ウルク産地のアルトリア顔の女神様 作:へっぽこ女神
厳格に包まれた室内。天井が高く、部屋は大きく作られており、壁は落ち着いたベージュにより木目調でまとめられている。
傍聴席には様々なサーヴァント達が座り、木製の柵で法廷内とそれとで明確に分けられている。
被告人席には私達シャマシュが座り、その真正面と対する形で座るのは一部困惑した様子のアルトリア勢。
アルトリア・オルタとかはどうでもいいようでエミヤから貰ったハンバーガーを食らっている。一番端っこに謎のヒロインXいるけど、暴れる可能性があるからか縛られていた。
そんなカオス極まる室内の、入口から見て正面に一段高くなった法壇。
そこにマスターがいて、斜め後ろにマシュが控えていた。
「それではこれより、アルトリア裁判を始めたいと思いまーす」
物騒な雰囲気漂う室内とは全くの真逆な軽い声が響いた。
──そこはシャマシュ裁判の方が良いのでは?
──私は悲しい……我が王の写真集があるとは知らず……ポロロン
──父上のガワ被ってるだけの写真集だろ。誰が欲しがるかよ……
──モードレッド、私は持っていますよ
──堂々と自慢してくんじゃねえ!
──写真ならダヴィンチちゃんの工房でも扱ってるよ。一つどうだい?
──同人の資料にぜひ……ふへへへ……。
なんだろう。謝罪のために集まってもらったはずなのになんかより酷い状態になってる気がする。見物客のサーヴァント多すぎじゃない?
サンタな私もビクビクと顔を青ざめて震えており……えっ、写真の売買が発生してる?
思わず振り返って後ろを確認すると、ダヴィンチちゃんが簡易的なお店を開いてるのが見えた。
堂々とでっかいポスターでウエディングドレス着てた時の写真が貼られてるし……。
これ日本式切腹案件では?
「はいでは──ちょっとまってシャマシュなに自害しようとしてるの止めて!」
「すみません……私が、私がポンコツなばかりにアルトリアさんにご迷惑を」
「グスグスっ……わたしがわるいんですぅ……」
「シャマシュサンタも泣いちゃった!? わぁぁその炎で自分の身体を炙るの止めてってば!!」
──いいぞー! やれやれー!
──ワシも物理的に薪になったことあるし、別にいいんじゃね?
「そこのぐだぐだコンビちょっとお静かに! 令呪をもって命じる、シャマシュ達は自害しないこと!」
マスターに命じられてしまい涙を流すことしか出来ない。
サンタな私もアホ毛が萎れてしょぼくれてるし。
罪悪感に落ち込む私達とはまた別で、マスターも何故か泣きながら「シャマシュはなんでこう自分を大事にしないかなぁ!」と怒っていた。
別にいつかは消滅する身だし何しても良いのでは?
ギルガメッシュも死ぬなとは言わないし……。
「えっとぉ……なんかまとめられない。マシュお願い……」
「はい、先輩! シャマシュさんからのお願いにより先輩が裁判長役としてこの場に来ました。補佐役のマシュ・キリエライトです。被告サーヴァントのシャマシュさんご挨拶お願いします!」
「よろしくお願いします。死なせてください」
「駄目です」
「ぐぅ」
「ぐうの音出ても駄目です」
マスターがカルデア内なのに格好良い声と真顔で言ったので一部どよめいてる。あのアルトリア顔やるなって声が聞こえてる……!
「シャマシュさんが言うには、プリテンダーとして召喚されたのは騎士王の身体を依代に無理やり縁を繋いだようなもので、その時の自覚は無かったと」
「はい。依代に入るために権能を削り……それと同じく記憶も無くしていたようで……」
「アルトリアの身体の自覚無く、俺達が特異点攻略へ至ったあのパフォーマンス・ショーで撮られた写真集について謝りたいってことだよね?」
「言葉での謝罪だけで収まらないと思います。私たちのことはどうか煮るなり焼くなり好きにしてください」
「もちろん権能、宝石や黄金……それに聖杯も。必要ならサンタのこの私がプレゼントしますよ!」
──今、聖杯と言いませんでしたか?
──黙りなさい天草四郎
──宝石も黄金も私が貰うって言ってるじゃなげふぁ!?
──い、イシュタルがエルキドゥに吹っ飛ばされたのだわ……
──串刺しだね、分かるとも
──ちっとも分からないのだわ!?
外野が煩いが、一番注目すべきはアルトリア。
今の私は、いやサンタな私もいるから私たちというべきか。
このシャマシュはアルトリアの願いを叶えるために奮闘する覚悟をもってここへ来た。
ギルガメッシュから離れて暮らすようにと言われたら……すごく悲しいがその通りに従うぐらいには。
騎士王は考えている様子で私達から目をそらし──部屋の後方にあるダヴィンチちゃんの店を眺めていた。
獅子王はオルタ共にちょっと困惑気味。
謎のヒロインはモゴモゴ動いてる。あれ縄取らなくていいのかな……?
不意に、アルトリア・オルタがハンバーガーを食べ終えてから立ち上がった。
それに傍聴席のサーヴァントも含めて一気に空気が重く静まる。
「謝罪などいらぬ。必要なのはただ一つだ」
アルトリア・オルタの願いをごくりと息を飲んで待つ私とサンタの私。
冷や汗をかきつつも、令呪がなくとも自害出来るよう準備して……。
「ハンバーガーを寄越せ!」
その声に、ズルリと席から落ちそうになった。
まあふわふわと宙に浮くのが基本なので床へ崩れ落ちることは無いが。
「アルトリア・オルタがハンバーガーをご所望です! シャマシュ、何か言うことは……?」
マスターの声に私はすぐさま真横にいるサンタの私──幼いため見下ろす形になるが、彼女を見た。
「サンタの私!」
「もちろんですルーラーの私!」
アルトリアの座ってる席、その机へ向かったサンタの私。ふわふわと浮きつつも袋から取り出すはハンバーガーの数々。それに勢いよく食べ尽くそうとするアルトリア・オルタ。
獅子王たちもお腹を空かせているとわかったのか、彼女たちの好物も即座に取り出してみせた。
「騎士王のアルトリアは何を願いますか?」
「……まず、何故このように動いたのか聞いても?」
何かを見定めるように、アルトリアは言う。
「私のやらかしてしまったことを、許して欲しいんです」
後始末も出来ずにこの場に立つことが恥ずかしい。
許してとは傲慢だから、許さなくても別にいい。
とにかく、アルトリアを怒らせたくないだけだ。
「お気持ちは受け取りました。その上で聞きます──あなたは何故、私の身体を依代にしたのですか?」
「それは……」
思わず言葉を詰まらせた。
ちょっとこれは言いたくないこと。
私の心の底。願いの果ての無自覚な衝動。
やはりこの場は私達に対する罰なのだろう。
イシュタルいるし、皆に見られてるし、マスターもマシュも優しく見守ってるし。
なによりイシュタルがいるし!!
やるべきことを終えて被告人席へ戻り座ったサンタの私も言いにくそうに頬を赤く染めては、私の服の裾を握って話せない様子。
ええい、幼いサンタの私に全部任せては本当に私のいる意味が無い!
「ギルガメッシュが、あなたのことがお気に入りだからです……!」
シーンっと、傍聴席すら静まり返ったカルデア裁判所。
何もかも恥だと両手で顔を隠す私達。
ギルガメッシュがここにいないことだけが救いだ。……いないよね? いないと言って欲しい。
誰か私達を殺してくれ!
無理やり縁を結ぶために騎士王の身体が最適だった→嘘じゃない
アルトリアそっくり顔をしてるから、別にネロやら沖田やらでも良いのでは?→神性受け入れる器的にアルトリアの方が良い。ネロも頑張ればいけそうだが条件的に依代になれるのはアルトリアのみ。
無理やり縁を結んで召喚される必要ないよね?→人への守護のため。助けるため。カルデアと縁を結ぶため。
ギルガメッシュ別に関係なくね?→シャマシュの願いの果て。
つまりシャマシュが純粋に嘘がつけなかっただけ。
・・・
反応が嬉しいのでやる気が出てもう1話書けました!
ありがとうございます!!