ウルク産地のアルトリア顔の女神様 作:へっぽこ女神
ダヴィンチちゃんの所まで行って、何日かかけて身体をこねくりまわされてしまった。
よく分からないままに流された私は、どうやらマスターに変に疑われていたらしいと気づいた。
サーヴァントとして欠陥があるわけではなく、本来の力を出せば何か変わると思うよと言われて。
種火を食べてフォウ君を飲んで、それでちゃんと強くなるまでは戦うの禁止とマスターに命じられてしまった。
痛覚が無いことに対して素直に言うべきではなかったかもしれない。つまりは羊のせい。おのれドゥムジめ。
食堂に行っても仕方ない。戦うことも出来ない。
図書館に行って本でも読むかと決めたが、書類を手に駆けるスタッフが多く、どうやらカルデアはキャメロットにある第六特異点へ向かったため慌ただしくなっていたようで……。
この数日の間にハロウィンやら何やらとマスターは大変そうだ。
マスターのために何かサポートでもしてあげたいという気持ちはあったが、流石にそれは傲慢すぎるかと自重した。遊んでる暇もないしな。
戦うべきときに戦えないのは意味がない。
部屋に運んだと言われた種火とフォウ君を素直に食べて、最終再臨までするべきだ。
そう覚悟を決めて部屋へ戻ろうとしていたところ、変態に壁ドンされた。
「ジャンヌ! ここで会えるとはまさに運命!!」
「私はジャンヌではありませんが……」
「何を言いますか転生せし第二のジャンヌ! ああ……再会の記念です。このタコのごとき海魔を食べるのです!」
「嫌です」
うねうねしたものを懐から出されても困る。
せめて焼いてから出してほしい。味が分からないから料理しなくても同じだけど……。
誰と間違えてるのかは分からないけれど、それを求めているのは分かった。
「私を第二と呼ぶということは──本物ではなくても良いということですね?」
「む?」
私はプリテンダー。
役を羽織る者。ジャンヌが欲しいと言うなら、ガワぐらいなら演じてもいい。
それに必要であればこの身を切り捨ててみせよう。
「私が与えられる
私の持つ女神としての権能は有り余ってるものもある。守護のためのものも、バフも、聖杯もどきよりかは私の付与能力の方が性能は高い。
まあたまにやらかしてポンコツ女神としてウルクに名を轟かせてしまった事故はあるけれど……。
とりあえず壁ドン止めていただいて……。
このサーヴァントに足りないのは善性であるから、それを付与してやろうか?
「──ぶ!」
「はい?」
「全部! 全部全部ぜんぶですよ! おおジャンヌ! 神よ! この魂の震えをなんと言葉にするべきか!!」
興奮し出した彼は、強欲にジャンヌを欲しいと望む。
ガワだけでなく、中身も、魂も。全部をジャンヌへ塗り替えてくれと望む。
それは、とても耐え難い。
女神を前に望むものとしてははるかに──。
とっさに手を出されそうになったので、反射的に目潰しを行う。
「ぐはぁ!?」
「一部の力であれば差し上げられるが、私の全てを望むのは傲慢すぎる」
「じ、ジャンヌ……」
「権能が欲しければあげましょう。私の力が必要であれば、望みを叶えましょう。ですがこの身体だけはあげられない」
ウルクの守護神。
ギルガメッシュを見守り続けた女神の一人。
それを自覚していたからこそ、ギルガメッシュが神と人との決別を望むなら私は消滅を待つ。
足元ですり寄る変態から一歩下がり、冷めた目で彼を見下ろした。
「この身は全てギルガメッシュのものです」
────不意に背後から気配。
「えっ」
「えっ?」
振り返ってみれば、そこにいたのは全く似た姿をした少女。
青い騎士。騎士王。そのさらに背後には騎士王に仕える騎士達。
誰もが私を見ている。
変態は無視して、私だけを。
──特に目立つのは、目を見開き驚愕した様子のセイバー。
いつからそこにいたの?