聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~ 作:XX(旧山川海のすけ)
間男は大手のスポーツジムでインストラクターをしていた。
その勤務は8時に出勤して、20時に退勤するスタイル。
……普通のインストラクターは、20時から1時間、自分のトレーニングに精を出すんだけど。
今思えば、ここから変だったな。
身体が資本のハズなのに、自分のためのトレーニングをしないで速攻帰宅なんて。
俺は出待ちのような感じで、従業員の出入り口を張っていた。
あの間男は、タケルさんを殺ったと思っているはずだから、まだ仕事を続けているのではないか?
そう思っていたのだけど。
……ビンゴだった。
20時過ぎに、アイツが出て来たんだ。
俺はそこから、暗い夜道で尾行を開始する。
人気が無い場所に来るまで。
そして人の姿が無い場所に来たとき。
「オイ! ナラッカ・アスモス!」
……呼び掛けたんだ。
「……何でその名前を知ってる?」
間男が振り返る。
その顔には苛立ちがあった。
とぼけないのは、意味が無いからだろう。
自分の正体を知ってる奴は、とぼけても襲ってくるのが確定だから。
多分そうだ。
……ナラッカを討伐するためなら、一般人は見捨てるべし。
多少の犠牲はやむを得ない。
それが、本来の聖戦士の在り方だそうだからな。
「一昨日、始末したと思ったら、もう来たのか? 別の聖戦士」
……本当に、うざったそうだった。
俺は
「……お前が遊びで家庭を壊したことで、これから引き起される悲劇の責任を取って貰う」
それを伝える。
自分が何故倒されるのか。
それを理解させないと、思い知らせることにはならないから。
俺の言葉を聞いた間男……アスモスは
唇の端を歪めて
嗤った。
「責任? 何がだ? ……ひょっとして、あのバカ女の家庭が、母親への呪いと憎しみと軽蔑で、歪んだものに変わることかぁ~?」
ククク、と心底愉しそうに。
「そんなもの、あのバカ女が悪いんであって、俺は知らん……と言いたいところだがぁ……」
アスモスは俺に言ったんだ。
「それが目的なんだから、文句言われても困るなぁ~?」
え……
アスモスは続ける。
「人間のエリートの家庭を歪めれば、歪んだエリートを生み出し人間社会の基盤を腐らせることに繋がる。それが……天魔王陛下をこちらにお呼びして、お迎えすることに都合のいい人間社会を構築することに繋がるのよ……!」
予想外だった。
ただの邪悪な思い付き。
そう思っていたのに。
驚く俺に、アスモスは
「……お前、さては新米の聖戦士だな? 熟練した聖戦士は、そんな青臭いことは言わないんだよ」
冷笑し
……そのまま変身した。
一昨日の夕刻に、ラブホ前で見かけたあの怪物に。
「フヒヒィ……! 青臭いガキ戦士ニ負ケルホド俺ハ安クネェンダヨ!」
牛の顔と羊の角、鳥の翼と蛇の尻尾を併せ持つナラッカ・アスモス……
俺はそんな化け物を前にして
『ミユキ、
カケルさんの言葉。
俺は頷く。
聖戦士が、聖戦士の鎧を召喚し、着装する現象を指す言葉……。
その方法は
俺は胸ポケットから、愛用のデジカメを取り出した。
思い入れのある道具、装飾品に意識を集中し
戦う意志を固め
こう、宣言する……!
「
その瞬間、俺のデジカメが輝き。
それを依り代として、聖戦士の鎧が召喚される。
召喚された鎧は瞬く間に俺の身体を覆い尽くし
コンマ1秒以下で、俺の変身が完了していた。
……紫水晶のような材質の鎧を身に纏った、悪魔を討伐する戦士に。