GARO -VERSUS ROAD- 黄金継承/英雄達の鎮魂歌 作:究極の闇に焼かれた男
トネリコから聖杯大戦に関する説明を受け、玖音は一先ず黒の陣営との接触を図ろうと決意する。 一方その頃、赤の陣営のマスターであるシロウ・コトミネは玖音トネリコの存在に危機感を抱き新たな刺客を送り込む事にした。 そうとは知らない玖音はトネリコと共に買い物に行こうとした所、2人を探していたと言うルーラーの少女と出会うのだった。
【裁定者(ルーラー)】--其れは、聖杯自身に召喚され、聖杯戦争という概念そのものを守る為に動く、所謂"絶対的な管理者"である。 部外者を巻き込む等の規約に反する者に注意を促し、場合によってはペナルティを与え、聖杯戦争が成立しなくなる事態を防ぐ役割を担っている特殊なクラスのサーヴァントである。 その為、本来ならマスターを必要とする他のサーヴァント達とは異なり現界するのにマスターを必要とせず、中立の立場を貫く為に何処の陣営にも属す事はない。
だが、今回の聖杯大戦において多くの異常(イレギュラー)が発生していた。
一つは現界するのにマスターを必要としない筈のルーラーが現代を生きる少女の肉体を依代として召喚された事、もう一つが本来なら有り得ない筈の15人目のマスターと16人目のサーヴァントの登場、そして半ば言葉にするのは難しいが直感にも似た奇妙な違和感である。
故に、今回の聖杯大戦に異変が生じていると判断したルーラーは手始めに15人目のマスターである玖音と、16人目のサーヴァントであるトネリコに接触を図ることにしたのだ。
そして現在、玖音とトネリコの2人はルーラーと共に近場の喫茶店で接触して来た理由についての説明を受けていた。
「そちらの事情は大体分かった。 とは言うものの、俺も昨日まで聖杯やサーヴァント、それに加え魔術とも無縁の日常を送っていたから分からない事の方が多いい。 マスターに選ばれた理由も正直なところ理由が思い付かないのが現状だし、他にも謎が多くて混乱してる」
「なるほど、あなたも分からない事だらけなのですね」
「ああ。 キャスターから……トネリコからある程度の説明は受けてるけど、判断材料が少なすぎるから何とも言えない。 余り力になれなくて申し訳ない」
「いえ、昨日まで普通の日常を送っていたのですから仕方ありません。 むしろ、こうしてお互いに情報交換出来ただけでも良いとしましょう」
「そう言って貰えて助かるよ。 遅くなったが俺の名前は月宮玖音、気軽に玖音と呼んでくれて構わない」
「では、玖音さんと呼ばせて貰いますね。 私の事はルーラーと呼んで下さい」
「よろしく、ルーラー。 ……それで、いつまで注文表を見てるつもりだ? トネリコ」
そう言うと玖音は自身の隣で注文表に目を向けるトネリコに視線を移すと、トネリコは真剣に吟味するようにして注文表を見ていると唐突に口を開いた。
「玖音……この特性パフェが気になるから頼んでもいい!」
「お前なぁ〜……まあ俺も丁度腹が空いてたし、好きな物を頼んでいいぞ。 折角だし、ルーラーも何か食べるか?」
「い、いえ。 流石に御迷惑をお掛けする訳には」
「色々と教えて貰ったし、情報料と言う事で奢らせてくれ」
「……そう言う事でしたら、ご馳走になります」
玖音の言葉にルーラーはそう返すと、テーブルの上に置かれているもう一つの注文表を手に料理を選び始める。
(トネリコの説明と実際にサーヴァント同士が戦ってる姿を見たから普通とは違うんだなと嫌でも理解したけど、こうして目をキラキラさせながら何を頼もうか考えている姿を見ると普通の女の子と変わらないんだな)
目を輝かせながら注文表に視線を向けるとトネリコとルーラーの姿を静かに見つめる玖音は心の中で呟くのだった。
それから数十分後…
其の光景は玖音だけでなく、店内に居た殆どの人間に言葉を失わせる程のインパクトを誇っていた。
次々と積み上がり既に15枚目に至ろうとしており、店内に居た店員達も予想外の事態に焦りを覚える程だった。
丁寧な所作で行われ、どこか気品を感じさせる姿にも関わらず更なる高みを目指し続けるのを見て玖音は真顔となり、気が付くと胃もたれに似た物を感じていた。
「ご馳走様でした!」
「美味しかった〜」
「あっ、うん……満足してくれたなら良かった」
天高く積み上げられた物────平らげられた皿の山を作り上げた2人の少女が満足気な様子を見せる中、玖音は遠い目をしながら乾いた笑みを浮かべる。
(うん……念の為とは言え、予算を多めに持ってきて本当に良かった)
予想外の健啖家具合を見せたルーラーと、それとは別に注文した特性パフェに御満悦の表情を浮かべるトネリコに玖音は最悪の事態を想定して金銭を多めに用意して良かったと心の中で力無く呟くのだった。
「そう言えば、この後ルーラーはどうするの?」
食事を終えた一行は支払いを済ませ喫茶店の外に出ると、ふとトネリコは思い出したかのように口を開いた。
「そうですね。 聖杯大戦に起きている異変の正体を確かめるべく黒の陣営の拠点へ向かおうと考えています」
「なら丁度良いね、玖音」
「ああ。 俺達も黒の陣営の所に用があるんだけど、ルーラーが良ければ途中まで一緒に行かないか? それに個人的な話になるけど、当初の予定ではトゥリファスに居る俺の爺ちゃんの旧友に届け物をしに行くつもりだったし、俺達について他にも知りたい事があるなら道すがら知ってる限りの事を教えるよ」
「確かに、まだあなた達に聞きたい事が有りますし、それで良ければご一緒させて貰いますね」
「じゃあ決まりだね!」
「トゥリファスに着くまでの間だけど、よろしく頼む」
こうして玖音とトネリコは、一時的とは言えルーラーを加えた3人で黒の陣営の拠点を置いているトゥリファスを目指す事になるのだった。
────────────────────────
時を遡る事、数時間前…
其れはトネリコとカルナが戦闘を繰り広げていたのと同時刻の事、とある場所で刃と刃をぶつけ合う2人の人物と、それを遠目から見る恰幅のいい男の姿があった。
男の名は【ゴルド・ムジーク・ユグドミレニア】。 黒の陣営に属するマスターの1人にして、セイバーのサーヴァントを従えている。
そんなゴルドの視線の先では、彼の召喚した黒のセイバーと手に十字状の巨大な手裏剣を携える忍び装束に身を包む青年が火花を散らしていた。
赤のランサーであるカルナが現れた事を知ったゴルドは功績を立てるべく黒のセイバーを連れて車に乗り現地へ向かっていた途中、進路上に忽然と現れた謎の青年から襲撃を受け、なし崩し的に戦う事になったのだ。
そんなゴルドだったが、眼前で行われる戦闘を目にして動揺していた。
(何だ……何なのだアイツは!? アレが本当に、"アサシンのサーヴァント"だと言うのか!?)
黒のセイバーと戦闘を繰り広げるのは襲撃者にして"アサシンと名乗った謎のサーヴァント"の実力にゴルドは驚愕する。
それは何もゴルドだけでなく、アサシンと刃を交えている黒のセイバーも同じだった。
(攻めきれないだと!?)
黒のセイバーは自身の宝具にして主武装である大剣を振るう度に、アサシンのサーヴァントは得物である十字手裏剣で剣の軌道を明後日の方向に逸らし、お返しと言わんばかりに懐から苦無を取り出し投げ付ける。
苦無は黒のセイバーの体を掠めるも傷を付けるには至らず、戦闘は拮抗状態に陥っていた。
「流石は黒のセイバー……"竜殺しの英雄"の異名に恥じぬ実力のようで安心したぞ」
「っ!?」
武器を打ち合う中、不意にアサシンが口にした言葉にゴルドと黒のセイバーは目を見開いていた。 其れは他でもない、黒のセイバーの真名に関わる重大な異名だったからだ。
「さして驚く事でも無いだろう? 先程から貴様は"背後"を取られぬよう立ち回っている。 それに一瞬とはいえ捉えた貴様の背中の"菩提樹に似た形の跡"、貴様が彼の名高き"竜殺しの英雄"である証拠に他ならないであろう」
「っ!? 殺せ! セイバー、アサシンを殺すのだ!!」
アサシンが口にした言葉の数々を聞いたゴルドの判断は早かった。
──あのアサシンだけは逃してはならない。
ゴルドの本能がそう告げていた。
ゴルドから飛ばされた指示に黒のセイバーは頷く事で応えると、魔力を込めた一撃をアサシン目掛けて放つ。
その一撃は大地を抉りながら真っ直ぐ進んで行き、アサシンへと直撃するかに思われた。 ……瞬間だった。
「…誠に残念だが、我が主の命により、今宵はここまでだ」
そう告げた直後、黒のセイバーが放った一撃に対しアサシンは両腕で十字手裏剣を高速回転させ、竜巻の如き風を起こし相殺した。
「なっ!?」
「さらばだ、黒のセイバー。 貴様とまた会える事を楽しみにしているぞ」
黒のセイバーの一撃を相殺するとアサシンは体を霊体化し、気配を完全に消した上で去って行った。
後に残されたのは自身のサーヴァントの真名に関する情報を暴かれた事実に動揺し焦りを覚えるゴルドと、アサシンを取り逃してしまった事を静かに噛み締める黒のセイバーの姿だった。
to be continued‥
黒のセイバーが対峙したアサシン、その正体とは…。
如何でしたでしょうか? 楽しんで頂けたなら幸いです。
良ければ感想を貰えると嬉しいです。
それと次回の更新は遅くなります。
ジャンヌ・ダルクをヒロインに加えますか?
-
令呪を持って命ずる、ヒロインにしろ
-
原作カップリングのままで
-
だったらアストルフォをヒロインにしろよ!