聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
『良いわけがない。ナラッカの存在は、弱き人々には伏せられるべきだ』
即座にタケルさんの否定の言葉が来た。
それはまあ、予想してる。
だから
(ナラッカのことを伏せたまま、聖戦士の力を明かすことはできるだろ)
別に俺の聖戦士の力は、ナラッカの説明をしないと理解できないわけじゃない。
決断のときに出る電気信号の余波が見えるとか、動きを注視するとスロウになるとか、写真記憶とか。
実演して見せればいいだけだ。
『それはそうだが……何のために明かすんだ?』
タケルさんは困惑してて、俺はそこに
(カメラ由来の能力についての可能性だよ)
答える。
……俺は、成り行きと自分の思いつきで
限定的な読心
超動体視力
写真記憶
3つ、認識してモノにしたけど。
市子に能力の内容を明かせば、もっと増えるかもしれないだろ。
俺と違う発想で考えるわけだし。
そして。
俺は、市子だったら秘密を守ってくれると信じている。
『能力を増やしたいのは……この事件が分からなくなったからか?』
俺の説明に、タケルさんがそう訊ね
俺は
(ああ)
心で頷いた。
……目の前に、理不尽に晒されて苦しんでいる女性がいるのに。
救える力を持ちながら、救わない。
そんなの……おかしいだろ。
俺はそう思うんだ。
だけど……
『僕が死ぬ羽目になったのは、上位ナラッカ・将軍ベルゼブの見ている前で、戦いに紛れ込んで来た幼い少年を庇ってしまったからだ。ベルゼブを倒すことを投げ出して』
タケルさんは、自分が戦死するまでの経緯を語る。
『そのせいで、僕は弱き人々を人質に取れば、攻略が容易な聖戦士であると見做され、現実負けた』
……なるほど。
一般人にも分かるように言うなら、テロリストとは取引をしない。
そんな感じだろうか?
それは1回取引してしまうと、取引目的の犯罪を誘発するから。
人質だとか、破壊活動だとか。
これに通じるものがあるのかもしれないな。
『僕と同じ失敗だけはするな……いいな?』
俺は心で頷く。
分かった。
聖戦士の戦いに影響が出るようなことはしないさ。
「なぁ市子」
ちょっと唐突だな、と思いつつ
呼びかける。
「なあに御幸君?」
彼女はコーヒーの入ったマグカップを持ったまま振り返る。
インスタントコーヒーを淹れに行っていたのだ。
俺はそんな彼女に
「……実は、ひょんなことからスーパーヒーローに変身する能力を身に着けたんだよ。俺」
そういう言い方をした。
するとまあ、予想はしてたけど
「……はぁ?」
何言ってんの?
エイプリルフールはもう過ぎたわよ。
そう言いたげな顔で俺を見た。
……当たり前だよな。
だからまぁ
俺はそれ以上説明はせずに
胸ポケットから仕事道具の愛用デジカメを取り出し
「
変身ワードを口にし。
聖戦士の鎧を召喚。
輝きの中。
市子の目の前で、俺は聖戦士の姿に変身したんだ。