ウルク産地のアルトリア顔の女神様 作:へっぽこ女神
「私はマスターの望むアルトリア・ペンドラゴンではございません」
「え、そうなの?」
「はい。騎士王とはまた別の存在です。ですので、ギルガメッシュ王に報告は止めていただけると……」
「ハッ! そうだよね。俺が王様に怒られちゃうよね! 雑種貴様ぁセイバーと言っていたがセイバーとは別物ではないか! って言われちゃうよね!」
「流石マスターです。ギルガメッシュにそっくりですね」
「あれ、王様知ってるの?」
「……少し、縁があるので」
気まずそうに立香から顔をそらしたサーヴァント。
よく見れば、かの騎士王たるアルトリアより少し幼く、青いドレスという服装は似ているが特徴的な鎧は何もつけていない。
若干の間違い探し程度にしか変わらない彼女は、名を名乗ろうとはしなかった。
「……あの、騎士王でないのなら……何と呼べばいいのでしょうか?」
マシュの言葉に立香が反応する。
いつものように呑気そうな顔で、「確かに~!」と頷く。
「うん。アルトリア顔の人って呼ぶのは失礼だよね!」
「それは騎士王に似たサーヴァントによっては失言に当たります先輩!」
「ごめんマシュ! ごめんなさいアルトリア顔に似たサーヴァントさん!」
「それもどうかと思います先輩!」
「じゃあどう呼べばいいの!?」
二人の漫才みたいな掛け合いに苦笑した彼女は、その小さな胸を手で押さえて言うのだ。
「私のことはサーヴァントのクラス名たるプリテンダーと呼んでいただけると助かります」
「そっか! よろしくねプリテンダー! ……ところでプリテンダーって何?」
「それは……」
「確か、役を羽織る者とダヴィンチちゃんが……」
「役を羽織る……役、役割……? ハッ! つまりアルトリアの役割を羽織る!?」
「先輩! 騎士王の役割を羽織るとは限りません! 召喚早々に騎士王であることを否定していましたので!」
「そういえばそうだねマシュ! ごめんなさいプリテンダー。不愉快になってない?」
「いえ……ずいぶんと面白いマスターで楽しいです」
「伊達に英雄王におもしれー男扱いされてないからね!」
サムズアップして輝かしい笑みを浮かべる立香に、クスクスと微笑むプリテンダー。
そんな彼女に部屋を案内する際に、何か注意しなきゃいけないことはないか聞いた。
それに目を瞬いたプリテンダーは、出来ればで良いからと小さく言う。
「ギルガメッシュには会いたくありません」
「王様に?」
「はい。ついでにマーリンも嫌です」
「うん」
「あと美味しいご飯が食べたい」
「それは食堂にいる赤いエミヤに言ってね」
「分かりましたマスター」
何故ギルガメッシュとマーリンは嫌なのかは彼女は言わず、立香もあえて聞こうとせずに頷いた。
「これからよろしくねプリテンダー」
「はい。……短い間となるかもですが、よろしくお願い致しますマスター」
丁寧な挨拶の合間に不穏なことを言うプリテンダーに、立香は首を傾けたのだった。