GARO -VERSUS ROAD- 黄金継承/英雄達の鎮魂歌 作:究極の闇に焼かれた男
祖父の頼みでルーマニアに訪れた玖音はトゥリファスを目指す道中、突如として現れた謎の男の襲撃に遭う。 常人を遥かに超えた身体能力を有し尚且つ圧倒的な力を振るう男の猛攻に晒され絶体絶命の危機に陥るも、玖音の「死ねない」と言う強い思いに呼応するかの如く左手に令呪が宿ると共に1人の少女が現れるのだった。 ……今宵、本来の歴史とは異なる聖杯大戦の第一戦が始まる。
「綺麗だ」
突如として現れると同時に謎の男の槍から放たれた炎を消し去った少女の姿を目にした瞬間、その言葉が自然と零れた。
月明かりに照らされて反射するプラチナブロンドの髪と青く澄んだ瞳、胸元から腰に掛けて纏った鎧の上に御伽噺に出てくる魔法使いを思わせる白いローブを着込んだ少女の姿に玖音は目を奪われる。
「間に合って良かった。 怪我は有りませんか? 召喚者さん」
「……」
「あの、大丈夫ですか?」
「っ!? あ、ああ。 誰だか知らないけど助かったよ」
心配気な表情を浮かべる少女に問い掛けられるも、少女の姿に見蕩れていた玖音は反応するのに遅れるも再度の問い掛けにハッとなり何とか答えると、それを聞いた少女は安堵した様子を見せつつ気持ちを切り替えると男へと視線を向ける。
「我が一撃を防ぐとは見事だ。 しかしお前は黒の陣営でも、ましてや我ら赤の陣営のサーヴァントでも無いな?」
「……」
(黒の陣営に赤の陣営? 何の話か分からない、あの男の言葉からして何らかの勢力に属してる上に似た様な連中が他にも居るって事か!?)
男の発した言葉からして、男と同じような常軌を逸した存在が他にも居るという事実に玖音は戦慄を覚える。
「この人は……召喚者さんは殺らせない!」
「良い闘気だ。 我が真名はカルナ、太陽神スーリヤの子。 此度はランサーのクラスで現界した。 我が槍を恐れぬと言うのなら、かかって来るがいい」
(カルナって、その名前は確か!?)
その名前に玖音は聞き覚えがあった。
施しの英雄【カルナ】--インド最古の大叙事詩として知られるマハーバーラタの主人公であるアルジュナの宿敵(ライバル)にして生き別れの異父兄弟でもある、ヒンドゥー教の太陽神スーリヤの息子。
神話や歴史上の存在でしか無いと思われた人物と同じどころか本人だと名乗る男の言葉に玖音は驚愕を禁じえなかった。
そんな玖音をカルナから守るようにして立つ少女が構えると、身体から淡い青の光が発せられ虚空から水を纏った槍が精製される。
「召喚者さんは離れてて、私が絶対に守るから!」
「っ!? 待ってくれ!!」
玖音が制止の声を掛けるも水を纏った槍を構えた少女は地面を蹴って駆け出し、対するカルナも槍を構えると地面を強く踏み込みながら駆け出して行き、両者は赤と青の二つの光となり一瞬の内に接敵、甲高い音が響き土煙を上げながら互いの得物をぶつけ合うのだった。
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荒野で少女とカルナが激突している頃、遠く離れた山奥の森の中にある洞窟内、黒いフード付きのコートを着込んだ男が手元にある水晶に視線を向けていた。
水晶には今なお荒野で激しい戦闘を繰り広げる少女とカルナの姿が映し出されており、男は口角を上げ笑みを浮かべる。
「遂に聖杯大戦の幕が上がったようだね。 本来なら"黒のセイバーと赤のランサー"によって火蓋が切られる筈だったけど、彼という存在が現れた事で歴史に変化を齎したのかな? もしそうだとしたら、今後も何かしらの変化が有ると見て良さそうだし、僕としては退屈せずに済みそうだ。 君もそう思わないか────」
水晶に目を向けながら男が呟くと、背後の影の中に音も無く立つ甲冑を身に纏った隻眼の男が獰猛な笑みを浮かべつつ、水晶に映し出された1人の青年の姿を捉えていた。
荒野で行われる戦いを見ていたのは他にも居た。
一つは聖杯大戦が引き起こされる切っ掛けを作り、現在は拠点であるトゥリファスの城砦に篭もるユグドミレニア一族が率いる黒の陣営。 もう一つは彼の有名なドラキュラのモデルとされる串刺し公が生誕した場所にして、現在では観光地としても有名な都市【シギショアラ】に拠点を置く赤の陣営。
各陣営に所属するマスター達とサーヴァント達の反応は様々で、ある者は新たな強者が現れた事に歓喜し、ある者は何方の陣営にも属さないサーヴァントの登場に警戒し、ある者は自陣に引き込めないかと画作し、ある者は新たなマスターとなった青年の存在を危惧していた。
そして、何方の陣営にも属さない新たなマスターとサーヴァントの登場を感知し現地へと急ぐ1人の少女の姿もあった。
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玖音side
其れは余りにも常軌を逸した軌道で繰り広げられる超常的な戦いだった。
空を駆け抜け、大気を震わせ、周囲の岩山を砕き、炎を纏う槍と水を纏う槍が激しくぶつかり合い、衝撃波で土煙を舞い上がらせる。
現実離れした戦闘を続ける少女とカルナと名乗った男の姿を俺は呆然と見つめていた。
--これに似た光景を何処かで見た事がある気がする。
ふと脳裏に過ぎった言葉に疑問を覚えるも、未だに鳴り響く戦闘音によって思考が切り上げられる。
カルナの持つ槍から放たれる炎を少女は巧みに捌き、一呼吸の間に肉薄して刺突を当てるもカルナの身体に傷を付ける事は叶わなかったが、後方へと吹き飛ばす事には成功した。
「…何なんだよ、こんなの幾らなんでも可笑しいだろ!?」
少し前まで普通の日常を生きてきたのに、突如として非日常へと巻き込まれた事実に俺は夢を見ているのではと疑心するも、聞こえてくる音や肌を掠める風が夢では無いと教える。
長時間に渡る戦闘を呆然と眺めていると、ふと太陽が昇り始めている事に気付いた。
戦闘が始まってから数時間にも渡り続いた結果、決着がつくよりも先に夜明けが訪れようとした時、それに気付いたのかカルナが動きを止める。
カルナの動きが止まった事に少女は訝しみつつ、槍を構えながら様子を伺い始める。
「このままでは日が昇るまで打ち合う事になる。 オレは構わないが、そちらのマスターには既に戦う意思が失われているようだ。 故に今回は退かせてもらうとしよう」
「逃がすと思う」
「いや……だが、今のお前にはオレと戦うよりもマスターを連れて此処から離れたいと感じるが?」
そう言ってカルナが俺に視線を向けてくる。
「俺としては何がなんだか分からない状況で手一杯だから、退いてくれるなら此方としても助かる」
「っ、召喚者さん!?」
「決まりだな。 では、今回はここで退かせてもらおう。 次に相見える時は決着をつけさせてもらうぞ、キャスター」
「待て!」
キャスターと呼ばれた少女が追い掛けようとするも、それより早くカルナの姿が消える。
「助かった、のか……あれ?」
「召喚者さんっ!?」
カルナが退いてくれた事実に安堵したのも束の間、不意に視界がグラつく。
まるで全身から力が抜け落ちる様な感覚に陥った俺が地面に崩れ落ちる最中、最後に目にしたのは悲鳴に似た声を上げながら駆け寄って来る少女の姿を捉えると同時に俺の意識は暗転するのだった。
to be continued‥
トネリコの口調が上手く出来たか不安なので、違和感が一つでも御座いましたらコメントを下さい。 それと感想もお待ちしております。
ジャンヌ・ダルクをヒロインに加えますか?
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令呪を持って命ずる、ヒロインにしろ
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原作カップリングのままで
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だったらアストルフォをヒロインにしろよ!