ウルク産地のアルトリア顔の女神様 作:へっぽこ女神
別にドゥムジを殺したいわけではない。
同じく同族。いろいろ世話になったこともあったし、世話をした記憶だってある。
助けてくれとこちらを頼ってきた時は権能により救ったこともあった。──まあすぐにやられたみたいだけど。
私が落とした権能も、奴は利用することなくそのまま持っていただけ。
後で何かしら使おうとしたかもしれないけれど、カルデアでちゃんと召喚されるために必要な部分もあったため、私が奪い返したのでその心情を理解することはない。
あと、神なので。
神ならば死んでも死なぬだろうと献身的になるつもりはなかった。
それこそウルクのためにと働くのでないならば。
助けてくれと泣きつくならば、助けよう。
権能がほしいならあげましょう。
ウルクのために使っている権能以外なら。
でも、ギルガメッシュの妨げになるならば話は別だ。
あと他所のサーヴァントに迷惑をかけるのも駄目だと。
────そう、私には後始末が残っているのだ。
アルトリアの肉体を使って顕現したために起きたすごく小さな特異点。
以前、ダヴィンチちゃんに調べられてた最中に「これ着てみてよ」と暇潰しに着せかえさせられて、その最中に突撃してきたメディアにより「セイバーにはこっちの方がお似合いよ!!」とドレスを着せられ。
何処からかギルガメッシュの高笑いが聞こえつつ始まったファッションショー。
「馬鹿者ぉ! 何故余を呼ばぬのだ!」
「ちょっとちょっと! コンサートやるなら言ってよね子イヌ!」
アルトリア顔だけど違う系列のネロが高らかに登場し、エリちゃんなる複数の同一サーヴァントによる歌の披露。
ちょっとした賑わいの最中に撮られてしまった写真の数々。
時に際どい服装にすら着替えてしまったそれ。ポーズもきめたそれ。
ドゥムジがその写真集を手にしていることを、私は知っている。
召喚し直す直前で偶然会ったドゥムジから権能を返してもらったあと、逃げるように去っていったあいつの毛からはみ出た写真集があったことを!
それを利用されるのは困る。だってあの時の身体はアルトリアのもの。
アルトリアに大変迷惑をかけている。
本当に申し訳なく思ってる。
私がやらかしたことなのだから、私が解決しないといけない。
もちろんドゥムジ以外が手に持ってる写真集も。
たぶんメディアとかダヴィンチちゃんとか、持ってる人はそんなに多くないはずだから。
だからまず先に私はドゥムジを潰さなくてはならないのだ。
あのモフモフの毛皮を。あの黄金の毛の中に隠された写真集を。
ずぶ濡れにしてやればいけるか。
そのあとすぐ乾かせばいいだろうし。別にドゥムジなら許してくれるだろうし。
そう思ってやってきた賢王たるギルガメッシュに、何故か霊核を弄られクラス『ルーラー』から『キャスター』へ変更されてしまった。
赤い衣装を身に包んだその姿。
いつもより長めの髪をまとめて、金リボンで縛る。
首元にはギルガメッシュの着けそうな黄金の装飾をして、袋をもったその姿はまさしく────。
「それで、私は何故サンタ衣装に……」
「貴様にしては似合うではないか」
「……なんとなく理解しました。私をこのまま特異点へ送ろうとしてます?」
「時期尚早だが、貴様がカルデアにいては救えるものも救えんからだ……」
「あれ、ギルガメッシュ──っ! 待ってください、ギル。その身体異様に熱い。もしや熱があるのでは」
「ええい触るな鬱陶しい! 我ばかり注視し視野を狭めるなと言っておろうがポンコツめ!」
「いや、貴方ご老体の身なのですから無理をしてはまた冥府に送られますよ!」
「貴様が冥界へ向かえ。そこでやるべきことを果たせ……いつものようにな」
「ちょっと待っ────」
魔術が展開され、周囲に光が走る。
足元が崩れ落ちるように、私の視界は明滅し目の前の守るべき金色の人を失い────。
ようやく光が消えて見えた先にいたのは、黄金の羊。