聖戦士シャーロイル~名探偵になりたかったのに、何故かヒーローになってしまった~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第94話 助手様

 俺たちは地下牢へと続く階段を駆け下りた。

 

 俺が先頭で、ガルザムとゼルノスが後ろ。

 全員鎧を着装しているので、恐れが無い。

 

 足音が石の壁に反響し、心臓の鼓動が耳に響く。

 

 待っててくれ、市子。

 無事でいてくれ……!

 

 階段を下り切ると、薄暗い地下室が広がっていた。

 あまり湿っぽさは無い。

 作られたのが何時かは分からないが、石で出来ていた。

 電灯の光が弱々しく揺れてる。

 

 この先に牢屋があるはず。

 

 俺は先を急いだ。

 

 そして見つける。

 青いワンピースを着た、ショートボブの女。

 

 膝を抱えて座ってる市子だ。

 

「市子!」

 

 俺は叫んで、鉄格子に駆け寄った。

 市子が顔を上げて、俺を見た。

 

 少し疲れた顔だけど、その目はしっかりしてる。

 俺を信じて待っててくれた目だ。

 

「御幸君……!」

 

 市子の声が小さく震えた。

 

「待ってろ!」

 

 聖戦士の鎧を着装した状態で、上がった身体能力。

 それで鉄格子の破壊を試みる。

 

 これでダメならメギドセイバーを使用するか。

 頭の片隅でそんなことを考えながら

 

 思い切りこじ開けようとすると

 

 ……いけた。

 

 簡単じゃ無かったけどな。

 

 ふんぬうう、と鉄格子を純粋腕力で捻じ曲げ、なんとかヒト1人が抜け出せる隙間を作る。

 

「よし!」

 

 少し息が上がった。

 そして市子に促すと

 

 市子が立ち上がり、牢を抜け出す。

 

 俺は玲瓏を解除して、思わず彼女を抱き締めていた。

 心配だったからな

 

「5日も待たせて悪かった。ごめんな、本当に……」

 

 俺は彼女に詫びた。

 

 やむを得ないこととは言え、置き去りにしたこと。

 そして修行に没頭してたとはいえ、5日間も市子を牢屋に入れたこと。

 

 自分の力不足からの後悔が押し寄せる。

 

 だけど俺の言葉に市子は目を丸くした。

 

 そして

 

「え……5日? そんなに経ったの?」

 

 その驚いた声に、俺は少し戸惑った。

 確かに、手帳に記録してたみたいだけど、時間感覚が曖昧になってたのかもな。

 地下で昼夜も分からない状況じゃ、そうなるのも無理ない。

 

「ああ、市子を攫ったヤツを倒す修行に5日かかった。気づかなかったのか?」

 

 俺がそう言うと、市子は少し目を伏せて、苦笑いした。

 

「手帳に記録してたけど、食事の回数だけで数えてたから……最初は警戒して食べなかったし、よく分からなくなってた。5日も経ってたなんて、びっくりしたよ」

 

 強いな……

 

 俺は彼女を純粋に尊敬した。

 潰れないで5日間を耐え抜いたばかりか、こんなふうに笑って話せるなんて……

 

 ウチの事務所の助手様は、頼りになるな。

 本当に……!

 

「ありがとう」

 

 お礼しか言えなかった。

 市子は「何が?」って言ってたけど。

 

 俺はもう1回、ありがとうと言った。

 

 するとそこに。

 ガルザムとゼルノスが近づいてきた。

 

「瀬名さん、藍沢さんは無事だったようですね」

 

 ガルザムが静かに言う。

 

「では、長居は無用です」

 

 ゼルノスは優しい声でそう急がせる。

 

 ……基本的にこの2人は、物腰は丁寧だったり優し気だったりだけど。

 言ってることは極めて冷徹。

 

 修行の際も、俺を急がせるようなことは一切言わなかった。

 中途半端で向かっても、ベルゼブを討伐出来ないことを分かってたからだ。

 市子の状態はほっとくとヤバイことは、女の身なら理解できるはずなのに。

 

 全く「頑張れ」だの「時間がありません」だのと言わなかったんだ。

 

 ……これがベテラン聖戦士、いや……近衛戦士というものなんだろうか?

 

「市子、歩けるか?」

 

「大丈夫。いけるよ御幸君」

 

 俺は市子にそう訊ね、歩き出す。

 ……なんとか市子を助けることは出来た……

 

 

 

 今回の件で、ノーブルクラスのナラッカ2体の正体が判明した。

 そしてそのうちの1体・将軍ベルゼブは倒した。

 

 あと、1体……

 

 法王バイル……!

 

 俺は怒りに支配されそうになる。

 

 アイツだけは……絶対に許せない……!

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