ウルク産地のアルトリア顔の女神様   作:へっぽこ女神

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第13話 立香は一途という名の極まりを見た

 

 

 

 藤丸立香にとって、これまでのカルデアでの特異点攻略に思うことはたくさんあった。

 

 カルデアでは楽しんで、サーヴァント達の地雷を踏まぬようにしつつもコミュニケーションを取り続け誰とでも寄り添い続けた彼は、たくさんの感情に支配されてきた。

 

 特異点での数多くの出来事を、今この瞬間でも鮮明に思い出せる。

 夢の中での特異点とか、曖昧な記憶もあるにはあるが、それでも立香はちゃんと分かっていた。

 

 たくさんの人に、サーヴァントに支えられた。

 マシュと共にいくつもの生き様の果てを見てきた。

 

 だからこそ彼は泣いて、怒って、傷ついて。

 マシュと笑い合いつつも現実逃避などせずに全てを直視し、目を逸らすような馬鹿なことはしてこなかったのだ。

 

 死ぬような思いを何度もしてきたが、藤丸立香は立ち止まることは許されない身であった。

 人類最後のマスター。人類史をめぐる戦い。

 

 彼が止まれば世界は終わる。

 今この瞬間でも、自分の選択で人が死ぬかもしれない。

 そんな恐怖は、マシュが支えてくれた。だから彼は今も笑っていられる。

 

 カルデアに帰れば息をゆっくり吐けるぐらいには楽しんでいられた。

 

 

 でも。

 それでも、と。

 

 ウルクでの戦いにだけは、魂の果てを──。

 文字通り、脳が焼かれるという感覚を知ってしまったが。

 

 イシュタルの暴走はまあ良しとしよう。

 ジャガーがいたことも、マーリンの意味深な所も、ちょっと楽しい思い出も。

 

 それでも、あの終局は頂けない。

 

 シドゥリの異変。

 エレシュキガルの献身。

 ギルガメッシュ王の最後。

 

 それら全てを見届けたシャマシュは、ウルクの泥すら全てを飲み込み死を覆した。

 

 

「ウルクの人々の大半はラフムになったんじゃ……」

 

「シャマシュの守護で助かっているのよ。ティアマトさえ倒して根本を排除すれば、眠りから目覚めてくれるようにね」

 

「エレシュキガルがやってたようなことをしたってこと?」

 

「そうじゃないわ。権能を棄てる覚悟を持って、ウルクの民を守ろうとしてるのよ」

 

「権能?」

 

「そうよ。人々の幸福や長寿の守護を振りまいたのよ。足りない分は己の魂を持ってまで──本当に馬鹿な子。死ぬ気でこの戦いに挑んでるようなものだわ」

 

 

 イシュタルが遠くを見るように呟いていた言葉を、立香は忘れない。

 

 それだけでは終わらない。シャマシュがエレシュキガルに権能の一部を授けた。

 冥府より生者を導くためにと、ティアマトの一瞬の隙をついて、シャマシュは光を与えた。

 

 より暖かい光。

 太陽の神様の力により、冥府は緑で守られる。

 

 それだけでマシュ達の負担は軽減された。冥府で預かっていたウルクの人々の魂を守ることも出来た。

 

 

 ウルクにて死ぬ気で挑んだ代償なのか。

 シャマシュはカルデアで姿を消した。サーヴァント反応すらなく。消滅したのではないかと噂されて──。

 

 そうしてようやく再会できたのだ。

 その少し後にエレシュキガルがいるかもしれない特異点発生を感知したことで、シャマシュがエレシュキガルすらも守り抜いて連れてきたことを立香は理解した。

 

 

 あの戦いで傷ついてしまったエレシュキガルすらも守り抜くその自滅的な精神性によって、立香は彼女を見定めた。

 

 サーヴァントとして来てくれたシャマシュをあのまま放置したらまた消滅してしまうんじゃないかと。

 

 

・・・・

 

 

 

「そういえば、お爺ちゃんになったボクが呼んでましたよシャマシュ」

 

「えっ、賢王となったギルガメッシュがですか?」

 

「はい。ついでにこれもあげますね」

 

「その赤い服は一体……?」

 

「あとドゥムジも呼んでたような……」

 

「分かりました潰しに行ってきます」

 

 

 






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