聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第10章:天魔王国・日本
第106話 天魔王の実力は


「人間を舐めるな天魔王!」

 

 俺はメギドセイバーの手刀を構え直し、跳躍。

 シャイタンに飛びかかった。紫色の手刀を振り上げ、一気に距離を詰める。

 

 だが──

 

 シャイタンが俺に向けて右手を突き出し、ギュッと握る仕草をした。

 その瞬間

 

「……何!?」

 

 俺の体が急に動かなくなったんだ。

 見えない力が俺を押さえ付け、俺は空中でピタリと停止させられる。

 

 ――まさか

 

 シャイタンの目が赤く輝き、その腕を横に振った。

 それに連動して、俺は吹っ飛び壁に叩きつけられた。

 

「ぐああっ!」

 

 間違いない……!

 念動力だ。

 

 俺は馬力が1キロあるかないかなのに、コイツは一体どれだけ……!

 射程も俺とは比べようがない……!

 

 自分とのあまりにも大きすぎる差を見せつけられ戦慄。

 そのまま俺は会議室の壁に叩きつけられ、コンクリートが砕けた。

 

 腕や背中に激痛が走り、呼吸が止まる。

 

 そして、それで終わりじゃなかった。

 

 壁に思い切り叩きつけられた直後、俺は再び宙に浮かされ、今度は反対側の壁に投げつけられた。

 

 ドゴォ! とすごい音がして。

 

 壁がぶち破られた。

 

 建材塗れの姿で俺は投げ出された。

 前にベルゼブと最初に戦ったときの再現……!

 

 体が軋んでいる。

 やばい。多分あちこちイカれている……!

 戦闘不能寸前だ……!

 

「今の我は完全ではないが……帝王である。帝王に刃を向けるなど、不遜である。身の程を知るがいい……」

 

 シャイタンの声は平然としてる。

 不完全な召喚だとしても、こいつの力は桁違いだってことか……!

 

 ガルザムが「くらえ!」と叫び、蛇腹剣の一撃を繰り出した。だが、その刃もシャイタンの念動力で止められる。剣が空中でピタリと静止し、ガルザムの腕が震える。

 

 ゼルノスが「これならどうだ!」と弓を引き絞り、メギドブラストの矢を連射した。

 紫色の炎の矢がシャイタンに迫るが──

 

 シャイタンが片手を軽く振ると、凄まじい紫色の光の奔流……おそらく奴の魔光波が放たれ、矢を全て搔き消した。

 

 ほぼノーチャージの魔光波でそれをするのか……!

 

 戦慄する俺たちに。

 シャイタンは底冷えする目を向けて

 

「……我が忠臣ベルゼブとバイルの仇を討たせてもらうぞ。かつての我が姉メギドの手先ども」

 

 凄まじい怒りが込められた言葉。

 

 その言葉に、俺は歯を食いしばった。

 

 体が動かない。ボロボロだ。

 ガルザムとゼルノスも手詰まりだ。

 

 シャイタンが俺を見下ろし、右手をゆっくり上げた。

 紫色の光が集中していく。

 魔光波のエネルギーがその掌に集まり始める。

 

 ――トドメだ。

 

 だが──

 

「……?」

 

 何故か、シャイタンが一瞬躊躇った。

 魔光波が放たれる寸前で、手が止まったんだ。

 

 その隙を見逃すわけにはいかない。

 

「御幸君、逃げるよ!」

 

 市子が叫びながら俺に駆け寄った。

 彼女の手が俺の腕を掴み、力を込めて引っ張る。

 俺は最後の気合で立ち上がり

 

「離脱するぞ!」

 

 俺は残った力を振り絞り、市子と一緒に会議室の出口へ向かった。

 ガルザムとゼルノスがそれに続く。

 

 シャイタンは動かない。

 何故だ……?

 

 だが、確認している暇はない。

 ここを逃すと命が無くなる。

 

 そして命が無くなったら、そこで終わりだ……!

 

 脱出の間、俺はずっとシャイタンの冷たい視線を感じた。

 だけど、ヤツは襲ってはこなかった。

 

 本当に一体何故……?

 

 何にしろ、助かった。

 けれども……

 

「くそっ……完全召喚でなくてもこの強さ……絶望的だろ……!」

 

 俺はボロボロの状態で走りつつ呟いた。

 でもアイツに勝たないと……

 

 この世界が終わってしまう……!

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