場に響く。

 

 

「っち、あのイケメン私の計画を邪魔しやがって。人間の癖に妖怪(私たち)の猿真似をしようとするなんてずるいじゃない。……まぁいいわ。もうすぐ、この街も私のもの。絶望に染まった貴方達の顔が楽しみだわぁぁ

 

その言葉は()()()()()()()()。しかし”力”の宿った言葉は静かにゆっくりと世の中を蝕んでいくのだった。

 

*1
なぜか今世も前世と同じプレハブ小屋

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