聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「……やはり、我々が神として信仰されると空腹が消失するのは事実で……加えてお前はそれをずっと知っていたな?」
シャイタンがメギドの言葉を聞いた後。
そこから予想される事実を口にする。
するとメギドは平然と答えた。
「ええ。……気がついたときは嬉しかったですよ。偶然、人間を真の姿で助けたとき、空腹が消えたことに気づいたときは。それで、このシステムを考案しました。私が人間に信仰されて、神として崇められれば、私は永久に飢えない。……素晴らしい仕組みでしょう?」
そのために聖戦士という存在を作り、神に対する敵役……悪魔として、魔界からナラッカを呼び寄せる術を開発。
聖戦士にそいつらを倒させて、自分への信仰心を高めていくマッチポンプ……。
そう、自慢げに語るメギド。
ほぼ想像通りの内容だったけど……
その言葉にシャイタンが低く唸った。
そして怒りのままに言葉を発する。
「……貴様は我が臣民を誑かし、言葉巧みにこの世界に引き入れて、自分のために死なせていたのか……!」
そこに渦巻く、ナラッカの王としての憤り。
続けて
「何故、その発見を我々に教えなかった!? それがあればナラッカ全体を救えたはずであろう!?」
メギドはそれらの言葉を受けて。
呆れたような笑みを浮かべた。
コイツは一体何を言ってるんだ?
そういう感じの。
そしてそのまま諭すように
「召喚に応じてこちらに来る馬鹿が悪いんですよ。……自己責任では?」
そう溜息を吐き、続けて
「……信仰心による空腹消去に、限界値があったらどうするんですか? これ以上は無理っていう」
淡々と常識を語るように続けるメギド。
……その内容は、見下げ果てたことなのに。
「ナラッカだって数が多いんですよ? 人間ほどでは無いですが……そうすると全部を支えられないかもしれない。そのせいでまたあの空腹の日々が来るなんて、御免ですよ。私は幸せになりたいんです」
その言葉に、俺は吐き気すら覚えた……!
自己中の極みだ……!
同胞を裏切り、自分だけ幸せになるなんて、ナラッカ基準でも最低だろ。
ゼイモンが静かに言う。
「陛下を裏切り、ナラッカを苦しめた罪は重い。メギド、覚悟するがいい」
その言葉を受けてメギドは笑い声を上げ、立ち上がった。
「ふふ、いいでしょう。遊んであげますよ、3人とも」
次の瞬間、メギドの背中から漆黒の六枚の翼が広がった。
そして体がふわりと浮き、飛行状態に移行する。
その身体から、紫色のオーラが立ち上る。
「さあ、いつでもどうぞ」
聖魔王メギドの実力を教えて差し上げます。
そんなメギドの挑発。
「玲瓏―ッ!」
「変われェ!」
俺はデジカメから聖戦士の鎧を召喚し。
ゼイモンはナラッカの姿へと変身した。
そして羽ばたき、メギドと対峙する位置でホバリングするシャイタン。
戦いが始まった。
俺は即座にメギドセイバーを右手に発生させ、斬りかかった。
……先手必勝!
だが……
メギドの身体を覆う紫の光のオーラがそれを阻んだんだ。
接触部分に光が迸る。
これって……!?
魔光波のバリア……なのか?
俺の驚愕を感じ取り。
慌てて距離を取った俺をメギドは嗤う。
「……貴方にできたことが、この私にできないとでも? 貴方と私とでは魔光波の総量が違うんですよ?」
そう言って俺を嘲笑いつつメギドは……
両手に紫の光を結集させ、巨大な光の鎌を出現させた。
それをくるくると回し、構え……
「これが私のメギドセイバー……いや、メギドサイズですよ」
さあ、存分に打ち込んでみなさい……格の違いを教えてあげます……!
その笑顔には絶対強者の余裕がある。
そこに
「覇ぁ!」
シャイタンが気合いと共に魔光波を放つ。
奔流と言えるすさまじい閃光。
だが……
「……直撃だぞ……?」
光が消えたとき。
メギドの背中側の壁に大穴が開いていた。
夜を迎えた空が見える。
シャイタンの魔光波で消し飛ばされたのだ。
だけど……
「何かしましたか? ……陛下?」
ニコニコしつつ、小首を傾げるメギド。
全くの無傷で。
「……馬鹿な……!」
呻くように、シャイタン。
「喰らえッ!」
そしてゼイモンも魔光波を放った。
おそらく、フルチャージの魔光波のチャージタイムを1000倍速に早回しにした全力だ。
だけど……
メギドの右胸に命中したそれは、メギドの身体に傷ひとつつけられなかった。
「なん……だと?」
ゼイモンの呆然とした声。
すると
あははははっ!
メギドが笑う。
心底愉しそうに。
お腹を押さえつつ。
そして笑いを納め。
彼女は言う。
「……分かりましたか? 私とアナタたちとの絶対的な差というものを……!」