聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第13話 タダ働きで

 50万円を下ろしたということは、50万円を使う、あるいは使ったってことだ。

 で、普段は種田はクレカで生活費を支払っている。

 

 ……この状況では、お金を下ろす意味がない。

 生活費って意味ではね。

 てことは、生活費以外の何かに支払うってことだろ?

 

 現金のみしか受け付けない支払先。

 そういうのは……

 

 足がつきたくない支払だろ?

 反社会的な。

 普通に考えて。

 

 でなきゃ振込を受け付けない支払先ってちょっと思いつかんしな。

 現金を大量に持ち歩くのは、安全性の面で問題があるわけだし。

 現金払いなんて、双方不幸になるだけ。

 

 そう、思うんだが

 

 ……探偵小説の読み過ぎかなぁ?

 

 

 

「あのさ、市子」

 

 マグカップでコーヒーを飲み干しながら俺は

 

「何?」

 

 彼女も自分の分を飲みながらそう返してきて。

 俺は

 

「とりあえず調査結果は明日依頼人に報告するとして」

 

 依頼は種田がストーカーかどうか調べて欲しい、だし。

 それに関しては「痕跡無し」で報告。

 

 アイツは一切依頼人と接触を取った形跡無かったし。

 怪しげな依頼をしてる痕跡も無かった。

 

 だけど……

 

「追加調査で、50万円という金の行方を調べる方向で行きたいんだけど」

 

 それでいいか?

 そんなつもりで発言すると

 

「んー」

 

 市子はマグカップをデスクに置いてパソコンを弾き

 

「他の依頼は今は混んでないし、大丈夫かなー」

 

 問題は料金よねぇ。

 なんて言って切り出すの?

 今の時点で結構払ってもらう予定なのに。

 

 そう言いつつ自分のコーヒーマグカップを手に取る。

 

 そんな彼女に

 

 俺は

 

「……いや、サービスでやりたいんだわ」

 

 そう言った。

 

 別に、依頼人がか弱い女性だからという意味じゃない。

 

 金の流れを明らかにしたら、かなりエグ目の犯罪が出て来そうな気がするからだ。

 依頼人に言えないようなやつ。

 そんなの怖いだろ。

 

 すると市子は

 

「えっ、タダ働き?」

 

 それはまずいよ。

 そんな顔で俺を見るけど

 

「当然、ナイショだ。だからサービスなのよ」

 

 ……この事務所は2人で回してるしな。

 こういうことは彼女の了解を取らないと。

 

 で、結局。

 

 明日、依頼人への結果報告は市子に任せ。

 

 俺は……

 

 

 

 依頼人の日向さんは会社員で、大手メーカーで総務の事務をやってる。

 

 朝8時までに出社して、夕方5時に退社。

 通勤は電車で、駅から会社までは運動目的で歩き。

 

 満員電車を避けるために、割と早めに出勤するのが常になってて

 

 そんな彼女を張って数日。

 

 ……居た。

 

 彼女を張ってる、俺以外の別の奴。

 

 地味な恰好をした奴で、たまに服装を変えている。

 俺自身が尾行をするから、そういうのは分かるんだよ。

 

 だから

 

「おい」

 

 後ろから近づいて。

 

「お前ストーカーだろ」

 

 そいつの肩を掴んで、そう言ったんだ。

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