聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第72話 危機の中で

「よくもワタクシの配下のナラッカに危害を加えようとしましたね。ワタクシが相手になりますわ。ニンゲン」

 

 法王バイルは不釣り合いな美女の声でそう宣言する。

 

 さっきまで楽勝モードではないかと思っていたのに。

 一転、窮地だ。

 

 2対1でも不利なのに、その片方がノーブルクラス……

 

 マズイ……どうしたら良いんだろうか……?

 

「ヒーローさん!」

 

 市子の声。

 

 それが俺のことだと気づくのに、数瞬かかる。

 

 ……市子は、俺がこの法王バイルを倒せる確証が無いことを察したのか。

 だから……

 

 俺の正体に気づいていないことを装った。

 

 法王バイルが俺の変身シーンを目撃していない場合。

 ここで情報を与えるのは非常にマズい。

 

 その気遣い……

 

(ありがとう)

 

 俺は心で礼を言い

 

「聖戦士シャーロイルだ!」

 

 少し前にゼイモン相手に名乗ったヒーローネームを名乗る。

 ちょっと恥ずかしかったけどな。

 

「シャーロイル! 私たちは自分で逃げるから! 戦うのに無理しないで!」

 

 分かった。

 ありがとう市子。

 

 とりあえず俺の正体を知った薔薇イソギンチャクのイザべリアを倒すのを優先し、それが終わり次第俺も逃げる!

 こいつと戦うのは危険すぎる!

 

(イザベリアを倒したら俺は逃げるぞ! 良いよなタケルさん!?)

 

 文句言われると嫌なので、事前通告。

 タケルさんは

 

『ノーブルクラスと連戦は確かにキツイ。止むを得ないだろう』

 

 承知してくれた。

 よし!

 

 許可を貰えたので俺は飛び出し、イザベリアに立ち向かう。

 イザベリアは

 

「バイル様!」

 

 逃げを打っている。

 こいつ、自分の実力を把握して、その上でどう動けばいいのかを理解してやがる!

 

 クソッ!

 

「させませんよメギドの奴隷!」

 

 そこに案の定、バイルの鞭のような舌の攻撃が飛んでくる。

 それに阻まれ、足が止まる。

 

「何が奴隷だ!? 少しはメギドを見習ったらどうだ!?」

 

 俺はバイルの気を散らすため、そんな挑発を飛ばした。

 俺の挑発は……

 

「何を見習うのですか!? ナラッカでありながら同族を裏切り、同族を殺め続ける見下げ果てた偽善者(クズ)を!」

 

 効果があったらしく、バイルは明らかに不機嫌になる。

 そのために攻撃が激しくなったが、その分単調になった。

 

「メギドは人間を食糧にするのは間違っていると言っていた! 自分と同等の存在を自分のために犠牲にするのは間違っていると!」

 

 俺の更なる挑発に

 

「尊いナラッカの命とくだらない人間の命が等価ですって? 正気の発言ではありませんね!」

 

 バイルの意識が俺に集中する。

 今だ……! 今のうちに三波さんと逃げてくれ、市子……!

 

 だけど

 

「キャアアアア!!」

 

 悲鳴。

 弾かれたようにそちらを見る。

 

 ……市子と三波さんがイザベリアの触手に捕まっていた。

 薔薇の蔦のような触手が、市子と三波さんの手足に巻き付き、拘束していたんだ。

 クソッ!

 

 焦り、恐怖、絶望……。

 

 どうする……? どうすればいい……?

 

 でも確実な方法が浮かばなくて。

 破れかぶれで突撃しようと思ったとき。

 

 そのときだった。

 

 その場に、アイツが出現したんだ。

 

 黒い羽毛で身体を覆われた忍者風のナラッカ……

 

 闇闘士……ゼイモン……!

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