ウルク産地のアルトリア顔の女神様 作:へっぽこ女神
部屋に戻ったら見慣れた小さな金色が私のベッドで座っていた。
「お帰りなさいシャマシュ」
「うわっ」
「久しぶりに会ったのにその反応はどうなんですか」
ぷんすか可愛らしく怒る金髪の少年。ギルガメッシュの幼い姿。
座ってくださいと言われたので、恐る恐る近づいてその隣へ。
「貴方は私の顔を見たくないはずでは?」
「会いたくないというわけではないよ、シャマシュ」
微笑んできた幼いギルガメッシュ。
──いや、ここでは子ギルと呼ぶべきか。大人な方の英雄王としての全盛期なギルガメッシュもいるようだから。
「ボクがお前を遠ざけたことありましたか?」
「酔ったドゥムジがやらかした時は私も巻き込まれてウルクのど真ん中に磔の刑にして、貴様の顔なんぞしばらく見たくないと言われた記憶が……いやまあ、大人な頃のギルガメッシュですが……」
「あれはせっかく出来た豆の栽培所を半壊にした太陽神に怒って仕置きしただけです」
「お腹空いた私の泣きっ面を見て笑っていましたよね?」
「だってあまりにも愉快だったので、それにお前も反撃してきたでしょう?」
「私これでも神なのですが……」
「分かってます、ボクの生涯を守り続けた女神」
「あの……」
何故今になって私に会いに来たのか。
私が召喚されて数日。プリテンダーという偽りのクラスは、ギルガメッシュが最も嫌うもの。
ギルガメッシュと決別をして、もう二度と会うつもりはないと覚悟を決めて、己の結末を受け入れたというのに。
「お前が消滅しようとしてることは分かってる」
「はい」
「でも今ここでカルデアから退去したらものすごーく大変なことになるので、忠告しにきました」
「はい?」
「せっかくなんですし、カルデアを楽しんではどうですか? 召喚されてしまったからと消えるのは惜しいので」
遠い目で、どうせイシュタルとかも来るだろうしと話す子ギル。
ほう、イシュタルが来るんですか。
ならばドゥムジも来ますね?
「ちょっとやるべきことが出来たのでさっさと強くなっておきます」
「またポンコツなことをしないようにしてくださいよ、シャマシュ」
「私は太陽神ですよ。ポンコツなわけないです」
「虚勢張ってもねぇ……」
鼻で笑った子ギルが、私の膝に向かって身体を横にしてきた。
──いわゆる膝枕。サラサラな金色の髪の毛を撫でると、懐かしむように笑う。
「あとで大人のボクにも会ってくださいね」
「全盛期のギルガメッシュは私を虐めるので遠くから見守ってますね」
「そんな対応だから構って欲しくて虐めるんだよシャマシュ……」
「構って欲しいわけないでしょう? だってあの頃のギルガメッシュは神嫌いが極まっていましたよね」
──だから私を、殺しはせずとも虐めていたのでは?
首を傾けた私に、子ギルはため息を吐いた。
「とりあえずポンコツ女神がポンコツなことをやらかしたせいでカルデアが愉快なことになってるので、どこまで笑えるのか見守ってますね」
「喧嘩売ってることは分かりましたのであとで戦闘訓練付き合ってください」
「いいですよ。あの種火全部を食べ終えたらですが……」
にっこりと笑った子ギルが指差した袋の山にドン引きした。
えっ、あれ食べるの?
「そういえば次の特異点はウルクらしいので、戦力になってマスターに呼ばれればドゥムジに会えるかも──」
「頑張って食べます」
「応援してますね!」
語尾にハートマークがつきそうな声で言う子ギル。その顔はとても楽しそうに笑っていた。