聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第109話 対策になっていない対策

『我々はナラッカの要求を受け入れることにしました』

 

 垂井総理の声明がテレビから流れた瞬間、俺の中で何かが切れた。

 

「ふざけるな……こんな決断を認められるか!」

 

 悔しさと憎悪が燃え上がる。

 でも、対策が浮かばない現実……

 

 シャイタンの念動力。

 あの化け物に勝つ方法が、どうしても見つからない。

 

 市子が「御幸君……どうするの?」と震える声で訊いてくる。

 ガルザムとゼルノスも黙って俺を見ている。

 

「落ち着いてられるか! こんなこと人間として許せない!」

 

 俺は叫んだ。

 

 ……だけどそのとき、ふと思い出したんだ。

 タケルさんが前に俺に言った言葉を

 

『……わずか5日。念動力を2日と少し。さらに太陽光線を集中させて発火させる技術を3日か』

 

『……想像以上の成果だ。素晴らしいな、君は』

 

 ……あの時、タケルさんは驚いてた。

 ということは

 

(なぁタケルさんよ。普通は2日で念動力は身に着けられないのか?)

 

 俺はタケルさんに訊ねる。

 だけど

 

『こんなときに何だ?』

 

(いいから!)

 

 戸惑うタケルさんに強引に訊ねる。

 彼は……

 

『知っての通り、あの修業は水だけは飲めるから、餓死するまで2~3週間の猶予がある。そして運よく才能があって覚醒があったとしても、大体が2週間前後だ』

 

 なのに2日で目覚めた君は異常だ。

 そう、ハッキリとした言質を貰った。

 

 だったら…… 

 

 俺は半ば破れかぶれで、こう口に出した。

 

(それはつまり、俺の念動力の才能が普通じゃ無いってことだな? だったら……)

 

「俺さ、シャイタン以上の念動力を身に着けようと思う」

 

 俺は言い切った。

 これ以外無いと思ったから。

 

「えっ?」

 

 市子が目を丸くする。ガルザムもゼルノスも驚いていた。

 

『それは無茶だ。すでに君の念動力は人類の限界値のはずだ』

 

 タケルさんがそう警告した。

 だけど

 

「やってみなきゃわからないし、それにこれ以外あの天魔王とまともな戦いをやらせてもらう方法ないだろ!」

 

 俺は声を荒げた。

 逆切れみたいに、俺は喚き散らす。

 

 どんだけ無茶だろうが、もう俺の潜在能力に賭けるしかない!

 

「シャイタンがやれることを俺も出来るようになるしかない! あの念動力を、シャイタンでも抑え込めないレベルに高めるんだ。これしかない!」

 

 根拠はタケルさんの言葉だけだ。

 それでも、俺はそう主張した。

 

 頭の中じゃ分かってる。

 無茶だ。無謀だ。

 でも、他に道がない。

 

 ……これしかないんだ。

 

「御幸君、無理しないで!」

 

 市子が心配するように言うけど、俺は首を振った。

 

「何であろうとやるしかない。俺がやらなきゃ誰がやる!?」

 

 そう言って、俺はアジトの館の外に出た。

 裏庭に生えてる古い木。太さは俺の胴くらいある。

 俺はそれを睨みつけた。

 

「シャイタンがやれるなら、俺だって……!」

 

 俺は目を閉じて、念動力を集中させた。

 あのとき、食料を求めてパンを自分に引き寄せたチカラをあの木を引き抜くために増幅し、強化する……!

 

 ……動け。

 ……動け。

 ……動け。

 

 俺は古木を見つめ、ただひたすらに念動力を使った。

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