GARO -VERSUS ROAD- 黄金継承/英雄達の鎮魂歌   作:究極の闇に焼かれた男

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〜前回までのあらすじ〜

赤の陣営のランサーにして施しの英雄カルナの襲撃に遭う玖音だったが、キャスターのサーヴァントである謎の少女が駆け付けた事により窮地を脱し、夜明けまで続いたサーヴァント同士による戦闘もカルナが退いた事で一応の終わりを迎えた。 しかし戦闘が終わった直後、玖音の身に異変が起こり意識を失う事態となるのだった。


第2話/REMINISCENCE Part1

 

 

 

其れは知らないようで知っている、暖かな陽だまりの記憶。

雲一つない青空の下、優しく心地良い風を肌で感じながら丘の上で俺と"彼女"は隣り合いながら座っていた。

 

 

「ねぇ、これからも玖音は私の傍に居てくれるよね?」

 

 

不意に"彼女"が不安気な表情で尋ねてきたので、「俺も出来る事ならそうしたい」と、柄にもなく返していた。

 

 

「確約はしてくれないんだね」

 

「未来の事は俺にも分からないから、下手に期待させる様な言葉は俺には言えない」

 

「玖音らしいね。 でも、そうだな……もしも玖音が帰ったとしても私の方から会いに行くよ」

 

「おいおい、こっちの世界に来るつもりか?」

 

「当然でしょ。 だって玖音は私の──なんだから」

 

 

そう答える彼女は満開の花が咲いた様な笑顔を見せる。

いつまでも見ていたいと思える彼女の笑顔に自然と心が安らぐの感じながら俺も笑みを返し、2人の時を大事にしながら過ごした。

 

 

でも、そんな平和な日常は一夜の内に奪われてしまい、俺は彼女と過ごした──を喪う事になるのだった。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

玖音side

 

 

「……夢、だったのか?」

 

 

目を覚ますと見慣れぬ部屋の天井が目に入った。

 

 

「ここは……っ!?」

 

 

自分が何処に居るのか、あの後何が起きたのか確認しようと上体を起こそうとするも筋肉が悲鳴を上げるかの如く痛みを発し、ベッドに倒れて思わず顔を顰める。

 

 

(何が起きてるのかは知らないが、どうやら俺は生きているらしいな。 それに部屋の感じからして何処かの町の宿屋なのは間違いないらしい)

 

 

僅かに動かせた首の向きを変えながら軽く部屋の中を見回すと、木造建築の宿屋の一室に居るというのが分かった。

 

正直に言えば自分の身に何が起きたのか、ここが何処の町なのかを直ぐにでも確かめたかったが、まるで激しい運動をした後の身体の様に筋肉痛に苛まれて動けないので痛みが治まるまで横にならざるを得ないと判断する。

 

色々と考える事は山ずみだが動けない以上、意識を失う前の出来事を振り返る事にした。

 

 

(たしか俺は祖父の旧友を訪ねにトゥリファスを目指している途中、カルナと名乗る男に襲われたところを見知らぬ少女に助けられたんだったな。 今になって思うとよく生きていられたよな、俺)

 

 

改めて振り返ると自分が生きている事実に驚いた。

今更だが、あの状況で助かれる人間は少ないだろう。

 

 

(出来る事なら、あんな目に遭うのは二度と御免だが…)

 

 

内心そう思っていると扉が開かれる音が聞こえ、思わず視線を向けると1人の少女が器に盛られた食事を載せた御盆を手に入って来るのが見えた。

 

 

「お邪魔します。 っ!?」

 

「キミは、あの時の……」

 

 

部屋に入ってきたのはカルナに襲われていた所を間一髪の所で助けてくれた少女だった。

 

 

「目が覚めたんだね!」

 

「もしかして、キミが此処に連れてきてくれたのか?」

 

「うん。 それより何処か辛いところとかは無い? 一応怪我をしてないのは確認済みだけど……」

 

「あ、ああ。 少し筋肉痛がするくらいかな」

 

「良かった。 あっ! そう言えば自己紹介がまだだよね。 私はサーヴァント・キャスター、真名はトネリコ。 よろしくね、召喚者さん」

 

「…サーヴァントと召喚者ってのが何なのか分からないが、俺は月宮玖音。 出来るなら気軽に玖音と呼んでくれ。 それと危ない所を助けてくれてありがとう」

 

 

そう言って俺は少女こと【トネリコ】に感謝の言葉を伝えるのだった。

 

 

 

それから少し経ち、俺はトネリコから自分達が今何処に居るのかとサーヴァントや令呪についての説明を受けた。

 

あの戦いの後、俺はトネリコに運ばれる形でトゥリファスに程近い場所にある小さな町の宿屋に辿り着いたらしく、現在の時刻はカルナとの戦闘を終えてから約5時間ほど経った午前10頃との事。

 

次にサーヴァントと召喚者について説明された。

 

サーヴァントとは歴史上に出てくる英雄や偉人が死後、人々に祀り上げられ英霊化したもので、魔術師と呼ばれる者達が万能の願望機とされる聖杯の持つ膨大な魔力によって使い魔として現世に召喚した存在。 そして召喚者(又はマスター)とは聖杯に選ばれた者の事で、体の何処かにマスターの証である赤い紋様【令呪】を宿している。

 

サーヴァントとマスターとは互いに契約を交わした相棒的な関係性で、サーヴァントはマスターからの魔力供給によって現界を維持しており供給される魔力量によって性能も大きく変わるのとマスターが三画ある令呪を一画消費した場合のみサーヴァントに対して絶対命令権を行使出来るとの事。

 

そして俺はキャスターのサーヴァントであるトネリコと契約を交わしたマスターの1人で、現在のルーマニアで執り行われている聖杯大戦と呼ばれる殺し合いの参加者らしい。

ただし、本来の聖杯大戦では黒と赤の二つの陣営に分かれて執り行われるのだが、俺の場合は何方の陣営にも属さない、言わば"無所属のマスター"であるとの事。

 

最後に聖杯大戦で最後まで生き残る事の出来たマスターとサーヴァントには、あらゆる願いを叶えるとされる万能の願望機【聖杯】の力で己の願望を叶える事が出来るという。

 

 

「……大体の事は理解した。 けど、自分の願いを叶える為に殺し合うなんて意味が分からない。 一般家庭出身の俺からすると狂ってるとしか言いようがない」

 

「私も聖杯に願いを叶えて貰おうとは思わないけど、他の召喚者やサーヴァント達は是が非でも叶えたい願いが有るだろうし、戦いは避けられないかな」

 

「つまり、生き残るにしても"戦うしか道は無い"って事か…」

 

 

巻き込まれる形とはいえ、自分が参加資格を得てしまった物のスケールの大きさと死の危険と隣合わせとなった事実に頭が痛くなる。

 

生命の奪い合いなんて"あの世界での戦いだけで十分"だ。

 

 

(……ん? "あの世界"って、俺を言ってるんだ?)

 

「それじゃあ、まずは今後どう動くか決めないとね」

 

「確かにな。 俺達の現状を鑑みると黒と赤、何方の陣営にも属していないとなると、上手く立ち回らないと二つの陣営を敵に回す危険性が高いからな」

 

 

ふと脳裏に過ぎった言葉に疑問を抱くも、トネリコの言葉で一瞬浮かんだ疑問を思考の隅へと追いやる。

 

今の俺とトネリコは無所属のマスターとサーヴァント、昨夜の事を考えるにカルナが属する赤の陣営との敵対は確実だと言えるが、上手く立ち回れば黒の陣営と同盟ないし一時的な不可侵条約を結べる可能性があると見ていい。

 

 

「一先ずは黒の陣営のマスターかサーヴァントと接触して、出来たら同盟か休戦協定を結ぶとしよう」

 

「黒の陣営の拠点に行くの」

 

「そうだな。 さて、痛みも大分引いてきたからトゥリファスに行く前に少し買い物をして行こうか」

 

「買い物?」

 

「ああ。 実はカルナに襲われた時に殆どの荷物が燃えて無くなってな。 残ってるのは多めに持ってきた現金とパスポートの入った財布と、爺ちゃんに頼まれた物だけしかない。 流石に着替えの一つや二つ、それと数日分の食糧は確保しないと途中で空腹で倒れる可能性もあるからな」

 

「なるほど、そう言う事なら私に任せて! ここに来る途中、それっぽい店を幾つか見掛けたから案内するね」

 

「助かる。 そうと決まれば急いで済ませよう」

 

 

こうして次の行動を決めた俺達は身支度を済ませると、そのまま宿屋を後にするのだった。

 

 

────────────────────────

 

 

 

一方その頃、シギショアラに拠点を置く赤の陣営のマスターの1人である神父【シロウ・コトミネ】は、昨夜から今朝方に掛けて繰り広げられた自陣のランサーと正体不明のキャスターのサーヴァントの戦闘を記録した映像を観ていた。

 

 

(やはり可笑しい、キャスターの真名を看破出来ない。 何かの宝具か、或いは隠蔽魔術で隠している? それにランサーであるカルナを相手に一歩も引かないのも何か引っ掛かる。 本当に彼女はキャスターのサーヴァントなのでしょうか)

 

 

目を凝らして映像を観続けるシロウだったがキャスターの謎を解明するどころか、より一層謎は深まるばかり。

 

 

(それに加えて、"彼"が生きているのもマズイですね。 "彼"の存在は今回の聖杯大戦において完全なイレギュラー、野放しにして置くには危険過ぎる。 このままだと私の計画にも支障をきたしかねない以上、対策を練らなければ)

 

『随分と悩んでいるようだな、マスター』

 

「おや、どうかしましたか? アサシン」

 

 

シロウが深く考え込んでいると、不意に彼のサーヴァントである黒のアサシンが現界する。

 

 

「なに、随分と難しい顔をしているのでな。 察するに例のイレギュラーと謎のキャスターについてと言った所か?」

 

「えぇ……出来る事なら"彼"には彼処で退場して貰いたかったのですが、まさかキャスターのサーヴァントを召喚するとは予想外でした」

 

「お主の願いを叶える為にも、出来る事ならイレギュラーは早めに片付けて置きたいだろうからな」

 

 

アサシンの言葉にシロウは笑みを浮かべながら頷き返すと、表情を切り替え獰猛な物へと変える。

 

 

「ここは一つ────に、"彼"とキャスターの始末をお願いしましょう」

 

「ふむ、ならば我は予定通り準備を進めるとしよう」

 

「お願いしますね」

 

 

シロウの言葉に赤のアサシンは笑みを浮かべながら体を霊体化させて消えると、その場に1人残されたシロウは再び映像に視線を戻すのだった。

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

「--あなた達が15人目のマスターと16人目のサーヴァントですね?」

 

「何者だ?」

 

「初めまして。 私はルーラー、此度の聖杯大戦の裁定をする為に召喚されました」

 

(2日連続でサーヴァントと遭遇するなんて、もしかして神にでも呪われてるんじゃないだろうか俺は……)

 

 

とある町の路地裏、買い物をするべく宿屋を後にした玖音とトネリコはルーラーと名乗る少女と遭遇していた。

 

その出会いが玖音の運命を加速させる事となる。

 

 

 

to be continued‥




如何でしたでしょうか? 楽しんで頂けたなら幸いです。
宜しければコメントを貰えると嬉しいです。 それと誤字や脱字、文章として変な部分が御座いましたら報告の程をお願いします。

オマケ話/宿屋の代金


「そう言えばだが、宿屋に泊まる代金はどうしたんだ?」

「それなら玖音の財布から出したよ」

「なら良いけど、因みに代金は幾ら払ったんだ?」

「ええっと、確かこの位だったかな」

「どれどれ…………なっ!?」


トネリコが告げた額を聞いた瞬間、玖音の悲鳴が宿屋に響くのだった。

ジャンヌ・ダルクをヒロインに加えますか?

  • 令呪を持って命ずる、ヒロインにしろ
  • 原作カップリングのままで
  • だったらアストルフォをヒロインにしろよ!
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