聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第107話 国会議事堂占拠

 俺たちはなんとかアジトの古い館まで逃げてきた。

 廊下を抜け、広間にたどり着いたときには、体が限界だった。

 

「御幸君、しっかりして!」

 

 市子が俺を支えながら、広間のソファに座らせてくれた。

 右腕が折れてる。肋骨も何本かやられてる感覚がある。

 

 シャイタンの念動力で壁に叩きつけられたダメージが、体中に残ってる。

 ガルザムが「瀬名さん、エリクサーです」と薬瓶を差し出して来た。

 

 小瓶に入った青い液体・霊薬エリクサー。

 

 負傷は全て治るけど、負傷の程度によって寿命が縮む危険な薬。

 確か骨折で約3カ月だったっけ。

 

 俺は

 

「分かった」

 

 そう短く答え。

 ガルザムから受け取ったその霊薬を飲み干した。

 

 苦くて、胃や喉が焼けるみたいだった。

 

 だが、数秒後、熱が体中に広がり、骨の(きし)みが消えていく。

 折れた腕が元に戻って行くのが理解できた。

 

「……ふう。楽になった」

 

 寿命が削れるのは嫌だけど、今はゆっくり治療をしている時間が無い。

 止むを得ない決断だろ。

 

 落ち着いた俺は、仲間たちに顔を向ける。

 

「あの念動力をなんとかしないと、戦いにならないぞ」

 

 シャイタンの力が脳裏に焼き付いてる。

 あの見えない力に近づくことすらできなかった。

 お話にならない。捕まって投げ飛ばされて終わりだ。

 

「対策はどうするの?」

 

 市子が心配そうに訊いてくる。俺は首を振った。

 

「……浮かばない」

 

 ガルザムもゼルノスもだんまりだった。

 

 時間だけが過ぎていく。対策が浮かばないまま、俺たちは沈黙した。

 

 

 

 その間、外ではとんでもないことが起きてた。

 広間にあったテレビをつけると、緊急ニュースが流れてきた。

 

『国会議事堂が正体不明の存在に占拠されました!』

 

 画面には、シャイタンの姿。

 カメラによって長い純白の髪と6枚の翼を持つ薄絹を纏った美少女が映し出された。

 ナラッカの帝王は、堂々とした態度で国会議事堂の上で足を組んで鎮座している。

 

『テロ対策の機動隊が差し向けられましたが、全滅したようです。政府は自衛隊の出動を閣議決定……』

 

 アナウンサーの声が震えてる。

 

 その数時間後

 

『じ、自衛隊の特選部隊が全滅したとのことです! たった今政府から発表がありました!』

 

 世間は騒然となった。

 その後、アメリカに協力要請が飛び、戦後はじめて、日米安保条約が生きていることを証明する事態になり……

 

 その結果は、ある意味予想通りだった。

 同じことの繰り返しだったんだ。

 

「……無理だ」

 

 一部始終を見て俺は呟いた。

 あの力に普通の人間の軍が勝てるわけがない。

 

 そして、ニュースが新たな情報を伝えた。

 

『占拠した存在から政府に要求が伝えられました。以下はその声明です──』

 

 我が名は天魔王シャイタン。ナラッカの帝王なり。

 喜べ人間ども。この国を未来永劫我々ナラッカが守護してやる。

 お前たちはその代償として、我らにプシュケーを差し出せ――

 

 画面が静まり返り、アナウンサーが「政府は対応を協議中です」と続ける。

 

「プシュケーを差し出せ……? 生贄を出せってこと……?」

 

 市子が真っ青になって呟く。

 俺は拳を握りしめた。

 

 俺は呻くように呟く。

 

「バイルがやったことを俺たちに自発的にやれと言ってるのか……? ふざけるな……!」

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