聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「今、警察呼びましたから」
「け、警察なんて来るはずないわ! 何も悪いことをしてないもの!」
そのスーツの男性の言葉に、オバサンは泡を喰っていた。
男性は
「してますよ。この店に到底飲めない無理難題を吹っ掛けて、喚き散らして。これは立派な業務妨害ですよ? それに……あなたは知らないようですから教えてあげますが、店には他の客の迷惑になる客を拒否する権利があるんですよ? なので不退去罪も成立しますよ。先ほど、これ以上騒ぐのであればお帰り下さいとも言ってましたしね」
落ち着き払った様子で、そう理路整然とオバサンの違法性を指摘する。
するとオバサンは
「嘘吐くな! 法律の専門家でもないくせに!」
唾を飛ばしながら感情のまま、勢いと声の大きさで押し返そうとするけど
「嘘じゃ無いですよ……それに僕は弁護士ですが?」
……説得力があり過ぎる、正体の開示。
胸に弁護士のバッジは見えないけど、無くても正直頷けた。
態度がね「なるほどなー」って感じなんだよ。
全然意外じゃないっていうか。
オバサンはさすがにこれには押し黙る
で
「か、帰るわよ! 何よこんな店! 潰れてしまえ!」
……捨て台詞を残して、オバサンは子供を連れて立ち去って行った。
カランカランと、またドアが音を鳴らす。
「……お客様、助かりました」
店員さんが弁護士さんにお礼を言う。
彼は
「一応、この後クチコミサイトを注視しておいた方が良いです。あの手の女性は、捨てアカウントを複数作ってクチコミサイトに最低評価を書きまくることを平気でやるので。……その際は、僕の事務所に一報いただけると、無料で相談を受け付けます」
言いながら、名刺を渡す弁護士さん。
おお……やっぱりハッタリじゃなかったんだ。
俺たちも助けられたので
「いやあ、すみません」
「助かりました」
自分の席を立って、ペコペコしながらお礼に出向く。
弁護士さんはニコっと爽やかな笑みを浮かべて
「デートの最中、災難でしたね」
そんなことを言われた。
……まぁ、そう見えるかもなぁ。
しかし、いちいち訂正するのも面倒なので
「あなたが居なかったらどうなっていたか」
そのままお礼を言い続ける。
すると弁護士さんは
「あなたも、違法行為で困ったら相談してください」
ゴソゴソと。
俺たちにも、名刺をくれたんだ。
そこには……
黒岡法律事務所
所長・
……おお。
見るからに仕事できそうな名刺だ……
なんというか、オーラを感じた……
スーパー弁護士……
俺もまあ、法律的にややこしいことになる可能性のある仕事だしな。
俺は俺で、お返しで
「俺は瀬名って言います。黒岡さん。……探偵をしてます」
自分の名刺を黒岡さんに渡したんだ。