聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第108話 政府屈服

 アジトで、俺たちは対策を模索し続けてた。

 だが、何も浮かばない。

 シャイタンの念動力をどうやって突破する?

 

 メギドセイバーが届かない距離で投げ飛ばされる。

 そしてあの魔光波をどう防ぐ?

 ゼルノスの矢すら一瞬で消し飛ばされた。

 

「くそっ……何か方法がなきゃ」

 

 俺は拳を壁に叩きつける。

 市子が「御幸君、落ち着いて」と声をかけるが、彼女の目にも焦りが浮かんでる。

 ガルザムとゼルノスも黙り込んで、2人だけで話をしている。

 

 その間にも、状況は悪化していった。

 テレビのニュースが刻々と事態を伝えてくる。

 

『東京から国民が一斉避難を開始しました。国会議事堂を占拠した存在に対し、日米両軍が総力を挙げて攻撃を仕掛けていますが、成果を上げられていません』

 

 画面には、戦車がシャイタンに単純腕力でぶん投げられ、軍用ヘリがシャイタンの発した魔光波で爆散する映像が映る。

 シャイタンが宙を舞い、永田町を地獄に変えていた。

 

『本格的な攻撃も失敗に終わったようです』

 

 そして、数時間後、さらに衝撃的なニュースが流れた。

 

『日米政府は最終手段として核ミサイルによる核攻撃を決行しましたが、シャイタンは着弾前にそれをエネルギー波を発して消滅させたようです……』

 

「……何だって?」

 

 核ミサイルを使っても、天魔王を排除することが出来ない。

 人間に絶対に倒せない超越存在……まさに神の如き実力……

 

 俺は震えた。

 流石に。

 

 だけど、諦めるわけには……!

 

 

 その夜、さらなる悲報が届いた。

 

 

『志藤総理が心臓麻痺で急死しました。一連の異常事態の心労が原因と見られています』

 

 テレビ画面で、アナウンサーの声が重く響く。

 市子が「そんな……こんなときに」と小さく呟く。

 

 俺は気の毒に、と思った。

 こんな異常事態に、流石に耐えられなかったのか。

 俺は死んでしまった志藤総理大臣に「こんなときに死なないでくれ」と非難を浴びせる気は起きなかった。

 

「シャイタンのせいだ。奴が国を追い詰めて……」

 

 あとを副総理だった垂井明日花が引き継ぎ、日本初の女性総理になったとニュースは続けた。

 

 垂井明日花……市子の推し政治家だけど。

 お祝いする気にはならなかったな。

 別に選挙で選ばれたわけじゃないし。

 現職総理が急死したから、止む無くの措置の結果だし。

 

 だけど新総理はすぐに行動を起こした。

 緊急会議が開かれ、数日間、議論が続いたらしい。

 

 俺たちはその間も対策を模索したが、やっぱり何も浮かばない。

 時間だけが無情に過ぎていく。

 そして、数日後の夜。

 テレビで新総理が政府としての発表をした。

 

『国民の皆様。私は垂井明日花。新総理大臣です。数日間の議論の末、我々は重大な決断を下しました』

 

 垂井総理の声は落ち着いていた。

 その次に続く言葉に似合わないほどに。

 それが、政治家の胆力ってやつなのか。

 

 それは……

 

『我々はナラッカの要求を受け入れることにしました』

 

「……何!?」

 

 俺は立ち上がった。

 市子が絶句していた。

 

 画面の垂井総理が続ける。

 

『この国を未来永劫ナラッカが守護する。つまり、要求に従えば彼らは我々を護る気があるのです。故にこれはやむを得ない決断であると……』

 

 その顔は能面のように見えた。

 一体、どんな気持ちでこんなことを言っているのか……?

 

 俺には何も分からなかった。

 

『国民の皆様。ご理解を』

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